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NY Passion Ⅵ

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 ロックハート家に戻って、俺は風呂を頂いた。
 亜紀ちゃんと柳が入っていた。

 「あ、悪い! 後にするわ」
 「何言ってんですかぁ! さぁ!」

 俺は笑って風呂場に入った。

 「わたくしもー!」
 「後にしてください!」
 
 麗星が来て亜紀ちゃんに断られる。
 俺は笑って、入れてやれと言った。

 四人で背中を流し合う。
 麗星、俺、亜紀ちゃん、柳。
 一通り洗い、反対を向く。

 「おい、向こうを向けよ」
 「……」

 麗星が俺の方を見ている。
 下を見てニコニコした。
 頭を引っぱたいた。

 四人で湯船に浸かった。

 「士王ちゃん、可愛かったですね!」
 「そうか」
 
 亜紀ちゃんが思い出したのか、ニコニコしていた。

 「石神さん、そっくりでしたよね!」
 「そうか?」

 柳が同じくニコニコして言う。

 「いつかわたくしも!」
 「「「ワハハハハハ!」」」

 取り敢えず笑った。

 「そういえば、最近は「オチンチン花岡」は無いんですか?」
 
 亜紀ちゃんが言う。

 「お前、俺を舐めるなよな」
 「え! あるんですか!」
 「フフフフフ」

 俺は浴槽から出て、照明を消した。

 「レッドダイヤモンド・ボール!」

 タマタマが赤く光る。

 「「「ギャハハハハハハハ!」」」

 照明を戻した。

 「凄いですね! どうやるんですか!」
 「あれはな、難しいんだ」
 「そうでしょうね!」
 「相当鍛錬した。まあ、お前らには永遠に出来ないけどな」
 「「「アハハハハハハ!」」」

 麗星も大笑いだった。
 亜紀ちゃんが自分も何かやると言うので、必死に止めた。

 


 風呂から上がり、アルと静江さんに誘われて少し飲んだ。
 亜紀ちゃん、柳、麗星も来る。
 ロドリゲスが遅い時間にも関わらず、酒肴を用意してくれた。
 アサリのバター炒め、魚介のマリネ、マッシュルームとホワイトアスパラのアヒージョ、生ハムとフルーツ各種等々。

 酒は俺が贈った山田錦だ。

 「このお酒がすっかり気に入りまして。アルもなんですよ?」
 「それは良かった」

 柳はチェイサーとして炭酸レモネードをもらう。
 麗星は遠慮なく、生ハムをメロンやイチゴなどを巻いてどんどん食べていた。

 「タカトラ、明日も日中は会って欲しい人間がいるんだ」
 「ああ、構わない。俺もそのために来ているしな」
 「すまない。本当はアラスカへ行く前に済ませておきたかったんだが」
 「仕方ないよ。それでどういう人間なんだ?」

 アルは、研究機関の人間なのだと言った。
 俺のために、幾つかの優秀な研究機関を探してくれたようだ。

 「もう少し先になると思っていたんだが、予想外に先方が乗り気でね。タカトラが凶悪なテロ組織と戦うと聞いて、是非協力したいのだと」
 「それは有難い! アル、本当に世話になるな」
 「とんでもない、こっちこそだよ」

 静江さんは、響子が想像以上に元気なことに喜んでいた。

 「ああ、身体も成長してきて。第二次性徴も始まりましたから」
 「タカさんが、響子ちゃんの「おケケ日記」を作ろうとしたんですよ!」

 亜紀ちゃんの頭を引っぱたいた。
 静江さんはしばらく分からなかったようだが、やがて大笑いした。
 アルに耳打ちしている。
 アルも笑った。

 「響子は本当に楽しくやってるんだね」
 「いや、あのな、冗談で言ったんだからな!」
 「えー! でも写真撮ってましたよね!」
 「もうやめろ!」

 みんなで笑った。

 「六花さんも、本当に良くしてくれてるようで。響子が石神さんと六花さんのことばかり話すんです」
 「六花は本当にやってくれてますよ。休日は休めと言っているのに、しょっちゅう響子の部屋に行って。響子が寂しがってるんじゃないかと」
 「そうなんですってね」
 「あいつは俺のために何でもしてくれてますけど、響子に関してだったら俺にも逆らいますよ」
 「そうですか」

 静江さんは嬉しそうに微笑んだ。

 「でも、タカトラも響子のためにいろいろしてくれてるんだろ?」
 「そりゃ、ヨメですからね。でも最近本当に成長しちゃって。なかなか騙されなくなりましたよ」
 「アハハハハハ!」
 「こないだも、「チャーハンを食べる時には、ちゃんとパンツを脱げ!」って言っても、もう脱ぎませんからね」
 「おい、タカトラ!」

