富豪外科医は、モテモテだが結婚しない？

マリーンの地獄 Ⅳ

　ジェイたち三人は小屋に入り、ドアを閉めた。
　ジェイが考えた通り、小屋の防備は硬かった。
　分厚い鉄板が壁に回してある。

　「ロック！　レールガンを直せ！」
　「あ？」
　「急げ！」
　「無理だろう！　こんなの見たこともねぇぞ！」
　「バカ！　電送系が千切れてるだけだ！　それを繋げ！」

　よく見ると、Ｍ８２の攻撃でケーブルが千切れていた。

　「よし！」
　「マイケル！　俺たちは防衛戦だ！」
　「ラジャー！」

　ロックは被覆を剥き、メタル線を繋ごうと急ぐ。
　マイケルは荷電粒子砲を内側に倒し、ジェイはその穴から担いで来たＭ８２を突き出す。
　デュール・ゲリエが迫って来る。
　Ｍ８２を撃ちまくった。

　「ジェイ！　直ったぞ！」

　ロックが叫んだ。

　「動かせそうか！」
　「やってる！　トリガーみてぇなのがある！　こいつで手動で撃てるかも！」
　「やれ！」

　ロックは砲塔を旋回させ、デュール・ゲリエの一体を狙った。
　トリガーを絞る。
　デュール・ゲリエが四散した。

　「「「Ｙｏｏ－ｈｏｏ！」」」

　三人が叫んだ。

　ドアがぶち破られた。

　三人はボコボコにされた。





　気が付くと、また全員が温泉に入れられていた。
　もう痛みは無い。
　肋骨をへし折られていた奴もいるはずだが、そいつも笑っていた。

　「まー、よくやったかな」
　「いちおー、ここまでだよー」

　「ほんとか！」
　「今晩はね」
　「……」

　全員のペニスケースが下に下がった。
　双子も温泉に入った。

　「あの、あれは一体なんなんです？」

　ジェイが二人に聞いた。

　「あのさー」
　「はい？」
　「ふつー、それを最初に聞かない？」
　「！」

　「あの小屋のこともさ。何の訓練か、どんなことが起きるのかって」
　「そりゃ……」
　「あんたら、すぐに突っ込んでくから。あたしたちも焦ったよ？」
　「そうなんですか」
　「そーだよー！」
　「だって「行けって」言ってましたよね？」
　「違うよー！　制圧しろって言っただけじゃん！」
　
　後ろで聞いていた男が、確かにそうだったと言った。

　「聞かれたら答えたじゃん。あれは何かって聞くから「デュール・ゲリエ」だよって」
　「そう言えば！」

　「じゃあ、性能と武装について教えてください！」

　ロックが言った。
　ジェイは頭を抱えていた。

　「うん。身体はチタン合金で、Ｍ１６じゃ効かないでしょ？」
　「はい」
　「Ｍ８２は角度によっては有効。関節部分、特に首かな」
　「グレネードでの破壊は難しいけど、首か頭部に命中すればショックで一時的に止まるかも」
　「なるほど！」
　「あんたらに配ったナイフは特殊合金だから、あんたらの力なら関節に入るかもよ？」
　「そうなんですか！」
　「まー、その前にあのブレードでボコボコだろうけどね」
　「はい」

　全員が双子を取り囲んでいた。

　「残りは四体かー」
　「え？　違うよ？」
　『エェー！』

　「あと８０体。地下に格納してるの。でもなー」
　「うん、あと四体にしといてあげるよ」

　全員がホッとした。

　「だけどね。最後の一体になると、「バーサーカー・モード」になるから注意してね」
　「それって……」
　「動くスピードは２４０％速くなる。力も９０％増し。だから、刃を潰したブレードでも、真っ二つだよ？」
　「パンチや蹴りにも注意してね？」
　『……』

　「明日の朝食後にまたやるからね！」
　「がんばってね！」




　双子は小屋の中で寝た。
　マリーンたちは毛布を配られ、砂地で寝るように言われた。
　今日の訓練がヘボすぎたら木に吊るすつもりだったと言われた。
　そのための、丈夫なワイヤーロープを見せられたられた。

