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五度目の別荘 Ⅶ
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別荘に戻ると、亜紀ちゃんが飛んで来た。
「ハー!」
「大丈夫だよ。もう血も止まったし」
「攻撃なの!」
「違うって!」
「またちょっと死んだよなー」
「死んでないもん!」
亜紀ちゃんが風呂場へ連れて行った。
戻って来た亜紀ちゃんに、柳が謝る。
「ごめんなさい。私の投げ方が悪くて」
亜紀ちゃんは笑って、全然大丈夫だと言った。
ルーとハーは着替えてみんなの食事の準備に加わった。
響子と六花は、またリヴィングでアニメを見ている。
『ベクシル 2077日本鎖国』だ。
日本人全員が機械化人となり、鎖国しているというぶっ飛んだストーリの作品だった。
なんだか、こいつらが別荘で観る映画が気になる。
昼食はパスタだったので、鷹はキッチンには入っていない。
栞と一緒にロボと遊んでいた。
パスタはナスと隠元とひき肉、そして盛った上にハモンセラーノの薄切りを乗せる。
トマトソースだ。
猛獣たちは、それにハンバーグも付けている。
六花が珍しくキッチンに入った。
俺に山芋の摺り下ろしを持って来た。
「……」
目の前に置いて、ニコニコして去った。
昼食の後、俺は六花と「訓練」に出掛けようとした。
「ちょっと六花と「訓練」に行って来るな!」
「あ! 石神さん、私も是非!」
柳が手を挙げて言った。
「しばらく休んでしまいましたので、是非ご一緒に私も」
柳が言うと、ルーとハーが止めた。
「柳ちゃん! 私たちと一緒にやろ?」
「そうそう。二人の邪魔しちゃダメだよ?」
「へ?」
「ほら、よく見て。六花ちゃんはジャージでしょ!」
「うん。運動着だよね?」
「ちがーう! 私たちの訓練はいつもコンバットスーツじゃん!」
「あ、そうだよね?」
「もーう!」
よく分からないまま、柳は双子とやると言った。
「私は別に柳さんと一緒でも」
六花の頭を引っぱたいた。
俺たちの「訓練」は、いつも以上に激しかった。
また六花を背負って帰った。
「お、おかえりなさい」
柳が真っ赤な顔で迎えた。
聞いたのかー。
六花とシャワーを浴び、響子の隣に寝かせた。
俺はリヴィングに降り、コーヒーを飲んだ。
「柳! 「訓練」に行こうか!」
「い、い、いえ、またこんど」
「そうか!」
「「ギャハハハハハハ!」」
双子が笑った。
三時になり、俺は響子を起こしてみんなでお茶にした。
作っておいたプリンを食べる。
「六花のも残しておけよー!」
亜紀ちゃんが、橘弥生が来て俺のCDが出るのだと話した。
誰にも話していなかったので、みんなが驚く。
俺は隣の亜紀ちゃんの頭を殴った。
「いつ出るの!」
栞が叫んだ。
「まだ分からないんです。ジャケットも決まってなくて」
「石神くんでいいじゃない!」
「おい、やめてくれよ。顔なんて出せないよ」
「名前も「TORA」ですもんね」
「えー! なんでよ。本名でいいじゃない」
「冗談じゃねぇ。俺はギターで売り出すつもりはねぇからな!」
みんなデワイワイと騒いだ。
「私、100枚買うね!」
響子が嬉しそうに言う。
「私も!」
栞が言い、隣で鷹も手を挙げた。
「いや、俺が全部買い占めるからな!」
みんなに文句を言われた。
「おい、まさか俺の昔の知り合いに連絡取ってねぇだろうなぁ!」
心配になって亜紀ちゃんに確認した。
「タカさんは、止められてやめるようなのはダメだと言ってました」
「てめぇ!」
亜紀ちゃんは笑って冗談だと言った。
「じゃあしませんから、またいろいろお話しして下さいね」
「お前らに話すのはもうなぁ」
「城戸さーん!」
「絶対やめろ!」
みんなが笑った。
俺と鷹で、夕飯の準備を始めた。
