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奈津江 XⅢ
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「やっぱりだったなー」
昼の食事休憩の時に、奈津江が言った。
「なんだよ?」
「やっぱりさー。高虎の人気が高い」
「は?」
「アルバイトの子とか、他のお店の店員さんたちも、みんな高虎のことが好きだって」
「なんだよ、それ?」
「今度飲み会をしましょうって、しょっちゅう言われる」
「へー」
奈津江に肩を叩かれた。
今日は結構強い。
「あんた、何なのよー!」
「そんなこと言われても」
「私が彼女なのよ!」
「おう!」
「高虎は私のもの!」
「おう!」
「なんで高虎はそんなカッコイイの!」
「そうかぁ?」
「ヘンな顔して!」
俺はにやけた顔を見せてやった。
「よし!」
俺は店に戻り、にやけ面でいた。
「石神くん」
店長が俺を呼んだ。
「はい!」
「その顔やめてね」
「はい!」
若い連中で飲み会をした。
奈津江と付き合ってるので、他の女性とは付き合えないと宣言するためだ。
銀座の安い居酒屋が予約された。
50人くらいが集まった。
奈津江は俺の隣に座り、俺たちがラブラブなのだと宣言し、アピールした。
「私、二人目でもいいから!」
「私とも付き合って下さい!」
「私の方が胸があるから!」
奈津江が怒った。
奈津江がカワイイと言う男も多かった。
俺が死ぬ気で来いと言うと、奈津江が喜んだ。
それから、毎週飲み会を開いた。
本当に仲良くなり、いろんな話をして楽しんだ。
俺と奈津江の仲も、徐々に定着し、みんなに幸せになれと言って貰えた。
アピールしてくる女性も多かったが、俺が毅然と断った。
奈津江しかいなかった。
奈津江は家が遠かったので、いつも俺と途中で抜け出した。
また俺は男性だけの場合は、一緒によく飲みに行った。
楽しかった。
ある日、休憩中に魚屋の店長が俺たちの席に来た。
「石神くん、うちの店に来てくれないか?」
そう言われ、俺は当然断った。
「今のバイト代の倍を出すよ?」
「いえ、富田社長に雇われてますから」
「頼むよ!」
頭を下げられた。
俺が入ってから、八百屋の売り上げは倍増し、まだ増え続けている。
俺目当てで買い物に来る女性も多く、従業員の人も買いに来るようになっていた。
富田社長は大喜びで、俺のバイト代を上げてくれた。
奈津江のオレンジジュースの店もどんどん売り上げが伸びている。
富田社長がワゴンセールを始め、地下鉄口で俺が一人で売ることもあった。
大体2時間で完売した。
バナナ、メロン、オレンジ、サツマイモ、何でも飛ぶように売れた。
そういうことを、魚屋の店長が見ていたらしい。
俺は店に戻り、富田社長に話した。
富田社長は怒ってデパートの社員に抗議した。
しかし、話がややこしくなった。
デパートの社員も俺の売り上げ効果を見ていた。
富田社長はデパートへの売上のパーセンテージを下げられるという条件で、一部俺の貸し出しを承諾した。
「石神くんはあくまでも、うちのアルバイトだから」
そう言われ、俺は魚屋でも働かされるようになった。
俺のための特別ブースが作られれることになった。
魚の解体を目の前でし、その切り身の販売だった。
軍手をはめ、冷凍のマグロや鮭を出刃で解体し、客の希望の量り売りをする。
解体は特訓を受け、すぐに習得した。
刃物の扱いは得意だった。
一日二時間。
それが俺を貸し出す条件だった。
俺はデパートと魚屋から特別手当てが出る。
特別ブースが出来、俺は驚いた。
《現役東大医学部生による、特別即売!》
「……」
奈津江も楽しみに見に来た。
