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家族でキャンプ Ⅱ

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 夕飯の支度をする。
 当然、バーベキューだ。
 亜紀ちゃんとルーで肉と野菜などのカット、皇紀は豚汁を担当する。
 ハーは飯盒の準備だ。
 左門が野菜のカットを手伝い始めた。
 俺はロボと焚火の傍で温まって子どもたちを見ていた。

 「おー、今日も奴隷たちが働いてるぞー」
 「にゃー」

 みんなが笑った。

 ハーが飯盒の準備を終えた。

 「ハー!」
 「はーい!」
 「左門が来たから肉が足りねぇ! ちょっと一頭狩って来い。俺が許す!」
 「はーい!」
 「左門も連れてけ!」
 「はーい!」

 ハーが左門を担いだ。

 「ちょ、ちょっとー!」

 走って去った。
 三人の子どもたちが笑っていた。

 30分後、ハーたちが戻った。
 左門が硬直している。
 左肩に左門、右肩にイノシシ。

 ルーとハーでイノシシの解体を始めた。

 「トラ兄さん! なんだよ、あれは!」
 「お前が獣の狩り方を教えてくれたお陰だな!」
 「何言ってんだよ!」
 「アハハハハハ!」
 「ニャハハハ!」

 



 バーベキューを始めた。
 
 「左門、酒は後でな」
 「うん」
 「必死にならないと食いっぱぐれるからな!」
 「分かった」

 まあ、見れば分かる。
 左門も必死に肉を焼いて食べた。
 俺はロボにもどんどん肉を焼いてカットして喰わせた。

 「トラ兄さん、凄いね」
 「お前は今日はそればっかだな」
 「アハハハハ!」

 左門もどんどん食べた。
 豚汁が絶品だと言い、皇紀を喜ばせた。

 「あー、もうお腹いっぱいだよ」
 「あいつらからも、いつか聞いてみたいな」
 「アハハハハハ!」

 子どもたちはまだまだ食べていた。
 俺は左門に酒を用意した。

 「ワイルドターキーだけど、いいか?」
 「うん」
 「ビールもあるぞ」
 「うん、ウイスキーでいいや」
 「そうか」

 ストレートで出してやる。
 流石に氷は用意していない。

 子どもたちも落ち着いて来た。
 テーブルで食べ始める。
 俺は皇紀を連れて、一緒に牡丹鍋を作った。
 子どもたちが狂喜する。

 ゆっくりと鍋をつついた。






 「それで、左門。決めたのか?」
 「うん。僕はトラ兄さんの手伝いをさせてもらうよ」

 「「「「ワーイ!」」」」

 子どもたちが喜んだ。

 「わーい!」

 俺も喜んだ。

 「アハハハハ!」

 「じゃあ、左門、これから宜しくな!」

 俺と左門は握手をし、子どもたちも手を重ねて来た。
 脂でヌルヌルして気持ち悪かった。

 「僕は最初に話をもらって、すぐに決めていたんだ。だけど、上の人間に話を通したかったからね。それで時間をもらってしまった」
 「そうか」
 「上の人間も、アメリカからの情報提供ですぐに納得してくれた。「業」の脅威は国体を守る上でも対抗措置が必要だとね」
 「そうか」
 「それで僕が窓口になるわけだけど、立場的には共闘ということでいいんだよね」
 「そうだ。もちろん俺たちの全ては教えられないが、一緒に戦うということは確かだ。情報を提供し、俺たちの一部の力も見せよう。また「業」の戦力や戦略についても、分かっていること、予想できることを教える」
 「うん、分かった」

 亜紀ちゃんにノートパソコンを持って来させた。

 俺たちの戦闘、蓮華との戦闘やフランス外人部隊とヴァーミリオンとの戦闘、そして洋上のジェヴォーダンとの熾烈な戦いも見せた。
 左門は真剣に動画や画像を見ていた。

 「信じがたいことだね。これほどの脅威が既にこの世界にあるなんて」
 
 見終わった左門が嘆息した。

 「これまでお前たちが知っている戦争ではない。恐らく、現行の自衛隊の戦力では戦いにならない」
 「うん」
 「ジェヴォーダン一体であっても、通常戦力は通用しないだろう。それはアメリカ軍も同じだけどな。でもあいつらは日本よりも容易く次へ行ける。対抗兵器を開発するだろう」
 「ああ」
 「自衛隊には、俺たちで提供する用意がある。それは今後の話し合いの上でだ」
 「本当か!」
 「左門がいるからな。お前を信用してでのことだ」
 「トラ兄さん!」

 左門の肩を叩いた。

 「お前、自衛隊が俺たちを認めなかったら、自分一人で来るつもりだっただろう」
 「それはそうだよ! だってトラ兄さんだもの」
 「ばかやろう」

 左門が笑った。

 「前から聞きたかったんだけどよ」
 「うん、なに?」
 「お前、どうして自衛隊に入ったんだ? お前なら他に幾らでも道はあっただろう」
 「それはトラ兄さんが戦う人だからだよ」
 「なに?」
 「最初に会った夜に、教えてくれたじゃない」
 「あれは、俺がそういう経験もしているってことだろう!」
 「違うよ。僕は分かったんだ。一緒に風呂に入って、トラ兄さんの身体を見た。だから分かったんだ」
 「お前よ」
 「僕は憧れたんだ、どうしようもなく。誰かのために戦う人間になりたかった」
 「おい、俺は医者だぞ?」
 「うん、じゃあ戦う人が医者もやってるんだ」
 「左門!」

 やはりそうだった。
 左門は俺を追いかけて戦闘の道に入っていた。




 「左門さん! 一緒にお風呂に入りましょう!」
 
 亜紀ちゃんが言った。

 「おい!」
 「タカさん、いいじゃないですか! もう家族なんだし! タカさんの身体に憧れたなんて最高ですよ!」
 「やめろって!」

 流石に女子高生の亜紀ちゃんと一緒はまずい。

 「トラ兄さん、大丈夫ですよ」
 「ヘンタイはみんなそう言うんだぁ!」
 「僕は女性に興味ないですから」

 「「「「「エ?」」」」」

 全員が驚く。

 「まあ、そういうこともあって家業はお姉ちゃんが継いでくれたっていうか。孫を残せないですからね!」

 「「「「「エェー!」」」」」

 「あ、やっぱ気持ち悪いですか?」
 「そんなことはねぇ! 俺が唯一通ってる飲み屋はゲイバーだしな」
 「そうなんですか!」
 「いや、俺はノンケだけどな。あの店が楽しいから通ってるんだが」
 「良かったぁー! 今日は自衛隊のことより、そっちの話をしようと思って緊張してたんです!」
 「そうなの?」
 「はい! トラ兄さんに嫌われたらどうしようって!」
 「あ、ああ。それは心配ねぇ」

 子どもたちはまだ衝撃から戻ってない。

 「今、自衛隊の中で付き合ってる子がいるんです。後輩なんですけどね」
 「へ、へー」
 「カワイイ奴なんですよ! 今度紹介しますね!」
 「よろしくー」

 


 ということで、みんなで風呂に入った。
 何故か皇紀だけは目隠しをされた。

 家族なのに。
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