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銀座の焼き鳥屋
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六花の懐妊を皇紀と双子にも話した。
えらい大騒ぎで大変だった。
話の内容だけに、俺も強引に納めることが出来ずに困った。
何かよく分からないが、全員で一緒に寝た。
ロボも興奮してなかなか眠らなかった。
翌朝。
朝食の席でまだ子どもたちが騒いでいる。
「タカさん! 早速お祝いをしましょう!」
「いいよ! そういうのはちゃんと子どもが生まれてからだ!」
「「「「「エェー!」」」」」
俺は理由を話した。
「いいか、よく聞いてくれ。懐妊は確かにめでたいことだけど、子どもが途中で流れてしまうこともあるんだ。特に六花は初産だしな。まあ、あいつのことだから心配はしてないんだが、それでも元気に子どもが生まれてからちゃんとしたお祝いをするものなんだ」
みんなから祝われて期待されて、流産してしまうこともある。
特に安定期に入るまでは油断は出来ない。
「栞の場合はほぼ安定期に入りかけていたし、あいつは細心の注意で動いていたしな。だからみんなにも知らせた。まあ、いろいろなタイミング的なこともあったし、栞の希望でもあったからだ」
子どもたちはちゃんと聞いている。
「六花は立場的にも栞とは違う。もう家族は風花だけだし、頼れる人間も俺たちだけだ。だからみんなで助けながら、ちゃんと子どもを生んでから、あらためて祝いたいんだ」
「わかりました!」
「今日は六花と響子と夕食を一緒に食べる。多分、その時に響子にも話すことになりそうだな。六花と話し合ってからだけどな」
「「「「「はい!」」」」」
「あの、風花さんは?」
柳が言った。
「響子の後でな。電話で話そうと思う」
子どもたちがまたワイワイと騒ぎ始めた。
まあ、しばらくは仕方ないだろう。
午後4時に六花から帰ったという連絡が入った。
俺は六花のマンションへ行った。
アヴェンタドールに乗った。
「よう! お帰り!」
「石神先生!」
玄関で六花が抱き着いて来た。
優しく抱き締めてやる。
「みんな驚いていただろう」
「はい! それはもう! 宴会になるんで最初の29日に話したんですが、もうそれから毎日宴会で」
「アハハハハ!」
「もちろん、私はずっとミルクかソフトドリンクで。もうみんなが絶対に飲ませないって言ってくれましたし」
「そうか。でも、たまにならビールを少しくらいはいいんだぞ?」
「はい。でももう多分飲みませんよ」
「それでもいいけどな」」
もう子どもがいる仲間も多い。
「私があまり知らないからって、みんながいろいろ教えてくれました。身体を絶対に冷やしちゃいけないとか、食事はどうするとか」
「そうか。有難いな」
「はい! 最高の連中です!」
俺は笑って六花が淹れてくれた紅茶を飲んだ。
「今日、響子にも話そうかと思うけど、どう思う?」
「そうですね! 響子は早めに話したいですし」
「よし! でも、あいつ泣くかな」
「泣くでしょうね」
「響子が泣くとまたカワイイんだよな!」
「そうですよね!」
今日は銀座の焼き鳥屋を予約してある。
響子の大好きな店だ。
二人で病院の響子の部屋へ向かった。
「タカトラー! 六花! おかえりなさい!」
「よー、ニューヨークは楽しかったな!」
「うん!」
俺と響子で六花にニューヨークとアラスカの話をしてやった。
アラスカで「女子会」があり、やはり一番いい部屋をぶっ壊したと話した。
「アハハハハハハ!」
「とんでもねぇぜ。最高級のカウンターを傷つけるわ、二度と手に入らない国宝級の絨毯を破くわ。何なんだよなぁ」
「凄いですね」
「まあ、六花も響子もとばっちりだったことが証明されたな」
「私は無罪だよ!」
「そうだよなぁ」
元凶が栞なのは明白だ。
「子どもを生んで親になっても直らないことがあるんだな」
二人が笑った。
いい時間になったので、タクシーで銀座に向かう。
俺と六花に挟まれて響子が嬉しそうだった。
数寄屋橋の交差点で降りて、三人で少し歩いた。
正月で、人は多かった。
着物姿もいる。
「私も着物を作ろうかなー」
「おお、いいじゃねぇか! 日本橋に知り合いがいるから、今度行こう」
「私もー!」
「ああ、じゃあ響子も作るか!」
二人が嬉しそうに笑った。
地下の店に入る。
