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「お掃除ロボ」再び!
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愛鈴をやっと留置場から出すことが出来た。
石神のお陰だ。
「タマ」という女性により、石神が愛鈴の潔白を確認してくれた。
そして、即座に石神が動き、警察の上層部に自ら説得してくれた。
上層部は石神を信頼しているばかりではない。
石神がアメリカで暴れた張本人であることも認識し、石神を恐れてもいる。
石神が数々の日本を救う実績を挙げていても、尚、その強大な力に畏怖している。
俺にはそれが悲しい。
あんなに優しい男はいないのに。
多少冗談がきつい時はある。
法に照らして、問題があることもある。
しかしそれは、全て石神という男の優しさなのだ。
アメリカとの戦争も、石神の優しさに他ならない。
愛する女を殺され、石神が血の涙でその復讐をした。
犠牲者は出たが、俺は石神の味方だ。
石神が戦うのならば、俺はどんな相手であろうと、石神と共に戦う。
「愛鈴さん、ここが俺の親友が用意した家です」
石神から、李愛鈴を名前で呼ぶように言われた。
仲間としての親愛を示せということだった。
「はい。随分と大きな家ですね」
「ええ。まあ、入りましょう」
石神から鍵は預かっていた。
マスターキーであり、門から家の全ての部屋を開けることが出来る。
俺は門を開き、愛鈴を中へ入れた。
俺も初めて入る。
「どうぞ」
愛鈴は雪野さんが用意した服を着ている。
もちろん、直接会ってはいない。
婦警にサイズを測ってもらい、雪野さんに頼んで下着から取り敢えずの服まで揃えてもらった。
俺ではどうしようもないので助かった。
雪野さんの趣味は良い。
今は半袖のワンピースだ。
淡い水色で、薄い黄色の細いラインが入っている。
腰の後ろでリボンが結んであり、二十代の愛鈴によく似合う。
麻が入っていて、涼しいそうだ。
門から玄関まで少し歩く。
家の前の庭を回り込むような造りになっている。
飛び石の回し方だが、石の間はほぼ詰まっている。
ちなみにガレージは別にあった。
道路から直接シャッターを開けて入れる構造だ。
俺は玄関を開けた。
厚い木の扉で、幅20ミリの細いガラスのスリットが3本入っている。
非常にお洒落な扉だ。
ドアを開いた。
「さあ、入りましょう」
「はい」
二人で玄関に入った。
突然銃撃された。
《パパパパパパパ!》
愛鈴が俺を押して、即座に腕を変化させた。
青黒い鱗に覆われ、長い鉤爪の腕になっている。
「なんだなんだなんだ!」
廊下の奥からマシンガンで撃たれた。
俺と愛鈴は玄関の両脇に身を寄せた。
「早乙女さん! 御無事ですか!」
「はい! 愛鈴さんも?」
「大丈夫です!」
俺はすぐに石神に連絡した。
「石神! 銃撃されている!」
「なんだと!」
「お前が用意した家だ! 玄関を開けたら、廊下の奥に潜んでいた!」
「大丈夫か!」
「ああ。二人とも無事だ。咄嗟に愛鈴さんが庇ってくれた」
マシンガンの音が止んだ。
「相手は何人だ!」
「今は一人からの攻撃だと思う。マシンガンは一応収まった……待て、車輪の音がするぞ」
「あぁーーーー!」
「どうした?」
石神が叫んだ。
「皇紀!」と怒鳴る声が聞こえた。
「悪かった! 掃除ロボットを置いているのを忘れてた!」
「掃除ロボット?」
「今皇紀に停止させる。まだ中に入るな!」
「あ、ああ、分かった」
敵ではないらしいが。
玄関に近づいて来る。
扉が開いた。
高さ140センチのロボットが出て来る。
顔のホログラムは、石神の娘の亜紀ちゃんのコワイ顔だ。
それよりも俺は、姿の異様さに驚いた。
8本の腕にそれぞれ武器を手にしている。
マシンガンもあった。
しかし、今は俺に向かって釘バットを振り下ろして来た。
愛鈴が後ろから飛び蹴りをロボットに撃ち込もうとした。
ロボットのブレードのアームが愛鈴を横に薙ぎ、愛鈴が両手でガードする。
ブレードが折れた。
《ヨクモ!》
次の瞬間、突然ロボットが停止した。
目の前に皇紀君が立っていた。
全裸だった。
「大丈夫ですか!」
「ああ、助かった!」
皇紀君が、ロボットの背後の停止ボタンを押したらしい。
「すみませんでした。東雲さんたちが置いて行ったのを忘れてまして。もう大丈夫ですよ」
