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蓮花研究所の夜

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 ミユキたちブランと楽しく話した。
 最後に目覚めた五人に、俺は天使の名を与えた。
 
 熾天、智天、座天、力天、権天。

 話をしても、違和感は無い。
 知性はむしろブランたちの中でも最も優秀かもしれない。
 大脳の多くを喪い、小脳や間脳まで障害があったのにも拘わらずだ。
 ロボも不思議な「再構築」の能力が、一体どのような影響を与えたのか。
 もちろん、俺の思いなどは悟らせない。
 ブランたちは、子どもたちと楽しく話していた。
 
 やるとは思ったが。

 「じゃあ! 再会の「ヒモダンス」! やるよ!」

 亜紀ちゃんが号令をかけ、前に集まってやった。

 《ヒモ! ヒモ! タンポンポポポン!……》

 最初は呆然としていたブランたちも、自分たちのために踊っていることが分かり、手拍子を始め、何人かは前に出て一緒に踊った。
 やがて全員がその場で踊る。

 子どもたちは一人ずつと握手をし、部屋を出た。

 「じゃあ、タカさん! みんなでお風呂に入ってから飲み会ですね!」
 「いつも通りだな!」
 「はい!」

 皇紀は目隠しされ、双子に全身を洗われた。
 思わず反応していたが、みんな黙って笑って見ていた。

 


 風呂から上がり、先に飲んでいた一江たちと合流する。
 蓮花も一緒だった。
 蓮花は俺たちを見て、肴を追加しようとしたが、俺が子どもたちにやらせた。
 先にロボのササミを焼かせる。

 「御二人から、石神様のことを伺っておりました」
 「優し過ぎてコワイって言ってたろ?」
 「はい!」

 三人が笑った。

 「でも、本当に怖いのはこいつらでなぁ。「女子会」なんて、いつも地獄だったよな?」
 「部長!」

 俺は地獄の女子会の話を蓮花にした。
 蓮花が爆笑していた。

 「酔って戻すというのはまだ理解の範疇だけどな。部屋中をウンコ塗れにしたり、店で火事を起こしたり、ヤクザが半殺しになったりなぁ。最大は国道246のテロか」
 「あれは、もう!」
 「まあ、うちの双子が悪かったけどな。でも大体の元凶は栞だったよな?」
 「「そうです!」」

 蓮花がまた大笑いした。

 「あいつの酒癖っていうか、嫉妬深さがなぁ」
 「あの、女子会じゃないですけど、部長が病気になった時!」
 「おお! クロピョンに殺されかけた時な!」

 俺は蓮花に、クロピョンの試練を詳しく話した。

 「まあ、俺もちょっと怖くてよ。栞に話すのを先延ばしにしてたんだよな」
 「そうですよ! そのせいで私がとんでもない目に遭ったんですから!」
 「指を折られて耳を焼かれて顔を骨折したんだよな?」
 「そうです!」
 「まだ顔の骨折は治ってねぇんだよな?」
 「治ってますよ!」

 子どもたちが丁度つまみを運んで来た。
 亜紀ちゃんが一緒に「栞襲来」の話に加わる。

 「タカさんが凄かったんですよ! 怒り心頭の栞さんを、口先で言いくるめちゃって!」
 
 皇紀も加わる。

 「わざと倒れて、「今行くから待ってろ!」って! 騙してるのを知ってても感動しました!」

 みんなが笑う。

 「まあ、みんな必死だったよな! 俺の家が吹っ飛んでもおかしくなかったしよ」
 「そうですよねぇ」
 「栞に子どもを生ませたのって、もしかしたらあの嫉妬が怖かったせいかもな!」
 「栞さん、怒りますよ?」
 「だってよ!」
 
 みんなでまた笑った。

 「でも、士王ちゃん、カワイイですよね!」
 「おう!」
 「わたくしも、明日が楽しみです」
 
 蓮花が言い、一江と大森も同様に言った。

 「ロックハートとは一悶着ありましたけどね。結局、なるようになりましたねぇ」
 「そうだな。今思えば俺たちもいろいろ頑張ったよなぁ」
 「一江の頑張りで部長が死に掛けましたけどね」
 「おお、そうだ! こいつとんでもねぇんだよ」

 俺は一江がネットで俺の動画を拡散し、宇留間に殺されかけた話をした。

 「そう言えばよ、今の「業」との因縁も、お前のせいじゃねぇのか?」
 「とんでもないですよ! 部長ご自身の問題でしょう!」
 「そうかぁ?」
 「勘弁して下さい! もしも私のせいだったら、人類の危機ってことじゃないですかぁ!」
 「お前ってとんでもねぇんだよな」
 「本当に勘弁して下さい!」
 「「武神」とか全部やるからさ。後はお前に任せていい?」
 「ぶちょぉー!」

 みんなで笑った。
 夜遅くまで楽しく飲んだ。




 俺は蓮花と一緒にもう一度風呂に入った。
 二人でゆっくりと愛し合う。

 「石神様」
 「なんだ?」
 「今日は自分の部屋で休みますので」
 「あ?」

 「先日は石神様と一緒に眠ってしまい、大変な恥を掻きましたゆえ」
 「なんだ、お前気にしてたのか!」
 
 俺が笑うと、蓮花が拗ねた。

 「女として、大事なことでございます」

 蓮花が気絶し、目覚ましも無い俺の部屋で蓮花が寝坊した。

 「お前が気をしっかりと持ってりゃいいんだよ」
 「石神様が相手では無理でございます」
 「じゃあ、今日はその手前で勘弁してやる」
 「石神様! お願いでございます!」

 俺は蓮花をもう一度攻め、蓮花はちょっとフラつきながら風呂を出て行った。




 俺は持って来た刀の中から「常世渡理」を持って、庭で軽く演武した。
 
 俺はその時、自分が見られているとはまったく気付かなかった。
 恐ろしく気配を消すことに手練れた相手であったことに加え、殺気が少しも無かったせいだろう。

 俺は30分程もそうして舞い、「常世渡理」を鞘に納めて中へ入った。
 ロボがベッドで待っていた。

 「明日はまた士王に会えるぞー」
 「にゃー」

 ロボも嬉しそうだった。
 ロボは俺の枕元に丸くなった。
 寒がりのネコなので、布団を開けてやると、半身を潜らせた。
 一度頭から中へ入り、ぐるっと回って顔と上半身を出す。
 カワイイ顔にキスをし、俺は眠った。
 
 耳元で、ロボの小さな寝息がした。
 それを聞きながら、ぐっすりと眠った。

 蓮花研究所の夜が更けて行った。
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