「なに、コレ?」
「なんだろうな」
俺が即売を始めると、大盛況だった。
切り身が飛ぶように売れる。
広告にも、俺の即売のことが載った。
俺の顔写真入りだ。
特別手当が出て、その話で俺は条件をつけた。
「普段は八百屋にいるって載せて下さい」
富田社長が泣いて感謝してくれた。
俺が即売をする時間には、行列が出来るようになった。
綺麗な着物姿の女性も多くなる。
銀座のマダムたちだ。
よく名刺を置いて行かれた。
奈津江も買いに来た。
「お兄ちゃんが是非食べてみたいって」
「……」
テレビの取材まで来た。
俺は絶対に嫌だと断った。
「もうアルバイトは辞めます!」
「石神くん、手当ては十分に出すから!」
破格の金額を示された。
「絶対嫌ですから!」
最終手段を使われた。
「高虎、やってみなよ!」
奈津江が言った。
「やだよ、テレビなんて」
「私の彼氏がテレビに出たら嬉しいなー」
「そうなの?」
「うん!」
引き受けた。
俺は一つ条件を付けた。
奈津江は顕さんに頼み、番組の録画をした。
俺の解体や販売の様子。
そして短いインタビュー。
俺の隣には、販売助手として、奈津江がニコニコと立っていた。
俺もカワイイ奈津江がテレビに出るのが嬉しかったのだ。
奈津江は最高の思い出が出来たと喜んだ。
俺も奈津江が嬉しそうにするので喜んだ。
俺たちの夏休みも終わり、アルバイトを終了した。
富田社長は残念がり、時間があったら短い時間でも入って欲しいと言った。
オレンジジュースは人が見つからず、閉じるということだった。
アルバイト代とは別に、お礼だとお金を頂いた。
「また遊びに来てね」
「はい。お店、頑張って下さい」
最後の日、奈津江と飲みに行った。
銀座のちょっとお洒落な店だった。
富田社長に教わった。
マホガニーのカウンターに二人で並んで座った。
カクテルを頼んだ。
「あー、やっと終わったな!」
「うん、楽しかったね!」
俺たちは乾杯した。
「随分ともらっちゃったなー」
「うん。高虎、凄かったね」
「疲れたよー」
奈津江が笑って頭を撫でてくれた。
「高虎、アルバイト代は何に使うの?」
「ああ、先輩からそろそろ自分の弓を買えって言われてるんだよな」
「そうか」
「魚籃坂のさ、山田弓具店で、肥後三郎のいいのがあるって」
「高虎は重い弓を使うもんね」
「でもさ。三十万円だってよ」
「高いね」
今回のバイト代で十分に買えるが。
「じゃあ、私に任せてね」
「おい、奈津江に出させるわけにはいかないよ!」
「あ、そうじゃなくって」
「え?」
奈津江が俺の耳元で囁いた。
「結婚資金」
俺が振り向くと、鼻が奈津江の鼻に当たった。
「もう!」
叩かれた。
「高虎?」
俺は泣いていた。
「俺も貯めるよー!」
「バカ! だから私に任せなさいって!」
奈津江は散々俺を説得し、俺は弓を買うことになった。
冬頃に、奥さんから電話が来て、富田さんが心臓発作で亡くなったと聞いた。
店長がしばらくやっていたが、やがて富田さんの八百屋はデパートから撤退した。
即売のブースはしばらく顔のいい奴が引き継いでやったようだが、指を落とすような酷い事故を起こし、取りやめになった。
今は、もう俺たちの思い出はあそこにはない。
奈津江の部屋に、綺麗な洋菓子の空き缶がある。
奈津江のお父さんが海外の土産で買って来たものだ。
その中に、奈津江はアルバイト代を大事に仕舞っていた。
家に遊びに行った時に、俺に見せてくれた。
あの日、渡された封筒のままで入っている。
その後も奈津江はアルバイトを時々して、全部その中に仕舞っていた。
顕さんに話し、今はうちの金庫に入れている。
俺と奈津江の一番楽しかった時の思い出。
奈津江の夢の詰まった思い出の箱。