「あ、ああ」
「今すぐ、お二人の顔認識をセッティングします」
「ああ、うん。あのさ」
「はい?」
「服を着よう」
「あ、アァ!」
皇紀君は自宅へ一度戻り、服を着て来た。
鍵も持っていないようだったが、皇紀君は防衛システムを自在に動かし、中へ入れるようだ。
「すみませんでした。「飛行」で急いで来たので、服が無くなっちゃいまして」
「……」
愛鈴はまだ警戒して、両腕を戻していなかった。
俺が信頼できる味方だと説明し、元の姿に戻させた。
皇紀君はロボットを安全モードで起動し、俺と愛鈴の顔認識を済ませた。
「最初の時も、栞さんにいきなりMAC11を撃ち込んじゃいましてね」
「おい!」
「あ、すみませんでした」
皇紀君はお茶を用意しながら、説明してくれた。
「元々は、広くなった自宅の清掃ロボットだったんです」
「これがか?」
「妹たちが悪ノリしましてね」
「じゃあ、この武器はあの子たちが?」
「まあ、僕が頼まれてやったんですけど」
「おい!」
「すみませんでした」
ロボットは居間の隅で掃除を始めた。
今は顔のホログラムはハーちゃんのニコニコ顔だった。
先ほどの武装は身体に仕舞って、今は8本のアームに掃除用具を手にしている。
掃除機をかけているようだが、非常に静かだ。
「《Executioner》! 他の場所を掃除してきて!」
《ハイ、カシコマリマシタ》
非常に静かに移動して行った。
「《Executioner》だって?」
「はい。妹たちが名付けました」
「ここから持ってってくれ」
「え!」
「物騒過ぎるだろう!」
「でも、お掃除、上手いですよ?」
「そういう問題じゃねぇ!」
思わず大きな声で言ってしまった。
「困ったなー」
「なんでだよ?」
「居場所のセッティングが必要なんですよ。それが結構面倒で」
「何とかしてくれよ!」
「そうですねー」
皇紀君は考え込んでいた。
「あの」
「何ですか、愛鈴さん」
「私、ここでもいいですよ?」
「え! でも危ないですよ!」
「今、登録して下さったんですよね?」
「はい! もう大丈夫ですよ!」
「いや、皇紀君」
愛鈴さんが笑っていた。
「あのロボットは、会話が出来るんですか?」
「まあ、簡単な指示であれば。掃除場所とか、挨拶程度は」
「だったら是非。独りでここにいるよりも、誰かと一緒の方が」
「でも……」
「それに、侵入者は撃退してくれるんですよね?」
「はい、それなりに」
「でしたら」
俺は考えたが、愛鈴さんがそう言うのならと納得した。
「皇紀君、もう本当に安全なのかい?」
「はい。ああ、でも顔認識がちょっと甘くて」
「え?」
「前にも東雲さんたちが、風呂上がりで髪型が大分変ってたりすると襲われたり……」
「おい!」
「あの! ペンダントを! 身に着けていると絶対に安全なものが!」
「すぐに用意してくれ!」
「はい!」
皇紀君がまた自分の家に行ってペンダントを持って来た。
東雲さんたちに泣きつかれて作ったそうだ。
「じゃあ、これを。早乙女さんの分もあります」
「ああ。これで本当に!」
「大丈夫です!」
俺から愛鈴に手渡した。
すぐに二人とも首から提げた。
《Executioner》が戻って来た。
《オソウジガオワリマシタ》
「私、愛鈴っていうの。これからしばらくここに住むから、宜しくね」
《ハイ、ヨロシクオネガイシマス、アイリンサマ》
「ウフフフフ」
愛鈴が嬉しそうだった。
皇紀君が帰ると言った。
「寝る時には「待機モード」って言えば動かなくなります」
「分かったわ」
「あ! 会話モードが何種類かありまして!」
「そうなの?」
「菅原文太モードとか楽しいですよ」
「今度試してみるね」
愛鈴が微笑んだ。
皇紀君は自宅の庭から「飛び」立った。
また全裸だった。
「愛鈴さん、何か作りますよ」
「ほんとですか」
「ええ、大したものは出来ませんが」
「いえ、お願いします」
「親友にね、美味いチャーハンの作り方を教わったんです。材料も用意して来ました」
「楽しみです!」
「ちょっと時間が掛かってしまいますが。俺は親友程料理が上手くなくて」
「待ってますから」
「はい」
1時間もかけて、石神に教わったチャーハンを作った。
愛鈴がとても喜んでくれた。
「これ、美味しいですよ!」
「親友のお陰です」
「でも、早乙女さんが作ってくれました」
「まあ、そうですが」
「美味しいです!」
