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高等と下等
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パレボレが帰った後。
俺は亜紀ちゃんと風呂に入り、上がってから柳も呼んで一緒に飲んだ。
ワイルドターキーを注ぎ、つまみはなめこおろしともろきゅう、それに生ハムを少し出した。
「パレボレには参ったな」
「あのやろう! あれがロボだって言ってましたよね!」
「ひでぇもんだ」
「なんか、見ていて気持ち悪くなりました」
「柳もそうか」
三人で散々怒った。
「でも、あれ総力を結集したとか言ってましたよね」
「あいつら、おかしいんじゃねぇか?」
「そうですよねぇ」
とてもロボには似て無いし、第一ネコですらなかった。
ブサイクなクリーチャーだ。
「なんか、段々頭に来ますよね!」
「そうだな!」
「いや、もういいじゃないですか」
「柳さんは悔しくないの!」
「亜紀ちゃん、落ち着いて」
「もう! あいつが自慢タラタラで来たのが、一層許せない!」
亜紀ちゃんは荒々しくグラスを煽った。
「あ!」
「タカさん、どうしたんです?」
「ほら! 前に蓮花が「走行ロボ」の大会に来た時に、うちで作ったじゃん!」
「ああ!」
「あれは双子に造形を頼んで、ロボそっくりにしたんだよな」
「そうでしたね!」
「ちょっと持って来い!」
「はーい!」
亜紀ちゃんが倉庫から抱えて来た。
三人で電池を入れて走らせた。
「「「ワハハハハハハ!」」」
楽しかった。
ロボも興味深げに観ている。
「これの方がよっぽどいいよなぁ」
「はいはい!」
「カワイイですよね!」
俺たちは何度か走らせ、ロボも一緒に走って遊んだ。
ロボは身体をすりつけている。
気に入ったようだ。
「パレボレと上司を呼ぶか」
「そうですね。もうちょっと説教しておきましょう」
「可哀そうな気も……」
「柳さん! あいつは普段から生意気なんですよ。端から私たちを下等生物だと思ってバカにしてるんです。見下してるんです」
「それは分かるけど」
「ロボが怖くて今は下についてますけど、本当は自分たちがずっと上だと思ってるんです」
「それは許せないけどね」
「そうですよね!」
俺たちは、明日の晩にパレボレとその上司に来るように命じた。
マザーシップに繋がる端末を操作し、俺が呼びつけた。
「メカロボを作った責任者とパレボレに、明日の晩に来るように言え」
「は、はい!」
通信員らしい奴が応えた。
「場合によっちゃ、俺もロボと一緒に大銀河連動に出向くからな。そうしたらどうなるのか分かってるな?」
「は、はい!」
通信員が硬直していた。
まあ、そんなヒマはねぇんだが。
翌日の晩。
俺が6時頃に戻ると、門の内側でパレボレとその上司らしい奴が土下座して待っていた。
亜紀ちゃんが、中へ入れなかったようだ。
俺は門を開けて、「そのままでいろ」と言い、アヴェンタドールで突進した。
二人は慌てて避けた。
「避けんじゃねぇ!」
「「すいません!」」
亜紀ちゃんが玄関から出て来た。
「タカさーん!」
「おう、ただいま。こいつら来てたんだな」
「はい、2時間前から」
「ウゼェな」
「そうなんですよ! 夜に来いって言ったのに!」
俺は駐車場にアヴェンタドールを入れてから二人に言った。
「なんでそんなに早く来やがったんだ?」
「はい。歩いて参りましたので」
「どっかで待ってろよ」
「あの、うろうろするなと言われていましたので」
「喫茶店でも何でも入ってろよ」
「お金がありませんので」
「……」
俺はパレボレの尻を蹴って、中へ入れた。
俺は食事をしながら二人に話した。
「それで、その上司って誰よ?」
「バルムンクという、科学技術庁の長官です。この度、昨日のメカロボを作った責任者です」
「お前かぁー!」
「も、申し訳ありません!」
「何であんなものを作ったぁ!」
「はい、石神様に御歓びいただくために!」
「喜ぶわけねぇだろう!」
「すいません!」
双子がロボと、ソファの近くで「走行ロボ」で遊んでいた。
パレボレたちが気付く。
「あ! あれは!」
「一体どちらがロボ様ですか!」
ふざけているのかと思ったが、本気で分からないようだ。
「お前ら、マジか?」
「はい?」
「本当に分からないの?」
「「はい!」」
俺は食事を中断し、「走行ロボ」を抱き上げた。
「ロボちゃーん」
顔をすりすりした。
「ああ、そちらが本物でしたか!」
「フッシャーーー!」
ロボがパレボレに「地獄七層巡りキック」を見舞った。
パレボレの地球人型スーツの頭が吹っ飛ぶ。
バルムンクが慌てて拾いに行った。
ハーが図鑑を持って来て、人間とサルの顔を見せた。
