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早乙女家でバーベキュー
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御堂と正巳さんをリヴィングへ案内し、みんなでお茶にした。
ジャスミンティにし、とっておきのグラマシーニューヨークの杏仁豆腐を出す。
「御堂! お替りは一杯あるからな!」
「一つでいいよ」
みんなが笑った。
御堂と正巳さんが美味しいと喜んでくれた。
俺も物凄く嬉しかった。
「やっぱり東京は違うね」
「正巳さんも東京に来る機会は多くなりますから、これからは沢山食べられますよ」
「それは当選してからだよ」
「それはもう決まってますから」
「アハハハハハ!」
子どもたちが二つ目の杏仁豆腐を食べる。
俺から二つまでと厳命されている。
「柳、もう一つ食べたら?」
「え!」
「なんだよ?」
「いつもと扱いが違う!」
「こら!」
子どもたちが笑う。
「石神、柳もみんなと同じにしてくれてるんだね」
「ち、違うよ! 柳は特別扱いだよ!」
「いえ! むしろ虐待されてます!」
「おい!」
御堂が笑った。
「こないだもみんなで外食するって言って、私置いて行かれましたよね!」
「あ、あれはすぐに思い出して戻って来ただろう!」
「お父さーん!」
柳が庭で訓練してるのを忘れた。
時々ある。
「夕べは一緒に寝ただろう!」
「あれはお父さんの匂いがするって!」
「ワハハハハ!」
「なんなんですか!」
御堂と正巳さんが笑った。
「柳が楽しそうで安心したよ」
「お父さん、聞いてました?」
「柳の魅力の90%は、御堂の娘ってことだからな」
「なんですか、それ!」
「最強だよな!」
「石神さん!」
御堂が大笑いしている。
柳も御堂と正巳さんがいるので、テンションが高い。
「御堂、疲れただろう。今日はゆっくりしてくれよな」
「ああ、ありがとう」
「正巳さんも大変だったでしょう」
「ジャングル・マスターさんな。あの人は凄いな」
「そうでしょう? もう日本中でお二人を知らない人間はいませんよ。それに世界中でも有名になっている。しかも、みんなお二人が大好きだ」
「そうかな」
「ジャングル・マスターの誘導でそうなっています。自分が危ない立場になってまで、日本を守ろうとしていると。そういう本物の政治家はいなくなりましたからね。今は日本中が再び政治に夢を抱き始めています」
「うん。わしらも頑張るよ」
「はい!」
御堂は髪を伸ばし始めた。
ジャングル・マスターの指示だ。
俺は髪型がよく似合うと言った。
「今まで長くしたことはないんだけどね」
「いいや、似合うよ。威厳が出て来たな」
「そうか?」
「お前は甘く優しい人間じゃない。厳しく優しい人間だ。本当の優しさを持っているよ。今まではその厳しさが自分に向いていたけどな」
「そんなことはないよ」
「おい、みんな知ってるよ。お前がどんな時にも優しい笑顔でいるっていうのはそういうことだ。なあ、柳?」
「はい。今ならよく分かります」
「辛い時にもどんな時にも、お前が笑っているからみんなが頑張るんだ。誰も諦めたりしない。まあ、正巳さんの教育のお陰だろうけどな」
「わしはそんな大層なことはしていないよ」
「じゃあ、菊子さんのお陰ですね!」
みんなが笑う。
お茶の後で、二人には少し休んでもらった。
恐らく、ジャングル・マスターが来てからゆっくりすることも出来なかっただろう。
うちにいる間は少しでも休んで欲しい。
二人は同室にした。
いろいろ話すこともあるだろうと思った。
俺の部屋には自由に出入りしてくれと言ってある。
時間は何時でも構わないと。
早速御堂が来た。
「正巳さんは?」
「ああ、少し眠っているよ。夕飯には起こすから」
「そうか。大分疲れているんだろう」
「そうだね」
何か飲むかと聞いたが、いらないと言われた。
ソファを勧めた。
「別に用事ということも無いんだけど、何か石神からあれば聞いておこうと思って」
「なんだよ、ゆっくりしてろよ。俺も話すべきことは全部話すからさ」
「ああ、ありがとう」
俺は御堂を見た。
「礼を言うのは俺だ。俺の頼みを聞いてくれてありがとうな」
「いいよ、僕は石神と一緒にいたいだけだ」
