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マイクロビキニ

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 ロボは寒がりだ。
 ネコ全般がそうだから、別に何とも思わないが。

 しかし、夏場でも俺にくっついて寝たがるのは参る。
 俺が暑い。

 冷房を入れるとロボが寒がる。
 まあ、その微妙な加減で何とか二人でやってる。

 「お前よー。夏場はちょっと涼しいとこ探すのがネコなんじゃねぇの?」
 「にゃ!」

 俺に言われて驚く。
 まあ、ただのノリだが。

 俺は御堂家の防衛戦が終わり、一江に丸投げしていた仕事を頑張っていた。
 夜も遅い時間に帰ることが多い。
 ロボが寂しがって、家に戻ると余計にピッタリして来る。




 「ロボって、毛皮なのに寒がりですよね?」

 亜紀ちゃんが一緒に飲みながら言った。
 柳は今は実家に置いたままだ。
 双子も防衛任務で残している。
 皇紀は研究かイジリだ。
 亜紀ちゃんと二人で飲んでる。

 「そうだけどな。まあ、そういう体質なんだからみんなで気を遣ってやってくれ」
 「それはもちろんですが」

 亜紀ちゃんが自分のノートPCを持って来た。

 「タカさん、よくペットに服とか着せる人いるじゃないですか」
 「ああ、犬とか多いよな」
 「え、ネコって少ないんですか?」
 「ネコは嫌がることが多いんだよな。ほら、自分で毛づくろいとかよくするじゃない」
 「あー」

 「この首輪は気に入ってくれたけどよ。ほら、レッドダイヤモンドをぶら下げたら大変だったじゃん」
 「あー、柳さん、出血してましたよね?」
 「だろ?」

 ロボがぶん投げて柳が頭から血を流した。

 「早乙女をからかうために帽子をかぶせたけどよ」
 「やりましたよね!」
 「あの時も説得が大変だった」
 「そうなんですか」

 ロボは自分の話題なので、俺の隣の椅子に上がって来た。

 「何か着せるとまたカワイイんだろうけどな」
 「そうですよね」
 「真っ白の身体もカワイイけどな!」
 「にゃー」

 亜紀ちゃんが検索し始めた。

 「ほら、これなんてどうです?」
 「どれ」

 白いレースのドレスだった。

 「ああ、結婚したくなるな」
 「にゃ!」

 「このウサ耳帽子もいいな」
 「帽子なら受け入れてくれるかも!」
 
 「これは新選組かよ!」
 「ちょっとハードル高いですね」

 「グラサン!」
 「ギャハハハハ!」

 亜紀ちゃんと楽しんだ。

 「おい、これビキニだぞ!」
 「あ! いいですね!」
 「双子が持ってるよな?」
 「着せてみましょうか!」

 俺たちは笑いながら御堂家に行ってる双子の部屋に入った。

 《マイクロビキニ:超お気に入り》

 なんか衣装棚に貼ってある。
 二人で笑いながら引出しを出した。

 いろんな色のがあった。
 俺と亜紀ちゃんはショッキングピンクのものを持って降りた。

 「ロボー、ちょっと来い」

 椅子でウトウトしてたロボを呼んだ。
 トコトコ来る。

 「ちょっと着て見せてくれよ」

 亜紀ちゃんと二人で着せた。
 意外と大人しくされてる。

 ヒモ式なので、サイズはどうにでもなった。

 亜紀ちゃんと笑いを堪えてロボを褒め称えた。

 「ロボ! なんてカワイイんだ!」
 「ほんとほんと! すっごく似合ってるよ!」

 二人とも酔ってるので、悪ノリしてロボを褒めた。
 ロボはすっかりご機嫌になり、そのままジルバを踊った。
 最高に喜んでる証拠だ。

 そろそろ寝ようと言って、ロボのビキニを外そうとした。

 「ニャ!」
 
 ロボが嫌がる。

 「タカさん、エッチって言われてますよ」
 「なんだと! お前オッパイ一杯あるじゃんか!」
 「ギャハハハハハ!」
 「隠せてねぇだろう!」
 「ギャハハハハハ!」

 俺たちは笑って、今日はこのまま着せてやろうと言った。




 翌朝。
 ロボの叫ぶ声で目を覚ました。

 「どうした!」

 トイレ前のロボのトイレで、ロボが暴れていた。

 「あー」

 亜紀ちゃんも出て来た。

 「どうしたんですか!」

 俺は指さした。

 「あー」

 ロボが朝のウンチをしようとしたらしい。
 そうしたら、マイクロビキニが邪魔だったらしい。
 ビキニの内側でウンチが溜まってる。
 オシッコも。

 ロボが頭に来て、マイクロビキニを爪で引き裂いた。

 ビリビリ。

 俺は頭を撫でながら宥め、ビキニを外してやった。
 亜紀ちゃんがウェットティッシュで綺麗にしてやる。
 それでも臭いが付いてしまって、ロボの機嫌が悪い。
 俺は優しく撫でながら抱き上げ、シャワーで下半身を洗ってやった。
 暴れるロボを亜紀ちゃんが押さえた。

 超不機嫌だったが、二人でタオルで拭き、ドライヤーで乾かし、マグロを切ってやると、ようやく機嫌を直した。




 双子が帰って来た。
 俺がマイクロビキニを破いてしまったことを謝った。

 「なんでぇ! 勝手に出したの!」
 「すまん」
 「信じられない! どれよ!」
 
 俺はショッキングピンクの破片を見せた。

 「あぁー! これアク〇ドレスのオーダーメイドじゃん!」
 「もう二度と手に入らないんだよ!」
 「そうなのか」
 「タカさん! 絶対許さない!」
 「やっていいことと悪いことがあるんだからね!」

 いや、お前らだって散々。
 でも、俺が悪い。
 ひたすら謝った。

 「本当にすまん」
 「私たち! 御堂さんのとこで一生懸命防衛してたんだから!」
 「そうだよ。そうしたらタカさんがまさかこんなこと!」

 絶対大食いして楽しんでただけだろう。
 それに、お前ら、フェラーリぶっ壊したしリャドやジャコメッティも。

 「申し訳ない。俺が必ず満足するものを弁償する」




 
 俺は武市に頼んで、俺のデザインのものを作ってもらった。
 もちろん二人分だ。

 「トラさん、ほんとにこれ作るんですか?」
 「ああ、頼むよ。お前のとこの商品じゃないんだけどなぁ」
 「いいっすけど。でも、これって」
 「たのむよー!」
 「わ、わかりました!」

 数日後、武市が送ってくれた。

 真っ白のマイクロビキニ。
 股間に激しい陰毛が付いている。
 
 二人に見せた。

 「「ギャハハハハハハ!」」

 気に入ってくれた。
 



 下品な奴らで良かった。 
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