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早乙女の新居(ケルン大聖堂)
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冗談じゃねぇウンコ野郎と戦った翌日の木曜日。
昨日はまだ臭いが付いている気がして、みんなで「虎温泉」(子どもたちが隣接の敷地に作った露天風呂)に入った。
やっと臭いが取れた気がする。
今日は早乙女たちに新居を紹介する日だ。
子どもたちも楽しみにしている。
俺と皇紀しかまだ知らない。
高い壁に囲まれているが、上の方は見えているので、そこは他の子どもたちも見ている。
敷地は500坪で、建物は380坪くらいだ。
ケルン大聖堂の縮小版の形にしている。
前面に4階建ての建物があり、その後ろに二つの塔が立っている。
ちゃんとゲルハルト・リヒターのステンドグラスを模した窓もあり、幻想的な陽光の採り入れがある。
きっと喜んでくれるだろう。
塔の部分は8階建てになっている。
最上階は、片方は全方位ガラス張りで、きっと夜は最高にいい。
夫婦の寝室にどうかとも思っている。
もう片方は窓と壁が半々になっており、こっちはフリースペースでもいいし、食事やお茶を飲むのもいいだろう。
まあ、部屋は沢山あるので、自由に使ってくれればいい。
100畳のリヴィングもある。
もちろん防衛システムも完備で、うち以上に最新の設備が入っている。
自衛が出来ない夫婦なので、そうした。
地下は2階まであり、地下2階はリニアモーターカーでうちと繋がっている。
何かの時には、すぐに避難出来るようにだ。
まあ、この防衛システムで対応出来ない事態は無いだろうが。
守護神もいる。
11時半に、早乙女夫妻が来た。
昼食後に、みんなで新居を見に行く予定だ。
「よう!」
「石神、今日は本当に世話になる」
「お邪魔します。今日はよろしくお願いします」
早乙女はニコニコしている。
楽しみだったようだ。
《石神様! お会い出来て光栄ですー》
「モハメドか。早乙女とは上手くやってるか?」
《はい! 早乙女さんはとってもいい人で、私のことも大事にしてくれますー》
「……」
「そうか! 良かったよ。こいつ、ちょっと人間関係すらヘタクソな奴だからな」
《可愛がってもらってますよー。それに、雪野さんも優しい方ですー》
「まあ、そっちはな。じゃあ入れよ!」
早乙女が何とも言えない顔をしていた。
リヴィングで、紅茶を出す。
「もうすぐ昼食だ。うちは12時と決めてるんで、ちょっと待ってくれな」
「ああ。あ、これを!」
早乙女が小川軒の「レーズンウィッチ」を俺に渡した。
「おい! これ大好物なんだよ!」
「うん、こないだ一江さんに聞いたんだ」
「そうか! お前も段々人間に近づいて来たな」
「……」
雪野さんが笑った。
「よく新橋まで部下に買いに行かせるんだよ。時々無性に喰いたくなるんだよなぁ」
「そうか。良かった」
「今日はそんなにだけどな」
「……」
「冗談だよ! 親友!」
早乙女が嬉しそうに笑った。
「よし、じゃあお茶の時間に頂こう」
「ああ」
昼食は鯛の炊き込みご飯と野菜炒めだ。
それに鱧の吸い物。
もちろん、炊き込みご飯は36合だ。
吸い物も寸胴だが、鱧を3つ以上入れた奴は「虎パンチ」だ。
亜紀ちゃんも失神する。
「美味しい!」
雪野さんが感動する。
早乙女も夢中で食べている。
「雪野さんは、お腹が大分目立って来ましたね」
「はい! 順調です!」
「もう性別も?」
「ええ。女の子のようです」
「そうですか! じゃあ、早乙女はメロメロですね」
「はい! ウフフフ」
早乙女もニコニコしていた。
嬉しいのだろう。
「じゃあ、士王といい年回りですね」
「ええ。お友達になれるといいんですが」
「是非! ああ、楽しみだなぁ!」
「はい!」
早乙女が一層ニコニコした。
「石神、本当に家まで世話してもらって」
「いいんだって。俺がお前らを勝手に危ない場所に連れ込んだんだからな。このくらいはさせてくれよ」
「いや、何から何まで」
