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レイの出発
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8月中旬の土曜日。
朝食の後で、レイに話があると言われた。
レイを俺の部屋へ呼ぶ。
「最近特に忙しそうだな。大丈夫か?」
「石神さん。そのことでご相談が」
「なんだよ?」
「しばらく、ニューヨークへ帰らなければなりません」
「そうなのか」
「はい。ロックハートの家の方で問題がありそうで」
レイがそう言った。
「俺たちに手伝えることはないか?」
「いえ! どうも軍部が動き出しているという情報がありまして」
俺は驚いた。
「おい! なら俺たちの出番だろう!」
レイが慌てて手を振った。
「まだ具体的なことではないんです。軍の一部がロックハートへの不満を漏らしているという程度です」
それを聞いて、俺は一応は落ち着いた。
「それで、皇紀さんの防衛システムはあるんですが、私も警備の方を強化しようと思いまして」
「俺たちも行くよ」
「そんな! でも、もしもの場合はお願いします。本当に」
「そうかよ」
レイは続けた。
「それと、まだ他の方には内密にお願いします」
「分かった。どこから情報が洩れるか分からんしな」
「はい。それに、皆さんに心配はお掛けしたくないので」
俺はレイの肩に手を置いた。
「遠慮するなよな! 俺たちは家族だ。ロックハートの家の方々も同じだぞ?」
「ありがとうございます」
「いつからだ?」
「はい、出来れば明日から」
「おい、急だな」
「すみません。夕べ情報を掴んだのですが、早い方が良いかと」
「まあ、確かにな」
レイはその情報を追って、忙しくしていたらしい。
「軍のどこなのか分かっているのか?」
「はい。NSA(アメリカ国家安全保障局)と陸軍の一部らしいです」
「そうか。嫌らしい相手だなぁ」
「はい。NSAは軍の中枢ですしね」
「まあ、本当に軍隊が出張っても、皇紀システムなら蹴散らすぞ」
「分かってます。石神さんと皇紀さんには本当に感謝を」
レイが笑って言った。
俺はレイと一緒にリヴィングに降りた。
子どもたちに、レイがしばらくニューヨークに帰ることを話した。
「ロックハートの家の仕事でな。どうしてもレイじゃなければダメらしい」
俺が言うと、子どもたちが残念がった。
「来週から別荘に行くのにー!」
ハーが言う。
「ごめんね。また次の機会にね。私もあそこは大好きなの」
「残念だなー!」
俺はもう一度レイと俺の部屋へ行った。
別荘でみんなに話そうと思っていたことを、レイに話した。
レイは驚きつつも、俺に祝いの言葉を言ってくれた。
「本当におめでとうございます! ああ、なんていうことでしょう!」
「そんなに大袈裟に言うなよ。普通のことだろう」
「いえ! 私、本当に嬉しいです!」
「ありがとう」
「石神さん!」
「なんだ?」
「あの、私のことも宜しくお願いします」
俺は笑ってレイにキスをした。
「早く帰って来てくれ」
「はい! もう頑張りますよ!」
「本当に頼むぞ」
その夜はレイの壮行会を開き、みんながレイを離さなかった。
レイはずっと笑顔でみんなを見ていた。
レイは日曜日に出発した。
俺が空港まで送ると言ったが、泣きそうだからと断られた。
門の前でタクシーに乗り込み、みんなで見送った。
夜に亜紀ちゃんと飲んだ。
梅酒にした。
風花から先月もらったハムを焼く。
「柳さんもいないし、レイさんまでいなくなっちゃいましたね」
「そうだな」
「なんか寂しいですねー」
「そうですねー」
柳はまだ実家にいる。
来週の別荘で合流する予定だ。
「えーと、今回はうちの五人と柳さん、響子ちゃんと六花さん、それに栞さんと鷹さん」
「ロボを忘れんな!」
