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KYOKO DREAMIN XⅡ
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ノルウェイ、オスロー。
「業」の軍勢は世界の各地で戦火をまき散らし始めた。
「業」が支配するロシアに近いノルウェイでは、比較的早期に攻撃が始まっていた。
「虎」の軍はいち早くオスローに拠点を築き、対抗しようとしていた。
しかし、兵士の絶対数で劣る「虎」の軍は、苦戦を強いられることも多かった。
「セイント! ジェヴォーダンの集結が確認されました。衛星画像の解析では、およそ120です!」
「そうか。スージー、「虎の穴」は何て言ってる?」
「ネームドたちは全員他の戦場に行っています。ですが蓮花さんが何かを送ってくれると」
「何か?」
「機密事項らしいです。戦場への投入はまだ先の予定だったということですが、「虎」に直接掛け合ってくれたそうで」
「そうか。まあ、俺たちは俺たちで戦うぞ!」
「はい!」
聖はオスローの拠点に応援に来ていた。
対ジェヴォーダンの用意はあるが、120体となれば許容範囲を越えている。
それに、「業」は新たに謎の戦力を用いるようになったと噂されていた。
それに遭遇した部隊は全滅し、詳細は分かっていない。
「デュール・ゲリエをありったけ展開しておけ。距離2キロだ。ジェヴォーダンの前に、必ずバイオノイドが来る」
「はい!」
「ノルウェイ軍の生き残りに、市民の避難誘導をさせろ」
「はい!」
「うちの連中にはありったけの「カサンドラ」を持たせろ! デュール・ゲリエが撃ち漏らした敵を駆逐させろ!」
「はい!」
「花岡斬が来ていたな」
「はい、後ろの部屋で控えています」
「あのジジィには好きなようにさせろ。どうせこっちの言うことは聞かねぇ」
「はい!」
スージーは笑顔で応えた。
花岡斬は相当な高齢のはずだが、意気軒昂で凄まじい技を使う。
「バイオノイドは何とかなっても、問題はジェヴォーダンだな。斬のジジィでも手に余るだろう」
「新兵器に期待ですね」
「まあ、蓮花がわざわざ手配してくれたんだ。あいつはトラの信頼が篤い。きっと有効なものなんだろうよ」
「そうですね」
「ちょっと不安もあるけどな」
「そうなんですか?」
「あいつもぶっ飛んでる。前によ、デュール・ゲリエの超高速タイプって見せられたんだよ」
「はぁ」
「音速を超えて動くものだったんだけどな。試験中に手足がぶっちぎれた」
「えぇ!」
「ブレードが俺の方へ飛んできてなぁ。あやうく身体が真っ二つになるとこだったぜ」
「コワイですね!」
「寸前でトラが弾いてくれたけどな。「あいつの実験中は油断するな」って怒られたぜ」
「アハハハハ!」
衛星の解析で、ジェヴォーダンが300体に増えたことが判明した。
「いよいよヤバいな。どうあってもここを潰すつもりだぜ」
「そのようですね」
聖もスージーも緊張はない。
戦場では常に予想外のことが起きる。
「「虎の穴」から入電! ジェヴォーダンと共に、未知の戦力の可能性あり! 量子コンピューターのリンクを求めています!」
「許可する!」
「はい!」
周辺を映していた戦略スクリーンがモノクロになる。
ジェヴォーダンの背後に、巨大な鬼のようなシルエットが映し出された。
「なんだ、あれは?」
「霊素観測の映像だそうです。オーガタイプと名付けられた、通常兵器が通じない敵のようです」
「なんだ、そりゃ?」
「「武神ルシファー」に戦闘を任せよ、との指示です」
「また聞いたことねぇ名前だぞ!」
「虎の穴」に問い合わせさせたが、機密事項とのことで回答は無かった。
