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宇宙人、来ました
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麗星をベッドへ運び、オッパイを3回ポフポフしてから布団を掛けてやった。
美しい寝顔でスヤスヤ寝ている。
流石に疲れた。
亜紀ちゃんと柳がちょっと飲もうと誘ってきた。
二人につまみとロボのおやつを作らせ、俺は先に飲み始める。
「麗星さん、相変わらずですね」
亜紀ちゃんがちょっと笑って言った。
「まあな。悪い人ではないんだけど、ちょっとなぁ」
「アハハハハ!」
柳も笑いながら、ロボのササミを焼いている。
「明日お帰りですか?」
「まあ、それでもいいんだがな。でも折角来てくれたんだ。少しは歓待させて欲しいよなぁ」
「麗星さんは、タカさんとエッチなことをしたいだけですよね?」
「そうでもねぇさ。まあ、それもあるんだろうけどな」
柳が焼いたササミをロボの皿に乗せた。
「おい、ちょっと冷ましてやらないと……」
「フッシャー!」
遅かった。
柳はロボのカエル跳びアッパーを顎に喰らい、のけぞっていた。
亜紀ちゃんがササミをフーフーして冷ましてやった。
「柳、大丈夫か?」
「はい。咄嗟にスェイバックで」
ロボが柳をじっと見ていた。
柳が床に倒れて見せると、満足してまたササミに戻った。
「今日な、麗星さんに銀座のミキモト本店に入ってもらったんだよ」
「そうなんですか」
「好きなものを選んでくれって言ってな。俺はその間にハマーを取りに行って」
「何を買われたんですか?」
「それがな、何もいらないってさ。俺はせめてもの御礼にと思ったんだがなぁ」
「へぇー」
亜紀ちゃんと柳が不思議がっている。
「真珠なんかは、流石にいいものが揃っているはずなんだけどな」
「遠慮したんでしょうか?」
「おい、亜紀ちゃん。麗星さんだぞ?」
「あー」
三人で笑った。
しばらく三人で話しながら酒を飲んだ。
その時、突然窓の外が眩しい光に覆われた。
「タカさん!」
「待て! 殺気はねぇ。でも注意しろ!」
「はい!」
しかし、うちの庭は一体どうなってやがんだ
「柳!」
「はい!」
「他の子どもたちを連れて来い!」
「分かりました!」
俺は鏡を持って来て、窓の外を見た。
光は少し弱まっている。
庭に、何かいるのが分かった。
皇紀と双子もリヴィングに来た。
ロボもササミを食べ終わり、窓を見ている。
俺は先頭に立ち、子どもたちに後ろから付いて来るように言った。
1階に降り、ウッドデッキの窓を開けて外へ出る。
上空から光が真直ぐに伸びていた。
5メートルほどの円に照らされ、その中に5人の人影が見えた。
小さい。
子どものようだ。
俺は気配を殺して近づいた。
光が更に弱まり、5体の銀色の全身タイツのようなスーツを着た、奇妙な連中が見えた。
目が異常に大きい。
仮面を被っているのか。
「おい!」
俺が声を掛けると、5人が一斉に振り向いた。
やはり殺気はない。
ロボがトコトコと、俺の傍に寄って来る。
「なんだ、お前ら?」
《我々ハ、アル存在ノ調査ノタメニ来タ》
テレパシーだった。
「どこからだ?」
一人が空を指差した。
「やっぱ?」
5人が俺とロボを見て慌ただしくなった。
顔を突き合わせ、相談しながら驚いている。
《ヤハリ、ソウダ! アレハ「#$%&%$」ダ!》
《シカシ、マサカ「#$%&%$」ガアノヨウナさいずデ収マッテイルナンテ!》
