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別荘の日々 XⅠ
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響子が起きて来た。
みんなでお茶にし、いちご大福を食べた。
「あれ、パンプキンプリンは?」
六花が言った。
「すぐには出来ねぇよ!」
「はい」
楽しみらしい。
六花が響子にも話し、二人でニコニコしている。
しょうがねぇ、作るか。
お茶の後、響子と六花は電動移動車で遊んだ。
ロボが付き合い、二人で鬼ごっこをしている。
柳は対妖魔の「花岡」技の探求。
亜紀ちゃんは食材管理の後で昼寝(俺のベッド)。
皇紀と双子は、また防衛システムや様々な計画の打ち合わせ。
俺は麗星に電話をした。
「石神様!」
「お元気ですか?」
「はい! それはもう! 石神様の御声が聴けて、今が絶好調です!」
「アハハハハ!」
楽しい人だ。
「ところで、前に聞いた『週刊特ダネ妖怪』なんですが、解読はどうです?」
「あれでございますか。一江様のご協力で、毎週データを送って頂いております。そのデータから、わたくし共でも解読の方策を今まとめているところでございます」
「そうですか!」
要は、一江が解読した文字を参考にして、自分たちでも解読を進めようとしているということだ。
「今どのくらい進みました?」
「そうですね。3割といったところでしょうか」
順調だ。
「ところで、今日は別件のお話があるんですが」
「とにかく、そちらへ参りますので!」
「いえ、それほどのことでは。俺の方が今度お邪魔するつもりでいますけど」
「本当でございますかぁ!」
何とか押し掛けられるのは避けられそうだ。
「はい。その折にはよろしくお願いします。それでですね、前にアラスカで麗星さんが羅盤のようなものを見せてくれたじゃないですか」
「ああ! 定価で御弁償いただいた!」
「はい。それで、前にもご相談した「霊素」の観測に、あの羅盤の機構が応用できないものかと思い立ちまして」
「なんですって!」
「あの羅盤は未知のエネルギーを感知するんですよね? でしたら」
「それは盲点でございました! 確かに、あれとは別なものですが、あやかしを探知する道具がございます!」
「そうですか!」
「「一江盤」と申すものでございます」
「……」
「何でも、江戸時代の頃ですが、徳川幕府のたっての願いで当時の当主が創ったらしく。開発のために派遣された人間の名前を冠したものです。町人のようでしたが、元はお武家だったそうで」
「そうですか」
「熱心に開発を手伝われたそうで。当時の当主が感激して、そのような名を」
「いえ、名前はどうでもいいですが。それは今も道間家で?」
「はい。幾つかございます。今も使っておりますのよ?」
「良かった!」
「石神様のお役に立てて嬉しゅうございます」
「俺も嬉しいですよ、麗星さん!」
「愛しております」
「俺もです!」
言っといた。
電話を切った。
これで、妖子の日記は抹消出来るぜ。
俺は六花を読んで、パンプキンプリンを手伝わせた。
響子が興味深そうに見ている。
「座って見てろ」
立ってると疲れさせる。
「結構疲れますね」
六花には卵、卵黄、三温糖、バニラオイルを混ぜさせている。
「お前が俺にやらせようとしたことだぁ!」
「後でしっかり癒しましょうね」
双子が「ギャハハハハ」と笑った。
俺は「お前らも来い!」と言った。
双子にも手伝わせる。
「タカさん、なんで急にパンプキンプリンを?」
「さっき六花と買い物に行ってな。こいつがレイの好物だったと思い出したんだ」
「「!」」
双子が無言でやり始めた。
皇紀も来て手伝い始めた。
1時間くらいで全部の行程を終え、後は冷やすのみとなった。
「つくったよー!」
「おいしいよー!」
双子が誰もいない空間に向かって叫んでいた。
片づけを任せ、俺は少し寝ようとした。
ベッドに亜紀ちゃんが転がっていた。
幸せそうに寝ている。
響子とロボも来た。