「上空、急速接近! 味方コードあり! 新兵器が到着したようです」
「分かった」
「バイオノイド3000! オスロ市内に10分後に入ります」
「おし! デュール・ゲリエにまずは任せろ!」
10分後。
市街周辺で激しい戦闘が始まった。
「武神ルシファー! ジェヴォーダン前面1キロに着地!」
「おい、いきなりかよ!」
望遠カメラがその機体を映し出した。
ギーガーのエイリアンのような姿で、背中に3対のコウモリのような羽がある。
全身が黒く、禍々しい姿だった。
全長38メートル。
着地と同時に、身体の周辺に無数の黒い渦が現われた。
「なんだ、ありゃ?」
「《vortex noir(黒い渦)》と量子コンピューターの情報が出ています!」
「あ?」
「ジェヴォーダンから攻撃! 「槍雷」が「武神ルシファー」に集中!」
「おい! いきなりやられるなよな!」
突如「武神ルシファー」の身体がブレた。
一瞬で敵の中へ突っ込んでいた。
移動のたびに、ジェヴォーダンの巨体が粉砕されていく。
「なんだ!」
ノルウェイ軍が撃ったと思われるTOWミサイルが敵陣後方へ弾着した。
オーガタイプと呼ばれる者たちの中心が次々と破壊される。
しかし、オーガタイプは避けもせず、また何ら影響が無いように見えた。
「本当に物理攻撃が効かないのか!」
オーガタイプの一体が「武神ルシファー」に迫った。
前にいたジェヴォーダンを片腕のブローで粉砕した。
「不味いんじゃないか?」
「武神ルシファー」の黒い渦がオーガタイプに飛んだ。
オーガタイプはジェヴォーダンと同じく爆散した。
「!」
市街でも、激しい戦闘が展開されていた。
バイオノイドはデュール・ゲリエを避け、市街に潜り込もうとしていた。
「花岡斬! デュール・ゲリエの前方に出ました!」
「あいつ、いつの間に!」
斬は「花岡」を使いながら、バイオノイドを撃破していく。
デュール・ゲリエは斬と連携する動きに変わり、市街へ向かうバイオノイドを駆逐していった。
聖は市街戦の映像を見て、もう大丈夫だと感じた。
「武神ルシファー」の戦闘に集中する。
オーガタイプ19体が一斉に「武神ルシファー」に迫った。
「武神ルシファー」の3対の羽が、更に漆黒に染まった。
映像から姿が消える。
「あの巨体で超高速移動か!」
音速を遙かに超えるスピードで移動したと、聖は感じた。
オーガタイプが次々と黒い霧となって消えた。
「どんな攻撃だよ……」
司令本部の全員が息を呑んで言葉を喪っていた。
「トラ、お前とんでもないものを作りやがったな……」
5分程で、ジェヴォーダンとオーガタイプが消えていた。
「武神ルシファー」が市街を見ていた。
突如、デュール・ゲリエの動きが変わった。
市街中心へ高速移動し、バイオノイドとの距離が開いた。
「おい! 何の指示も出してねぇぞ!」
「きっと、あの機体には上位命令の権能があるんですよ」
「なんだと!」
「武神ルシファー」から、黒い渦の一つが飛んで来た。
バイオノイドの群れを襲う。
その渦は、建物ごと粉砕しながら、バイオノイドたちを呑み込んで行く。
通過した後は、何も残らない。
「斬を呼び戻せ!」
聖は慌てて指示を出した。
しかし、斬はその前にデュール・ゲリエの後を追い、移動していた。
暫く後、斬が司令本部に戻って来た。
「なんじゃ、あれは!」
「知らねぇ。トラが作ったらしいぞ?」
「なんでわしの邪魔をする!」
「俺が知るか! てめぇで聞け!」
「ふん!」
斬が部屋を出て行った。
聖には分かる。
自分を遙かに超えた存在を知り、巻き添えを避けて逃げ帰ったことが不満なのだろう。
しかし、あれは、そういうことではない。
石神が対「業」のために作った決戦兵器の一つなのだ。