「正巳さんまで巻き込んでしまった。いや、御堂家のみなさん全員をな。危険な目にも遭わせたし、これからもそうだ。その上でこんな無茶苦茶なことをさせてしまっている」
「これは運命だよ。石神のせいじゃない」
「いや、完全に俺のせいだろう?」
御堂が笑った。
「僕はどうでもいいんだ。本当に石神と一緒にいられて嬉しいんだ。親父もそうだよ。政治家として大きな花を咲かせることが出来た。満足だろうよ」
「そうだといいけどな」
電話で御堂には全部話している。
親父との戦いも、霊素の観測装置の進展も、百家でのことも、更に六花と麗星の妊娠も話している。
「「業」との戦いは今後どうなると思う?」
「多分、また日本での戦闘はあるだろう。恐らくはジェヴォーダンの襲撃と妖魔を使った攻撃だな」
「そうか」
「恐らくは東京、そして大都市の大阪も狙われるかもしれない」
「大阪?」
「ああ、向こうにも俺たちの大事な人間がいる。どうも六花が狙われているようなんだが、その妹がいるからな」
「なるほど。それは先日聞いた「光の女王」に関わることだね?」
「そうだ。響子のことらしいんだがな。妖魔の狙いが響子にあると考えている」
「どうしても消したいんだね?」
「そうらしいな。だから響子を守る六花が邪魔らしいんだ」
「今、大阪での防衛システムを建造中なんだよね」
「ああ。まあ表向きは皇紀と風花の愛の巣なんだけどな」
「アハハハハハ!」
二人で笑った。
俺が図面とCGを見せると、御堂は爆笑した。
俺は亜紀ちゃんにコーヒーを頼んだ。
やはり、長く話しそうだった。
二人でコーヒーを飲む。
「でも、俺が最も不安に思っているのは、「業」が開発しているはずのウイルスなんだ」
「チェルノブイリの近くの村で手に入れたというものだね?」
「そうだ。まだそれは使われていない。でも、必ず「業」は使う。俺が読めないということは、相当なヤバいものなはずなんだ」
「そうか」
「ジェヴォーダンも恐ろしいが、妖魔はそれ以上だ。しかし妖魔は既存の軍隊を壊滅させることに目的がある」
「じゃあ、ウイルスは人類そのものを滅ぼすためのものだと石神は考えているんだね」
「ああ。致死性の高いものというだけではない。人間を狂わせて滅ぼすという悪魔のウイルスだ」
「怖いね」
「ただ、ウイルスは始まれば対抗手段が取れる」
「そうだね。ワクチンの開発は出来るよね」
「だからまだ使われていないんだろう。「業」は最悪のタイミングで使って来ると思う」
「分かった。そっちは石神に任せるよ」
「おう!」
御堂にちびトラちゃんの写真を見せたりして笑わせた。
楽しく話していると、亜紀ちゃんが呼びに来た。
「今日はバーベキューかい?」
「よく分かったな!」
「まあ、石神とは長い付き合いだからね」
「流石は御堂だ!」
二人で笑いながら正巳さんを起こし、出掛けた。
ダフニスとクロエが護衛に付く。
「え? ここでやるんじゃないのか?」
「ああ。近くに親友がいてな。ああ! 親友って言っても御堂よりも遙かに下だからな!」
御堂が笑った。
正巳さんも笑う。
「あそこの家だよ」
俺が指さして、二人が立ち止まって呆然としていた。
「ケルン大聖堂を模した家なんだよ。ヘンな奴だろ?」
「「……」」
門を潜り、やはりでかい建物に驚き、その隣にいる巨大ロボットに驚いた。
笑いながら、二人を玄関に入れた。
早乙女と雪野さんが迎えに出てくれた。
俺は互いを紹介する。
「早乙女さん、お会いしたかったです」
「俺もです。石神から散々お話は伺っています」
俺は広い通路を歩きながら、御堂と正巳さんに注意事項を話した。
「この先に、「柱」がいるんだ」
「「?」」
「ちょっと変わった奴だけど、いい奴だから」
「「?」」
「柱」が俺を見つけてカタカタと走って来た。
「「!」」
「よう! 元気そうだな!」
「柱」が俺の肩に小さな手を乗せて上体を縦に揺らす。
元気らしい。
「今日は大親友の御堂とその父上の正巳さんが来たんだ。宜しくな!」
「柱」が顔の横で手を振る。
「石神……」
「じゃあ、上に行こうか!」
早乙女が嬉しそうに笑っていた。
屋上で子どもたちがバーベキューの準備を整えていた。
少し肌寒いが、早乙女がハロゲンヒーターを用意してくれていた。
バーベキュー台を見て、正巳さんが喜ぶ。
早乙女の音頭で、食事を始めた。
最初は正巳さんに焼いて頂いた。