「今もお前のお陰で随分と助かってるしな」
「後でちょっと話したいことがあるんだ」
「ああ。じゃあ、新居を案内した後でな」
「うん。今日も泊まらせてもらうし」
「お前、図々しいな」
「えぇ!」
雪野さんが笑った。
「しょうがねぇ。亜紀ちゃん!」
「はーい!」
「夕飯のメザシは変更だ。味噌汁も具は変えてくれ」
「えー! 折角雑草集めたのにー!」
「しょがねぇ。明日の晩にしてくれ」
「分かりましたー!」
雪野さんが大笑いした。
「メザシでも構いませんよ?」
早乙女も首を縦に振っている。
「そうですか。亜紀ちゃん、じゃあ予定通りだ! ああ、雪野さんは二匹な!」
「はい。じゃあ、私とタカさんで半分こでいいですか?」
「しょうがねぇ!」
「石神! 俺はメザシはいいよ!」
早乙女が慌てて言った。
「そうか?」
雪野さんが爆笑した。
食後のお茶を飲み、みんなで出掛けた。
うちから直線で300メートルほどだ。
歩いて1、2分。
高さ5メートルの塀に囲まれている。
塀は白い大谷石だ。
もちろん、内側には鋼鉄の補強がある。
高さ2メートルに溝が切ってあり、LEDの照明が入れてある。
夜はぼんやりと塀が照らされ、いい雰囲気になる。
道路から、建物の上部が見えている。
「おい、石神!」
「おう」
「なんだ、これは!」
二人が驚いている。
「お宅は何階建てですか、って聞かれてさ。「8階建てですよ」って答えるとカッコイイよな!」
「おい、お前!」
「地下は2階な」
「なんだと!」
二人が呆然としていた。
「ところでさ」
「あんだよ」
「まあ、大きい建物はまだ分かるよ」
「うん」
「隣にいる、あのでかいロボットはなんだ!」
家屋の脇に、全長8メートルの人型ロボットがいる。
全身が黒い金属で覆われ、数々の凶悪な武装がある。
顔も髑髏で、額からでかい角が生えている。
「防衛システムの一つな。俺と蓮花は「武神ピーポン」と名付けた」
「ぶしん……」
「大丈夫だよ。普段はただの置物に見えるから」
「……」
雪野さんが卒倒しそうになったので、俺は案内を途中でやめた。
一旦、俺の家に引き返した。
早乙女が雪野さんを支え、ずっと俺を睨んでいた。
昨日はまだ臭いが付いている気がして、みんなで「虎温泉」(子どもたちが隣接の敷地に作った露天風呂)に入った。
やっと臭いが取れた気がする。
今日は早乙女たちに新居を紹介する日だ。
子どもたちも楽しみにしている。
俺と皇紀しかまだ知らない。
高い壁に囲まれているが、上の方は見えているので、そこは他の子どもたちも見ている。
敷地は500坪で、建物は380坪くらいだ。
ケルン大聖堂の縮小版の形にしている。
前面に4階建ての建物があり、その後ろに二つの塔が立っている。
ちゃんとゲルハルト・リヒターのステンドグラスを模した窓もあり、幻想的な陽光の採り入れがある。
きっと喜んでくれるだろう。
塔の部分は8階建てになっている。
最上階は、片方は全方位ガラス張りで、きっと夜は最高にいい。
夫婦の寝室にどうかとも思っている。
もう片方は窓と壁が半々になっており、こっちはフリースペースでもいいし、食事やお茶を飲むのもいいだろう。
まあ、部屋は沢山あるので、自由に使ってくれればいい。
100畳のリヴィングもある。
もちろん防衛システムも完備で、うち以上に最新の設備が入っている。
自衛が出来ない夫婦なので、そうした。
地下は2階まであり、地下2階はリニアモーターカーでうちと繋がっている。
何かの時には、すぐに避難出来るようにだ。
まあ、この防衛システムで対応出来ない事態は無いだろうが。
守護神もいる。
11時半に、早乙女夫妻が来た。
昼食後に、みんなで新居を見に行く予定だ。
「よう!」
「石神、今日は本当に世話になる」
「お邪魔します。今日はよろしくお願いします」
早乙女はニコニコしている。
楽しみだったようだ。
《石神様! お会い出来て光栄ですー》
「モハメドか。早乙女とは上手くやってるか?」
《はい! 早乙女さんはとってもいい人で、私のことも大事にしてくれますー》
「……」