入り口で店員が笑顔で出迎えてくれ、奥の個室のカウンターに案内してくれる。
寿司屋と同じ要領で、注文しながら焼いてくれる席だ。
テーブルチャージで1万円取る。
今日も店長が俺たちの焼きに入ってくれていた。
「じゃあ、今日もお任せのコースで」
「はい! お好きな物もどんどん言って下さい!」
店長が早速焼き始める。
最初は胸肉だった。
響子が最高の笑顔で串を口に持って行く。
「今日も美味しいか?」
「さいこー!」
店長が喜ぶ。
「響子さんはいいですね! もう焼き鳥屋冥利に尽きます!」
「さいこー!」
六花も叫ぶ。
店長が大笑いした。
「六花さんはいつ見てもお綺麗ですね!」
「そうだろう? でもこいつ、いつも自分がヘンな顔だって思ってるんだよ」
「へ?」
「真面目にさ。バタ臭いとか自分で言うんだ。響子のことだって、だから可哀そうだってな」
「そうなの、六花!」
「いいえ! 響子は最高にカワイイです!」
「うん!」
みんなで笑った。
腿肉のネギ間が出て、ナスが出て、響子の好物の銀杏が出た。
俺たちのペースに合わせて焼いてくれる。
店長は俺たちの好みを知っている。
今日はご飯が五平餅で出た。
「正月なんで、ハレのものと思いまして」
「おお! こないだ食べたよ!」
「え、そりゃ被っちゃいましたね」
「いいよ! これは好物なんだ」
焼き鳥のタレで味付けされている。
六花がまた輝く笑顔で食べていた。
響子と笑い合っている。
腿肉、ササミの大葉巻、つくねの卵黄掛け。
響子は一本で、俺と六花は二本ずつもらう。
一通り出して、店長が好きな物を聞いて来る。
響子は銀杏を注文し、俺と六花はそれとネギ間を塩でもらう。
「六花、どんどん頼めよ」
「はい! じゃあシイタケとかありますか?」
「へい! 松茸もありますぜ?」
「あ! そっちで!」
「へい!」
俺も貰った。
ワサビも少し付いて来た。
最後に椀を頼むと、ハマグリの吸い物だった。
俺の好物だ。
デザートにシュークリームとコーヒーを頼んだ。
響子と六花はお茶だ。
店長が外した。
今日は三人で少し話すと言っておいた。
「響子、実はな」
「うん」
いつもと違う雰囲気で響子が少し緊張する。
「あのな、六花が妊娠したんだ」
「エェー!」
驚いている。
「今、二ヶ月なんだよ。だから9月の初めには生まれると思う」
「おめでとー! 六花!」
「俺にも言え!」
「おめでとー! タカトラ!」
二人で響子の頭を撫で回した。
「ありがとうな。響子も喜んでくれるか」
「当たり前だよー! 何か、スゴイ嬉しい!」
「ありがとう、響子」
響子がニコニコしている。
「それでな、響子。栞もそうだったけど、子どもが生まれるとしばらくは仕事を休まなきゃいけなくなる」
「うん」
響子は精一杯で笑顔を作っている。
「六花はギリギリまで響子の傍にいたいと言っている。でも出産から一ヶ月は最低でも休まなきゃいけない」
「うん、分かってる。六花、ゆっくり休んで!」
「ええ、響子。でも一ヶ月したら戻って来るから」
「ダメだよ! 赤ちゃんを大事にして!」
「響子……」
六花が涙を浮かべた。
響子が泣くだろうと言っていた女が、反対に泣かされた。
「響子、院長に話して、六花が子どもを育てながら響子といられるように考えているところなんだ」
「ほんと!」
「ああ。響子の部屋の近くに子どもを置きながらな」
「私の部屋でいいじゃない!」
「まあな。でもこういうことはきちんと分けないとな。六花は響子の専任看護師だ。子育ては別のことだ」
「うーん」
「もちろん、部屋に入れることもあるだろう。だけど、基本は別の部屋だ」
「そうなのかなー」
響子は釈然としない。
一緒にいたいという気持ちも分かる。
「反対にな。子育てのために、六花も時々仕事を休まなければならなくなる。そこは承知しておいてくれ」
「もちろんだよ! 六花、赤ちゃんを大事にして」
「ありがとうございます、響子」
「その代わり、柳にお前のことを頼んでいるんだ。六花がいられない日には、柳が来てくれる。まあ、他の人間になるかもしれないけどな」
「うん! 柳も楽しみ!」
「そうか」
響子も気を遣っている。
「まあ、詳しいことはこれから一緒に話しながら決めて行こう」
「うん!」
俺はタクシーを呼んでもらった。
三人で病院へ帰る。
響子は俺と六花の顔を交互に見て、ニコニコしていた。
「じゃあ、次は私だね!」
「お前、12歳だろう!」
