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五度目の別荘 Ⅱ
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子どもたちが急いで荷物を降ろし、六花は響子を先に休ませた。
「お前も寝ろよな」
「はい」
響子は大丈夫そうだ。
六花もジャージに着替えて俺のベッドに横になった。
ジャージの前を閉めてねぇ。
早く触れと俺を見ている。
俺は響子にキスをしながら、双丘を撫でた。
栞も鷹に連れられて、一旦休むようだ。
子どもたちは簡単に掃除と点検をする。
山中夫妻がやってくれているので、ほとんど何もすることはない。
俺は亜紀ちゃんを連れて買い物へ出た。
「またここに来ましたねー」
上機嫌で亜紀ちゃんが言う。
「ああ、もうすっかり定番になったな」
「今度は雪の時に来ましょうよ」
「機会があればな」
「そうですねー。ここと御堂さんの家と、また「紅六花ビル」とか」
「遊んでばっかだな!」
「アハハハハハ!」
子どもたちが来る前は、一人でゆっくりと本を読み映画を観て、ギターを弾いているくらいだった。
あとはドライブくらいか。
あのまま独りだったら女性と付き合うことも、ましてネコを飼うこともなかっただろう。
子どもたちが俺の人生を変えた。
悪くない。
そして響子だ。
響子を起点として、俺たちの不思議な運命が始まったように思える。
俺は奇跡に触れ、やがて俺の「常識」がどんどん変わって行った。
一介の医者が、世界に影響を与えるものたちと関わるようになった。
女たちとの関りもそうだ。
奈津江の死以来、俺は女性関係を断っていた。
それがどうしたことか。
色魔と言われても仕方がねぇ。
そしてついに……
「タカさん、どうかしました?」
「いや、またお前らの大食いが見れるのかと思うとな」
「俺に任せろー!」
俺は笑った。
「まあ、本当に沢山喰ってくれよな」
「アレ? 昨日となんか違いますね」
「ああ、俺の勘違いだった。お前らは大食いを貫け!」
「はい!」
二人で笑った。
俺はもう迷わない。
駐車場にハマーを入れると、店長が駆け寄って来た。
「石神先生! お久しぶりです!」
「ああ、今年もまたお世話になります」
「こちらこそ! またたくさんご注文いただきまして!」
俺たちは笑いながら中へ入った。
『ワルキューレの騎行』が鳴り響く。
亜紀ちゃんと顔を合わせて笑った。
「こないだ、テレビ局が取材に来たんですよ」
「へぇー」
「店内で『ワルキューレの騎行』を流すスーパーってね! 東京のお医者様のご希望で始めたって言うと、驚いてました」
「タカさん!」
俺は咳き込んでいた。
「そ、それは、なんとも」
「全部、石神先生のお陰です! お陰でテレビの後はまた売り上げが大幅に伸びまして!」
「店長さんのお力でしょう。俺たちは冗談で言っていたのに、それをすぐに実現してくれて。そういう真面目で情熱のある店長さんだからですよ」
「いや、先生にそう言われると!」
俺と亜紀ちゃんは店内を見ながら買い物をし、頼んでおいた肉を受け取った。
また店長が寄って来て、荷物を預かってくれる。
「では、フードコートで一休みなさってください。お買い物はすぐにお届けします」
俺たちは礼を言って頼んだ。
二人でフードコートでコーヒーフロートを飲んだ。
「タカさん、戻ったら少し休んで下さいね」
亜紀ちゃんが言った。
「いや、大丈夫だよ。一緒に夕飯の準備をしよう」
「えー、休んで下さいよ。私たちでちゃんとやりますから」
「そうかー。じゃあ頼むな」
「はい!」
亜紀ちゃんが優しく頼もしい。
「私たちで本当に充分ですから。最近は柳さんも……」
「「!」」
「亜紀ちゃん! 今何時だ!」
「二時半です!」
「柳は三時だったよな!」
「はい!」
「急ぐぞ!」
また柳を忘れていた。
ハマーをぶっ飛ばした。
ギリギリ間に合った。
俺たちがついて1分後に、柳が駅を出て来た。
「石神さーん!」
亜紀ちゃんが駆け寄り、柳の荷物を持つ。
「おー! 愛する柳ー!」
「えー、なんですか、今日は」
「しばらく会えなかったからな! 俺の中の柳愛が爆発しそうだ!」
「ほんとにどうしたんですか! 嬉しいですけど!」
「ほら、柳! 隣に乗れよ。よく顔を見せてくれ」
「はいはい。幾らでもどーぞ」
亜紀ちゃんは柳の荷物を乗せ、後ろのシートに座った。
「おし! 行くぞ!」
ゆっくり走った。
「これで全員揃ったな」
「はい! ああ、柳さん、レイさんは仕事でニューヨークなんです」
「え、そうなの! 会うの楽しみにしてたんだけど」
「そうなんですよ。残念ですけど、来年もありますしね!」
「そうだね。でも早く他の人たちにも会いたいな」
「柳さんもしっかり石神家ですね!」
「うん!」
柳が嬉しそうで良かった。
「御堂家のみなさんも元気だよな」
「はい! ニジンスキーたちも元気ですよ!」
「それはいいから」
「何でですか! 石神さんのお子さんじゃないですか!」
「ま、まあそうなんだけどな」
柳が手元のバッグから何か取り出した。
「はい! お土産です!」
10センチほどの、ヘビのおもちゃだった。
五匹いる。
「……」
「カワイー!」
亜紀ちゃんが後ろから覗き込んで喜んだ。
柳が俺の頬を指でつつく。
