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挿話: オッパイ「独白」

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 私は花岡栞のオッパイだ。
 名前はまだ無い。

 超大型種だ。
 13歳から急激に大きく成長した。
 下着のサイズがみるみる変わった。

 「あらあら」

 栞の母親が驚いていた。
 父親は笑っていた。
 じじぃは何も無かった。

 「ふん!」

 108センチ・Iカップ。
 それが私の性能だ。
 星人用語で「魔乳」というのが二つ名だ。
 私の特殊能力、それはすべてのオチンチンをおっきさせることが出来る。

 ただ、困ったことが起きた。

 「おとうさーん! 「螺旋花」を横にだせないよー!」
 「なんだって?」

 栞は右手で左側に「螺旋花」を撃とうとした。
 私に邪魔されて左45度にしか撃てなかった。

 「うーん」
 「こまったよー」

 父親は思い切り、栞の右手を私に押し込んだ。

 《むにゅ》

 「ほら! 出来るじゃないか!」
 「やーらかくてよかったー!」

 栞も喜んだ。
 私もちょっと気持ち良かった。




 栞が高校生になった。
 女子高だった。
 クラスメイトによく言われた。

 「はぁー。栞のおっきいよね」
 「そうかなー?」

 分かってるくせに、いつもそう言っていた。

 「ちょっと触らせて」
 「やだー!」

 そう言いながら触らせる。

 「なんだよ、ちきしょー!」
 「なによー!」

 気持ち良かった。

 確かに、私よりも大きな仲間を見たことは無かった。
 栞も様々な資料を集めて研究していた。

 『プレイボーイ(海外版)』
 『月刊・巨乳』
 『おっぱい星人あつまれ!』
 『乳帰る』

 部屋で資料を見つけた母親が泣いた。

 


 学校から帰ると、毎日道場で子どもたちの練習を見る。
 父親と一緒だ。

 「栞せんせー!」
 「はーい!」
 「オッパイおっきーね!」
 「こら!」

 道場では晒を巻くようになった。
 異常に胸部がたくましい先生になった。
 下着とTシャツに戻した。

 電車の中でよく痴漢に遭った。

 「なにするのよー!」

 《ぽきぽき》

 高校卒業までに、390本折った。
 ポッキー巨乳と噂になった。
  
 「やめとけよ! また折られるぞ!」
 「いいんだ! あの乳に触れるなら!」
 
 《ぽきぽき》

 「触れねーじゃん」
 「つ、つぎこそは……」
 「おい! 首がヘンな方に曲がってるぞ!」
 「……」

 一応生きてた。

 


 基本、能天気な女だったが、勉強は出来た。
 東京大学医学部現役合格。
 花岡家で合格祝いをした。

 「東京じゃ、あんまりポキポキしないでね」
 
 母親が真剣な顔で言った。

 「そうだぞ。こっちと違って、うちの権力もあんまり及ばないんだからな」
 「大丈夫だよ」

 あんまり悩まない女だった。
 まあ、あんまりポキポキはしなかった。
 暗殺拳の家だったが、それは隠して清楚な大人しい女を演じていた。

 そんなことよりも、栞は一人の男と出会った。

 親しい友人となった紺野奈津江の彼氏だった。
 実はそれ以前から知っていた。
 大学内で異常に目立つ男。
 いつも大勢の女に取り囲まれている。
 甘いマスクでありながら、野性的でもある精悍な顔。
 身長187センチの長身。
 逞しい身体。
 そして栞だけが感ずる、危険な香り。

 (只者じゃないわ、この人)

 栞も一目惚れだった。
 しかし、その男・石神高虎は、親友の奈津江と付き合い始めた。
 それを近くで見ていることしか出来なかった。
 二人の絆に、入り込むことは出来なかった。

 石神は、時々喧嘩をした。
 よく来るK大学の応援団、居酒屋で、街で、本当にトラブルに巻き込まれる。
 そして、その度に華麗なダンスのように戦い、瞬時に相手を叩き伏せる。
 栞はその強さと美しさに、また一層魅かれた。




