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挿話: ちびトラちゃん Ⅲ

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 一時間くらい眠ってしまったようだった。
 目が覚めると、隣でルーとハーが一緒に寝ている。
 ロボもいる。
 ソファの背に乗り、俺の首筋を温めてくれていた。

 俺はそっと立ち上がった。

 「「部長!」」

 一江と大森が来ていた。

 「おう、来てたのか」
 「声が!」
 「そりゃ、七歳だからな!」
 
 一瞬キョトンとしていたが、二人が笑った。

 「大丈夫そうですね」
 「そんなわけあるか!」

 俺はリヴィングのテーブルに座り、亜紀ちゃんにコーヒーを淹れてくれと言った。
 
 「大丈夫ですか?」
 「平気だ!」

 苦かったので、ミルクと砂糖をたっぷり入れた。


 

 俺は一江と大森に、今朝起きたら突然身体が子どもになっていたと話した。

 「筋力も体力も、七歳児だ。一応「花岡」は或る程度使えるようだけどな」
 「部長!」
 
 大森が言った。

 「あんだよ?」
 「あの、頭を撫でてもいいですか?」
 「おう!」

 こいつらも相当ショックを受けているはずだ。
 精神的な動揺を鎮めなければならない。

 「カワイー!」
 「……」
 「部長って、子どもの頃は女の子みたいだったんですね!」
 「そうだよ。ちょっといい思い出じゃねぇけどな」
 「そんな! カワイイですよ!」
 「この頃まで、よく女の子に間違えられてなぁ。トイレなんかもギョッとされたりした」
 「アハハハハハ!」

 亜紀ちゃんも寄って来て俺の頭を撫でた。

 「じゃあ、タカさんがすぐにオチンチンを出すのって、その反動だったんですかね」
 「ああ!」

 自分でも気づかなかった。
 まあ、分らんが。

 「一江さんと大森さん、さっき来て下さったんですけど、ちびトラちゃんが寝てたんで」
 「おい! その呼び方はやめろ!」
 「お二人ともカワイイ寝顔だったんで、しばらく寝かせましょうって」
 「起こせ!」

 「本当に天使みたいでしたよ?」
 「やめろってぇ」

 俺は本題に入った。

 「それでよ、どうしたってしばらくは仕事に出れない」
 「そりゃそうですよね」
 「まあ、やってできねぇことはないんだろうけどな」
 「オペですか?」
 「そうだよ」

 一江と大森が顔を見合わせる。

 「無理ですよ。子どもがメス持ったら患者さんが大騒ぎです」
 「そうかな」
 
 俺はやりたい。

 「とにかく、早急に対処法を見つけねぇとな。もちろん元に戻すことがいいんだが、出来なきゃこの身体でどうすんのか」
 「ちびトラちゃん、その身体でもやるつもりなんですね」
 「もちろんだ! 手足がぶっ千切れても、息をしてる限り、俺はやるぞ」

 亜紀ちゃんが泣きそうな顔になった。
 一江と大森も涙を浮かべている。

 四人で相談し、麗星と蓮花には知らせることにした。
 霊的に何か方法が無いか、また生化学的などの方法だ。

 ルーが麗星に連絡し、皇紀が蓮花に連絡した。

 「とにかく、石神様の全身の御姿を御送り下さい」
 「え?」
 「必要なのです。正面、両側面、背面。それに特に股間を詳細に」
 「え?」
 「股間が最も重要なのです!」
 「分かった」

 麗星がそう言ったということで、俺は全裸の写真を撮られた。
 亜紀ちゃんと大森が、股間のアップを何枚も撮った。

 「私が持ち上げてますから」
 「うん!」

 「……」

 お尻の穴も開いて撮られた。

 「とにかく、一度こちらへいらして下さい」
 「分かりました」
 「その前に、いろいろ調べたいので、全身の画像を」
 「はい?」
 「お願いします」

 蓮花も全身が必要だと言うので、股間のアップも含めて皇紀が送った。




 一江が、鷹と六花、それに響子には知らせておいた方がいいと言った。

 「前みたいに死にそうなわけじゃないんで、元気な顔を取り敢えず見せておいた方が」
 「そうだなぁ」
 「何日病院へ来れないか分からないじゃないですか。心配させないようにしましょう」
 「分かった。ああ、一度オペ台に立ってみるからな!」
 「もう」

