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フグ料理大会
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4時半頃に、御堂が到着した。
丁度俺が暇になって、夕食の手伝いでもしようかと思い始めていたタイミングだった。
御堂はいつだって間が良い。
「石神!」
「なんだ、予定よりも随分と早かったじゃないか」
御堂は敷地内に降りた「タイガーファング」から降りて来た。
青嵐と紫嵐も降りて来て、俺に挨拶する。
御堂を護衛するダフニスとクロエも一緒に挨拶する。
「ああ、閣議がスムーズに終わってね。大渕さんが用意してくれた草案が良かったんだよ」
「じゃあ、いよいよ日本でも本格的な軍備が始まるんだな」
「うん。それと国債の償却とね。これまでは償還期限が来るたびに、新たな国債で相殺していたんだからね。こんな馬鹿げたことは辞めさせるよ」
「御堂財閥と「虎」の軍からの資金流入で、循環社会への第一歩が始まるな」
「そうだね。それで日本は方向転換をする」
俺たちは歩きながら話した。
蓮花が御堂の到着を知り、ティーグフに乗って来た。
「御堂様、お待ち申し上げておりました」
「蓮花さん、今日はお世話になります」
「はい、ごゆるりとお過ごし下さいませ」
全員でティーグフに乗って移動した。
「アラスカでの移動は、ここがモデルになっていたんだね」
「そうだ。ちょっとした思い付きで電動移動車を作ったんだがな。コンピューター制御で移動するようにしたら、「最適化」が構築されてなぁ」
「成程」
最適化問題は長く人類を悩ませてきた問題だ。
如何に効率よく物事を進めるのかは、経験による熟練に頼って来たのがこれまでの人類史だった。
世に言う「セールスマン・ルート問題(TSP)」や「運搬経路問題(VRP)」が電動移動車の問題となる。
複雑なルートに適用される問題な上に、実際には様々な要因、例えば道路工事で一部ルートが使えないとか、更には他の優先車両との競合など、莫大な変数によって解が変わって行く。
それを乗り越えるには、量子コンピューターが必要だった。
「きっかけはな。俺の移動だったんだ」
「石神の?」
「ああ。当初この研究所では、俺はトップシークレットだったからな。俺の姿を研究員やスタッフの誰も見ないように、蓮花がプログラムを組んだんだ」
「ああ、そうか。万一研究員の中にスパイがいたら大変だものな」
「そうなんだ。だから俺が移動すると研究員が部屋に閉じ込められたりした。でもそうすると、研究の進捗に重大な支障が出たりしてな。俺、いつもあんまりウロウロしないようにしてたんだよ」
「アハハハハハ!」
「時間制限がある実験もあるじゃない。トイレに行こうとしたら閉じ込められちゃって。漏らしちゃった奴もいたよなぁ」
「さようでございましたね」
蓮花が同意し、御堂が笑った。
「それで蓮花が最適化を考え始めたんだ。俺が移動してもなるべく問題が生じないようにな。それで俺も自由に部屋の外に出られるようになっていった」
「一度も遠慮されていたことはございませんよね?」
「お前は黙ってろ! 俺は御堂の前では遠慮深い男になってんだ!」
「オホホホホホ」
「アハハハハハ」
二人が笑った。
「そういうことでな。それが実際に素晴らしいシステムを生み出したということだ。全部蓮花のお陰なんだよ」
「わたくしはそのようなことはとても」
「お前! 何で俺よりも遠慮深い人間になってんだ!」
三人で笑った。
食事の場所に着いた。
うちの子どもたちやブランたちが集まって御堂に挨拶する。
もう食事の準備はほとんど終わっていた。
「おい! 今日はバーベキューじゃないんだぞ!」
「ほんとだね。でもバーベキュー台もあるんだね」
「あれはケダモノ用だ。あれがないと俺たちもゆっくりと喰えないからな」
「アハハハハハ!」