俺はニッコリと微笑んでやった。
「カワイイよな!」
「はい!」
本当にカワイイ奴らだった。
「お前も寝ろよな」
「はい」
響子は大丈夫そうだ。
六花もジャージに着替えて俺のベッドに横になった。
ジャージの前を閉めてねぇ。
早く触れと俺を見ている。
俺は響子にキスをしながら、双丘を撫でた。
栞も鷹に連れられて、一旦休むようだ。
子どもたちは簡単に掃除と点検をする。
山中夫妻がやってくれているので、ほとんど何もすることはない。
俺は亜紀ちゃんを連れて買い物へ出た。
「またここに来ましたねー」
上機嫌で亜紀ちゃんが言う。
「ああ、もうすっかり定番になったな」
「今度は雪の時に来ましょうよ」
「機会があればな」
「そうですねー。ここと御堂さんの家と、また「紅六花ビル」とか」
「遊んでばっかだな!」
「アハハハハハ!」
子どもたちが来る前は、一人でゆっくりと本を読み映画を観て、ギターを弾いているくらいだった。
あとはドライブくらいか。
あのまま独りだったら女性と付き合うことも、ましてネコを飼うこともなかっただろう。
子どもたちが俺の人生を変えた。
悪くない。
そして響子だ。
響子を起点として、俺たちの不思議な運命が始まったように思える。
俺は奇跡に触れ、やがて俺の「常識」がどんどん変わって行った。
一介の医者が、世界に影響を与えるものたちと関わるようになった。
女たちとの関りもそうだ。
奈津江の死以来、俺は女性関係を断っていた。
それがどうしたことか。
色魔と言われても仕方がねぇ。
そしてついに……
「タカさん、どうかしました?」
「いや、またお前らの大食いが見れるのかと思うとな」
「俺に任せろー!」
俺は笑った。
「まあ、本当に沢山喰ってくれよな」
「アレ? 昨日となんか違いますね」
「ああ、俺の勘違いだった。お前らは大食いを貫け!」
「はい!」
二人で笑った。
俺はもう迷わない。
駐車場にハマーを入れると、店長が駆け寄って来た。
「石神先生! お久しぶりです!」
「ああ、今年もまたお世話になります」
「こちらこそ! またたくさんご注文いただきまして!」
俺たちは笑いながら中へ入った。
『ワルキューレの騎行』が鳴り響く。
亜紀ちゃんと顔を合わせて笑った。
「こないだ、テレビ局が取材に来たんですよ」
「へぇー」
「店内で『ワルキューレの騎行』を流すスーパーってね! 東京のお医者様のご希望で始めたって言うと、驚いてました」
「タカさん!」
俺は咳き込んでいた。
「そ、それは、なんとも」
「全部、石神先生のお陰です! お陰でテレビの後はまた売り上げが大幅に伸びまして!」
「店長さんのお力でしょう。俺たちは冗談で言っていたのに、それをすぐに実現してくれて。そういう真面目で情熱のある店長さんだからですよ」
「いや、先生にそう言われると!」
俺と亜紀ちゃんは店内を見ながら買い物をし、頼んでおいた肉を受け取った。
また店長が寄って来て、荷物を預かってくれる。
「では、フードコートで一休みなさってください。お買い物はすぐにお届けします」
俺たちは礼を言って頼んだ。
二人でフードコートでコーヒーフロートを飲んだ。
「タカさん、戻ったら少し休んで下さいね」
亜紀ちゃんが言った。
「いや、大丈夫だよ。一緒に夕飯の準備をしよう」
「えー、休んで下さいよ。私たちでちゃんとやりますから」
「そうかー。じゃあ頼むな」
「はい!」
亜紀ちゃんが優しく頼もしい。
「私たちで本当に充分ですから。最近は柳さんも……」
「「!」」
「亜紀ちゃん! 今何時だ!」
「二時半です!」
「柳は三時だったよな!」
「はい!」
「急ぐぞ!」
また柳を忘れていた。
ハマーをぶっ飛ばした。
ギリギリ間に合った。
俺たちがついて1分後に、柳が駅を出て来た。
「石神さーん!」
亜紀ちゃんが駆け寄り、柳の荷物を持つ。
「おー! 愛する柳ー!」
「えー、なんですか、今日は」
「しばらく会えなかったからな! 俺の中の柳愛が爆発しそうだ!」
「ほんとにどうしたんですか! 嬉しいですけど!」
「ほら、柳! 隣に乗れよ。よく顔を見せてくれ」
「はいはい。幾らでもどーぞ」
亜紀ちゃんは柳の荷物を乗せ、後ろのシートに座った。
「おし! 行くぞ!」
ゆっくり走った。
「これで全員揃ったな」
「はい! ああ、柳さん、レイさんは仕事でニューヨークなんです」
「え、そうなの! 会うの楽しみにしてたんだけど」
「そうなんですよ。残念ですけど、来年もありますしね!」
「そうだね。でも早く他の人たちにも会いたいな」
「柳さんもしっかり石神家ですね!」
「うん!」
柳が嬉しそうで良かった。
「御堂家のみなさんも元気だよな」
「はい! ニジンスキーたちも元気ですよ!」
「それはいいから」
「何でですか! 石神さんのお子さんじゃないですか!」
「ま、まあそうなんだけどな」
柳が手元のバッグから何か取り出した。
「はい! お土産です!」
10センチほどの、ヘビのおもちゃだった。
五匹いる。
「……」
「カワイー!」
亜紀ちゃんが後ろから覗き込んで喜んだ。
柳が俺の頬を指でつつく。
俺はニッコリと微笑んでやった。
「カワイイよな!」
「はい!」
本当にカワイイ奴らだった。
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