《「#$%&%$」ヲ見クビルナ! 我々ノ常識ハ通用シナイゾ!》
《デモ、アレハドウ見テモ地球ノ生命体デハナイカ!》
《確カニソウダガ……ダガ相当ナえねるぎーヲ感ジルゾ》
あれこれと話し合っている。
一部聞き取れないというか、理解出来ない。
ロボのことを指しているらしいが。
「あの、どういう用でうちに?」
《黙レ、原始人!》
「あんだと!」
《待テ! 「#$%&%$」ハコノ人間ニ興味ガアルヨウダゾ! 信ジラレナイ!》
《本当ダ! 「#$%&%$」カラ強烈ナはーもにーヲ感ジル!》
「なんなんだよ?」
《オ前ハ、「#$%&%$」トドウイウ関係ナノダ?》
「だから、さっきからその言葉が聞き取れないんだよ!」
《アア。「#$%&%$」ハ我々トハ次元ガ違ウ存在ダカラナ。オ前タチノ言葉デ言ト、ソウダナ、「宇宙龍」トデモナルカ》
「はい?」
《宇宙ノ支配者ト言ッテモイイ。実際、過去ニ宇宙ノ殆ドヲ消滅サセタコトモアルシナ》
「何言ってんの?」
《オ前タチト敵対スルツモリハナイ。タダ、確認シニ来タダケダ》
「そうなのかよ」
《ダカラ、オ前ト「#$%&%$」ノ関係ヲ教エテホシイ》
「関係っていってもなぁ。飼い主?」
《!》
俺も警戒を緩めた。
確かに、嘘は無さそうだった。
言っていることは納得出来なかったが。
宇宙人(?)たちが俺を観察した。
《アア、オ前モ只者デハナイノダナ。ナルホド、少シ分カッタ》
《使命者カ。「#$%&%$」モソレデ興味ヲ持ッタカ》
後ろに子どもたちも出て来た。
会話を聞き、危険が無いと分かったのだろう。
《「#$%&%$」ハ、先ホドモ話シタ通リ、絶大ナ力ヲ持ッテイル。ダカラ常ニ居場所ト状況ヲ把握スル必要ガアルノダ》
《長ラク行方ガ知レナカッタ。漸ク見ツケタ》
《マサカ、コレホド小サナ者ニナッテイルトハ》
ロボは大きいが。
可愛らしいが。
《コノさいずナラバ、運ベルカモシレナイ》
《ソウダナ。初メテ捕獲デキルカモシレナイ》
「やめておけよ。俺たちも黙ってねぇしな」
《フン。オ前タチニ何ガデキル》
一体が口を開けて笑ったような顔をした。
そして上空を指差した。
《アノ母船ノ大キサガ分カルカ?》
《コノ星ナド、瞬キスル間ニ破壊デキルノダゾ?》
「何だと?」
《マア、落チツケ。我々ニソノヨウナ意志ハナイ》
《大人シク見テイロ》
二体がロボに近づいた。
両手が振動している。
何か特殊な技のようだった。
ロボが、「爪」を伸ばし、一体の頭を突き刺した。
「!」
《気ヲツケロ!》
倒れた仲間を、もう一体が抱き上げた。
《死ンデイル!》
四体が腰から銃のようなものを取り出した。
急展開過ぎだ。
「こ、殺せー!」
俺は叫んだ。
全員が四体に向けて「虚震花」を放った。
「!」
レジストされた。
俺が飛び込み、亜紀ちゃんも後ろから来た。
「螺旋花」を撃ち込んで行くが、あまり効果はない。
だが、俺たちも斃されることはない。
俺は家の中に入り、「虎王」を取りに行く。
子どもたちが必死に応戦する。
三階の俺の部屋のテラスから庭に飛び降りた。
「全員離れろ!」
子どもたちが一斉に散る。
「虎王」が紫色に光り、宇宙人たちを次々に斬り裂いて行った。
「タマ!」
「なんだ」
「魔法陣の記憶を戻せ!」
「分かった」
「ルー、ハー!」
「「はい!」
「魔法陣を使って、上空の母船に最大の「ブリューナク」を撃て!」
「「はい!」」
ハーが躊躇なく魔法陣を構築する。
ルーがその中心に「ブリューナク」を放った。
魔法陣の向こう側で、直径数キロに及ぶ激しい光の柱が昇って行った。
「ロボ! 「頑張ればーん」だぁ!」