「エヘヘヘヘヘ!」
六花が響子の顔を抱き締めた。
幸せそうな、最高の笑顔だった。
えらい大騒ぎで大変だった。
話の内容だけに、俺も強引に納めることが出来ずに困った。
何かよく分からないが、全員で一緒に寝た。
ロボも興奮してなかなか眠らなかった。
翌朝。
朝食の席でまだ子どもたちが騒いでいる。
「タカさん! 早速お祝いをしましょう!」
「いいよ! そういうのはちゃんと子どもが生まれてからだ!」
「「「「「エェー!」」」」」
俺は理由を話した。
「いいか、よく聞いてくれ。懐妊は確かにめでたいことだけど、子どもが途中で流れてしまうこともあるんだ。特に六花は初産だしな。まあ、あいつのことだから心配はしてないんだが、それでも元気に子どもが生まれてからちゃんとしたお祝いをするものなんだ」
みんなから祝われて期待されて、流産してしまうこともある。
特に安定期に入るまでは油断は出来ない。
「栞の場合はほぼ安定期に入りかけていたし、あいつは細心の注意で動いていたしな。だからみんなにも知らせた。まあ、いろいろなタイミング的なこともあったし、栞の希望でもあったからだ」
子どもたちはちゃんと聞いている。
「六花は立場的にも栞とは違う。もう家族は風花だけだし、頼れる人間も俺たちだけだ。だからみんなで助けながら、ちゃんと子どもを生んでから、あらためて祝いたいんだ」
「わかりました!」
「今日は六花と響子と夕食を一緒に食べる。多分、その時に響子にも話すことになりそうだな。六花と話し合ってからだけどな」
「「「「「はい!」」」」」
「あの、風花さんは?」
柳が言った。
「響子の後でな。電話で話そうと思う」
子どもたちがまたワイワイと騒ぎ始めた。
まあ、しばらくは仕方ないだろう。
午後4時に六花から帰ったという連絡が入った。
俺は六花のマンションへ行った。
アヴェンタドールに乗った。
「よう! お帰り!」
「石神先生!」
玄関で六花が抱き着いて来た。
優しく抱き締めてやる。
「みんな驚いていただろう」
「はい! それはもう! 宴会になるんで最初の29日に話したんですが、もうそれから毎日宴会で」
「アハハハハ!」
「もちろん、私はずっとミルクかソフトドリンクで。もうみんなが絶対に飲ませないって言ってくれましたし」
「そうか。でも、たまにならビールを少しくらいはいいんだぞ?」
「はい。でももう多分飲みませんよ」
「それでもいいけどな」」
もう子どもがいる仲間も多い。
「私があまり知らないからって、みんながいろいろ教えてくれました。身体を絶対に冷やしちゃいけないとか、食事はどうするとか」
「そうか。有難いな」
「はい! 最高の連中です!」
俺は笑って六花が淹れてくれた紅茶を飲んだ。
「今日、響子にも話そうかと思うけど、どう思う?」
「そうですね! 響子は早めに話したいですし」
「よし! でも、あいつ泣くかな」
「泣くでしょうね」
「響子が泣くとまたカワイイんだよな!」
「そうですよね!」
今日は銀座の焼き鳥屋を予約してある。
響子の大好きな店だ。
二人で病院の響子の部屋へ向かった。
「タカトラー! 六花! おかえりなさい!」
「よー、ニューヨークは楽しかったな!」
「うん!」
俺と響子で六花にニューヨークとアラスカの話をしてやった。
アラスカで「女子会」があり、やはり一番いい部屋をぶっ壊したと話した。
「アハハハハハハ!」
「とんでもねぇぜ。最高級のカウンターを傷つけるわ、二度と手に入らない国宝級の絨毯を破くわ。何なんだよなぁ」
「凄いですね」
「まあ、六花も響子もとばっちりだったことが証明されたな」
「私は無罪だよ!」
「そうだよなぁ」
元凶が栞なのは明白だ。
「子どもを生んで親になっても直らないことがあるんだな」
二人が笑った。
いい時間になったので、タクシーで銀座に向かう。
俺と六花に挟まれて響子が嬉しそうだった。
数寄屋橋の交差点で降りて、三人で少し歩いた。
正月で、人は多かった。
着物姿もいる。
「私も着物を作ろうかなー」
「おお、いいじゃねぇか! 日本橋に知り合いがいるから、今度行こう」
「私もー!」
「ああ、じゃあ響子も作るか!」
二人が嬉しそうに笑った。
地下の店に入る。
入り口で店員が笑顔で出迎えてくれ、奥の個室のカウンターに案内してくれる。
寿司屋と同じ要領で、注文しながら焼いてくれる席だ。
テーブルチャージで1万円取る。
今日も店長が俺たちの焼きに入ってくれていた。