子どもたちが楽しそうに奪い合い、正巳さんを大笑いさせた。
楽しいバーベキューが始まった。
ジャスミンティにし、とっておきのグラマシーニューヨークの杏仁豆腐を出す。
「御堂! お替りは一杯あるからな!」
「一つでいいよ」
みんなが笑った。
御堂と正巳さんが美味しいと喜んでくれた。
俺も物凄く嬉しかった。
「やっぱり東京は違うね」
「正巳さんも東京に来る機会は多くなりますから、これからは沢山食べられますよ」
「それは当選してからだよ」
「それはもう決まってますから」
「アハハハハハ!」
子どもたちが二つ目の杏仁豆腐を食べる。
俺から二つまでと厳命されている。
「柳、もう一つ食べたら?」
「え!」
「なんだよ?」
「いつもと扱いが違う!」
「こら!」
子どもたちが笑う。
「石神、柳もみんなと同じにしてくれてるんだね」
「ち、違うよ! 柳は特別扱いだよ!」
「いえ! むしろ虐待されてます!」
「おい!」
御堂が笑った。
「こないだもみんなで外食するって言って、私置いて行かれましたよね!」
「あ、あれはすぐに思い出して戻って来ただろう!」
「お父さーん!」
柳が庭で訓練してるのを忘れた。
時々ある。
「夕べは一緒に寝ただろう!」
「あれはお父さんの匂いがするって!」
「ワハハハハ!」
「なんなんですか!」
御堂と正巳さんが笑った。
「柳が楽しそうで安心したよ」
「お父さん、聞いてました?」
「柳の魅力の90%は、御堂の娘ってことだからな」
「なんですか、それ!」
「最強だよな!」
「石神さん!」
御堂が大笑いしている。
柳も御堂と正巳さんがいるので、テンションが高い。
「御堂、疲れただろう。今日はゆっくりしてくれよな」
「ああ、ありがとう」
「正巳さんも大変だったでしょう」
「ジャングル・マスターさんな。あの人は凄いな」
「そうでしょう? もう日本中でお二人を知らない人間はいませんよ。それに世界中でも有名になっている。しかも、みんなお二人が大好きだ」
「そうかな」
「ジャングル・マスターの誘導でそうなっています。自分が危ない立場になってまで、日本を守ろうとしていると。そういう本物の政治家はいなくなりましたからね。今は日本中が再び政治に夢を抱き始めています」
「うん。わしらも頑張るよ」
「はい!」
御堂は髪を伸ばし始めた。
ジャングル・マスターの指示だ。
俺は髪型がよく似合うと言った。
「今まで長くしたことはないんだけどね」
「いいや、似合うよ。威厳が出て来たな」
「そうか?」
「お前は甘く優しい人間じゃない。厳しく優しい人間だ。本当の優しさを持っているよ。今まではその厳しさが自分に向いていたけどな」
「そんなことはないよ」
「おい、みんな知ってるよ。お前がどんな時にも優しい笑顔でいるっていうのはそういうことだ。なあ、柳?」
「はい。今ならよく分かります」
「辛い時にもどんな時にも、お前が笑っているからみんなが頑張るんだ。誰も諦めたりしない。まあ、正巳さんの教育のお陰だろうけどな」
「わしはそんな大層なことはしていないよ」
「じゃあ、菊子さんのお陰ですね!」
みんなが笑う。
お茶の後で、二人には少し休んでもらった。
恐らく、ジャングル・マスターが来てからゆっくりすることも出来なかっただろう。
うちにいる間は少しでも休んで欲しい。
二人は同室にした。
いろいろ話すこともあるだろうと思った。
俺の部屋には自由に出入りしてくれと言ってある。
時間は何時でも構わないと。
早速御堂が来た。
「正巳さんは?」
「ああ、少し眠っているよ。夕飯には起こすから」
「そうか。大分疲れているんだろう」
「そうだね」
何か飲むかと聞いたが、いらないと言われた。
ソファを勧めた。
「別に用事ということも無いんだけど、何か石神からあれば聞いておこうと思って」
「なんだよ、ゆっくりしてろよ。俺も話すべきことは全部話すからさ」
「ああ、ありがとう」
俺は御堂を見た。
「礼を言うのは俺だ。俺の頼みを聞いてくれてありがとうな」
「いいよ、僕は石神と一緒にいたいだけだ」
「正巳さんまで巻き込んでしまった。いや、御堂家のみなさん全員をな。危険な目にも遭わせたし、これからもそうだ。その上でこんな無茶苦茶なことをさせてしまっている」
「これは運命だよ。石神のせいじゃない」
「いや、完全に俺のせいだろう?」