ロボが5メートルの大きさになる。
時空の裂け目から、無数の目が付いたヤギのような顔が出て来る。
ロボの光球がぶち当たり、後ろに倒れたと同時に、時空の裂け目が塞がった。
いつもの夜の景色に戻った。
リヴィングに全員が集まった。
俺は亜紀ちゃんにコーヒーを淹れるように言った。
「なんだったんですか、あれ」
「俺に聞くな!」
柳に怒鳴る。
「殺しちゃいましたよね」
「……」
亜紀ちゃんが全員にコーヒーを配る。
「タカさん、どうなるんですかね」
「知るか!」
「地球を簡単に壊せるとか言ってましたが」
「そうかよ!」
俺は不貞腐れていた。
「タカさーん」
「あんだよ」
ルーが聞いて来た。
「さっき思い出したけど、あれって」
「お前らが独自に作った魔法陣な。あれ、強烈すぎて異次元の怪物が出てくんだよ」
「そうなんだ」
「だから記憶を消していた。でも、しばらくは使えるようにしねぇとな」
「うん」
「俺の許可なく絶対に使うなよ! あれはロボ以外対処できねぇ」
「分かった」
魔法陣の問題も厄介だ。
俺はハーに、明日俺にも教えるように言った。
「母船って、どうなったんでしょうか」
「さあな。無事だったら襲って来てると思うけどな」
「そうですよね」
「殺っちゃったもんね」
「そうだよなぁ」
ロボがササミの残りを食べていた。
俺の方を見たが、また皿に顔を戻す。
こいつめ。
「仲間とか来ますかね?」
「友達少なそうだったぞ」
「分かるんですか!」
「アハハハハ」
言うしかねぇ。
コーヒーを飲み終え、解散した。
考えてもしょうがない。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「超空間通信入電!」
「「#$%&%$」ヲ確認ニ行ッタ連中カ」
「まざーしっぷ大破! くるーノ一部ガ辛クモ脱出シマシタ。救援ヲ求メテイマス」
「ダカラヤメテオケト言ッタノダ。「#$%&%$」ハ危険過ギル」
遠い果ての宇宙で、「#$%&%$」の調査の打ち切りが決まった。
地球への接近も禁じられた。
その後、地球のデータの一部が届いた。
「何ダ、コレハ! 「#$%&%$」ダケデハナイ! 恐ロシイ存在ガ幾ツモイルデハナイカ!」
「地上ニ降リタ連中ハ、謎ノ兵器デ斬リ裂カレタヨウデス」
「信ジラレン。アノすーつヲ斬ルナドト……」
「攻撃ハ……」
「ヤメテオケ。「#$%&%$」ノ逆襲デ、宇宙ガ消滅スルカモシレナイ」
「ソウデスヨネ」
「ドコカノあほうガ、アノ星ニ隕石ヲブツケヨウトした」
「ソウナンデスカ!」
「モノノ見事ニ消滅サセラレタ。「#$%&%$」デハナイ存在ニヨッテダ」
「ソレハ……」
「絶対ニ手出シシテハナラン」
「ハイ!」
大銀河連合のトップたちによって、「#$%&%$」に気に入られた「宇宙で最も恐ろしい星」と認定された。
地球の生命体と一緒にいる「#$%&%$」が幸せそうだと指摘した研究者もいたが、一笑に付された。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
その翌週。
ミキモトからうちに請求書が届けられた。
家に帰った俺に、ハーが持って来た。
俺は封筒を開いた。
「……」
「タカさん、どうしたの?」
「あいつ」
「え?」
「あいつ、ケース買いをしてやがった」
「はい?」
300点以上のパールのあれこれ。
ショーケースごと選んで買ったらしい。
総額、2億3000万円。
入金の後に、指定の場所へ届けると書いてあった。
「アハハハハハハ!」
「タカさん!」
