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挿話: 石神家子ども会議

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 亜紀、皇紀、ルー、ハーの四人が、地下の音響ルームに集まっていた。
 平日の午後3時。
 家には他に誰もいない。

 「それでは、今月の「石神家子ども会議」を始めます」

 亜紀が宣言し、拍手が沸く。

 「それでは今月のタカさんの報告を。今月のタカさん当番はルーだったね」
 「はい! 今月は何て言っても、乾さんですね」
 みんながそうだそうだと言う。

 「でも、亜紀ちゃんのレポートが完璧なので、特に報告することは無いかな」
 「あとは諸見さん!」
 「いつもタカさんの絡みがいいよねー」
 「三井ビル!」
 「あー、あれ!」
 「麗星さんも良かった!」
 「亜紀ちゃんと柳さんのー!」
 「その話はまた今度みんなで話し合おう。じゃあ、収支報告。ハー、お願い」

 「えーと、土曜日に来てもらった交通費です。院長先生たちはタクシー三千円くらいかな。六花ちゃんが手配した特別移送車は10万円。一日借りだったからね。鷹さんは地下鉄380円。でもみんな受け取らないから、何かみんなに案が欲しいな。それと何と言っても乾さん。RZの代金と保管と整備料はざっと2000万円くらいでいいかなーと」
 「乾さんには、傘下の会社でお店のバイクを30台購入する手配をしてます」
 ルーが言った。

 「それは「紅六花」へ回すのね。大型免許の人も多いから」
 「なるほど。院長先生はまたルーとハーで?」
 「うん! お土産持って泊まりに行く!」
 「お願いね。六花さんにはどうしよう」
 「石動さんに頼んで、いいヤツ送ってもらう。それをあげるし」
 「でも、それじゃ金額的に合わないよ?」
 「ケースを純金にするから。まあ、三十万円くらいのやつ?」
 「ああ、それならいいね!」
 「鷹さんにはQUOカードを、何かに当選したってことで送るよ」
 「いつもの奴ね」

 「響子ちゃんにも何かあげたいね」
 「また「タカトラ秘蔵写真」を贈るかー」
 「あ、いいね! またいろいろ溜まってるでしょ。皇紀、プリントしといて。みんなで選ぼう」
 「うん、分かった」

 皇紀はノートPCでフォルダ内の写真をプリントする。
 上の複合機へ取りに上がった。

 「栞さんはどうする?」
 「タカさんのパンツ!」
 「「「ギャハハハハハ!」」」

 皇紀がプリントアウトした紙を持って戻った。

 「ねー、皇紀ちゃん。栞さんに何を上げようかって」
 「こないだ暗器を欲しがってたよ。僕がちょっと作ろうか」
 「じゃーそれで!」

 「総資産は60兆円を超えましたー」
 「すごいね!」
 「もう感覚がないよー」




 「それでは次にタカさん情報!」
 「今週は「乾さん関連」で充実したねー!」
 「そうそう。あと、「早乙女さん関連」も結構いいよ」
 「あ、そっちはまだ目を通してないや」
 「皇紀ちゃん! 忙しいのは分かるけどー」
 「ごめんごめん」
 「麗星さんのことは、ちょっと調べなきゃだね」
 「それと、亜蘭ちゃんのこと! あの才能は今後有用だよ!」
 「そっちはルーとハーに任せる。石神一家に是非引き込んで」
 「「うん!」」




 「じゃあ、そろそろ「タカさんベストショット」を選ぼうか!」
 「「「はーい!」」」

 「あ! その前に、今週は石動さんから届いたじゃん!」
 「あー!」

 ハーから石動氏からの今月の送付内容が発表された。

 「先月は六花ちゃん似のものだったけど、今月は痴漢物だね。今まであんましなかったジャンルです」
 「またタカさんの領域が拡がるかー」
 「ハー、巨乳指数は?」
 「そっちは平均以下だね。珍しいね」
 「じゃあ、内容に拘ったセレクションなんだ」
 四人がニヤニヤして笑った。

 「じゃあ、戻って「タカさんベストショット」!」
 みんながそれぞれの写真を見せ合った。

 「今回も迷うなー」
 「このロボと遊んでる写真は?」
 「このアヴェンタドールから降りるのもいいよ!」
 「えー! 私はギターのがいいな!」
 「亜紀ちゃん、いつもそれじゃん!」
 「いーじゃない!」
 「いいけどさ。別なのもちゃんと見ようよ」
 「分かったよ」

 「あ、このルーが撮った寝顔、いいんじゃない!」
 「これはね! 奈津江さんの夢を見てるときのやつ!」
 「あー! じゃあ決まりかな!」
 「タカさん、本当に嬉しそうだもんね!」
 「じゃあ、今回はこれにしますか!」
 「「「賛成ー!」」」




 「じゃー、最後にタカさんを喜ばせる来月の方針を」
 「いよいよ夏休みが近いねー」
 「御堂さんの家と別荘!」
 「大勢で別荘に行けるようになったもんね」
 「あと、重要な場所が」
 「え、なに?」
 「道間麗星さん! 京都だよ!」
 「あー、タカさん行けるかなー」
 「それはちょっと保留ね」
 「亜紀ちゃん、それとなくお風呂か飲んでる時に」
 「うん、分かった!」
 「「よろしくー」」

 「それと、諸見さん、よく最近誘われるよね」
 「タカさんが気に入ってるみたいだよね」
 「あの人無口だけど、いい人だよね」
 「うん! 一生懸命に毎日壁を見てるし」
 「レイをいつも見てるよね」
 「オッパイ派かー!」
 「「「「アハハハハハ!」」」」

 「でもタカさん、レイに手を出さないね?」
 「うん、不思議だと思う」
 「なんでだろ」
 「他で大変だから?」
 「「「「ギャハハハハハ!」」」」

 「柳ちゃんもねー」
 「ちょっと可哀そうかな」
 「だって、御堂さんの娘だから」
 「そーだろーねー」
 「なかなかね」



 「でも、タカさんにはいつも笑ってて欲しいね」
 「そうだね」
 「私たちで少しでも」
 「タカさん、いつも人のことばっかだもんね」
 「じゃあ、この辺で締めようか」
 「せーの!」



 「「「「タカさん! 大好きー!」」」」



 石神家子ども会議。

 それは石神の狂信者のどうでもいい集まりであった。
 他の人間はもちろん、石神も当然知らない。
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