愛鈴が笑顔でそう言った。
俺も自分の皿のものを口にした。
確かに美味しかった。
石神のお陰だ。
「タマ」という女性により、石神が愛鈴の潔白を確認してくれた。
そして、即座に石神が動き、警察の上層部に自ら説得してくれた。
上層部は石神を信頼しているばかりではない。
石神がアメリカで暴れた張本人であることも認識し、石神を恐れてもいる。
石神が数々の日本を救う実績を挙げていても、尚、その強大な力に畏怖している。
俺にはそれが悲しい。
あんなに優しい男はいないのに。
多少冗談がきつい時はある。
法に照らして、問題があることもある。
しかしそれは、全て石神という男の優しさなのだ。
アメリカとの戦争も、石神の優しさに他ならない。
愛する女を殺され、石神が血の涙でその復讐をした。
犠牲者は出たが、俺は石神の味方だ。
石神が戦うのならば、俺はどんな相手であろうと、石神と共に戦う。
「愛鈴さん、ここが俺の親友が用意した家です」
石神から、李愛鈴を名前で呼ぶように言われた。
仲間としての親愛を示せということだった。
「はい。随分と大きな家ですね」
「ええ。まあ、入りましょう」
石神から鍵は預かっていた。
マスターキーであり、門から家の全ての部屋を開けることが出来る。
俺は門を開き、愛鈴を中へ入れた。
俺も初めて入る。
「どうぞ」
愛鈴は雪野さんが用意した服を着ている。
もちろん、直接会ってはいない。
婦警にサイズを測ってもらい、雪野さんに頼んで下着から取り敢えずの服まで揃えてもらった。
俺ではどうしようもないので助かった。
雪野さんの趣味は良い。
今は半袖のワンピースだ。
淡い水色で、薄い黄色の細いラインが入っている。
腰の後ろでリボンが結んであり、二十代の愛鈴によく似合う。
麻が入っていて、涼しいそうだ。
門から玄関まで少し歩く。
家の前の庭を回り込むような造りになっている。
飛び石の回し方だが、石の間はほぼ詰まっている。
ちなみにガレージは別にあった。
道路から直接シャッターを開けて入れる構造だ。
俺は玄関を開けた。
厚い木の扉で、幅20ミリの細いガラスのスリットが3本入っている。
非常にお洒落な扉だ。
ドアを開いた。
「さあ、入りましょう」
「はい」
二人で玄関に入った。
突然銃撃された。
《パパパパパパパ!》
愛鈴が俺を押して、即座に腕を変化させた。
青黒い鱗に覆われ、長い鉤爪の腕になっている。
「なんだなんだなんだ!」
廊下の奥からマシンガンで撃たれた。
俺と愛鈴は玄関の両脇に身を寄せた。
「早乙女さん! 御無事ですか!」
「はい! 愛鈴さんも?」
「大丈夫です!」
俺はすぐに石神に連絡した。
「石神! 銃撃されている!」
「なんだと!」
「お前が用意した家だ! 玄関を開けたら、廊下の奥に潜んでいた!」
「大丈夫か!」
「ああ。二人とも無事だ。咄嗟に愛鈴さんが庇ってくれた」
マシンガンの音が止んだ。
「相手は何人だ!」
「今は一人からの攻撃だと思う。マシンガンは一応収まった……待て、車輪の音がするぞ」
「あぁーーーー!」
「どうした?」
石神が叫んだ。
「皇紀!」と怒鳴る声が聞こえた。
「悪かった! 掃除ロボットを置いているのを忘れてた!」
「掃除ロボット?」
「今皇紀に停止させる。まだ中に入るな!」
「あ、ああ、分かった」
敵ではないらしいが。
玄関に近づいて来る。
扉が開いた。
高さ140センチのロボットが出て来る。
顔のホログラムは、石神の娘の亜紀ちゃんのコワイ顔だ。
それよりも俺は、姿の異様さに驚いた。
8本の腕にそれぞれ武器を手にしている。
マシンガンもあった。
しかし、今は俺に向かって釘バットを振り下ろして来た。
愛鈴が後ろから飛び蹴りをロボットに撃ち込もうとした。
ロボットのブレードのアームが愛鈴を横に薙ぎ、愛鈴が両手でガードする。
ブレードが折れた。
《ヨクモ!》
次の瞬間、突然ロボットが停止した。
目の前に皇紀君が立っていた。
全裸だった。
「大丈夫ですか!」
「ああ、助かった!」
皇紀君が、ロボットの背後の停止ボタンを押したらしい。
「すみませんでした。東雲さんたちが置いて行ったのを忘れてまして。もう大丈夫ですよ」
「あ、ああ」
「今すぐ、お二人の顔認識をセッティングします」
「ああ、うん。あのさ」
「はい?」
「服を着よう」
「あ、アァ!」
皇紀君は自宅へ一度戻り、服を着て来た。