御堂が笑った。
「僕はどうでもいいんだ。本当に石神と一緒にいられて嬉しいんだ。親父もそうだよ。政治家として大きな花を咲かせることが出来た。満足だろうよ」
「そうだといいけどな」
電話で御堂には全部話している。
親父との戦いも、霊素の観測装置の進展も、百家でのことも、更に六花と麗星の妊娠も話している。
「「業」との戦いは今後どうなると思う?」
「多分、また日本での戦闘はあるだろう。恐らくはジェヴォーダンの襲撃と妖魔を使った攻撃だな」
「そうか」
「恐らくは東京、そして大都市の大阪も狙われるかもしれない」
「大阪?」
「ああ、向こうにも俺たちの大事な人間がいる。どうも六花が狙われているようなんだが、その妹がいるからな」
「なるほど。それは先日聞いた「光の女王」に関わることだね?」
「そうだ。響子のことらしいんだがな。妖魔の狙いが響子にあると考えている」
「どうしても消したいんだね?」
「そうらしいな。だから響子を守る六花が邪魔らしいんだ」
「今、大阪での防衛システムを建造中なんだよね」
「ああ。まあ表向きは皇紀と風花の愛の巣なんだけどな」
「アハハハハハ!」
二人で笑った。
俺が図面とCGを見せると、御堂は爆笑した。
俺は亜紀ちゃんにコーヒーを頼んだ。
やはり、長く話しそうだった。
二人でコーヒーを飲む。
「でも、俺が最も不安に思っているのは、「業」が開発しているはずのウイルスなんだ」
「チェルノブイリの近くの村で手に入れたというものだね?」
「そうだ。まだそれは使われていない。でも、必ず「業」は使う。俺が読めないということは、相当なヤバいものなはずなんだ」
「そうか」
「ジェヴォーダンも恐ろしいが、妖魔はそれ以上だ。しかし妖魔は既存の軍隊を壊滅させることに目的がある」
「じゃあ、ウイルスは人類そのものを滅ぼすためのものだと石神は考えているんだね」
「ああ。致死性の高いものというだけではない。人間を狂わせて滅ぼすという悪魔のウイルスだ」
「怖いね」
「ただ、ウイルスは始まれば対抗手段が取れる」
「そうだね。ワクチンの開発は出来るよね」
「だからまだ使われていないんだろう。「業」は最悪のタイミングで使って来ると思う」
「分かった。そっちは石神に任せるよ」
「おう!」
御堂にちびトラちゃんの写真を見せたりして笑わせた。
楽しく話していると、亜紀ちゃんが呼びに来た。
「今日はバーベキューかい?」
「よく分かったな!」
「まあ、石神とは長い付き合いだからね」
「流石は御堂だ!」
二人で笑いながら正巳さんを起こし、出掛けた。
ダフニスとクロエが護衛に付く。
「え? ここでやるんじゃないのか?」
「ああ。近くに親友がいてな。ああ! 親友って言っても御堂よりも遙かに下だからな!」
御堂が笑った。
正巳さんも笑う。
「あそこの家だよ」
俺が指さして、二人が立ち止まって呆然としていた。
「ケルン大聖堂を模した家なんだよ。ヘンな奴だろ?」
「「……」」
門を潜り、やはりでかい建物に驚き、その隣にいる巨大ロボットに驚いた。
笑いながら、二人を玄関に入れた。
早乙女と雪野さんが迎えに出てくれた。
俺は互いを紹介する。
「早乙女さん、お会いしたかったです」
「俺もです。石神から散々お話は伺っています」
俺は広い通路を歩きながら、御堂と正巳さんに注意事項を話した。
「この先に、「柱」がいるんだ」
「「?」」
「ちょっと変わった奴だけど、いい奴だから」
「「?」」
「柱」が俺を見つけてカタカタと走って来た。
「「!」」
「よう! 元気そうだな!」
「柱」が俺の肩に小さな手を乗せて上体を縦に揺らす。
元気らしい。
「今日は大親友の御堂とその父上の正巳さんが来たんだ。宜しくな!」
「柱」が顔の横で手を振る。
「石神……」
「じゃあ、上に行こうか!」
早乙女が嬉しそうに笑っていた。
屋上で子どもたちがバーベキューの準備を整えていた。
少し肌寒いが、早乙女がハロゲンヒーターを用意してくれていた。
バーベキュー台を見て、正巳さんが喜ぶ。
早乙女の音頭で、食事を始めた。
最初は正巳さんに焼いて頂いた。
子どもたちが楽しそうに奪い合い、正巳さんを大笑いさせた。
楽しいバーベキューが始まった。
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