上 下
1,341 / 2,806

挿話: ちびトラちゃん

しおりを挟む
 11月下旬の日曜日の朝。
 いつものように双子に起こされた。

 「タカさーん! ごはんですよー!」
 「タカさーん! 大好きですよー!」

 カワイイ。
 俺は目を開き、いつものように双子を抱き締めパンツを降ろしてやろうと思った。
 二人が来ない。
 俺をじっと見ている。

 「誰!!」
 「タカさんは!」

 二人が構えている。

 「おい!」

 俺はそう声を出して異常に気付いた。
 声が高い。
 
 「!」

 俺は自分の身体が変わってしまったことを知った。
 小さい。
 ニャンコ柄パジャマがブカブカだ。
 
 「なんだ!」

 ロボが俺の顔を舐めた。
 最近教えた「チュー」をして来る。
 いつものことだ。

 「え! タカさんなの!」
 「どうしたの!」

 双子が「見た」らしい。
 俺の魂のままだと分かってくれたようだ。

 「分からねぇ。起きたらこうなってた」
 「「!」」

 俺にも何が何だかわからん。

 「「タカさーん!」」

 二人が駆け寄って俺を抱き締めてくれた。
 俺よりもずっと大きい。
 顔に当たるほんのりオッパイが嬉しい。

 「待て! 取り敢えず落ち着こう。まず現実を受け入れないとな」
 「タカさん、身体は大丈夫?」
 「ああ、痛みもだるさもない。命に別状は無さそうだ」
 「攻撃?」
 「分からん。でも、こんなことを出来るくらいなら、殺すことも簡単だっただろう」
 「そっかー」
 「まあ、まずはご飯かな?」
 「そうだな」

 三人で下に降りた。
 ロボも付いて来る。
 先にハーが駆け降り、状況を話す。






 「タカさん!」
 「どうしたんですか!」
 「え! 石神さん?」

 亜紀ちゃんと皇紀、柳が驚く。
 まあ、そりゃそうだろう。

 「おう、まあ突然にな」
 「カワイイー!」

 亜紀ちゃんが俺を抱き締める。
 パンツもブカブカなので、下が脱げてしまった。

 「あ! オチンチンもカワイイ!」
 「おい!」

 柳がまじまじと見ている。
 俺は亜紀ちゃんを引き離し、食事をくれと言った。
 亜紀ちゃんがキッチンで急いで俺の食事を作る。
 
 オムライスだった。
 
 「おい!」
 
 上に旗が付いていた。

 「響子ちゃんが前に使ったものがあったんで」
 「俺は子どもじゃねぇ! それにもっと喰わせろ!」

 小さな茶碗一杯もない。
 お子様ランチのサイズだ。

 「大丈夫ですか?」
 
 取り敢えず食べた。
 目玉焼きとウインナーを食べるとお腹いっぱいになった。

 「あぁー」

 コーヒーは辞めろと言われ、ホットミルク(甘)が出て俺は嘆いた。 


 
 

 食後に身長と体重を計った。
 見た目は小学一年生頃くらいか。
 身長125センチ、体重29キロ。
 俺は大柄だったので、身長は高めだ。
 体重も筋肉質で悪くはない。

 「オチンチン13センチ」

 亜紀ちゃんが勝手に測定していた。
 まあ、悪くはない。
 俺は肩幅、バスト、ウエスト、ヒップ、袖丈、股下などを測定させ、急いで服を買って来いと言った。

 「ブリオーニでありますかね?」
 「あるわけねぇだろう!」

 亜紀ちゃんと柳が伊勢丹へ行った。
 皇紀は急いで家の防衛システムに俺の登録をした。
 俺は「虎王」を持って庭に出た。

 重さはあるが、持てないことはない。
 両手に握り、振ってみた。
 分かる。
 俺には「虎王」が使える。

 これで最悪の事態ではないと悟った。
 子どもたちを守ることが出来る。

 「花岡」も使えそうだ。
 威力は格段に落ちているが。
 双子が一緒に付いて、心配そうに見ていた。

 「タカさん、無理しないでね」
 「オチンチン見えてるしね」

 ズボンとパンツが下がるので、裸でやってた。
 寒いので中へ入った。




 ルーがミルクティ(甘)を淹れてくれた。
 俺はソファで毛布にくるまっている。
 ロボが嬉しそうに毛布に潜り込んで来た。

 「タカさん、落ち込んでる?」
 「いや、そうでもないな。戦えることも分かったしな」
 「ダメだよ! 私たちがいるから!」
 「そうだよ! とにかく今は大人しくして!」
 
 二人に怒られた。

 「まあ、当座はな。でも、いろいろとどうしようかなぁ」
 「他の人には何て言おうか」
 「それはそのまま話すしかねぇな」
 「えーと、一江さんと大森さんたち、六花ちゃん、響子ちゃん、院長先生も?」
 「うーん、しょうがねぇよな」
 「栞さんには?」
 「今は黙っておこう。今は仕事関係だけでな。突然行ったら驚くだろう」
 
 栞は怖い。

 「え! 明日仕事へ行くの!」
 「当たり前だ! いろいろ指示しなきゃいかんしな」
 「うーん、じゃあ一江さんたちは呼んでおこうか」
 「そうだな、頼む」

 ハーが一江に電話した。






 昼前に亜紀ちゃんと柳が戻って来た。
 アルファードに俺の服が目一杯入っている。

 「午後にまた行きますから」
 「おい、そんなにいらないぞ」
 「いえ! ブリオーニとダンヒルにサイズは渡してますから、来週中にはシャツとかスーツも出来ますからね」
 「うーん」
 「イージーオーダーですけどね。それまでは、今日買って来たもので我慢して下さい」
 「分かったよ」

 亜紀ちゃんたちが買って来た洋服をリヴィングに拡げた。
 子ども用のスーツもある。
 俺の好みはどうしようもない。
 今はサイズ優先だ。
 通勤で使えそうなスーツなどの他、それ以外で着る物も多い。
 セーターにジーンズなどもある。
 下着も十分だ。

 「おい!」
 
 女の子用のワンピースやスカートもあった。

 「タカさん、カワイイじゃないですか!」
 「石神さんって、女の子みたいな顔ですよね!」

 「ふざけんなぁ!」

 ウィッグもあった。





 着てみたら、結構可愛かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、

ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、 私のおにいちゃんは↓ 泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

新婚の嫁のクリトリスを弄り倒す旦那の話

おりん
恋愛
時代背景その他諸々深く考え無い人向け。 続かないはずの単発話でしたが、思っていたより読んでいただけたので小話を追加しました。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...