改めて石神の底の深さを思い知った。
「あんなものが必要なのかよ、トラ」
聖は呟いた。
もはや、人間の出番では無いと言われた気がした。
もちろん、そうではないことは分かっている。
石神は、あくまでも自分たちを守るためにあれを派兵したのだ。
「武神ルシファー」は全ての敵を撃破し、飛び立って行った。
聖は隣室の斬の所へ行った。
斬は裸になって、演武をしていた。
「おい、機嫌を直せよ」
「ふん!」
聖は斬に近づき、組み手を始めた。
斬は何も言わず、聖に付き合った。
10分も続け、お互いに離れた。
「次はあれを潰してやる」
「おい、あれは味方だぞ」
「ふん!」
聖は笑って服を着ろと言った。
斬は100歳をとうに超えているはずだったが、肉体は瑞々しいままだった。
「じゃあ今度来た時には、俺も手伝ってやるよ」
「ふん!」
斬は聖を見て何も答えなかった。
しかし、聖は一瞬斬の口元に笑みが浮かんだのを見逃さなかった。
「おい、飯でも食おう」
「ああ」
聖は笑いながら斬と食堂へ移動した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
(タカトラの戦いは……)
響子は薄暗い中で目を覚ましていた。
響子は、自分の観る夢の意味を悟っていた。
自分は未来を見ている。
(でも、これは確定したものではない。多くの可能性が収束する未来だというだけだ)
響子は自分が見る未来が高い確率で実現することも知っている。
「変えなきゃいけない未来がある……」
響子は声に出して呟いていた。
「保奈美さんの未来は変わりそうだ。竹流君のお陰」
響子は自分が未来を見ていることは知っていても、もう一つのことには気づいてはいなかった。
「タカトラ。必ず……」
響子はまた目を閉じた。
響子は、自分の身体が淡く光ることをまだ知らない。
響子以外の誰もまた、それを知らない。
その意味は、人間で知る者はいない。
「業」の軍勢は世界の各地で戦火をまき散らし始めた。
「業」が支配するロシアに近いノルウェイでは、比較的早期に攻撃が始まっていた。
「虎」の軍はいち早くオスローに拠点を築き、対抗しようとしていた。
しかし、兵士の絶対数で劣る「虎」の軍は、苦戦を強いられることも多かった。
「セイント! ジェヴォーダンの集結が確認されました。衛星画像の解析では、およそ120です!」
「そうか。スージー、「虎の穴」は何て言ってる?」
「ネームドたちは全員他の戦場に行っています。ですが蓮花さんが何かを送ってくれると」
「何か?」
「機密事項らしいです。戦場への投入はまだ先の予定だったということですが、「虎」に直接掛け合ってくれたそうで」
「そうか。まあ、俺たちは俺たちで戦うぞ!」
「はい!」
聖はオスローの拠点に応援に来ていた。
対ジェヴォーダンの用意はあるが、120体となれば許容範囲を越えている。
それに、「業」は新たに謎の戦力を用いるようになったと噂されていた。
それに遭遇した部隊は全滅し、詳細は分かっていない。
「デュール・ゲリエをありったけ展開しておけ。距離2キロだ。ジェヴォーダンの前に、必ずバイオノイドが来る」
「はい!」
「ノルウェイ軍の生き残りに、市民の避難誘導をさせろ」
「はい!」
「うちの連中にはありったけの「カサンドラ」を持たせろ! デュール・ゲリエが撃ち漏らした敵を駆逐させろ!」
「はい!」
「花岡斬が来ていたな」
「はい、後ろの部屋で控えています」
「あのジジィには好きなようにさせろ。どうせこっちの言うことは聞かねぇ」
「はい!」
スージーは笑顔で応えた。
花岡斬は相当な高齢のはずだが、意気軒昂で凄まじい技を使う。
