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クリスマスとプレゼント

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 鷹はすぐにキッチンに入り、子どもたちの中心となって料理を作り始める。
 流石は大きな料亭の娘で、料理長としての能力も高い。
 幼い頃から散々見て来たせいだろう。

 響子と六花はロボと遊んでいる。
 六花がロボのおもちゃ箱から、フワフワのネズミのぬいぐるみを出した。
 床で手で持って動かす。

 「ロボー、ネズミだぞー」

 ロボがハンティング・モードになって、お尻をフリフリする。
 カワイイ。
 ロボが突撃し、ネズミに襲い掛かる。
 六花がサッと持ち上げて攻撃をかわす。

 「ワハハハハハ!」

 怒ったロボが六花の顔面に飛び付いた。

 《ぷぅー》

 「てめぇ!」

 逃げるロボを六花が追いかけた。

 「……」

 部屋の隅まで追い込み、六花が「ガハハハハ」と笑った。

 「やかましい! 埃を立てるんじゃねぇ!」
 「ロボ、怒られてしまいました。一緒にテレビを見ましょう」

 響子と三人でソファに座り、テレビを観始めた。
 本当に仲がいい。
 ロボと六花は片づけないので、俺がネズミのおもちゃを仕舞った。
 俺は早乙女と雪野さんとテーブルで話した。
 怜花は俺が用意した揺り籠で眠っていた。
 時々、みんなが覗いている。

 


 6時頃に食事の準備が終わった。

 鯛の幽庵焼き。
 山形牛の味噌だれ。
 東京丸鶏ローストチキン。
 伊勢海老の奉書焼き。。
 ホタテのバター醤油。
 米ナスのチーズかけ。
 湯豆腐鍋。
 各種御造り。
 根菜の煮物。
 メイクイーンのそぼろかけ。
 キノコとアスパラベーコンの焼き野菜サラダ。
 布海苔とハマグリの吸い物。
 そして鷹特製絶品ふりかけ。

 大量の米を消費するために、鷹が美味いふりかけを作ってくれた。
 タラコと海苔と青唐辛子をベースにした逸品だ。
 ご飯が幾らでも進む。
 双子が作り方を熱心に教わった。

 みんなで料理の仕上がりに感動しながら食べた。

 「やっぱり火の通し方と味付けの繊細さだよなぁ」
 「奉書焼きって初めてです! 美味しいですね!」
 「吸い物がたまらないですよー!」
 「ステーキって焼くだけじゃないんだね!」
 「今日はサラダも美味しいよ!」
 「米ナスから美味しい汁が!」
 「タカトラー!」
 「ギョヴァンガズズミヴァズ!」
 「石神! いつもここは美味いな!」
 「本当に美味しいです」

 それぞれに鷹を褒め称える。
 鍋も湯豆腐なので戦争はない。
 久し振りに全員がじっくりと味わって食べた。
 鷹の奇跡だ。

 食後にコーヒーを淹れ、ケーキを切った。
 響子にみんなでプレゼントを渡す。

 亜紀ちゃんと柳、皇紀、双子で、顕さんのCGの俺と響子の家の模型を。
 50センチくらいの庭付きのものだが、結構本格的だ。
 リモコンがあり、各部屋の灯が点く。
 虎の家の屋根も可動だ。
 もちろんトラの模型もある。
 響子が狂喜した。

 「スゴイよー!」
 「良かったな」

 みんなで笑った。
 鷹はエルメスの毛皮の手袋を。
 スペシャルオーダー品で、豹の毛皮のものだ。
 指先まで毛があり、小さな爪までついている。

 「なにこれー!」

 響子がまた狂喜した。
 六花が自信満々でオッパイシリコンを出した。

 「あにこれ?」
 「私のオッパイです」
 「へー」
 「これでいつでも触れますよ?」
 「うん」

 響子がポフポフする。

 「アハハハハ!」

 六花が持ち上げて、取り付けたベルトで響子の胸に装着してやる。
 全員で爆笑した。
 響子も喜んだ。
 六花は別な包みを開け、ブラジャーを付けた。

 「これで響子も巨乳だな!」
 「うん!」

 まあ、まだ響子は大きくなるのだろうが。
 亜紀ちゃんと柳、双子が部屋の隅に六花を連れて行き、自分たちのも作れと言っていた。
 後ろから皇紀も欲しいと言って、蹴り飛ばされていた。

 俺は自分の部屋から皿を持って来た。
 直径45センチの大皿だ。
 俺が描いた響子の顔がある。
 薄い水色で描いてある。
 白磁の皿で、外周に小さな青い点を打った。

 「タカトラ!」
 「知り合いの工房で焼いてもらったんだ」
 「素敵!」
 「そうか」
 
 響子が喜んだ。
 六花に、明日からこれで食事をすると熱弁していた。

 「まあ、どんどん使ってくれよ」
 「うん!」

 皿の響子は少し横を向いて、優しく微笑んでいる。

 「実は全員の分があるんだ。今日は響子のクリスマスだから、明日以降にな」
 「「「「「「「わーい!」」」」」」」
 「ロボの分もあるぞ」
 「にゃー!」

 早乙女夫妻はバカラのチェス・セットをプレゼントした。
 
 「なにこれー!」

 響子が一層狂喜した。
 バカラが創立250年を記念して作ったものだ。

 「高いものじゃないんですか?」

 柳がまた空気を読まないで言う。

 「まあ、石神のせいでお金は一杯あるからね」
 「タカトラはマイセンのもっと高いの持ってるよね?」
 「ああ、前に一度それでやったな」
 「あのイヤラシイやつ」

 双子がそれを聞いて見たいと言った。
 俺は部屋からケースを持って来て見せた。
 神と悪魔に分かれているデザインだ。

 「あ! オチンチン握ってるよ!」
 「そういう見方をするんじゃねぇ!」

 みんなが笑った。

 「世の中にはなぁ、何をトチ狂ったか、自分のオッパイを型取してプレゼントする変態もいるんだ」
 「あれは石神先生がぁー!」

 みんなで爆笑した。





 ロボが自分のおもちゃ箱から、金色に輝くカナブンを咥えて来て響子の前に置いた。

 「ロボも! ありがとー!」

 響子が喜んで頭を撫でる。
 
 「おい」
 
 亜紀ちゃんの腕を肘でつついた。

 「あんなのあったか?」
 「さー」

 体長30ミリほど。
 よく見せてくれと響子から預かると、首の付け根に小さな穴が空いていた。
 足が8本ある。
 アッチ系の獲物だ。
 俺はケースを作ってやると言い、響子から預かった。

 みんなに気付かれないように、亜紀ちゃんにロボのおもちゃ箱を確認しておくように言った。





 他に3匹、アッチ系の死骸があった。
 あいつ、いつの間に……
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