「すみません!」
ロボが亜紀ちゃんの足を殴る。
「折角広くしたのに。誰か他にも呼びます?」
「いいよ」
「諸見さんとか?」
「呼べば楽しいけどな。でもあいつも仕事がある」
東雲たちには、御堂家の工事を優先でやらせていた。
皇紀システムの拡張バージョンを設置している。
「あ! 乾さんとか!」
「バカ!」
「「薔薇乙女」の人たち!」
「宴会に行くんじゃねぇ!」
「院長御夫妻!」
「あ、ちょっといいかも」
「便利屋さん!」
「やめろ!」
「佐野さん!」
「お前! まさか接触してねぇだろうなぁ!」
亜紀ちゃんは冗談だと言った。
「橘弥生さん」
「あの冷徹が来るとどうなると思うよ」
「一江さんとか」
「あいつが残るから俺が遊べるんだろう!」
「石動さん!」
「ワハハハハハハ!」
二人で笑った。
「まー、亜紀ちゃんがいればいいですよね!」
「そーだよなー!」
「タカさんは亜紀ちゃん道の初段ですもんね!」
「そうだったのか。なんかちょっと微妙だな」
「だって、まだ手を出してないですもん」
「出さねぇよ!」
亜紀ちゃんがつまみを食べ終え、ベーコンを焼きに行った。
「でも、レイさん。本当に残念ですね」
「一緒に住んでても、忙しい女だからなぁ。なかなかゆっくり話せないしな」
「帰って来たら一杯話しましょう!」
「そうだな」
「虎のレイの話が出て、そのすぐ後に行っちゃうなんて」
「そう言えば、レイには話してなかったな」
「皇紀たちにもですよ」
「別荘で話すか」
「あー、別なお話を是非」
「なんでだよ」
「だって、私聞いちゃってますから」
「いいじゃねぇか」
「タカさんのいろんな話が聞きたいんです」
「あのなー」
俺が明日は仕事なので、早めに切り上げた。
亜紀ちゃんは、片付けてから寝ると言った。
まあ、俺はほとんどグラスだけで、つまみは全部亜紀ちゃんが喰った。
寝室のベランダから夜空を見上げた。
北斗七星を見た。
レイのことを思った。
「帰ってきたらな」
俺は呟いた。
朝食の後で、レイに話があると言われた。
レイを俺の部屋へ呼ぶ。
「最近特に忙しそうだな。大丈夫か?」
「石神さん。そのことでご相談が」
「なんだよ?」
「しばらく、ニューヨークへ帰らなければなりません」
「そうなのか」
「はい。ロックハートの家の方で問題がありそうで」
レイがそう言った。
「俺たちに手伝えることはないか?」
「いえ! どうも軍部が動き出しているという情報がありまして」
俺は驚いた。
「おい! なら俺たちの出番だろう!」
レイが慌てて手を振った。
「まだ具体的なことではないんです。軍の一部がロックハートへの不満を漏らしているという程度です」
それを聞いて、俺は一応は落ち着いた。
「それで、皇紀さんの防衛システムはあるんですが、私も警備の方を強化しようと思いまして」
「俺たちも行くよ」
「そんな! でも、もしもの場合はお願いします。本当に」
「そうかよ」
レイは続けた。
「それと、まだ他の方には内密にお願いします」
「分かった。どこから情報が洩れるか分からんしな」
「はい。それに、皆さんに心配はお掛けしたくないので」
俺はレイの肩に手を置いた。
「遠慮するなよな! 俺たちは家族だ。ロックハートの家の方々も同じだぞ?」
「ありがとうございます」
「いつからだ?」
「はい、出来れば明日から」
「おい、急だな」
「すみません。夕べ情報を掴んだのですが、早い方が良いかと」
「まあ、確かにな」
レイはその情報を追って、忙しくしていたらしい。
「軍のどこなのか分かっているのか?」
「はい。NSA(アメリカ国家安全保障局)と陸軍の一部らしいです」
「そうか。嫌らしい相手だなぁ」
「はい。NSAは軍の中枢ですしね」
「まあ、本当に軍隊が出張っても、皇紀システムなら蹴散らすぞ」
「分かってます。石神さんと皇紀さんには本当に感謝を」