「そうか! 良かったよ。こいつ、ちょっと人間関係すらヘタクソな奴だからな」
《可愛がってもらってますよー。それに、雪野さんも優しい方ですー》
「まあ、そっちはな。じゃあ入れよ!」
早乙女が何とも言えない顔をしていた。
リヴィングで、紅茶を出す。
「もうすぐ昼食だ。うちは12時と決めてるんで、ちょっと待ってくれな」
「ああ。あ、これを!」
早乙女が小川軒の「レーズンウィッチ」を俺に渡した。
「おい! これ大好物なんだよ!」
「うん、こないだ一江さんに聞いたんだ」
「そうか! お前も段々人間に近づいて来たな」
「……」
雪野さんが笑った。
「よく新橋まで部下に買いに行かせるんだよ。時々無性に喰いたくなるんだよなぁ」
「そうか。良かった」
「今日はそんなにだけどな」
「……」
「冗談だよ! 親友!」
早乙女が嬉しそうに笑った。
「よし、じゃあお茶の時間に頂こう」
「ああ」
昼食は鯛の炊き込みご飯と野菜炒めだ。
それに鱧の吸い物。
もちろん、炊き込みご飯は36合だ。
吸い物も寸胴だが、鱧を3つ以上入れた奴は「虎パンチ」だ。
亜紀ちゃんも失神する。
「美味しい!」
雪野さんが感動する。
早乙女も夢中で食べている。
「雪野さんは、お腹が大分目立って来ましたね」
「はい! 順調です!」
「もう性別も?」
「ええ。女の子のようです」
「そうですか! じゃあ、早乙女はメロメロですね」
「はい! ウフフフ」
早乙女もニコニコしていた。
嬉しいのだろう。
「じゃあ、士王といい年回りですね」
「ええ。お友達になれるといいんですが」
「是非! ああ、楽しみだなぁ!」
「はい!」
早乙女が一層ニコニコした。
「石神、本当に家まで世話してもらって」
「いいんだって。俺がお前らを勝手に危ない場所に連れ込んだんだからな。このくらいはさせてくれよ」
「いや、何から何まで」
「今もお前のお陰で随分と助かってるしな」
「後でちょっと話したいことがあるんだ」
「ああ。じゃあ、新居を案内した後でな」
「うん。今日も泊まらせてもらうし」
「お前、図々しいな」
「えぇ!」
雪野さんが笑った。
「しょうがねぇ。亜紀ちゃん!」
「はーい!」
「夕飯のメザシは変更だ。味噌汁も具は変えてくれ」
「えー! 折角雑草集めたのにー!」
「しょがねぇ。明日の晩にしてくれ」
「分かりましたー!」
雪野さんが大笑いした。
「メザシでも構いませんよ?」
早乙女も首を縦に振っている。
「そうですか。亜紀ちゃん、じゃあ予定通りだ! ああ、雪野さんは二匹な!」
「はい。じゃあ、私とタカさんで半分こでいいですか?」
「しょうがねぇ!」
「石神! 俺はメザシはいいよ!」
早乙女が慌てて言った。
「そうか?」
雪野さんが爆笑した。
食後のお茶を飲み、みんなで出掛けた。
うちから直線で300メートルほどだ。
歩いて1、2分。
高さ5メートルの塀に囲まれている。
塀は白い大谷石だ。
もちろん、内側には鋼鉄の補強がある。
高さ2メートルに溝が切ってあり、LEDの照明が入れてある。
夜はぼんやりと塀が照らされ、いい雰囲気になる。
道路から、建物の上部が見えている。
「おい、石神!」
「おう」
「なんだ、これは!」
二人が驚いている。
「お宅は何階建てですか、って聞かれてさ。「8階建てですよ」って答えるとカッコイイよな!」
「おい、お前!」
「地下は2階な」
「なんだと!」
二人が呆然としていた。
「ところでさ」
「あんだよ」
「まあ、大きい建物はまだ分かるよ」
「うん」
「隣にいる、あのでかいロボットはなんだ!」
家屋の脇に、全長8メートルの人型ロボットがいる。
全身が黒い金属で覆われ、数々の凶悪な武装がある。
顔も髑髏で、額からでかい角が生えている。
「防衛システムの一つな。俺と蓮花は「武神ピーポン」と名付けた」
「ぶしん……」
「大丈夫だよ。普段はただの置物に見えるから」
「……」
雪野さんが卒倒しそうになったので、俺は案内を途中でやめた。
一旦、俺の家に引き返した。
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