ブランたちが使っている大食堂だ。
建物の中を移動すれば早かったのだが、御堂に敷地の全体をなるべく見せたかったので外を回って来た。
俺と御堂、蓮花、ジェシカや副研究所長の足利などが同じテーブルに付く。
「御堂はジェシカや足利とは初めてだよな」
「うん。宜しくお願いします」
「こちらこそ。御堂さんのご活躍はよく存じております」
「御堂様とお会い出来て光栄です」
ジェシカはまだ幾つかの研究のグループリーダーだが、いずれは蓮花の右腕として研究所を切り盛りしていくことになるだろう。
足利は最初の頃から蓮花に従って来た実直な人間だ。
ブラン計画にも唯一携わっており、蓮花と共にブランたちの再生に必死に動いてくれた。
蓮花はその足利でさえも俺から遠ざけようとしていたが、俺が会うことを主張し、研究所員の中でも比較的早くから知り合っていた。
今日はフグ料理がメインだったので、みんなが喜んだ。
もちろん、うちの子どもたちは大興奮だ。
亜紀ちゃんもそれほど多く食べていたわけではない。
子どもたちは肉メインだからだ。
ブランたちも、研究所員たちも、フグはほとんど食べない。
群馬にもフグ料理の店はあるだろうが、ここの人間はほとんど外に出ない。
ブランたちは一層だ。
みんなで楽しそうに食べながら話している。
ふぐ刺し、てっさ、唐揚げなどが大量にあり、炭火焼きも出来るように、各テーブルにコンロが用意されている。
蓮花は全員に小さなフグの握りを作っていた。
一人2個だったが、人数が多いので大変だっただろう。
この研究所のあちこちに、蓮花の愛情が流れている。
「おい、群馬のフグが全滅したんじゃねぇのか?」
「オホホホホホ!」
群馬に海はないが。
「フグなんて、久し振りだよ」
「なんだよ、料亭での秘密会合とかで喰わないのか?」
「そんなことやってないよ!」
みんなで笑った。
「食事は忙しいのもあるけど、あまりゆっくりと食べる機会はないね」
「料亭は?」
「しつこいな! 2度くらいしかないよ。一度は小島将軍だ」
「ああ!」
「お前も一緒だったろ? もう、僕は緊張して何を食べたか覚えて無いよ」
「今教えようか?」
「そういうことじゃないって!」
蓮花が大笑いしていた。
「ジェシカ、フグは大丈夫か?」
「はい! 初めてですが、美味しいものですね!」
「なんだよ。蓮花、三日に一度くらいは喰わせてやれよ」
「かしこまりました」
「いいえ! 随分と高級なものなのでしょう?」
「そんなことはないよ。これだって、その辺の川で獲って来たんだよな?」
「はい」
「えぇー! 絶対違いますよ!」
俺はフグの持つテトロドトキシンの説明をジェシカにした。
「非常に強い毒でな。青酸カリの850倍と言われている」
「そうなんですか!」
「しかも熱にべらぼうに強い。100度の湯で煮沸した程度では、構造が壊れないんだ」
「大変ですね!」
「俺たち日本人は昔からフグを食べているんで耐性があるんだけどな。ジェシカは気を付けろよな」
「どうやって気を付けるんですか!」
蓮花が笑って冗談だと言った。
専門の免許を持った人間が捌いていると話した。
「もう! 石神さん!」
「アハハハハハ!」
御堂も笑っていた。
「俺が初めてフグを食べたのは、御堂とだったよな?」
「うん、そうだったね。山口の南原さんから送られたものだったよね」
「そうだ。御堂のマンションで二人で食べた。美味かったなぁー!」
「うん、美味しかった」
南原陽子さんが送ってくれた。
冷蔵便で送られてきて、早く食べるように手紙があった。
「お袋が、俺がこれまでフグなんか食べて無いと話したらしいんだよな。だから陽子さんが早速送ってくれた。優しい人なんだよなぁ」
食べ方は御堂が教えてくれた。
ちゃんとコース料理になるようになっていた。
今はネットでもセットが買える手軽なものになったが、昔は誰かが揃えて用意するしかなかった。
相当な手間が掛かっただろうと思う。
「でも、同じ魚の料理なのに、飽きませんね」