「バイオノイドは何とかなっても、問題はジェヴォーダンだな。斬のジジィでも手に余るだろう」
「新兵器に期待ですね」
「まあ、蓮花がわざわざ手配してくれたんだ。あいつはトラの信頼が篤い。きっと有効なものなんだろうよ」
「そうですね」
「ちょっと不安もあるけどな」
「そうなんですか?」
「あいつもぶっ飛んでる。前によ、デュール・ゲリエの超高速タイプって見せられたんだよ」
「はぁ」
「音速を超えて動くものだったんだけどな。試験中に手足がぶっちぎれた」
「えぇ!」
「ブレードが俺の方へ飛んできてなぁ。あやうく身体が真っ二つになるとこだったぜ」
「コワイですね!」
「寸前でトラが弾いてくれたけどな。「あいつの実験中は油断するな」って怒られたぜ」
「アハハハハ!」
衛星の解析で、ジェヴォーダンが300体に増えたことが判明した。
「いよいよヤバいな。どうあってもここを潰すつもりだぜ」
「そのようですね」
聖もスージーも緊張はない。
戦場では常に予想外のことが起きる。
「「虎の穴」から入電! ジェヴォーダンと共に、未知の戦力の可能性あり! 量子コンピューターのリンクを求めています!」
「許可する!」
「はい!」
周辺を映していた戦略スクリーンがモノクロになる。
ジェヴォーダンの背後に、巨大な鬼のようなシルエットが映し出された。
「なんだ、あれは?」
「霊素観測の映像だそうです。オーガタイプと名付けられた、通常兵器が通じない敵のようです」
「なんだ、そりゃ?」
「「武神ルシファー」に戦闘を任せよ、との指示です」
「また聞いたことねぇ名前だぞ!」
「虎の穴」に問い合わせさせたが、機密事項とのことで回答は無かった。
「上空、急速接近! 味方コードあり! 新兵器が到着したようです」
「分かった」
「バイオノイド3000! オスロ市内に10分後に入ります」
「おし! デュール・ゲリエにまずは任せろ!」
10分後。
市街周辺で激しい戦闘が始まった。
「武神ルシファー! ジェヴォーダン前面1キロに着地!」
「おい、いきなりかよ!」
望遠カメラがその機体を映し出した。
ギーガーのエイリアンのような姿で、背中に3対のコウモリのような羽がある。
全身が黒く、禍々しい姿だった。
全長38メートル。
着地と同時に、身体の周辺に無数の黒い渦が現われた。
「なんだ、ありゃ?」
「《vortex noir(黒い渦)》と量子コンピューターの情報が出ています!」
「あ?」
「ジェヴォーダンから攻撃! 「槍雷」が「武神ルシファー」に集中!」
「おい! いきなりやられるなよな!」
突如「武神ルシファー」の身体がブレた。
一瞬で敵の中へ突っ込んでいた。
移動のたびに、ジェヴォーダンの巨体が粉砕されていく。
「なんだ!」
ノルウェイ軍が撃ったと思われるTOWミサイルが敵陣後方へ弾着した。
オーガタイプと呼ばれる者たちの中心が次々と破壊される。
しかし、オーガタイプは避けもせず、また何ら影響が無いように見えた。
「本当に物理攻撃が効かないのか!」
オーガタイプの一体が「武神ルシファー」に迫った。
前にいたジェヴォーダンを片腕のブローで粉砕した。
「不味いんじゃないか?」
「武神ルシファー」の黒い渦がオーガタイプに飛んだ。
オーガタイプはジェヴォーダンと同じく爆散した。
「!」
市街でも、激しい戦闘が展開されていた。
バイオノイドはデュール・ゲリエを避け、市街に潜り込もうとしていた。
「花岡斬! デュール・ゲリエの前方に出ました!」
「あいつ、いつの間に!」
斬は「花岡」を使いながら、バイオノイドを撃破していく。
デュール・ゲリエは斬と連携する動きに変わり、市街へ向かうバイオノイドを駆逐していった。
聖は市街戦の映像を見て、もう大丈夫だと感じた。