「すごいな」
「すごいね」
また、亜紀ちゃんの長い髪がベッド全体に拡がっている。
不思議だ。
俺は亜紀ちゃんの髪を持ち上げ、寝る場所を作った。
響子とロボも来る。
亜紀ちゃんが転がって、俺の上に乗って来た。
響子が面白がって見ている。
ロボも見ている。
「タカさーん、ほらー、私たちの子どもですよー」
亜紀ちゃんが夢を見ている。
響子と顔を見合わせた。
「かわいーですねー」
ベッドから押して落した。
「イタタタ。あれ?」
響子と寝たフリをした。
響子が笑っている。
「なんだ?」
亜紀ちゃんがベッドに乗って来る。
「タカさんだ」
俺の額を撫で上げる。
そのまま起きて部屋を出て行った。
響子が身体を振るわせて声を出さずに笑っていた。
眠気が覚めたので、響子に早乙女の新居の画像を見せてやる。
響子が驚き、感動していた。
「きれい……」
「そうだろ? 心が綺麗な二人だからな。清澄な邸宅にしたんだ」
「ちょっとやり過ぎだけどね」
「アハハハハハ!」
早乙女にも渡しているが、内部を人間の視点で回れるようになっている。
響子に様々な部屋を案内していく。
塔の最上階の部屋に、響子はまた感動した。
昼の時間だったので、夕方から夜に移行させる。
部屋の雰囲気が変わって行く。
「すごいね!」
「そうだろう」
響子がじっと画面を見ている。
「俺たちの新居はもっとすごいのを作ろう」
「うん!」
二人でどんな家がいいのかを話した。
俺はネットで様々な建物を響子に見せ、二人で参考にしていった。
各地の城を見た。
各地の寺院を見た。
現代建築を見た。
ノイスヴァンシュタイン城、アヤソフィア、フォートワース現代美術館……。
二人でいつまでも探して行った。
「でもタカトラが一緒ならどこでもいいよ」
「俺もそうだな。響子がいればいいや」
二人で笑った。
軽くキスをした。
ロボが響子の顔を舐めた。
「あ、ロボもね」
六花が入って来て、ベッドに並んだ。
「六花もね!」
「?」
六花は響子を抱き締めた。
「はい」
何も知らずとも、六花は響子を抱き締めて、そう言った。
みんなでお茶にし、いちご大福を食べた。
「あれ、パンプキンプリンは?」
六花が言った。
「すぐには出来ねぇよ!」
「はい」
楽しみらしい。
六花が響子にも話し、二人でニコニコしている。
しょうがねぇ、作るか。
お茶の後、響子と六花は電動移動車で遊んだ。
ロボが付き合い、二人で鬼ごっこをしている。
柳は対妖魔の「花岡」技の探求。
亜紀ちゃんは食材管理の後で昼寝(俺のベッド)。
皇紀と双子は、また防衛システムや様々な計画の打ち合わせ。
俺は麗星に電話をした。
「石神様!」
「お元気ですか?」
「はい! それはもう! 石神様の御声が聴けて、今が絶好調です!」
「アハハハハ!」
楽しい人だ。
「ところで、前に聞いた『週刊特ダネ妖怪』なんですが、解読はどうです?」
「あれでございますか。一江様のご協力で、毎週データを送って頂いております。そのデータから、わたくし共でも解読の方策を今まとめているところでございます」
「そうですか!」
要は、一江が解読した文字を参考にして、自分たちでも解読を進めようとしているということだ。
「今どのくらい進みました?」
「そうですね。3割といったところでしょうか」
順調だ。
「ところで、今日は別件のお話があるんですが」
「とにかく、そちらへ参りますので!」
「いえ、それほどのことでは。俺の方が今度お邪魔するつもりでいますけど」
「本当でございますかぁ!」
何とか押し掛けられるのは避けられそうだ。
「はい。その折にはよろしくお願いします。それでですね、前にアラスカで麗星さんが羅盤のようなものを見せてくれたじゃないですか」
「ああ! 定価で御弁償いただいた!」
「はい。それで、前にもご相談した「霊素」の観測に、あの羅盤の機構が応用できないものかと思い立ちまして」
「なんですって!」
「あの羅盤は未知のエネルギーを感知するんですよね? でしたら」