栞も手伝いたいと、キッチンに入って来る。
今晩は和食だ。
ウニ乗せ豆腐。
茹でたズワイガニの枝豆ソース掛け。
ゆり根の山椒焼き。
マグロ、ヒラメ、ブリの御造り。
鴨肉のロースト卵餡かけ。
ソボロ大根とソラマメの炊き込み。
里芋のしぐれ煮。
トラフグの唐揚げ、抹茶塩。
アワビの旨煮。
蓮の甘煮キンピラ。
白身魚と車エビの煮物。
シャトーブリアンの焼き物。
3種の貝の握り。
それに松茸ご飯と、椀は鱧だ。
結構な手間だが、鷹の指示でどんどん進んだ。
途中で柳が覚えたいと言うので入れたが、結局洗い物がメインになった。
子どもたちは響子にオセロで挑戦していた。
やっぱり誰も敵わなかった。
「ロボ! そろそろ六花を起こして来い!」
ロボが走って行く。
亜紀ちゃんが面白がって見に行くと、何度も顔にボディ・プレスをかましていたそうだ。
6時頃に全部が仕上がり、みんな驚いていた。
ランチョンマットが敷かれ、数々の器が並んでいく。
みんなが鷹を褒め称え、また食べ始めて更に褒め称えた。
響子も嬉しそうに食べた。
全部に口を付け、ほとんどを食べた。
もちろん、響子の器は量も少ない。
松茸ご飯はすぐに無くなった。
30合も炊いたのだが。
風呂に入り、屋上の準備をする。
今日は好きな飲み物を飲む。
栞がバナナジュースを飲むので鷹も同じものと言った。
「俺と日本酒にしよう」
鷹が嬉しそうに笑い、それにすると言った。
亜紀ちゃんも切子のグラスを持って来た。
六花はハイネケンで、響子はメロンジュース。
皇紀と双子はクリームメロンソーダだ。
酒のつまみにチーズを何種か切り、子どもたちは村上開進堂のクッキーを持った。
「タカさん」
亜紀ちゃんが言う。
「タカさんは城戸さんのお店では絶対に暴れなかったんですよね?」
「俺はどこでだって大人しいよ」
みんなが笑う。
「我慢できなかったことはないんですか?」
「ないな。大人しい人間だからな」
「もう、それはいいですから!」
俺は笑って話し出した。
「ハー!」
「大丈夫だよ。もう血も止まったし」
「攻撃なの!」
「違うって!」
「またちょっと死んだよなー」
「死んでないもん!」
亜紀ちゃんが風呂場へ連れて行った。
戻って来た亜紀ちゃんに、柳が謝る。
「ごめんなさい。私の投げ方が悪くて」
亜紀ちゃんは笑って、全然大丈夫だと言った。
ルーとハーは着替えてみんなの食事の準備に加わった。
響子と六花は、またリヴィングでアニメを見ている。
『ベクシル 2077日本鎖国』だ。
日本人全員が機械化人となり、鎖国しているというぶっ飛んだストーリの作品だった。
なんだか、こいつらが別荘で観る映画が気になる。
昼食はパスタだったので、鷹はキッチンには入っていない。
栞と一緒にロボと遊んでいた。
パスタはナスと隠元とひき肉、そして盛った上にハモンセラーノの薄切りを乗せる。
トマトソースだ。
猛獣たちは、それにハンバーグも付けている。
六花が珍しくキッチンに入った。
俺に山芋の摺り下ろしを持って来た。
「……」
目の前に置いて、ニコニコして去った。
昼食の後、俺は六花と「訓練」に出掛けようとした。
「ちょっと六花と「訓練」に行って来るな!」
「あ! 石神さん、私も是非!」
柳が手を挙げて言った。
「しばらく休んでしまいましたので、是非ご一緒に私も」
柳が言うと、ルーとハーが止めた。
「柳ちゃん! 私たちと一緒にやろ?」
「そうそう。二人の邪魔しちゃダメだよ?」
「へ?」
「ほら、よく見て。六花ちゃんはジャージでしょ!」
「うん。運動着だよね?」
「ちがーう! 私たちの訓練はいつもコンバットスーツじゃん!」
「あ、そうだよね?」
「もーう!」
よく分からないまま、柳は双子とやると言った。
「私は別に柳さんと一緒でも」
六花の頭を引っぱたいた。
俺たちの「訓練」は、いつも以上に激しかった。
