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真冬の別荘 Ⅵ: ニューヨーク恋物語 Ⅲ
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ジャンニーニが少し気になることを言っていた。
「親父の市長の方が、ちょっとイスラム系と揉め事があったようなんだ」
「へー」
「雑誌のインタビューで、自爆テロを繰り返すイスラム人を絶対に許さないと言ったらしい」
「へー」
「ニューヨーク市内で、イスラム人を徹底的に調査したいと言ったところ、爆弾を送られた」
「へー」
「通信管理の人間が気付き、SWATの爆発物処理班が解体した」
「へー」
「お前ら、いい加減にしてくれー!」
俺と聖は「訓練だ」と言ってジャンニーニの護衛たちをいじめて遊んでいた。
まあ、ちょっとした冗談と、俺に殴られた主人を守ろうとしない連中に根性を入れるためだった。
「「ギャハハハハハハハ!」」
二日後の午後6時。
ジャンニーニがイタリアン・レストランの高級店を予約した。
こちらはジャンニーニと俺と聖。
あちらはソフィアと市長の二名。
勘定はもちろん、ジャンニーニ持ちだ。
他にやる奴がいないので、俺はお互いを紹介した。
俺、聖、ジャンニーニの順で座り、市長とソフィアが向かいに座った。
俺が注文し、皿をテーブルに並べさせた。
「さあ、どんどん食べて下さい。遠慮なく注文して下さいね」
俺と聖はガンガン食べて行った。
他にやることはねぇ。
「あの、今日はわざわざありがとうございます」
「いいえ」
ジャンニーニが言い、市長が応えた。
それ以降、会話は無かった。
「おい、ジャンニーニ、何か話せよ!」
堪りかねて俺が言った。
聖は夢中で食っている。
「あ、ああ」
「お前、ソフィアさんのどこに惚れたんだ」
「ああ、全部だ」
「だそうです!」
ソフィアが少し笑った。
「どう惚れたんだよ!」
「身体が痺れて。運命を感じた」
「気持ち悪いですね!」
市長も笑った。
きっかけをつくってやった俺は、また喰いに戻った。
美味かった皿をまた注文して追加する。
ジャンニーニも自分の気持ちを告白したせいか、少しずつ会話をしていった。
この料理が美味いとか言って勧める。
まだ食べてない皿だったので、俺と聖がジャンニーニの前から分捕って食った。
「お前ら!」
ソフィアたちが笑った。
「交際している人がいるのかとか聞け!」
「え、いないよ」
ジャンニーニは全部調べている。
「知ってても聞け! このアホウ!」
「あの、付き合っている男性はいらっしゃいますか?」
「いいえ、特にはおりません」
「そうですよね」
俺は席を立ってジャンニーニの後頭部をはたいた。
そうやって、少しずつだったが、会話らしいものがあった。
「ミスター・イシガミたちは、随分と食べますのね?」
「あ、ああ。喰える時に喰うというのが倣いになりましたからね」
「というと?」
「戦場じゃ喰えないことの方が多い。蛇とかその辺の動物も喰いますよ」
「ああ」
「一度聖がサルを捕まえて来て。焼いたら人間の赤ん坊みたいで参りました」
「えぇ!」
半分は俺が会話したが。
というか、ソフィアは俺にばかり話しかけた。
まあ、赤くなってうつむいてばかりいるジャンニーニじゃ話しにくいのだろう。
「「!」」
しばらく食べていると、俺と聖は気配を感じた。
店に5人の男たちが押し入って来た。
全員武装していた。
手にAK47を持っている。
入り口で店員を脅して問い詰めていた。
「市長のミラーはどこだ!」
そう叫んでいた。
市長とソフィアが緊張する。
突然、一人の男が天井にぶっ放した。
客席に銃口を向ける。
俺と聖はテーブルを倒した。
ジャンニーニもテーブルの裏に移動させる。
ソフィアを守れと言った。
「「ガハハハハハハハ!」」
俺たちは笑いながら左右に分かれた。
男たちは俺と聖を狙った。
だが中途半端な連中に、俺たちは殺れない。
圧を感じて弾丸を避けながら、手近なテーブルから皿やナイフを拾って男たちに投げる。
一人の男に命中し、目元から血を流した。
俺が接近し、左端の男を襲う。