「麗星さんが、遠慮しなくて良かった」
「エェー!」
ハーに、すぐに振り込み手続きをさせた。
美しい寝顔でスヤスヤ寝ている。
流石に疲れた。
亜紀ちゃんと柳がちょっと飲もうと誘ってきた。
二人につまみとロボのおやつを作らせ、俺は先に飲み始める。
「麗星さん、相変わらずですね」
亜紀ちゃんがちょっと笑って言った。
「まあな。悪い人ではないんだけど、ちょっとなぁ」
「アハハハハ!」
柳も笑いながら、ロボのササミを焼いている。
「明日お帰りですか?」
「まあ、それでもいいんだがな。でも折角来てくれたんだ。少しは歓待させて欲しいよなぁ」
「麗星さんは、タカさんとエッチなことをしたいだけですよね?」
「そうでもねぇさ。まあ、それもあるんだろうけどな」
柳が焼いたササミをロボの皿に乗せた。
「おい、ちょっと冷ましてやらないと……」
「フッシャー!」
遅かった。
柳はロボのカエル跳びアッパーを顎に喰らい、のけぞっていた。
亜紀ちゃんがササミをフーフーして冷ましてやった。
「柳、大丈夫か?」
「はい。咄嗟にスェイバックで」
ロボが柳をじっと見ていた。
柳が床に倒れて見せると、満足してまたササミに戻った。
「今日な、麗星さんに銀座のミキモト本店に入ってもらったんだよ」
「そうなんですか」
「好きなものを選んでくれって言ってな。俺はその間にハマーを取りに行って」
「何を買われたんですか?」
「それがな、何もいらないってさ。俺はせめてもの御礼にと思ったんだがなぁ」
「へぇー」
亜紀ちゃんと柳が不思議がっている。
「真珠なんかは、流石にいいものが揃っているはずなんだけどな」
「遠慮したんでしょうか?」
「おい、亜紀ちゃん。麗星さんだぞ?」
「あー」
三人で笑った。
しばらく三人で話しながら酒を飲んだ。
その時、突然窓の外が眩しい光に覆われた。
「タカさん!」
「待て! 殺気はねぇ。でも注意しろ!」
「はい!」
しかし、うちの庭は一体どうなってやがんだ
「柳!」
「はい!」
「他の子どもたちを連れて来い!」
「分かりました!」
俺は鏡を持って来て、窓の外を見た。
光は少し弱まっている。
庭に、何かいるのが分かった。
皇紀と双子もリヴィングに来た。
ロボもササミを食べ終わり、窓を見ている。
俺は先頭に立ち、子どもたちに後ろから付いて来るように言った。
1階に降り、ウッドデッキの窓を開けて外へ出る。
上空から光が真直ぐに伸びていた。
5メートルほどの円に照らされ、その中に5人の人影が見えた。
小さい。
子どものようだ。
俺は気配を殺して近づいた。
光が更に弱まり、5体の銀色の全身タイツのようなスーツを着た、奇妙な連中が見えた。
目が異常に大きい。
仮面を被っているのか。
「おい!」
俺が声を掛けると、5人が一斉に振り向いた。
やはり殺気はない。
ロボがトコトコと、俺の傍に寄って来る。
「なんだ、お前ら?」
《我々ハ、アル存在ノ調査ノタメニ来タ》
テレパシーだった。
「どこからだ?」
一人が空を指差した。
「やっぱ?」
5人が俺とロボを見て慌ただしくなった。
顔を突き合わせ、相談しながら驚いている。
《ヤハリ、ソウダ! アレハ「#$%&%$」ダ!》
《シカシ、マサカ「#$%&%$」ガアノヨウナさいずデ収マッテイルナンテ!》
《「#$%&%$」ヲ見クビルナ! 我々ノ常識ハ通用シナイゾ!》
《デモ、アレハドウ見テモ地球ノ生命体デハナイカ!》
《確カニソウダガ……ダガ相当ナえねるぎーヲ感ジルゾ》
あれこれと話し合っている。
一部聞き取れないというか、理解出来ない。