「うちの亜紀ちゃんは一人で10人前を食べるけどな。全然飽きたって聞いたことねぇ」
「アハハハハハ!」
「別に避けていたわけじゃないんだけどなぁ。他の子どもたちとは食べたことがない。まあ、あいつらは基本的に「肉」だからな」
俺たちはバーベキュー台で肉を争っている子どもたちを見た。
「まだ麹町のダイヤモンドホテルがでかかった頃な。あそこの地下でフグのカレーを一江と食べたんだよ。会合の後でな」
「そうなんだ」
「「フグの唐揚げカレー」ってあってさ。珍しいんで二人でそれを頼んだのな。そうしたら、ちっちゃいフグの唐揚げが二切れだけ。一江と怒ったよなぁ」
「アハハハハハハ!」
「しかもさ、増量のためなのか、やけに衣が厚くて大きくてさ。フグだか鶏皮だかわかんねぇんだよ! 今思うと本当にフグだったか怪しいぜ!」
みんなが笑った。
「日本人はみんなフグが大好きなんですね」
ジェシカが言った。
「みんなかどうかは知らないけどな。でも、今でも毎年フグを喰って中毒死する人間が絶えないよな」
「そうだね」
「エェー!」
「素人が自分で釣ったのを捌いて当たるんだよ。だから昔からフグは「てっぽう」って言われてたのな。GUNのことだ」
「スゴイですね!」
俺は各テーブルを回ってみんなと話した。
みんな珍しいフグ料理を喜んでくれた。
「御堂が来るから特別な! あいつに感謝してくれな!」
「はい!」
最後に子どもたちのテーブルへ行った。
「どうだ、フグは美味いか?」
「「「「「はい!」」」」」
「やっぱ、肉ばっかじゃダメだよね!」
「お前ら、さっき散々喰ってただろう!」
「「「「「ワハハハハハハ!」」」」」
協定でもあったか、肉を喰い終わってからみんなテーブルに付いていた。
「まあ、1ミリも心配してないけど、一杯食べろよな!」
「「「「「はい!」」」」」
ロボはてっさや焼き物を蓮花からもらって食べていた。
白子が気に入ったようで、蓮花に鳴いて訴えていた。
俺が自分のものをやると、俺の顔を舐めて来た。
みんなが楽しんだ。
丁度俺が暇になって、夕食の手伝いでもしようかと思い始めていたタイミングだった。
御堂はいつだって間が良い。
「石神!」
「なんだ、予定よりも随分と早かったじゃないか」
御堂は敷地内に降りた「タイガーファング」から降りて来た。
青嵐と紫嵐も降りて来て、俺に挨拶する。
御堂を護衛するダフニスとクロエも一緒に挨拶する。
「ああ、閣議がスムーズに終わってね。大渕さんが用意してくれた草案が良かったんだよ」
「じゃあ、いよいよ日本でも本格的な軍備が始まるんだな」
「うん。それと国債の償却とね。これまでは償還期限が来るたびに、新たな国債で相殺していたんだからね。こんな馬鹿げたことは辞めさせるよ」
「御堂財閥と「虎」の軍からの資金流入で、循環社会への第一歩が始まるな」
「そうだね。それで日本は方向転換をする」
俺たちは歩きながら話した。
蓮花が御堂の到着を知り、ティーグフに乗って来た。
「御堂様、お待ち申し上げておりました」
「蓮花さん、今日はお世話になります」
「はい、ごゆるりとお過ごし下さいませ」
全員でティーグフに乗って移動した。
「アラスカでの移動は、ここがモデルになっていたんだね」
「そうだ。ちょっとした思い付きで電動移動車を作ったんだがな。コンピューター制御で移動するようにしたら、「最適化」が構築されてなぁ」
「成程」
最適化問題は長く人類を悩ませてきた問題だ。
如何に効率よく物事を進めるのかは、経験による熟練に頼って来たのがこれまでの人類史だった。
世に言う「セールスマン・ルート問題(TSP)」や「運搬経路問題(VRP)」が電動移動車の問題となる。
複雑なルートに適用される問題な上に、実際には様々な要因、例えば道路工事で一部ルートが使えないとか、更には他の優先車両との競合など、莫大な変数によって解が変わって行く。
それを乗り越えるには、量子コンピューターが必要だった。