鍵も持っていないようだったが、皇紀君は防衛システムを自在に動かし、中へ入れるようだ。
「すみませんでした。「飛行」で急いで来たので、服が無くなっちゃいまして」
「……」
愛鈴はまだ警戒して、両腕を戻していなかった。
俺が信頼できる味方だと説明し、元の姿に戻させた。
皇紀君はロボットを安全モードで起動し、俺と愛鈴の顔認識を済ませた。
「最初の時も、栞さんにいきなりMAC11を撃ち込んじゃいましてね」
「おい!」
「あ、すみませんでした」
皇紀君はお茶を用意しながら、説明してくれた。
「元々は、広くなった自宅の清掃ロボットだったんです」
「これがか?」
「妹たちが悪ノリしましてね」
「じゃあ、この武器はあの子たちが?」
「まあ、僕が頼まれてやったんですけど」
「おい!」
「すみませんでした」
ロボットは居間の隅で掃除を始めた。
今は顔のホログラムはハーちゃんのニコニコ顔だった。
先ほどの武装は身体に仕舞って、今は8本のアームに掃除用具を手にしている。
掃除機をかけているようだが、非常に静かだ。
「《Executioner》! 他の場所を掃除してきて!」
《ハイ、カシコマリマシタ》
非常に静かに移動して行った。
「《Executioner》だって?」
「はい。妹たちが名付けました」
「ここから持ってってくれ」
「え!」
「物騒過ぎるだろう!」
「でも、お掃除、上手いですよ?」
「そういう問題じゃねぇ!」
思わず大きな声で言ってしまった。
「困ったなー」
「なんでだよ?」
「居場所のセッティングが必要なんですよ。それが結構面倒で」
「何とかしてくれよ!」
「そうですねー」
皇紀君は考え込んでいた。
「あの」
「何ですか、愛鈴さん」
「私、ここでもいいですよ?」
「え! でも危ないですよ!」
「今、登録して下さったんですよね?」
「はい! もう大丈夫ですよ!」
「いや、皇紀君」
愛鈴さんが笑っていた。
「あのロボットは、会話が出来るんですか?」
「まあ、簡単な指示であれば。掃除場所とか、挨拶程度は」
「だったら是非。独りでここにいるよりも、誰かと一緒の方が」
「でも……」
「それに、侵入者は撃退してくれるんですよね?」
「はい、それなりに」
「でしたら」
俺は考えたが、愛鈴さんがそう言うのならと納得した。
「皇紀君、もう本当に安全なのかい?」
「はい。ああ、でも顔認識がちょっと甘くて」
「え?」
「前にも東雲さんたちが、風呂上がりで髪型が大分変ってたりすると襲われたり……」
「おい!」
「あの! ペンダントを! 身に着けていると絶対に安全なものが!」
「すぐに用意してくれ!」
「はい!」
皇紀君がまた自分の家に行ってペンダントを持って来た。
東雲さんたちに泣きつかれて作ったそうだ。
「じゃあ、これを。早乙女さんの分もあります」
「ああ。これで本当に!」
「大丈夫です!」
俺から愛鈴に手渡した。
すぐに二人とも首から提げた。
《Executioner》が戻って来た。
《オソウジガオワリマシタ》
「私、愛鈴っていうの。これからしばらくここに住むから、宜しくね」
《ハイ、ヨロシクオネガイシマス、アイリンサマ》
「ウフフフフ」
愛鈴が嬉しそうだった。
皇紀君が帰ると言った。
「寝る時には「待機モード」って言えば動かなくなります」
「分かったわ」
「あ! 会話モードが何種類かありまして!」
「そうなの?」
「菅原文太モードとか楽しいですよ」
「今度試してみるね」
愛鈴が微笑んだ。
皇紀君は自宅の庭から「飛び」立った。
また全裸だった。
「愛鈴さん、何か作りますよ」
「ほんとですか」
「ええ、大したものは出来ませんが」
「いえ、お願いします」
「親友にね、美味いチャーハンの作り方を教わったんです。材料も用意して来ました」
「楽しみです!」
「ちょっと時間が掛かってしまいますが。俺は親友程料理が上手くなくて」
「待ってますから」
「はい」
1時間もかけて、石神に教わったチャーハンを作った。
愛鈴がとても喜んでくれた。
「これ、美味しいですよ!」
「親友のお陰です」
「でも、早乙女さんが作ってくれました」
「まあ、そうですが」
「美味しいです!」
愛鈴が笑顔でそう言った。
俺も自分の皿のものを口にした。
確かに美味しかった。
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