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みんなで遊ぼう!

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 栞と一緒に昼前に帰った。
 栞の歩き方が若干おかしいが、仕方が無い。
 昼食は鷹も帰って来て、全員で食べた。
 子どもたちが鮭の炊き込みご飯を作った。
 それに大量の鶏の唐揚げだ。

 「あの、何かあったんですか?」

 鷹が俺の隣に来て囁いた。
 栞、一江、大森が落ち込んでいる。

 「ああ、またあいつらが「乙女会議」でな」
 「え!」
 「何百億も今回は被害が出た」
 「それは!」
 
 俺は声を大きくして言った。

 「まあ、始末は全部付けた。もう終わってるから、これ以上は暗い顔はしないはずだけどな!」

 一江と大森がハッとして炊き込みご飯を食べ始めた。
 よろしい。

 「じゃあ、午後はみんなで外に出るか! 俺がいいものを見せてやろう」
 
 全員が喜んだ。




 
 三台のハンヴィーに分乗した。
 俺の運転で響子、栞、士王、鷹、一江、大森、ロボ。
 亜紀ちゃんと柳の運転で皇紀、双子。
 椿姫の運転で桜花と睡蓮。

 俺の先導で、何も無い雪の原野を進んだ。
 1時間も走って、広大な場所に出る。
 俺は車を停め、全員で外に出た。
 ザイルを手に持つ。
 マイナス20度の気温だったが、士王の御くるみは特殊な構造で保温性は高い。
 顔には透明なビニールの覆いもある。
 

 「あなた、ここなの?」
 「まあ、場所じゃねぇんだ。ここなら誰にも見られないからな」
 「ん?」

 みんなで車から離れ、平原を進んだ。
 栞が士王をしっかり抱き締めている。
 俺が叫んだ。

 「ワキン! ミミクン!」

 しばらくすると、巨大な極彩色の鷲と数百メートルの足つき蛇が来た。

 「「「「「「「「「!」」」」」」」」」
 「にゃー!」

 双子が特に大騒ぎしている。
 二体の妖魔が俺の前で止まった。

 「おう! 久し振りだな!」
 《お久しぶりです、我が主》
 《また呼んで頂き、光栄の至り》

 俺は全員に、この地を守る守護神だと紹介した。
 全員が震え上がっている。

 「どうした! 挨拶しろ!」
 
 何とか全員が挨拶した。
 こんにちはだの、よろしくだの言った。
 俺は栞から士王を受け取った。
 まず、響子を紹介する。

 「俺のヨメの響子だ!」

 響子に近づく。

 《光の女王、眼前にまみえることをお許し下さい》
 《幾久しく、あなた様のために》

 「ん?」

 続けて士王。

 「こいつは俺の子どもの士王だ! 宜しくな!」

 二体の妖魔が近付き、よく見ようとした。
 栞が咄嗟に反応しそうになるのを、俺が止めた。

 《いい波動だ》
 《好ましい、我に任せよ》

 俺は持って来たザイルで、栞と一江、大森を縛った。

 「あなた、何なの?」
 「「部長!」」

 「夕べ、お前らを基地の外に転がしておけと言ったんだけどな。桜花たちから必死に止められた」
 「「「うん!」」」
 「だからこれから罰を与える」
 「「「え?」」」

 「ワキン! こいつらをしばらく空で遊んでやってくれ!」
 《承知した》

 ワキンが巨大な足で器用にザイルを巻き付け、上昇した。

 「アナタァー!」
 「「ブチョー!」」

 あっという間に見えなくなった。

 「「「「「「「「……」」」」」」」」
 「にゃー……」

 「おし! 俺たちはあっちだ! ミミクン! 俺たちを乗せてくれ!」
 《委細承知》

 俺は士王と響子を抱えて巨大なミミクンの背に乗った。
 子どもたちや桜花たちは躊躇していたが、俺が手招くので全員上がった。
 ミミクンに適当に走るように言う。
 ドスンドスンと地響きを立てながら、結構なスピードで走った。
 足のリズムと移動速度が合わない。
 流石は神獣だ。

 最初は脅えていた連中も、次第に楽しみ始めた。
 こんな体験は滅多に出来ない。
 まあ、普通はあり得ないだろう。
 
 「どこか、綺麗な場所は無いか?」
 《委細承知》

 数十キロも進み、ミミクンは大氷河の場所へ連れて行ってくれた。

 「おお! これは美しいな!」
 
 俺が士王の顔のフードを上げると、士王が目を丸くして景色を見ていた。
 こいつには、どのように映っているのだろうか。
 子どもたちも目を瞠って景色を眺めた。
 ロボは普通だ。
 
 「響子、綺麗だな」
 「うん!」
 「ここもお前の土地だ」
 「分かった!」


 


 俺たちはまた元の場所に戻り、みんなで紅茶を飲んだ。
 士王は温かいスープだ。
 響子と士王は暖房の入った車の中へ入れる。
 
 「タカさん」
 
 亜紀ちゃんが俺に言う。

 「あんだよ?」
 「あの、そろそろ栞さんたちを」
 「ああ!」
 「……」

 俺はワキンを呼んだ。
 吊るされた三人はゲッソリしていた。

 「おう! お帰り!」
 「「「……」」」
 「楽しかった?」
 「「「……」」」

 俺はザイルを解いた。
 子どもたちに、希望を聞いたが誰もワキンと行きたいと言わなかったので、ワキンを返した。

 帰ろうと言うと、何故か栞と一江と大森が一緒に乗りたがらなかった。
 桜花たちの車に乗せる。
 替わりに双子が俺のハンヴィーに乗り込んだ。

 「タカさん! あれはスゴイね!」
 「あんな神獣が味方なんだね!」
 「そうだ。どうだ、頼りになりそうか?」
 「十分だよ!」
 「アラスカは絶対大丈夫!」
 「そうか!」

 俺は双子に頭を寄越せと言い、激しく撫でてやった。

 「あ!」

 俺は思い出して車を停めた。
 後ろの二台も停まる。

 ロボを外に出して、「ばーん」をさせた。
 ロボが喜んでやった。
 みんなで褒め称え、ロボがジルバを踊った。

 「おし! これで本当に帰るぞ!」






 栞たちがゾンビのような顔で俺を見ていた。
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