「どっちが人間?」
「両方とも人間ですよね?」
ライオンとネコの絵を見せた。
「両方、ロボ様ですよね?」
「大きさが全然違うでしょう!」
「ああ! そう言われてみると!」
牛と馬を見せた。
「どう違う!」
「これは難しい! うーん」
亜紀ちゃんが二人の頭を引っぱたいた。
「タカさん、なんなんですか、こいつら」
「弱ったなぁ」
二人に、大銀河連合では芸術とか無いのか聞いてみた。
「太古にはあったのですが、合理性を求めるうちにそういうものは廃れました」
「お前らにも他人を認識する能力はあるんだろう?」
「それは主にマザーコンピューターが認識コードを付与しているので。自分の判断では必要ないんです」
「なんだよ、それは?」
バルムンクが説明した。
「基本時に、我々は判断する必要がないんです。すべてマザーコンピューターがやっているので」
「じゃあ、お前らって何してんの?」
「それはいろいろと」
「ふーん」
何もしていないのだろう。
「亜紀ちゃん」
「はい」
「パレボレにはアパートは必要ねぇや」
「そうですねー」
「段ボールを渡せ。新宿駅で生活するようにな」
「はーい」
パレボレとバルムンクが慌てた。
どういうものか知っているらしい。
「私、これでも大銀河連合の特別使節に任命されるほどのエリートなんです!」
「私からもどうか! パレボレの生活を見て参りましたが、あれでもギリギリ以下と言いますか」
「だって、お前ら何の役にも立たないじゃん」
「何でも致しますので!」
「そう言われてもなー」
「「石神様!」」
「タカさん、パレボレに、ロシアに特攻させますか」
「そうだなー。鉄砲玉くらいにはなるかなー」
まあ、ならないだろう。
一応説教は済んだので、二人を帰すことにした。
「あ! そういえば手土産をまだ!」
「そうでした!」
「あんだよ?」
「大きなものでしたので、庭の隅に置いておきました」
「あ?」
みんなで外に出た。
ゴミ捨ての物置の横に、でかい何かがあった。
「地球には存在しない物質です」
「へぇ」
「地球での名称は原子番号173「ウンセプトトリウム」です」
「!」
「特殊な容器に入れて居ります」
「お、おう」
「御存知ですか?」
「もちろんだ」
「マザーから、石神様はこういうものを喜ばれるだろうと」
「あ、そう」
こいつら、出来るのか出来ないのか、よく分からない。
しかし、こんなもん、どうすんだ?
俺は亜紀ちゃんと風呂に入り、上がってから柳も呼んで一緒に飲んだ。
ワイルドターキーを注ぎ、つまみはなめこおろしともろきゅう、それに生ハムを少し出した。
「パレボレには参ったな」
「あのやろう! あれがロボだって言ってましたよね!」
「ひでぇもんだ」
「なんか、見ていて気持ち悪くなりました」
「柳もそうか」
三人で散々怒った。
「でも、あれ総力を結集したとか言ってましたよね」
「あいつら、おかしいんじゃねぇか?」
「そうですよねぇ」
とてもロボには似て無いし、第一ネコですらなかった。
ブサイクなクリーチャーだ。
「なんか、段々頭に来ますよね!」
「そうだな!」
「いや、もういいじゃないですか」
「柳さんは悔しくないの!」
「亜紀ちゃん、落ち着いて」
「もう! あいつが自慢タラタラで来たのが、一層許せない!」
亜紀ちゃんは荒々しくグラスを煽った。
「あ!」
「タカさん、どうしたんです?」
「ほら! 前に蓮花が「走行ロボ」の大会に来た時に、うちで作ったじゃん!」
「ああ!」
「あれは双子に造形を頼んで、ロボそっくりにしたんだよな」
「そうでしたね!」
「ちょっと持って来い!」
「はーい!」
亜紀ちゃんが倉庫から抱えて来た。
三人で電池を入れて走らせた。
「「「ワハハハハハハ!」」」
楽しかった。
ロボも興味深げに観ている。
「これの方がよっぽどいいよなぁ」
「はいはい!」
「カワイイですよね!」
俺たちは何度か走らせ、ロボも一緒に走って遊んだ。
ロボは身体をすりつけている。
気に入ったようだ。
「パレボレと上司を呼ぶか」
「そうですね。もうちょっと説教しておきましょう」
「可哀そうな気も……」
「柳さん! あいつは普段から生意気なんですよ。端から私たちを下等生物だと思ってバカにしてるんです。見下してるんです」
「それは分かるけど」
「ロボが怖くて今は下についてますけど、本当は自分たちがずっと上だと思ってるんです」
「それは許せないけどね」
「そうですよね!」
俺たちは、明日の晩にパレボレとその上司に来るように命じた。
マザーシップに繋がる端末を操作し、俺が呼びつけた。
「メカロボを作った責任者とパレボレに、明日の晩に来るように言え」
「は、はい!」
通信員らしい奴が応えた。