ロボのことを指しているらしいが。
「あの、どういう用でうちに?」
《黙レ、原始人!》
「あんだと!」
《待テ! 「#$%&%$」ハコノ人間ニ興味ガアルヨウダゾ! 信ジラレナイ!》
《本当ダ! 「#$%&%$」カラ強烈ナはーもにーヲ感ジル!》
「なんなんだよ?」
《オ前ハ、「#$%&%$」トドウイウ関係ナノダ?》
「だから、さっきからその言葉が聞き取れないんだよ!」
《アア。「#$%&%$」ハ我々トハ次元ガ違ウ存在ダカラナ。オ前タチノ言葉デ言ト、ソウダナ、「宇宙龍」トデモナルカ》
「はい?」
《宇宙ノ支配者ト言ッテモイイ。実際、過去ニ宇宙ノ殆ドヲ消滅サセタコトモアルシナ》
「何言ってんの?」
《オ前タチト敵対スルツモリハナイ。タダ、確認シニ来タダケダ》
「そうなのかよ」
《ダカラ、オ前ト「#$%&%$」ノ関係ヲ教エテホシイ》
「関係っていってもなぁ。飼い主?」
《!》
俺も警戒を緩めた。
確かに、嘘は無さそうだった。
言っていることは納得出来なかったが。
宇宙人(?)たちが俺を観察した。
《アア、オ前モ只者デハナイノダナ。ナルホド、少シ分カッタ》
《使命者カ。「#$%&%$」モソレデ興味ヲ持ッタカ》
後ろに子どもたちも出て来た。
会話を聞き、危険が無いと分かったのだろう。
《「#$%&%$」ハ、先ホドモ話シタ通リ、絶大ナ力ヲ持ッテイル。ダカラ常ニ居場所ト状況ヲ把握スル必要ガアルノダ》
《長ラク行方ガ知レナカッタ。漸ク見ツケタ》
《マサカ、コレホド小サナ者ニナッテイルトハ》
ロボは大きいが。
可愛らしいが。
《コノさいずナラバ、運ベルカモシレナイ》
《ソウダナ。初メテ捕獲デキルカモシレナイ》
「やめておけよ。俺たちも黙ってねぇしな」
《フン。オ前タチニ何ガデキル》
一体が口を開けて笑ったような顔をした。
そして上空を指差した。
《アノ母船ノ大キサガ分カルカ?》
《コノ星ナド、瞬キスル間ニ破壊デキルノダゾ?》
「何だと?」
《マア、落チツケ。我々ニソノヨウナ意志ハナイ》
《大人シク見テイロ》
二体がロボに近づいた。
両手が振動している。
何か特殊な技のようだった。
ロボが、「爪」を伸ばし、一体の頭を突き刺した。
「!」
《気ヲツケロ!》
倒れた仲間を、もう一体が抱き上げた。
《死ンデイル!》
四体が腰から銃のようなものを取り出した。
急展開過ぎだ。
「こ、殺せー!」
俺は叫んだ。
全員が四体に向けて「虚震花」を放った。
「!」
レジストされた。
俺が飛び込み、亜紀ちゃんも後ろから来た。
「螺旋花」を撃ち込んで行くが、あまり効果はない。
だが、俺たちも斃されることはない。
俺は家の中に入り、「虎王」を取りに行く。
子どもたちが必死に応戦する。
三階の俺の部屋のテラスから庭に飛び降りた。
「全員離れろ!」
子どもたちが一斉に散る。
「虎王」が紫色に光り、宇宙人たちを次々に斬り裂いて行った。
「タマ!」
「なんだ」
「魔法陣の記憶を戻せ!」
「分かった」
「ルー、ハー!」
「「はい!」
「魔法陣を使って、上空の母船に最大の「ブリューナク」を撃て!」
「「はい!」」
ハーが躊躇なく魔法陣を構築する。
ルーがその中心に「ブリューナク」を放った。
魔法陣の向こう側で、直径数キロに及ぶ激しい光の柱が昇って行った。
「ロボ! 「頑張ればーん」だぁ!」
ロボが5メートルの大きさになる。
時空の裂け目から、無数の目が付いたヤギのような顔が出て来る。
ロボの光球がぶち当たり、後ろに倒れたと同時に、時空の裂け目が塞がった。
いつもの夜の景色に戻った。