レイが笑って言った。
俺はレイと一緒にリヴィングに降りた。
子どもたちに、レイがしばらくニューヨークに帰ることを話した。
「ロックハートの家の仕事でな。どうしてもレイじゃなければダメらしい」
俺が言うと、子どもたちが残念がった。
「来週から別荘に行くのにー!」
ハーが言う。
「ごめんね。また次の機会にね。私もあそこは大好きなの」
「残念だなー!」
俺はもう一度レイと俺の部屋へ行った。
別荘でみんなに話そうと思っていたことを、レイに話した。
レイは驚きつつも、俺に祝いの言葉を言ってくれた。
「本当におめでとうございます! ああ、なんていうことでしょう!」
「そんなに大袈裟に言うなよ。普通のことだろう」
「いえ! 私、本当に嬉しいです!」
「ありがとう」
「石神さん!」
「なんだ?」
「あの、私のことも宜しくお願いします」
俺は笑ってレイにキスをした。
「早く帰って来てくれ」
「はい! もう頑張りますよ!」
「本当に頼むぞ」
その夜はレイの壮行会を開き、みんながレイを離さなかった。
レイはずっと笑顔でみんなを見ていた。
レイは日曜日に出発した。
俺が空港まで送ると言ったが、泣きそうだからと断られた。
門の前でタクシーに乗り込み、みんなで見送った。
夜に亜紀ちゃんと飲んだ。
梅酒にした。
風花から先月もらったハムを焼く。
「柳さんもいないし、レイさんまでいなくなっちゃいましたね」
「そうだな」
「なんか寂しいですねー」
「そうですねー」
柳はまだ実家にいる。
来週の別荘で合流する予定だ。
「えーと、今回はうちの五人と柳さん、響子ちゃんと六花さん、それに栞さんと鷹さん」
「ロボを忘れんな!」
「すみません!」
ロボが亜紀ちゃんの足を殴る。
「折角広くしたのに。誰か他にも呼びます?」
「いいよ」
「諸見さんとか?」
「呼べば楽しいけどな。でもあいつも仕事がある」
東雲たちには、御堂家の工事を優先でやらせていた。
皇紀システムの拡張バージョンを設置している。
「あ! 乾さんとか!」
「バカ!」
「「薔薇乙女」の人たち!」
「宴会に行くんじゃねぇ!」
「院長御夫妻!」
「あ、ちょっといいかも」
「便利屋さん!」
「やめろ!」
「佐野さん!」
「お前! まさか接触してねぇだろうなぁ!」
亜紀ちゃんは冗談だと言った。
「橘弥生さん」
「あの冷徹が来るとどうなると思うよ」
「一江さんとか」
「あいつが残るから俺が遊べるんだろう!」
「石動さん!」
「ワハハハハハハ!」
二人で笑った。
「まー、亜紀ちゃんがいればいいですよね!」
「そーだよなー!」
「タカさんは亜紀ちゃん道の初段ですもんね!」
「そうだったのか。なんかちょっと微妙だな」
「だって、まだ手を出してないですもん」
「出さねぇよ!」
亜紀ちゃんがつまみを食べ終え、ベーコンを焼きに行った。
「でも、レイさん。本当に残念ですね」
「一緒に住んでても、忙しい女だからなぁ。なかなかゆっくり話せないしな」
「帰って来たら一杯話しましょう!」
「そうだな」
「虎のレイの話が出て、そのすぐ後に行っちゃうなんて」
「そう言えば、レイには話してなかったな」
「皇紀たちにもですよ」
「別荘で話すか」
「あー、別なお話を是非」
「なんでだよ」
「だって、私聞いちゃってますから」
「いいじゃねぇか」
「タカさんのいろんな話が聞きたいんです」
「あのなー」
俺が明日は仕事なので、早めに切り上げた。
亜紀ちゃんは、片付けてから寝ると言った。
まあ、俺はほとんどグラスだけで、つまみは全部亜紀ちゃんが喰った。
寝室のベランダから夜空を見上げた。
北斗七星を見た。
レイのことを思った。
「帰ってきたらな」
俺は呟いた。
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