「じゃあ、今日もお任せのコースで」
「はい! お好きな物もどんどん言って下さい!」
店長が早速焼き始める。
最初は胸肉だった。
響子が最高の笑顔で串を口に持って行く。
「今日も美味しいか?」
「さいこー!」
店長が喜ぶ。
「響子さんはいいですね! もう焼き鳥屋冥利に尽きます!」
「さいこー!」
六花も叫ぶ。
店長が大笑いした。
「六花さんはいつ見てもお綺麗ですね!」
「そうだろう? でもこいつ、いつも自分がヘンな顔だって思ってるんだよ」
「へ?」
「真面目にさ。バタ臭いとか自分で言うんだ。響子のことだって、だから可哀そうだってな」
「そうなの、六花!」
「いいえ! 響子は最高にカワイイです!」
「うん!」
みんなで笑った。
腿肉のネギ間が出て、ナスが出て、響子の好物の銀杏が出た。
俺たちのペースに合わせて焼いてくれる。
店長は俺たちの好みを知っている。
今日はご飯が五平餅で出た。
「正月なんで、ハレのものと思いまして」
「おお! こないだ食べたよ!」
「え、そりゃ被っちゃいましたね」
「いいよ! これは好物なんだ」
焼き鳥のタレで味付けされている。
六花がまた輝く笑顔で食べていた。
響子と笑い合っている。
腿肉、ササミの大葉巻、つくねの卵黄掛け。
響子は一本で、俺と六花は二本ずつもらう。
一通り出して、店長が好きな物を聞いて来る。
響子は銀杏を注文し、俺と六花はそれとネギ間を塩でもらう。
「六花、どんどん頼めよ」
「はい! じゃあシイタケとかありますか?」
「へい! 松茸もありますぜ?」
「あ! そっちで!」
「へい!」
俺も貰った。
ワサビも少し付いて来た。
最後に椀を頼むと、ハマグリの吸い物だった。
俺の好物だ。
デザートにシュークリームとコーヒーを頼んだ。
響子と六花はお茶だ。
店長が外した。
今日は三人で少し話すと言っておいた。
「響子、実はな」
「うん」
いつもと違う雰囲気で響子が少し緊張する。
「あのな、六花が妊娠したんだ」
「エェー!」
驚いている。
「今、二ヶ月なんだよ。だから9月の初めには生まれると思う」
「おめでとー! 六花!」
「俺にも言え!」
「おめでとー! タカトラ!」
二人で響子の頭を撫で回した。
「ありがとうな。響子も喜んでくれるか」
「当たり前だよー! 何か、スゴイ嬉しい!」
「ありがとう、響子」
響子がニコニコしている。
「それでな、響子。栞もそうだったけど、子どもが生まれるとしばらくは仕事を休まなきゃいけなくなる」
「うん」
響子は精一杯で笑顔を作っている。
「六花はギリギリまで響子の傍にいたいと言っている。でも出産から一ヶ月は最低でも休まなきゃいけない」
「うん、分かってる。六花、ゆっくり休んで!」
「ええ、響子。でも一ヶ月したら戻って来るから」
「ダメだよ! 赤ちゃんを大事にして!」
「響子……」
六花が涙を浮かべた。
響子が泣くだろうと言っていた女が、反対に泣かされた。
「響子、院長に話して、六花が子どもを育てながら響子といられるように考えているところなんだ」
「ほんと!」
「ああ。響子の部屋の近くに子どもを置きながらな」
「私の部屋でいいじゃない!」
「まあな。でもこういうことはきちんと分けないとな。六花は響子の専任看護師だ。子育ては別のことだ」
「うーん」
「もちろん、部屋に入れることもあるだろう。だけど、基本は別の部屋だ」
「そうなのかなー」
響子は釈然としない。
一緒にいたいという気持ちも分かる。
「反対にな。子育てのために、六花も時々仕事を休まなければならなくなる。そこは承知しておいてくれ」
「もちろんだよ! 六花、赤ちゃんを大事にして」
「ありがとうございます、響子」
「その代わり、柳にお前のことを頼んでいるんだ。六花がいられない日には、柳が来てくれる。まあ、他の人間になるかもしれないけどな」
「うん! 柳も楽しみ!」
「そうか」
響子も気を遣っている。
「まあ、詳しいことはこれから一緒に話しながら決めて行こう」
「うん!」
俺はタクシーを呼んでもらった。
三人で病院へ帰る。
響子は俺と六花の顔を交互に見て、ニコニコしていた。
「じゃあ、次は私だね!」
「お前、12歳だろう!」
「エヘヘヘヘヘ!」
六花が響子の顔を抱き締めた。
幸せそうな、最高の笑顔だった。
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