リヴィングに全員が集まった。
俺は亜紀ちゃんにコーヒーを淹れるように言った。
「なんだったんですか、あれ」
「俺に聞くな!」
柳に怒鳴る。
「殺しちゃいましたよね」
「……」
亜紀ちゃんが全員にコーヒーを配る。
「タカさん、どうなるんですかね」
「知るか!」
「地球を簡単に壊せるとか言ってましたが」
「そうかよ!」
俺は不貞腐れていた。
「タカさーん」
「あんだよ」
ルーが聞いて来た。
「さっき思い出したけど、あれって」
「お前らが独自に作った魔法陣な。あれ、強烈すぎて異次元の怪物が出てくんだよ」
「そうなんだ」
「だから記憶を消していた。でも、しばらくは使えるようにしねぇとな」
「うん」
「俺の許可なく絶対に使うなよ! あれはロボ以外対処できねぇ」
「分かった」
魔法陣の問題も厄介だ。
俺はハーに、明日俺にも教えるように言った。
「母船って、どうなったんでしょうか」
「さあな。無事だったら襲って来てると思うけどな」
「そうですよね」
「殺っちゃったもんね」
「そうだよなぁ」
ロボがササミの残りを食べていた。
俺の方を見たが、また皿に顔を戻す。
こいつめ。
「仲間とか来ますかね?」
「友達少なそうだったぞ」
「分かるんですか!」
「アハハハハ」
言うしかねぇ。
コーヒーを飲み終え、解散した。
考えてもしょうがない。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「超空間通信入電!」
「「#$%&%$」ヲ確認ニ行ッタ連中カ」
「まざーしっぷ大破! くるーノ一部ガ辛クモ脱出シマシタ。救援ヲ求メテイマス」
「ダカラヤメテオケト言ッタノダ。「#$%&%$」ハ危険過ギル」
遠い果ての宇宙で、「#$%&%$」の調査の打ち切りが決まった。
地球への接近も禁じられた。
その後、地球のデータの一部が届いた。
「何ダ、コレハ! 「#$%&%$」ダケデハナイ! 恐ロシイ存在ガ幾ツモイルデハナイカ!」
「地上ニ降リタ連中ハ、謎ノ兵器デ斬リ裂カレタヨウデス」
「信ジラレン。アノすーつヲ斬ルナドト……」
「攻撃ハ……」
「ヤメテオケ。「#$%&%$」ノ逆襲デ、宇宙ガ消滅スルカモシレナイ」
「ソウデスヨネ」
「ドコカノあほうガ、アノ星ニ隕石ヲブツケヨウトした」
「ソウナンデスカ!」
「モノノ見事ニ消滅サセラレタ。「#$%&%$」デハナイ存在ニヨッテダ」
「ソレハ……」
「絶対ニ手出シシテハナラン」
「ハイ!」
大銀河連合のトップたちによって、「#$%&%$」に気に入られた「宇宙で最も恐ろしい星」と認定された。
地球の生命体と一緒にいる「#$%&%$」が幸せそうだと指摘した研究者もいたが、一笑に付された。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
その翌週。
ミキモトからうちに請求書が届けられた。
家に帰った俺に、ハーが持って来た。
俺は封筒を開いた。
「……」
「タカさん、どうしたの?」
「あいつ」
「え?」
「あいつ、ケース買いをしてやがった」
「はい?」
300点以上のパールのあれこれ。
ショーケースごと選んで買ったらしい。
総額、2億3000万円。
入金の後に、指定の場所へ届けると書いてあった。
「アハハハハハハ!」
「タカさん!」
「麗星さんが、遠慮しなくて良かった」
「エェー!」
ハーに、すぐに振り込み手続きをさせた。
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