「きっかけはな。俺の移動だったんだ」
「石神の?」
「ああ。当初この研究所では、俺はトップシークレットだったからな。俺の姿を研究員やスタッフの誰も見ないように、蓮花がプログラムを組んだんだ」
「ああ、そうか。万一研究員の中にスパイがいたら大変だものな」
「そうなんだ。だから俺が移動すると研究員が部屋に閉じ込められたりした。でもそうすると、研究の進捗に重大な支障が出たりしてな。俺、いつもあんまりウロウロしないようにしてたんだよ」
「アハハハハハ!」
「時間制限がある実験もあるじゃない。トイレに行こうとしたら閉じ込められちゃって。漏らしちゃった奴もいたよなぁ」
「さようでございましたね」
蓮花が同意し、御堂が笑った。
「それで蓮花が最適化を考え始めたんだ。俺が移動してもなるべく問題が生じないようにな。それで俺も自由に部屋の外に出られるようになっていった」
「一度も遠慮されていたことはございませんよね?」
「お前は黙ってろ! 俺は御堂の前では遠慮深い男になってんだ!」
「オホホホホホ」
「アハハハハハ」
二人が笑った。
「そういうことでな。それが実際に素晴らしいシステムを生み出したということだ。全部蓮花のお陰なんだよ」
「わたくしはそのようなことはとても」
「お前! 何で俺よりも遠慮深い人間になってんだ!」
三人で笑った。
食事の場所に着いた。
うちの子どもたちやブランたちが集まって御堂に挨拶する。
もう食事の準備はほとんど終わっていた。
「おい! 今日はバーベキューじゃないんだぞ!」
「ほんとだね。でもバーベキュー台もあるんだね」
「あれはケダモノ用だ。あれがないと俺たちもゆっくりと喰えないからな」
「アハハハハハ!」
ブランたちが使っている大食堂だ。
建物の中を移動すれば早かったのだが、御堂に敷地の全体をなるべく見せたかったので外を回って来た。
俺と御堂、蓮花、ジェシカや副研究所長の足利などが同じテーブルに付く。
「御堂はジェシカや足利とは初めてだよな」
「うん。宜しくお願いします」
「こちらこそ。御堂さんのご活躍はよく存じております」
「御堂様とお会い出来て光栄です」
ジェシカはまだ幾つかの研究のグループリーダーだが、いずれは蓮花の右腕として研究所を切り盛りしていくことになるだろう。
足利は最初の頃から蓮花に従って来た実直な人間だ。
ブラン計画にも唯一携わっており、蓮花と共にブランたちの再生に必死に動いてくれた。
蓮花はその足利でさえも俺から遠ざけようとしていたが、俺が会うことを主張し、研究所員の中でも比較的早くから知り合っていた。
今日はフグ料理がメインだったので、みんなが喜んだ。
もちろん、うちの子どもたちは大興奮だ。
亜紀ちゃんもそれほど多く食べていたわけではない。
子どもたちは肉メインだからだ。
ブランたちも、研究所員たちも、フグはほとんど食べない。
群馬にもフグ料理の店はあるだろうが、ここの人間はほとんど外に出ない。
ブランたちは一層だ。
みんなで楽しそうに食べながら話している。
ふぐ刺し、てっさ、唐揚げなどが大量にあり、炭火焼きも出来るように、各テーブルにコンロが用意されている。
蓮花は全員に小さなフグの握りを作っていた。
一人2個だったが、人数が多いので大変だっただろう。
この研究所のあちこちに、蓮花の愛情が流れている。
「おい、群馬のフグが全滅したんじゃねぇのか?」
「オホホホホホ!」
群馬に海はないが。
「フグなんて、久し振りだよ」
「なんだよ、料亭での秘密会合とかで喰わないのか?」
「そんなことやってないよ!」
みんなで笑った。
「食事は忙しいのもあるけど、あまりゆっくりと食べる機会はないね」
「料亭は?」
「しつこいな! 2度くらいしかないよ。一度は小島将軍だ」
「ああ!」
「お前も一緒だったろ? もう、僕は緊張して何を食べたか覚えて無いよ」
「今教えようか?」
「そういうことじゃないって!」
蓮花が大笑いしていた。