ライフルの銃口を向けたが、俺は余裕で先端を左手で掴んで脇に寄せ、男の顔にフルパワーのブローを叩き込む。
顔面をへこませながら、男が吹っ飛んだ。
俺は奪ったAK47を聖に放った。
「聖! 使え!」
聖が床を滑るAK47を拾い上げた。
俺がもう一人を斃す間に、聖が他の三人を撃破した。
ものの数分の出来事だった。
俺と聖は席に戻り、テーブルを元に戻した。
ジャンニーニたちを隣のテーブルに座らせる。
俺と聖も座った。
店員を呼んだ。
「おい、急いでさっきの皿を並べ直してくれ!」
店員が青ざめている。
「聖! AKをもう捨てろよ」
「あ、ああ」
聖がテーブルに立てかけていたAK47を壁の下に置いた。
「もう大丈夫だぞ?」
ジャンニーニとソフィアが笑った。
「お怪我はありませんよね?」
俺がそう言うと、ソフィアが立ち上がって俺に近づいた。
俺も立ち上がった。
どこか怪我をしていたか。
突然、ソフィアが俺に抱き着いた。
「おい! 待て待て待てぇー!」
「ミスター・イシガミ、ありがとう!」
「いいから離せ! 離れろ!」
ジャンニーニのようにぶん殴ってやるわけには行かない。
俺はキスをされた。
ソフィアは興奮していたのか、舌まで入れて来た。
ジャンニーニが俺を睨んでいた。
聖は最初に運ばれた皿をガツガツ喰っていた。
警察が来て、市長が説明した。
俺と聖は店の人間や客たちの証言もあり、後日取り調べに協力することとなった。
聖が「セイントPMC」」の社長だということで、警察も俺たちの異常な戦力に納得した。
その場でPD(警察署)に行かずに済んだのは、市長のお陰だ。
他の客は帰され、俺たちだけが料理を堪能した。
支払いは免除された。
ソフィアは一層俺に話しかけた。
日本の医者だと言うと驚いていた。
「ミスター・イシガミは結婚しているのですか?」
「いや。でもファンクラブはあるよ」
「!」
ジャンニーニは黙って酒を飲んでいた。
時折、俺を睨んでいた。
無視して喰った。
店を出て、ジャンニーニの屋敷で酒を飲んだ。
先ほどの店には劣るが、結構なつまみが出た。
生ハムや魚介のマリネや各種チーズなど。
「トラ、なんで俺が惚れた女がお前に抱き着いてんだ!」
「知らねぇよ!」
「キスまでしやがって!」
「しょうがねぇだろう!」
ジャンニーニが激怒していた。
「お前! 俺が女と上手く行くようにするって言ってたじゃねぇか!」
「そうだよ。だけどお前はビビって何も話せなかったじゃないか」
俺は鬱陶しいと言い、聖はガンガン飲んで喰っていた。
「トラに頼った俺がバカだった」
「あんだと?」
「お前が女にモテ過ぎることを忘れていた」
「おい! 俺が折角いろいろしてやったのに、てめぇ!」
「ネコの前に肉を置いた俺が間抜けだったんだ」
ジャンニーニはそう言って泣いた。
俺は立っていた護衛たちに、部屋の外にいろと言った。
聖がジャンニーニの肩に手を乗せて背中をさすってやった。
「悪かったよ、ジャンニーニ。そんなつもりは無かったんだ」
「うるせぇ!」
「ジャンニーニ、俺がいい店に連れてってやる」
「セイント! てめぇは年増の店しか知らないじゃねぇか!」
俺と聖はジャンニーニを慰めながら飲んだ。
笑わせようと、楽しい話をした。
「前にここを襲わせた時によ、部下が窓から一人放り投げたんだよ」
「へぇ」
「そしたら、ガラスがどういう具合かそいつの股間を切ってさ」
「アハハハ!」
「それがよ! 丁度チンチンを真直ぐスライスしやがって!」
「ギャハハハハハ!」
「後で股を見塗れにしてるんで、俺が見たの。笑ったよなぁ!」
「ギャハハハハハ!」
「……」
ジャンニーニが笑わないので、俺と聖はエロ話を始めた。
徐々にジャンニーニが笑い、話に加わって来た。
朝まで三人で飲んだ。
ジャンニーニは、何度かまた泣いた。
「トラ、セイント、ありがとうな」
「俺たちこそ、散々飲み食いさせてもらったな」
まだ鬱屈したものはあるのだろうが、ジャンニーニはスッキリした顔で笑った。
「一つだけよ、今回良かったことがあるんだ」
「なんだよ」
「レストランでテーブルの向こうに隠れた時によ」
「ああ」
「俺はソフィアを守ろうと背中から多いかぶさった」
「そうか」
「ちょっとオッパイを揉んだ」