奈津江が何度も触れ、大切にしていた宝。
今は俺の手元にある。
いつまでも、俺と一緒に。
昼の食事休憩の時に、奈津江が言った。
「なんだよ?」
「やっぱりさー。高虎の人気が高い」
「は?」
「アルバイトの子とか、他のお店の店員さんたちも、みんな高虎のことが好きだって」
「なんだよ、それ?」
「今度飲み会をしましょうって、しょっちゅう言われる」
「へー」
奈津江に肩を叩かれた。
今日は結構強い。
「あんた、何なのよー!」
「そんなこと言われても」
「私が彼女なのよ!」
「おう!」
「高虎は私のもの!」
「おう!」
「なんで高虎はそんなカッコイイの!」
「そうかぁ?」
「ヘンな顔して!」
俺はにやけた顔を見せてやった。
「よし!」
俺は店に戻り、にやけ面でいた。
「石神くん」
店長が俺を呼んだ。
「はい!」
「その顔やめてね」
「はい!」
若い連中で飲み会をした。
奈津江と付き合ってるので、他の女性とは付き合えないと宣言するためだ。
銀座の安い居酒屋が予約された。
50人くらいが集まった。
奈津江は俺の隣に座り、俺たちがラブラブなのだと宣言し、アピールした。
「私、二人目でもいいから!」
「私とも付き合って下さい!」
「私の方が胸があるから!」
奈津江が怒った。
奈津江がカワイイと言う男も多かった。
俺が死ぬ気で来いと言うと、奈津江が喜んだ。
それから、毎週飲み会を開いた。
本当に仲良くなり、いろんな話をして楽しんだ。
俺と奈津江の仲も、徐々に定着し、みんなに幸せになれと言って貰えた。
アピールしてくる女性も多かったが、俺が毅然と断った。
奈津江しかいなかった。
奈津江は家が遠かったので、いつも俺と途中で抜け出した。
また俺は男性だけの場合は、一緒によく飲みに行った。
楽しかった。
ある日、休憩中に魚屋の店長が俺たちの席に来た。
「石神くん、うちの店に来てくれないか?」
そう言われ、俺は当然断った。
「今のバイト代の倍を出すよ?」
「いえ、富田社長に雇われてますから」
「頼むよ!」
頭を下げられた。
俺が入ってから、八百屋の売り上げは倍増し、まだ増え続けている。
俺目当てで買い物に来る女性も多く、従業員の人も買いに来るようになっていた。
富田社長は大喜びで、俺のバイト代を上げてくれた。
奈津江のオレンジジュースの店もどんどん売り上げが伸びている。
富田社長がワゴンセールを始め、地下鉄口で俺が一人で売ることもあった。
大体2時間で完売した。
バナナ、メロン、オレンジ、サツマイモ、何でも飛ぶように売れた。
そういうことを、魚屋の店長が見ていたらしい。
俺は店に戻り、富田社長に話した。
富田社長は怒ってデパートの社員に抗議した。
しかし、話がややこしくなった。
デパートの社員も俺の売り上げ効果を見ていた。
富田社長はデパートへの売上のパーセンテージを下げられるという条件で、一部俺の貸し出しを承諾した。
「石神くんはあくまでも、うちのアルバイトだから」
そう言われ、俺は魚屋でも働かされるようになった。
俺のための特別ブースが作られれることになった。
魚の解体を目の前でし、その切り身の販売だった。
軍手をはめ、冷凍のマグロや鮭を出刃で解体し、客の希望の量り売りをする。
解体は特訓を受け、すぐに習得した。
刃物の扱いは得意だった。
一日二時間。
それが俺を貸し出す条件だった。
俺はデパートと魚屋から特別手当てが出る。
特別ブースが出来、俺は驚いた。
《現役東大医学部生による、特別即売!》
「……」
奈津江も楽しみに見に来た。
「なに、コレ?」
「なんだろうな」
俺が即売を始めると、大盛況だった。
切り身が飛ぶように売れる。
広告にも、俺の即売のことが載った。
俺の顔写真入りだ。
特別手当が出て、その話で俺は条件をつけた。