 柳の運転で、俺、亜紀ちゃん、一江、大森が乗り込んで病院へ行った。

 「おい! だから車間距離をもっと取れって!」
 「はいはい」
 「今、ウインカー出さないで車線変更したろう!」
 「はいはい」

 いつものように助手席でダメ出しをすると、柳は笑って俺の頭をポンポンした。
 このやろう。

 「もういい! 俺が運転する!」
 「「「「やめろ!」」」」

 このやろう。

 

 六花と鷹も呼んでおいた。
 響子の病室で待ち合わせる。
 
 先に俺たちで向かった。
 響子にはまだ話していない。

 「こんにちはー!」
 「アキ! みんなもどうしたの?」
 「ちょっとね、お話があって」
 「その子は?」
 「この子はねー」

 響子が亜紀ちゃんを手で制した。

 「そ、そんな! まさか!」
 「響子ちゃん?」
 「タカトラなの!」

 「よー!」

 響子が俺に駆け寄った。
 抱き締めて泣く。

 「タカトラ! どうしちゃったの!」
 「まあ、俺にもよく分からないんだ。でもよく分かったな」
 「だって! タカトラだもん!」
 「そうか」

 響子の涙が俺の頭に落ちる。
 響子は身長173センチ、俺は125センチだ。
 俺は響子の腰に抱き着き、しばらくそうやっていた。

 響子が落ち着き、ベッドに座らせる。
 俺は亜紀ちゃんが持って来た六花クッションの椅子に座った。
 座面が高いので、亜紀ちゃんが持ち上げてくれた。

 その間に、六花と鷹も入って来る。

 「カワイイー!」
 「石神先生!」

 六花が俺を抱き締め、鷹も俺の背を抱き締めてくれる。

 「石神先生、大丈夫なんですか?」
 「ああ、鷹、心配掛けたな」
 「そんな。でもどうして突然」
 「分からねぇ。まあ、そのうち戻るだろう」
 「……」

 俺が強がりを言っていることは分かっている。
 六花はずっと俺の顔を舐めたりキスをしている。

 「ほんとにカワイイ!」
 「おう、もうよせって」

 抱き締められ、豊満な胸に顔が埋まった。
 エヘヘヘヘ。

 「ちょっと落ち着け。これからどうすんのか話し合うんだからよ」
 「はーい」

 俺を膝の上に乗せて抱き締めたまま六花が応える。

 



 「取り敢えず、俺は響子の見舞客の態で毎日病院に来る。院長や他の部下たちにはまだナイショだ。一江と大森は、ここで俺に指示を仰いでくれ」
 「「はい!」」
 「オペはまあ、無理かな。おい、六花! いい加減に離れろ!」
 「はーい」

 離れねぇ。

 「方針が決まり次第、麗星さんか蓮花の研究所へ行く。成長ホルモンなりで、どうにかなるかもしれん」
 「え、すぐに戻るんですか?」
 「分からんよ、六花。でもそうしたいのはやまやまだけどな」

 六花の目が光った。
 次の瞬間、俺は攫われていた。
 俺の力は7歳児だ。
 抵抗することは出来なかった。

 疾風のように走り出し、他の連中は呆気に取られていた。
 俺は六花のマンションに連れ込まれ、ベッドで全裸にされた。
 全身が舐められ、オチンチンがふやける程舐められた。

 「あー! 石神先生!」
 「落ち着け! 六花!」

 お尻の穴まで舐められた。

 「美味しいですー!」
 「お前! ふざけんな!」

 六花が俺の顔に跨り、自分の股間を押し付けて来る。
 ビショビショだ。
 亜紀ちゃんと柳が飛び込んでくる。
 
 「六花さん!」
 
 二人で六花を引き剥がし、俺はグッタリした。
 まあ、気持ち良かったが。
 




 再び響子の病室に戻った。
 六花が響子に叱られる。

 

 
 
 俺が無理矢理言って、念のためオペ室に入った。

 「……」

 全然高くて届かなかった。

 「ちびトラちゃん、またおっきくなってからね」

 一江が俺の頭を撫でた。
 尻に蹴りを入れた。

 「イタイ!」

 鷹が抱き上げてくれ、上からオペ台を見せてくれた。
 嬉しくて鷹のオッパイを揉んだ。

 「もう」

 鷹が嬉しそうに笑ってくれた。
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