「「!」」
俺と聖は大笑いして屋敷を出た。
聖が限界で、ジャンニーニの屋敷の門で吐いた。
「親父の市長の方が、ちょっとイスラム系と揉め事があったようなんだ」
「へー」
「雑誌のインタビューで、自爆テロを繰り返すイスラム人を絶対に許さないと言ったらしい」
「へー」
「ニューヨーク市内で、イスラム人を徹底的に調査したいと言ったところ、爆弾を送られた」
「へー」
「通信管理の人間が気付き、SWATの爆発物処理班が解体した」
「へー」
「お前ら、いい加減にしてくれー!」
俺と聖は「訓練だ」と言ってジャンニーニの護衛たちをいじめて遊んでいた。
まあ、ちょっとした冗談と、俺に殴られた主人を守ろうとしない連中に根性を入れるためだった。
「「ギャハハハハハハハ!」」
二日後の午後6時。
ジャンニーニがイタリアン・レストランの高級店を予約した。
こちらはジャンニーニと俺と聖。
あちらはソフィアと市長の二名。
勘定はもちろん、ジャンニーニ持ちだ。
他にやる奴がいないので、俺はお互いを紹介した。
俺、聖、ジャンニーニの順で座り、市長とソフィアが向かいに座った。
俺が注文し、皿をテーブルに並べさせた。
「さあ、どんどん食べて下さい。遠慮なく注文して下さいね」
俺と聖はガンガン食べて行った。
他にやることはねぇ。
「あの、今日はわざわざありがとうございます」
「いいえ」
ジャンニーニが言い、市長が応えた。
それ以降、会話は無かった。
「おい、ジャンニーニ、何か話せよ!」
堪りかねて俺が言った。
聖は夢中で食っている。
「あ、ああ」
「お前、ソフィアさんのどこに惚れたんだ」
「ああ、全部だ」
「だそうです!」
ソフィアが少し笑った。
「どう惚れたんだよ!」
「身体が痺れて。運命を感じた」
「気持ち悪いですね!」
市長も笑った。
きっかけをつくってやった俺は、また喰いに戻った。
美味かった皿をまた注文して追加する。
ジャンニーニも自分の気持ちを告白したせいか、少しずつ会話をしていった。
この料理が美味いとか言って勧める。
まだ食べてない皿だったので、俺と聖がジャンニーニの前から分捕って食った。
「お前ら!」
ソフィアたちが笑った。
「交際している人がいるのかとか聞け!」
「え、いないよ」
ジャンニーニは全部調べている。
「知ってても聞け! このアホウ!」
「あの、付き合っている男性はいらっしゃいますか?」
「いいえ、特にはおりません」
「そうですよね」
俺は席を立ってジャンニーニの後頭部をはたいた。
そうやって、少しずつだったが、会話らしいものがあった。
「ミスター・イシガミたちは、随分と食べますのね?」
「あ、ああ。喰える時に喰うというのが倣いになりましたからね」
「というと?」
「戦場じゃ喰えないことの方が多い。蛇とかその辺の動物も喰いますよ」
「ああ」
「一度聖がサルを捕まえて来て。焼いたら人間の赤ん坊みたいで参りました」
「えぇ!」
半分は俺が会話したが。
というか、ソフィアは俺にばかり話しかけた。
まあ、赤くなってうつむいてばかりいるジャンニーニじゃ話しにくいのだろう。
「「!」」
しばらく食べていると、俺と聖は気配を感じた。
店に5人の男たちが押し入って来た。
全員武装していた。
手にAK47を持っている。
入り口で店員を脅して問い詰めていた。
「市長のミラーはどこだ!」
そう叫んでいた。
市長とソフィアが緊張する。
突然、一人の男が天井にぶっ放した。
客席に銃口を向ける。
俺と聖はテーブルを倒した。
ジャンニーニもテーブルの裏に移動させる。
ソフィアを守れと言った。
「「ガハハハハハハハ!」」
俺たちは笑いながら左右に分かれた。
男たちは俺と聖を狙った。
だが中途半端な連中に、俺たちは殺れない。
圧を感じて弾丸を避けながら、手近なテーブルから皿やナイフを拾って男たちに投げる。
一人の男に命中し、目元から血を流した。
俺が接近し、左端の男を襲う。
ライフルの銃口を向けたが、俺は余裕で先端を左手で掴んで脇に寄せ、男の顔にフルパワーのブローを叩き込む。
顔面をへこませながら、男が吹っ飛んだ。
俺は奪ったAK47を聖に放った。
「聖! 使え!」
聖が床を滑るAK47を拾い上げた。