「武神ルシファー」の戦闘に集中する。
オーガタイプ19体が一斉に「武神ルシファー」に迫った。
「武神ルシファー」の3対の羽が、更に漆黒に染まった。
映像から姿が消える。
「あの巨体で超高速移動か!」
音速を遙かに超えるスピードで移動したと、聖は感じた。
オーガタイプが次々と黒い霧となって消えた。
「どんな攻撃だよ……」
司令本部の全員が息を呑んで言葉を喪っていた。
「トラ、お前とんでもないものを作りやがったな……」
5分程で、ジェヴォーダンとオーガタイプが消えていた。
「武神ルシファー」が市街を見ていた。
突如、デュール・ゲリエの動きが変わった。
市街中心へ高速移動し、バイオノイドとの距離が開いた。
「おい! 何の指示も出してねぇぞ!」
「きっと、あの機体には上位命令の権能があるんですよ」
「なんだと!」
「武神ルシファー」から、黒い渦の一つが飛んで来た。
バイオノイドの群れを襲う。
その渦は、建物ごと粉砕しながら、バイオノイドたちを呑み込んで行く。
通過した後は、何も残らない。
「斬を呼び戻せ!」
聖は慌てて指示を出した。
しかし、斬はその前にデュール・ゲリエの後を追い、移動していた。
暫く後、斬が司令本部に戻って来た。
「なんじゃ、あれは!」
「知らねぇ。トラが作ったらしいぞ?」
「なんでわしの邪魔をする!」
「俺が知るか! てめぇで聞け!」
「ふん!」
斬が部屋を出て行った。
聖には分かる。
自分を遙かに超えた存在を知り、巻き添えを避けて逃げ帰ったことが不満なのだろう。
しかし、あれは、そういうことではない。
石神が対「業」のために作った決戦兵器の一つなのだ。
改めて石神の底の深さを思い知った。
「あんなものが必要なのかよ、トラ」
聖は呟いた。
もはや、人間の出番では無いと言われた気がした。
もちろん、そうではないことは分かっている。
石神は、あくまでも自分たちを守るためにあれを派兵したのだ。
「武神ルシファー」は全ての敵を撃破し、飛び立って行った。
聖は隣室の斬の所へ行った。
斬は裸になって、演武をしていた。
「おい、機嫌を直せよ」
「ふん!」
聖は斬に近づき、組み手を始めた。
斬は何も言わず、聖に付き合った。
10分も続け、お互いに離れた。
「次はあれを潰してやる」
「おい、あれは味方だぞ」
「ふん!」
聖は笑って服を着ろと言った。
斬は100歳をとうに超えているはずだったが、肉体は瑞々しいままだった。
「じゃあ今度来た時には、俺も手伝ってやるよ」
「ふん!」
斬は聖を見て何も答えなかった。
しかし、聖は一瞬斬の口元に笑みが浮かんだのを見逃さなかった。
「おい、飯でも食おう」
「ああ」
聖は笑いながら斬と食堂へ移動した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
(タカトラの戦いは……)
響子は薄暗い中で目を覚ましていた。
響子は、自分の観る夢の意味を悟っていた。
自分は未来を見ている。
(でも、これは確定したものではない。多くの可能性が収束する未来だというだけだ)
響子は自分が見る未来が高い確率で実現することも知っている。
「変えなきゃいけない未来がある……」
響子は声に出して呟いていた。
「保奈美さんの未来は変わりそうだ。竹流君のお陰」
響子は自分が未来を見ていることは知っていても、もう一つのことには気づいてはいなかった。
「タカトラ。必ず……」
響子はまた目を閉じた。
響子は、自分の身体が淡く光ることをまだ知らない。
響子以外の誰もまた、それを知らない。
その意味は、人間で知る者はいない。
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