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石動コネクション ―デビュー―

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 夕飯の後で皇紀を部屋へ呼んだ。

 「レッドダイヤモンドの結果はどうだ?」
 「はい、やはり増幅してました。2ミリ角程で、大体2.8倍ですね」
 「そうか」

 以前に亜紀ちゃんが持って来たレッドダイヤモンドの置き場所に困った。
 散々大騒ぎし、諦めてリヴィングのテーブルに置いた。
 皇紀がそれを照らすレーザーの照明を作った。
 そこまではいい。

 綺麗なライティングになり、みんなが喜んだ。

 しかし、俺はどうもおかしいと感じた。
 レーザーは測距計やレーザーポインターに使うようなショボいものだ。
 それが、やけに明るい。
 乱反射を利用した照明器具のつもりだったが、部屋の照明を落とすと特に明るさを感じる。
 それで皇紀に命じて、入力と出力の光度を計測させていた。
 その結果が出たわけだ。

 「やはり、通常のものではなかったか」
 「驚きましたね」

 俺はシボレー・コルベットに積み込み、密かに「イーヴァ」の発射を試していた。
 疑似的に「虚震花」などが撃てるシステムだが、それもやはりレッドダイヤモンドを挟むことで出力の増大を確認している。
 恐らく、様々なエネルギーを増幅することが出来るのではないだろうか。

 「じゃあ、予定通りにアラスカへ送るぞ。一部はロックハート家にもな」
 「はい。蓮花さんの研究所には先だって送っていますし、千両さんのとこにもアレですよね」
 「ああ、まだ何も繋げてねぇけどな。そのうちにあいつらの家も防衛システムを入れねぇと」
 「そうですね」

 俺たちはしばらく、アラスカの様々なシステムについて話し合った。
 当初の予定よりも、かなり大規模になっていく。
 資源の調達がクロピョンによって解決したので、余剰の資金や人間を新たな仕事へ回せるようになったことが大きい。

 「でも、そろそろ隠しておけなくなりましたね」
 「ああ。まだ俺たちのものだとは分かっていないかもしれないが、存在そのものは以前から察知されているな」
 「アメリカの事業だと思っているでしょうか」
 「分からん。ロシアからの定期便(定期的な偵察機の到来)や偵察衛星でとっくにな。でも、まさか個人が建設しているとは想像もしていないだろうが」
 「いろいろと偽の情報を撒いていますしね」
 「まあな。しばらくは大丈夫だと思うが、今後は偵察機は撃墜していくつもりだ」
 「衛星もですよね?」
 「そうだ。百万モメンに任せようと思う」
 「すごいですね」

 「まあ、あとは向こうに着いてからだ」
 「分かりました」

 俺たちは話し合いを終えた。

 


 「じゃあ、本題な」
 「はい!」

 俺は金庫を開け、一枚のDVDを取り出した。
 この映像だけは誰にも見せていない。
 特に亜紀ちゃんには知られるわけには行かない。
 
 最初は皇紀に貸し出すつもりだったが、万一のことを考え辞めた。
 俺と皇紀だけが知る、機密の映像だ。

 「ドアの鍵をもう一度確認しろ!」
 「はい!」

 《ガチャ》

 皇紀が内鍵が掛かっているのを確認した。

 「タカさん、大丈夫です!」
 「よし、流すぞ。お前、チンコは出すなよ!」
 「はい!」

 二人で映像を観る。
 俺の部屋は防音性が高いが、少しボリュームは絞る。
 タイトルが出た。

 《『巨根魔王と25人の淫乱娘』》

 「凄いですね!」
 「ダァーッハハハハハハ!」




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 「エロ光線の石神君」
 「別に「石神君」でいいんじゃねぇのか?」

 大学を卒業して数年後。
 俺は久しぶりに石動と会って食事をしていた。
 俺は今の病院へ移って間もない頃で、多忙だった。

 「僕は今副業で、ある雑誌のライターをしているんだ」
 「へぇー」
 
 石動は有名なAV専門誌の名前を挙げた。

 「その伝手で、あるAVの撮影で誰かいい男優がいないかと相談された」
 「そうか」
 「僕の書く紹介記事が好評でね。ある制作会社からの相談なんだ」
 「そうか」

 銀座で寿司を喰っていた。
 カウンターで握ってもらう。
 石動は意外に物怖じせずに、好きなネタを頼んでいる。
 やはり育ちがいいのだ。

 「それで、エロ光線の石神くんを推薦しておいた」
 「あ?」
 「君のそのエロ光線は、AV界に革命を起こすだろう」
 「おい!」
 「相当タフな男だと言ってある。多分、ハーレム・プレイの企画が立つと思うよ」
 「あのさ」
 「心配はいらないよ。僕もしっかりした監督を指名している。何しろ君のデビュー作だからね」
 「俺は医者だ!」
 「それも売りにするかい?」
 「……」

 まあ、断るだけだ。
 俺はそう思っていた。
 二人で好きなように寿司を喰い、石動の送ってくれたコレクションや、また様々なエロ動画の話などを石動から聞いて楽しんだ。

 店を出た所で、二人の人間が俺たちを待っていた。

 「紹介しよう。「ギンギン・プロダクション」の社長の柳瀬さんと、監督のポンチ加藤さんだ」
 「はい?」
 
 二人の男が黙って俺を見ていた。

 「石動さん! 素晴らしいよ!」
 「この人なら絶対に売れる画が撮れる! 僕も燃えて来たぞ!」
 「あの」

 二人が名刺を俺にくれた。

 「二日で撮るから! 君のためにいい女優を用意する」
 「大分強そうだね! ああ、僕は見れば分かるから! 24時間物でも大丈夫だろ?」
 「おい!」
 
 「女優はそうだな。〇〇夜也と……」
 「あ! 大好きです!」
 「そうか!」
 「あと、〇〇葉子とか」
 「最高ですね!」
 「あと、テ〇ナもいいよね」
 「じゃあ、オシッコ吹きますか?」
 「もちろんだぁ!」

 「「「ワハハハハハハ!!!」」」
 
 柳瀬社長とポンチ加藤監督が、次々に俺の最愛の女優たちを挙げて行く。
 夢のようだった。

 「じゃあ、25人ほど揃えるからさ」
 「分かりました!」

 即決した。
 石動も満足そうに笑っていた。




 8月の初旬の撮影が決まり、俺は蓼科第一外科部長に命懸けで休みを3日もらった。
 
 「友人との大事な約束があるんです!」
 「お前なぁ」
 「死んでも守りたい約束なんです!」
 「分かったよ! その代わり、その後は2か月休みはないからな!」
 「ありがとうございます!」




 俺は燃えていた!
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