また六花を背負って帰った。
「お、おかえりなさい」
柳が真っ赤な顔で迎えた。
聞いたのかー。
六花とシャワーを浴び、響子の隣に寝かせた。
俺はリヴィングに降り、コーヒーを飲んだ。
「柳! 「訓練」に行こうか!」
「い、い、いえ、またこんど」
「そうか!」
「「ギャハハハハハハ!」」
双子が笑った。
三時になり、俺は響子を起こしてみんなでお茶にした。
作っておいたプリンを食べる。
「六花のも残しておけよー!」
亜紀ちゃんが、橘弥生が来て俺のCDが出るのだと話した。
誰にも話していなかったので、みんなが驚く。
俺は隣の亜紀ちゃんの頭を殴った。
「いつ出るの!」
栞が叫んだ。
「まだ分からないんです。ジャケットも決まってなくて」
「石神くんでいいじゃない!」
「おい、やめてくれよ。顔なんて出せないよ」
「名前も「TORA」ですもんね」
「えー! なんでよ。本名でいいじゃない」
「冗談じゃねぇ。俺はギターで売り出すつもりはねぇからな!」
みんなデワイワイと騒いだ。
「私、100枚買うね!」
響子が嬉しそうに言う。
「私も!」
栞が言い、隣で鷹も手を挙げた。
「いや、俺が全部買い占めるからな!」
みんなに文句を言われた。
「おい、まさか俺の昔の知り合いに連絡取ってねぇだろうなぁ!」
心配になって亜紀ちゃんに確認した。
「タカさんは、止められてやめるようなのはダメだと言ってました」
「てめぇ!」
亜紀ちゃんは笑って冗談だと言った。
「じゃあしませんから、またいろいろお話しして下さいね」
「お前らに話すのはもうなぁ」
「城戸さーん!」
「絶対やめろ!」
みんなが笑った。
俺と鷹で、夕飯の準備を始めた。
栞も手伝いたいと、キッチンに入って来る。
今晩は和食だ。
ウニ乗せ豆腐。
茹でたズワイガニの枝豆ソース掛け。
ゆり根の山椒焼き。
マグロ、ヒラメ、ブリの御造り。
鴨肉のロースト卵餡かけ。
ソボロ大根とソラマメの炊き込み。
里芋のしぐれ煮。
トラフグの唐揚げ、抹茶塩。
アワビの旨煮。
蓮の甘煮キンピラ。
白身魚と車エビの煮物。
シャトーブリアンの焼き物。
3種の貝の握り。
それに松茸ご飯と、椀は鱧だ。
結構な手間だが、鷹の指示でどんどん進んだ。
途中で柳が覚えたいと言うので入れたが、結局洗い物がメインになった。
子どもたちは響子にオセロで挑戦していた。
やっぱり誰も敵わなかった。
「ロボ! そろそろ六花を起こして来い!」
ロボが走って行く。
亜紀ちゃんが面白がって見に行くと、何度も顔にボディ・プレスをかましていたそうだ。
6時頃に全部が仕上がり、みんな驚いていた。
ランチョンマットが敷かれ、数々の器が並んでいく。
みんなが鷹を褒め称え、また食べ始めて更に褒め称えた。
響子も嬉しそうに食べた。
全部に口を付け、ほとんどを食べた。
もちろん、響子の器は量も少ない。
松茸ご飯はすぐに無くなった。
30合も炊いたのだが。
風呂に入り、屋上の準備をする。
今日は好きな飲み物を飲む。
栞がバナナジュースを飲むので鷹も同じものと言った。
「俺と日本酒にしよう」
鷹が嬉しそうに笑い、それにすると言った。
亜紀ちゃんも切子のグラスを持って来た。
六花はハイネケンで、響子はメロンジュース。
皇紀と双子はクリームメロンソーダだ。
酒のつまみにチーズを何種か切り、子どもたちは村上開進堂のクッキーを持った。
「タカさん」
亜紀ちゃんが言う。
「タカさんは城戸さんのお店では絶対に暴れなかったんですよね?」
「俺はどこでだって大人しいよ」
みんなが笑う。
「我慢できなかったことはないんですか?」
「ないな。大人しい人間だからな」
「もう、それはいいですから!」
俺は笑って話し出した。
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