「それは盲点でございました! 確かに、あれとは別なものですが、あやかしを探知する道具がございます!」
「そうですか!」
「「一江盤」と申すものでございます」
「……」
「何でも、江戸時代の頃ですが、徳川幕府のたっての願いで当時の当主が創ったらしく。開発のために派遣された人間の名前を冠したものです。町人のようでしたが、元はお武家だったそうで」
「そうですか」
「熱心に開発を手伝われたそうで。当時の当主が感激して、そのような名を」
「いえ、名前はどうでもいいですが。それは今も道間家で?」
「はい。幾つかございます。今も使っておりますのよ?」
「良かった!」
「石神様のお役に立てて嬉しゅうございます」
「俺も嬉しいですよ、麗星さん!」
「愛しております」
「俺もです!」
言っといた。
電話を切った。
これで、妖子の日記は抹消出来るぜ。
俺は六花を読んで、パンプキンプリンを手伝わせた。
響子が興味深そうに見ている。
「座って見てろ」
立ってると疲れさせる。
「結構疲れますね」
六花には卵、卵黄、三温糖、バニラオイルを混ぜさせている。
「お前が俺にやらせようとしたことだぁ!」
「後でしっかり癒しましょうね」
双子が「ギャハハハハ」と笑った。
俺は「お前らも来い!」と言った。
双子にも手伝わせる。
「タカさん、なんで急にパンプキンプリンを?」
「さっき六花と買い物に行ってな。こいつがレイの好物だったと思い出したんだ」
「「!」」
双子が無言でやり始めた。
皇紀も来て手伝い始めた。
1時間くらいで全部の行程を終え、後は冷やすのみとなった。
「つくったよー!」
「おいしいよー!」
双子が誰もいない空間に向かって叫んでいた。
片づけを任せ、俺は少し寝ようとした。
ベッドに亜紀ちゃんが転がっていた。
幸せそうに寝ている。
響子とロボも来た。
「すごいな」
「すごいね」
また、亜紀ちゃんの長い髪がベッド全体に拡がっている。
不思議だ。
俺は亜紀ちゃんの髪を持ち上げ、寝る場所を作った。
響子とロボも来る。
亜紀ちゃんが転がって、俺の上に乗って来た。
響子が面白がって見ている。
ロボも見ている。
「タカさーん、ほらー、私たちの子どもですよー」
亜紀ちゃんが夢を見ている。
響子と顔を見合わせた。
「かわいーですねー」
ベッドから押して落した。
「イタタタ。あれ?」
響子と寝たフリをした。
響子が笑っている。
「なんだ?」
亜紀ちゃんがベッドに乗って来る。
「タカさんだ」
俺の額を撫で上げる。
そのまま起きて部屋を出て行った。
響子が身体を振るわせて声を出さずに笑っていた。
眠気が覚めたので、響子に早乙女の新居の画像を見せてやる。
響子が驚き、感動していた。
「きれい……」
「そうだろ? 心が綺麗な二人だからな。清澄な邸宅にしたんだ」
「ちょっとやり過ぎだけどね」
「アハハハハハ!」
早乙女にも渡しているが、内部を人間の視点で回れるようになっている。
響子に様々な部屋を案内していく。
塔の最上階の部屋に、響子はまた感動した。
昼の時間だったので、夕方から夜に移行させる。
部屋の雰囲気が変わって行く。
「すごいね!」
「そうだろう」
響子がじっと画面を見ている。
「俺たちの新居はもっとすごいのを作ろう」
「うん!」
二人でどんな家がいいのかを話した。
俺はネットで様々な建物を響子に見せ、二人で参考にしていった。
各地の城を見た。
各地の寺院を見た。
現代建築を見た。
ノイスヴァンシュタイン城、アヤソフィア、フォートワース現代美術館……。
二人でいつまでも探して行った。
「でもタカトラが一緒ならどこでもいいよ」
「俺もそうだな。響子がいればいいや」
二人で笑った。
軽くキスをした。
ロボが響子の顔を舐めた。
「あ、ロボもね」
六花が入って来て、ベッドに並んだ。
「六花もね!」
「?」
六花は響子を抱き締めた。
「はい」
何も知らずとも、六花は響子を抱き締めて、そう言った。
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