「ジェシカ、フグは大丈夫か?」
「はい! 初めてですが、美味しいものですね!」
「なんだよ。蓮花、三日に一度くらいは喰わせてやれよ」
「かしこまりました」
「いいえ! 随分と高級なものなのでしょう?」
「そんなことはないよ。これだって、その辺の川で獲って来たんだよな?」
「はい」
「えぇー! 絶対違いますよ!」
俺はフグの持つテトロドトキシンの説明をジェシカにした。
「非常に強い毒でな。青酸カリの850倍と言われている」
「そうなんですか!」
「しかも熱にべらぼうに強い。100度の湯で煮沸した程度では、構造が壊れないんだ」
「大変ですね!」
「俺たち日本人は昔からフグを食べているんで耐性があるんだけどな。ジェシカは気を付けろよな」
「どうやって気を付けるんですか!」
蓮花が笑って冗談だと言った。
専門の免許を持った人間が捌いていると話した。
「もう! 石神さん!」
「アハハハハハ!」
御堂も笑っていた。
「俺が初めてフグを食べたのは、御堂とだったよな?」
「うん、そうだったね。山口の南原さんから送られたものだったよね」
「そうだ。御堂のマンションで二人で食べた。美味かったなぁー!」
「うん、美味しかった」
南原陽子さんが送ってくれた。
冷蔵便で送られてきて、早く食べるように手紙があった。
「お袋が、俺がこれまでフグなんか食べて無いと話したらしいんだよな。だから陽子さんが早速送ってくれた。優しい人なんだよなぁ」
食べ方は御堂が教えてくれた。
ちゃんとコース料理になるようになっていた。
今はネットでもセットが買える手軽なものになったが、昔は誰かが揃えて用意するしかなかった。
相当な手間が掛かっただろうと思う。
「でも、同じ魚の料理なのに、飽きませんね」
「うちの亜紀ちゃんは一人で10人前を食べるけどな。全然飽きたって聞いたことねぇ」
「アハハハハハ!」
「別に避けていたわけじゃないんだけどなぁ。他の子どもたちとは食べたことがない。まあ、あいつらは基本的に「肉」だからな」
俺たちはバーベキュー台で肉を争っている子どもたちを見た。
「まだ麹町のダイヤモンドホテルがでかかった頃な。あそこの地下でフグのカレーを一江と食べたんだよ。会合の後でな」
「そうなんだ」
「「フグの唐揚げカレー」ってあってさ。珍しいんで二人でそれを頼んだのな。そうしたら、ちっちゃいフグの唐揚げが二切れだけ。一江と怒ったよなぁ」
「アハハハハハハ!」
「しかもさ、増量のためなのか、やけに衣が厚くて大きくてさ。フグだか鶏皮だかわかんねぇんだよ! 今思うと本当にフグだったか怪しいぜ!」
みんなが笑った。
「日本人はみんなフグが大好きなんですね」
ジェシカが言った。
「みんなかどうかは知らないけどな。でも、今でも毎年フグを喰って中毒死する人間が絶えないよな」
「そうだね」
「エェー!」
「素人が自分で釣ったのを捌いて当たるんだよ。だから昔からフグは「てっぽう」って言われてたのな。GUNのことだ」
「スゴイですね!」
俺は各テーブルを回ってみんなと話した。
みんな珍しいフグ料理を喜んでくれた。
「御堂が来るから特別な! あいつに感謝してくれな!」
「はい!」
最後に子どもたちのテーブルへ行った。
「どうだ、フグは美味いか?」
「「「「「はい!」」」」」
「やっぱ、肉ばっかじゃダメだよね!」
「お前ら、さっき散々喰ってただろう!」
「「「「「ワハハハハハハ!」」」」」
協定でもあったか、肉を喰い終わってからみんなテーブルに付いていた。
「まあ、1ミリも心配してないけど、一杯食べろよな!」
「「「「「はい!」」」」」
ロボはてっさや焼き物を蓮花からもらって食べていた。
白子が気に入ったようで、蓮花に鳴いて訴えていた。
俺が自分のものをやると、俺の顔を舐めて来た。
みんなが楽しんだ。
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