「普段は八百屋にいるって載せて下さい」
富田社長が泣いて感謝してくれた。
俺が即売をする時間には、行列が出来るようになった。
綺麗な着物姿の女性も多くなる。
銀座のマダムたちだ。
よく名刺を置いて行かれた。
奈津江も買いに来た。
「お兄ちゃんが是非食べてみたいって」
「……」
テレビの取材まで来た。
俺は絶対に嫌だと断った。
「もうアルバイトは辞めます!」
「石神くん、手当ては十分に出すから!」
破格の金額を示された。
「絶対嫌ですから!」
最終手段を使われた。
「高虎、やってみなよ!」
奈津江が言った。
「やだよ、テレビなんて」
「私の彼氏がテレビに出たら嬉しいなー」
「そうなの?」
「うん!」
引き受けた。
俺は一つ条件を付けた。
奈津江は顕さんに頼み、番組の録画をした。
俺の解体や販売の様子。
そして短いインタビュー。
俺の隣には、販売助手として、奈津江がニコニコと立っていた。
俺もカワイイ奈津江がテレビに出るのが嬉しかったのだ。
奈津江は最高の思い出が出来たと喜んだ。
俺も奈津江が嬉しそうにするので喜んだ。
俺たちの夏休みも終わり、アルバイトを終了した。
富田社長は残念がり、時間があったら短い時間でも入って欲しいと言った。
オレンジジュースは人が見つからず、閉じるということだった。
アルバイト代とは別に、お礼だとお金を頂いた。
「また遊びに来てね」
「はい。お店、頑張って下さい」
最後の日、奈津江と飲みに行った。
銀座のちょっとお洒落な店だった。
富田社長に教わった。
マホガニーのカウンターに二人で並んで座った。
カクテルを頼んだ。
「あー、やっと終わったな!」
「うん、楽しかったね!」
俺たちは乾杯した。
「随分ともらっちゃったなー」
「うん。高虎、凄かったね」
「疲れたよー」
奈津江が笑って頭を撫でてくれた。
「高虎、アルバイト代は何に使うの?」
「ああ、先輩からそろそろ自分の弓を買えって言われてるんだよな」
「そうか」
「魚籃坂のさ、山田弓具店で、肥後三郎のいいのがあるって」
「高虎は重い弓を使うもんね」
「でもさ。三十万円だってよ」
「高いね」
今回のバイト代で十分に買えるが。
「じゃあ、私に任せてね」
「おい、奈津江に出させるわけにはいかないよ!」
「あ、そうじゃなくって」
「え?」
奈津江が俺の耳元で囁いた。
「結婚資金」
俺が振り向くと、鼻が奈津江の鼻に当たった。
「もう!」
叩かれた。
「高虎?」
俺は泣いていた。
「俺も貯めるよー!」
「バカ! だから私に任せなさいって!」
奈津江は散々俺を説得し、俺は弓を買うことになった。
冬頃に、奥さんから電話が来て、富田さんが心臓発作で亡くなったと聞いた。
店長がしばらくやっていたが、やがて富田さんの八百屋はデパートから撤退した。
即売のブースはしばらく顔のいい奴が引き継いでやったようだが、指を落とすような酷い事故を起こし、取りやめになった。
今は、もう俺たちの思い出はあそこにはない。
奈津江の部屋に、綺麗な洋菓子の空き缶がある。
奈津江のお父さんが海外の土産で買って来たものだ。
その中に、奈津江はアルバイト代を大事に仕舞っていた。
家に遊びに行った時に、俺に見せてくれた。
あの日、渡された封筒のままで入っている。
その後も奈津江はアルバイトを時々して、全部その中に仕舞っていた。
顕さんに話し、今はうちの金庫に入れている。
俺と奈津江の一番楽しかった時の思い出。
奈津江の夢の詰まった思い出の箱。
奈津江が何度も触れ、大切にしていた宝。
今は俺の手元にある。
いつまでも、俺と一緒に。
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