俺がもう一人を斃す間に、聖が他の三人を撃破した。
ものの数分の出来事だった。
俺と聖は席に戻り、テーブルを元に戻した。
ジャンニーニたちを隣のテーブルに座らせる。
俺と聖も座った。
店員を呼んだ。
「おい、急いでさっきの皿を並べ直してくれ!」
店員が青ざめている。
「聖! AKをもう捨てろよ」
「あ、ああ」
聖がテーブルに立てかけていたAK47を壁の下に置いた。
「もう大丈夫だぞ?」
ジャンニーニとソフィアが笑った。
「お怪我はありませんよね?」
俺がそう言うと、ソフィアが立ち上がって俺に近づいた。
俺も立ち上がった。
どこか怪我をしていたか。
突然、ソフィアが俺に抱き着いた。
「おい! 待て待て待てぇー!」
「ミスター・イシガミ、ありがとう!」
「いいから離せ! 離れろ!」
ジャンニーニのようにぶん殴ってやるわけには行かない。
俺はキスをされた。
ソフィアは興奮していたのか、舌まで入れて来た。
ジャンニーニが俺を睨んでいた。
聖は最初に運ばれた皿をガツガツ喰っていた。
警察が来て、市長が説明した。
俺と聖は店の人間や客たちの証言もあり、後日取り調べに協力することとなった。
聖が「セイントPMC」」の社長だということで、警察も俺たちの異常な戦力に納得した。
その場でPD(警察署)に行かずに済んだのは、市長のお陰だ。
他の客は帰され、俺たちだけが料理を堪能した。
支払いは免除された。
ソフィアは一層俺に話しかけた。
日本の医者だと言うと驚いていた。
「ミスター・イシガミは結婚しているのですか?」
「いや。でもファンクラブはあるよ」
「!」
ジャンニーニは黙って酒を飲んでいた。
時折、俺を睨んでいた。
無視して喰った。
店を出て、ジャンニーニの屋敷で酒を飲んだ。
先ほどの店には劣るが、結構なつまみが出た。
生ハムや魚介のマリネや各種チーズなど。
「トラ、なんで俺が惚れた女がお前に抱き着いてんだ!」
「知らねぇよ!」
「キスまでしやがって!」
「しょうがねぇだろう!」
ジャンニーニが激怒していた。
「お前! 俺が女と上手く行くようにするって言ってたじゃねぇか!」
「そうだよ。だけどお前はビビって何も話せなかったじゃないか」
俺は鬱陶しいと言い、聖はガンガン飲んで喰っていた。
「トラに頼った俺がバカだった」
「あんだと?」
「お前が女にモテ過ぎることを忘れていた」
「おい! 俺が折角いろいろしてやったのに、てめぇ!」
「ネコの前に肉を置いた俺が間抜けだったんだ」
ジャンニーニはそう言って泣いた。
俺は立っていた護衛たちに、部屋の外にいろと言った。
聖がジャンニーニの肩に手を乗せて背中をさすってやった。
「悪かったよ、ジャンニーニ。そんなつもりは無かったんだ」
「うるせぇ!」
「ジャンニーニ、俺がいい店に連れてってやる」
「セイント! てめぇは年増の店しか知らないじゃねぇか!」
俺と聖はジャンニーニを慰めながら飲んだ。
笑わせようと、楽しい話をした。
「前にここを襲わせた時によ、部下が窓から一人放り投げたんだよ」
「へぇ」
「そしたら、ガラスがどういう具合かそいつの股間を切ってさ」
「アハハハ!」
「それがよ! 丁度チンチンを真直ぐスライスしやがって!」
「ギャハハハハハ!」
「後で股を見塗れにしてるんで、俺が見たの。笑ったよなぁ!」
「ギャハハハハハ!」
「……」
ジャンニーニが笑わないので、俺と聖はエロ話を始めた。
徐々にジャンニーニが笑い、話に加わって来た。
朝まで三人で飲んだ。
ジャンニーニは、何度かまた泣いた。
「トラ、セイント、ありがとうな」
「俺たちこそ、散々飲み食いさせてもらったな」
まだ鬱屈したものはあるのだろうが、ジャンニーニはスッキリした顔で笑った。
「一つだけよ、今回良かったことがあるんだ」
「なんだよ」
「レストランでテーブルの向こうに隠れた時によ」
「ああ」
「俺はソフィアを守ろうと背中から多いかぶさった」
「そうか」
「ちょっとオッパイを揉んだ」
「「!」」
俺と聖は大笑いして屋敷を出た。
聖が限界で、ジャンニーニの屋敷の門で吐いた。
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