　ジェイを中心に、作戦が話し合われ、深夜まで討論した。



　翌朝の朝食は、鹿とタヌキのごった煮だった。
　肉の臭みがない。
　早く起きて用意した双子が、徹底的に臭みを取っていた。
　普通以上に美味かった。

　「食事は大事だよ！」
　「タカさんに感謝だよ！」

　マリーンたちはガツガツと食べた。

　「じゃー、しゅっぱつぅー！」
　ルーの号令で全員が窪地へ向かった。




　窪地の上で全員が見下ろした。

　「じゃー、やって」
　
　ジェイが一人で向かった。
　デュール・ゲリエが四体出て来る。

　「あれ？　他の人は行かないの？」
　「ええ」
　「大丈夫なの？」
　「多分」
　「へー」

　ジェイは途中まで降り、デュール・ゲリエを迎え撃った。
　距離、三〇メートル。

　「ルーさん、ハーさん、あっち」

　マイケルがジェイとは離れた場所を指さす。
　
　「なーに？」

　次の瞬間、一番身体のでかい男二人が、ルーとハーを持ち上げた。
　そのまま、ジェイの前にスイングして投げた。
　ジェイは下がる。

　「「アハハハハハハ！」」

　双子は笑って投げられた。
　
　落ちて来た双子に、デュール・ゲリエが襲い掛かった。
　二人は笑顔のまま、二体を葬り、上からＭ８２の狙撃で、もう一体が沈黙した。

　「よし！　ラスト・ワンだぁ！」

　全員が窪地を駆け下りた。
　二人がワイヤーロープを手に、デュール・ゲリエに迫る。
　その間、他の８人は取り囲んで攻撃していく。
　Ｍ１６に装着したＭ２０３グレネードランチャーだ。
　爆発の度に、破片が自分たちにも食い込んでくる。
　構わずに撃ち続けた。
　ワイヤーロープの二人が、デュール・ゲリエの脇を抜けた。
　そのまま交差し、近くの木に固定する。
　自分の身体に巻き付いているので、デュール・ゲリエはブレードを振るうのを躊躇っている。
　その間に、デュール・ゲリエはしっかりと木に固定された。

　「マイケル！」

　マイケルがＭ８２を構え連射した。
　その間、他の男たちはＭ１６で関節の同じ個所を集中して撃ち込んだ。

　２分程、そうやって攻撃を緩めなかった。

　デュール・ゲリエはバラバラになり、沈黙した。



　双子が手を叩いている。
　マリーンたちも、ハイタッチで喜んでいた。



　その夜。双子は勇敢なマリーンのために「食材」を大量に狩って来た。
　イノシシ五頭、シカ三頭、ウサギ九羽、雉二羽。
　みんなで解体し、ステーキやシチューを作った。
　夜の山を疾走し、野生の喜びを全員が味わった。
　全員で風呂に入り、傷を癒し、魂を洗った。

　深夜、全員にローションが配られた。

　「存分に楽しめ！」
　『アイ・マム！』

　全員のマンモスの角が上下した。




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　「亜紀ちゃん、時間は？」
　「はい、丁度良く着きそうですよ」
　「そうか」
　「無事ですかね？」
　「大丈夫だろう。熊とやりあったって、あいつらならな」
　「小屋に武器は一杯ありますもんね」
　「そうだよ」

　俺は心配はしていなかった。

　「やっぱり、イノシシとか食べたんでしょうねぇ」
　「そりゃしょうがないよな。キャンプって、そういうもんだと思ってるからなぁ」
　「しかも裸で」
　「まーなー。まあ、襲われる心配はねぇけどな」
　「アハハハハハ！」

　待ち合わせ場所に近づいた。

　「ああ、もう着いてたようだ」
　「みんないますね」

　近づくと、何か輪郭がおかしい。

　「おい、亜紀ちゃん」
　「はい」

　裸だった。
　股間から、ものすごいものが生えていた。





　俺たちは猛スピードで走り去った。