 大学を卒業し、石神とは別な病院に勤め始めた。
 だが、突然石神が自分と同じ病院に来た。
 栞は狂喜した。

 それでも、石神に思いを打ち明けることは出来なかった。
 親友・奈津江のことを今でも思っている石神に打ち明けて拒絶されれば、二度と石神に近づくことは出来なくなる。
 
 それが一変した。
 友人となった一江の後押しで、石神に思いを打ち明け、受け入れられた。

 「栞は決戦兵器があるんだから!」

 私もうなずいた。
 少し重力に負けて来たが、私は尚、「魔乳」の力を存分に振るうことが出来たからだ。
 石神も以前から栞に魅かれていたと言い、栞は泣いて喜んだ。

 「挟んであげようか?」
 「ほんとうか!」

 石神が喜んだ。
 私に挟まれるのが夢だったと言った。

 《むにゅ……もみもみ》

 「どう?」
 「うーん」
 「どうなの!」
 「あんまり気持ちよくないな」
 「エェー! 頑張ったのに!」
 「悪い。想像してたのと違った」
 「そんなー!」
 「でもさ」
 「なに!」
 「やっぱエッチで燃えるわ!」
 「ほんとに!」
 「ああ。なんか、してもらってる感が凄いよ」
 「やったぁー!」

 ちょっと微妙だった。
 まあ、いっか。

 石神はお風呂が大好きで、栞と一緒に入るのも好きだった。
 私を特に念入りに洗う。

 「やーん!」
 「ワハハハハハ!」

 楽しそうで、私も気持ちいい。
 むにゅっとしながら、私の先端をコロコロする。
 栞も嬉しそうだ。

 湯船に浮かぶ私をポフポフするのが、石神の大好物だった。

 「おい、浮かんでるぞ!」
 「そりゃそーだよー」
 「ポフポフしていい?」
 「うん!」

 《ぽふぽふ》

 「ウフフフ」
 「ワハハハハハ!」

 楽しそうだ。

 


 石神には、栞以外に複数の交際する女がいた。
 私は「超大型種」としての自信に満ち溢れていたが、少々心配になってきた。
 六花は「大型種」だが、他の女は「小型種」だったからだ。
 石神は、「魔乳」に魅入られたのではないのか?

 私は初めて「超高速オッパイ通信」を使った。

 「もしもしパイパイ」
 「はいはいパイパイ」
 「こちら花岡栞オッパイですが」
 「はい、超高級山形牛オッパイですよー」
 「実は悩みがありまして」

 私は、オッパイの権化と言われる山形牛オッパイさんに相談した。

 「そうですかー。でも、オッパイは大きさではなく、総合的な魅力の一部ですからね」
 「そうなんですか!」
 「もちろん、その中でも大きな魅力にはなりますが、残念ながら、それだけではありません」
 「残念です」
 「気を落とさないで下さい。また何かありましたら、いつでも相談に乗りますからね」
 「ありがとうございます。ではバイバイパイパイ!」
 「バイバイパイパイ!」




 その後、栞は妊娠した。
 私の中で、ある変化が起こった。
 士王ちゃんが生まれた。

 「さあ、士王。一杯飲むんでちゅよー」

 カワイイ士王ちゃんは私の先端に口を付けた。
 私の中から、「愛」が溢れ出した。

 「まあ、一杯飲みまちゅねー」

 栞は本当に嬉しそうだった。
 私はその時に気付いた。
 私の存在意義に。

 私たちは、愛の体現のために存在しているのだ!
 愛する者を喜ばせ、愛する子の命を繋ぐ!
 愛なのだ!

 「超高速オッパイ通信」を使った。

 「もしもしパイパイ!」
 「はいはいパイパイ」

 「山形牛オッパイさん! 私、自分の存在の意味が分かりました! 愛のためだったんですね!」
 「おめでとうございます。これであなたも「クイーン・オッパイ」の道に入られたんですね」
 「なんですか、それは?」
 「オッパイの中のオッパイ、オッパイの最高峰です」
 「そうなんですか!」

 「これからも、鍛錬に励んで下さい!」
 「分かりました!」

 「それでは、バイバイパイパイ」
 「バイバイパイパイ!」





 石神が士王ちゃんが美味しそうに私を吸っているのを、優しく微笑みながら眺めていた。

 「けぷ」
 「おう、カワイイなぁ」
 「そうだよね」

 「じゃあ、俺も」
 「もう、ちょっとだけだからね!」

 《ちゅうちゅう》

 「あん」
 「ああ、こんな味だったか。なんか懐かしいな!」
 「もう、しょうがない人ね」

 二人が笑い合った。
 士王ちゃんも、満足げに目を閉じて微笑んでいた。





 愛が確かにここにある。
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