「場合によっちゃ、俺もロボと一緒に大銀河連動に出向くからな。そうしたらどうなるのか分かってるな?」
「は、はい!」
通信員が硬直していた。
まあ、そんなヒマはねぇんだが。
翌日の晩。
俺が6時頃に戻ると、門の内側でパレボレとその上司らしい奴が土下座して待っていた。
亜紀ちゃんが、中へ入れなかったようだ。
俺は門を開けて、「そのままでいろ」と言い、アヴェンタドールで突進した。
二人は慌てて避けた。
「避けんじゃねぇ!」
「「すいません!」」
亜紀ちゃんが玄関から出て来た。
「タカさーん!」
「おう、ただいま。こいつら来てたんだな」
「はい、2時間前から」
「ウゼェな」
「そうなんですよ! 夜に来いって言ったのに!」
俺は駐車場にアヴェンタドールを入れてから二人に言った。
「なんでそんなに早く来やがったんだ?」
「はい。歩いて参りましたので」
「どっかで待ってろよ」
「あの、うろうろするなと言われていましたので」
「喫茶店でも何でも入ってろよ」
「お金がありませんので」
「……」
俺はパレボレの尻を蹴って、中へ入れた。
俺は食事をしながら二人に話した。
「それで、その上司って誰よ?」
「バルムンクという、科学技術庁の長官です。この度、昨日のメカロボを作った責任者です」
「お前かぁー!」
「も、申し訳ありません!」
「何であんなものを作ったぁ!」
「はい、石神様に御歓びいただくために!」
「喜ぶわけねぇだろう!」
「すいません!」
双子がロボと、ソファの近くで「走行ロボ」で遊んでいた。
パレボレたちが気付く。
「あ! あれは!」
「一体どちらがロボ様ですか!」
ふざけているのかと思ったが、本気で分からないようだ。
「お前ら、マジか?」
「はい?」
「本当に分からないの?」
「「はい!」」
俺は食事を中断し、「走行ロボ」を抱き上げた。
「ロボちゃーん」
顔をすりすりした。
「ああ、そちらが本物でしたか!」
「フッシャーーー!」
ロボがパレボレに「地獄七層巡りキック」を見舞った。
パレボレの地球人型スーツの頭が吹っ飛ぶ。
バルムンクが慌てて拾いに行った。
ハーが図鑑を持って来て、人間とサルの顔を見せた。
「どっちが人間?」
「両方とも人間ですよね?」
ライオンとネコの絵を見せた。
「両方、ロボ様ですよね?」
「大きさが全然違うでしょう!」
「ああ! そう言われてみると!」
牛と馬を見せた。
「どう違う!」
「これは難しい! うーん」
亜紀ちゃんが二人の頭を引っぱたいた。
「タカさん、なんなんですか、こいつら」
「弱ったなぁ」
二人に、大銀河連合では芸術とか無いのか聞いてみた。
「太古にはあったのですが、合理性を求めるうちにそういうものは廃れました」
「お前らにも他人を認識する能力はあるんだろう?」
「それは主にマザーコンピューターが認識コードを付与しているので。自分の判断では必要ないんです」
「なんだよ、それは?」
バルムンクが説明した。
「基本時に、我々は判断する必要がないんです。すべてマザーコンピューターがやっているので」
「じゃあ、お前らって何してんの?」
「それはいろいろと」
「ふーん」
何もしていないのだろう。
「亜紀ちゃん」
「はい」
「パレボレにはアパートは必要ねぇや」
「そうですねー」
「段ボールを渡せ。新宿駅で生活するようにな」
「はーい」
パレボレとバルムンクが慌てた。
どういうものか知っているらしい。
「私、これでも大銀河連合の特別使節に任命されるほどのエリートなんです!」
「私からもどうか! パレボレの生活を見て参りましたが、あれでもギリギリ以下と言いますか」
「だって、お前ら何の役にも立たないじゃん」
「何でも致しますので!」
「そう言われてもなー」
「「石神様!」」
「タカさん、パレボレに、ロシアに特攻させますか」
「そうだなー。鉄砲玉くらいにはなるかなー」
まあ、ならないだろう。
一応説教は済んだので、二人を帰すことにした。
「あ! そういえば手土産をまだ!」
「そうでした!」
「あんだよ?」
「大きなものでしたので、庭の隅に置いておきました」
「あ?」
みんなで外に出た。
ゴミ捨ての物置の横に、でかい何かがあった。
「地球には存在しない物質です」
「へぇ」
「地球での名称は原子番号173「ウンセプトトリウム」です」
「!」
「特殊な容器に入れて居ります」
「お、おう」
「御存知ですか?」
「もちろんだ」
「マザーから、石神様はこういうものを喜ばれるだろうと」
「あ、そう」
こいつら、出来るのか出来ないのか、よく分からない。
しかし、こんなもん、どうすんだ?
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