 静江さんが大笑いした。
 アルも苦笑する。

 「ルーとハーはちゃんと脱ぎますもんね!」
 「そうだよな!」

 爆笑された。

 「わたくしもー!」

 麗星の頭を引っぱたいた。

 「柳はこないだ夜這いしてきて」
 「やめてくださいよー!」

 静江さんがアルに説明している。

 「みんなで六花の友達の所に泊めてもらったんですよ。でかいベッドがあって、朝起きたら反対側にこいつが寝てて」
 「石神さん!」
 「後でなんだったんだって聞いたら、夜這いに来たけど勇気が無くてそこで寝たんだって!」

 みんなで爆笑した。

 「もうやめてくださいー!」
 「こいつの親が俺の親友なんで、話したら笑ってました」
 「ほんとにもうー!」

 柳が真っ赤になっている。

 「翌日に、俺の隣で寝かせたら、もうコチンコチンで朝まで何にもしないんですからね」
 「出来るわけないじゃないですか!」
 「なんか、スヤスヤ寝てたよな」
 「嬉しかったんです!」
 「じゃあ、今日も一緒に寝るか!」
 「え、それは」
 「わたくしもー!」

 俺は話題を変えて、麗星が霊的防衛を完成させてくれたと報告した。

 「アラスカもそうなんだけど、この家ももう大丈夫だ」
 「いえ、あれは石神様が呼ばれたもののお陰で」
 「そうじゃないでしょう。麗星さんだって、いろいろ結界を張ったりしてくれたじゃないですか」
 「お気づきになっていたんですか?」
 「そりゃね。アル、静江さん。この人は何だかワルぶっているんですが、本当は優しい人なんですよ」
 「何を、石神様!」
 「無茶苦茶をする振りをして、相手に気付かれないようにいろいろやってくれてるんです」
 「そんなことは決して!」

 俺は麗星がわざわざ遠くまで俺にある秘薬を届けてくれたことを話した。

 「どうやってか、俺の危機を察知してくれていたようです」
 「それは?」
 「精神を強制的に落ち着かせてくれるものでしてね。あれが無ければ、レイが殺された時に、俺たちはアメリカを滅ぼしていましたよ」
 「「!」」

 アルと静江さんが驚いた。

 「タカさんには一粒ではダメでした。何粒も口に入れてなんとか」
 「麗星さんは分かっていたんですか?」

 麗星が下を向いていた。
 そういう仕草は俺も見たことがなかった。

 「何がある、とはわたくしにも分かりませんでした。もっとよく見ていればと思いますが、あれ以上はどうにも。でも石神様が大変なお嘆きになることは見えていましたので。余計なこととも思いましたが、万一のためにと」

 「麗星さんは、それを俺に手渡すために家中の反対を押し切って来てくれたんです」
 「いえ、それは……」
 「まあ、郵送でも良かったんですけどね」
 
 みんなが笑った。

 「冗談ですよ! あれを俺に直接渡すことが必要だったと、今なら分かります。俺が真剣に受け取ることが重要だった。だから俺もあれを持ち歩いていたわけですから」
 「石神様……」

 「アメリカを救った陰の功労者ですよ、本当に。この人にも、何かあげないと」
 「先ほど、美味しいステーキをご馳走になりました」

 俺は微笑んで言った。

 「ね、全然ワルじゃないでしょ? 麗星さんの本質をみんなに分かってもらえて良かった!」

 みんなで笑った。





 その夜。
 亜紀ちゃん、柳と麗星が俺と一緒に寝た。
 夜中に麗星が裸で俺に覆いかぶさって来たので、亜紀ちゃんに引き剥がされた。

 「ちょっと、麗星さん!」

 ロボが動いた。

 ブス。

 麗星がビクンとなって眠った。

 「あれ?」
 「……」

 亜紀ちゃんと柳には見えなかったようだ。
 想像もしてない。

 「さあ、寝よう」
 「ちょっと麗星さんはお部屋に運んでおきますね」
 「そうだね!」
 
 柳が言った。

 「なんか、急に寝ちゃいましたね」
 「最初から寝ぼけてたんだろうよ!」
 「なるほど!」

 亜紀ちゃんが担いで麗星を部屋に運んで戻って来た。

 「柳さん、ああやればいいんですよ!」
 「え、でも……」

 



 当然、柳は何もして来なかった。
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