792 / 2,806
亜紀ちゃんと蓮花研究所
しおりを挟む
蓮花の研究所が見えて来た。
門の前で車を停め、リモコンで開いた。
俺が中に車を入れると、本館の入り口で蓮花が立っているのが見えた。
「石神様、亜紀様、お待ち申し上げておりました」
蓮花が深々と頭を下げた。
俺は亜紀ちゃんに荷物を任せ、自分でガレージに車を入れる。
「蓮花、また世話になる」
「こちらこそ。毎回お越し下さるお手間に恐縮しておりますが、やはり石神様にいらして頂けて嬉しい限りです」
「来て早々に悪いんだが」
「はい、お食事でございますね。準備しております」
「やったー!」
亜紀ちゃんが喜んだ。
俺や皇紀、六花から、蓮花の食事の美味さを聞いているのだ。
三人でエレベーターに乗る。
蓮花の研究所のエレベーターは階数ボタンが無い。
量子コンピューターが乗った人間の行き先を推測して案内する。
声を掛ければその都度行き先に行く。
今は恐らく事前に蓮花が指示している。
ちなみに階段は強固なシャッターが下りている。
緊急時にはより強力な防壁が降り、攻撃システムも起動する。
ここは堅固な要塞になった。
フロアで扉が開き、俺たちは食堂へ向かった。
亜紀ちゃんとテーブルに座ると、すぐに蓮花が食事を運んで来た。
俺には和風の膳。
ハナダイの焼き物。
キスと野菜の天ぷら。
シラエビの酢の物。
カツオの叩き。
ハマグリの吸い物。
他に各種煮物などの器。
亜紀ちゃんは肉だ。
テールスープ。
ステーキ。
メイクイーンとニンジンのバター焼き。
カリフラワーと千切りゴボウのサラダ。
野菜のリゾット。
俺たちは腹が空いていたのでどんどん食べた。
いつもは遅くとも6時には夕飯を食べているが、今日は7時に近い。
亜紀ちゃんがステーキを早速食べ終えた。
「あの、お替りってありますか?」
「はい。ですが次の一枚で終わりなんです」
「そーなんですかー」
悲しそうな顔をした。
蓮花が二枚目を持って来る。
「ワーーー!」
亜紀ちゃんが嬉しそうに笑った。
5キロ近い肉の塊だった。
「亜紀ちゃん、蓮花はちょっとオチャメな所があるんだ」
「そーですねー!」
蓮花が微笑んでいた。
「石神家の方をお招きするのに、油断はありません」
「そうかよ」
俺も笑った。
亜紀ちゃんはさっきのものよりも美味しいと言った。
「昼からずっと低温で焼いていました」
蓮花の説明で分かる。
肉は低温で時間をかけて焼くことで、見事な仕上がりになる。
表面を見ると、カットされている。
元はもっと大きな肉だったに違いない。
一番美味しく焼けた部位だけを取り出したのだ。
美味い食事を終え、俺は新たなブランに会うことにした。
亜紀ちゃんはシャノンに施設を案内してもらう。
「キャー! シャノン可愛い!」
「アきサマ、ヨロしくニャン!」
シャノンが目を細めて挨拶すると、亜紀ちゃんが抱き着いた。
主に今回使う施設を案内していく予定だ。
俺は蓮花の案内で、訓練場に案内された。
弁財
大黒
吉祥
韋駄
摩利支
迦楼羅
持国
増長
広目
多聞
帝釈
仏教の仏から名を取って俺がつけた10名。
それに加え
朱雀
白虎
玄武
青龍
この四名は、主に拠点防衛に特化した者たちだ。
最後に
羅刹
この15名が俺に歓喜の感謝と絶対服従を誓った。
今回は万能型のミユキや前鬼、後鬼とは違い、ある程度の方向性がある。
スピード重視であったり、情報収集能力や作戦立案や指揮能力など。
羅刹は徹底的な攻撃特化型だった。
俺は全員を外に連れ出し、クロピョンによる記憶再生を施した。
ミユキたちと同様に、過去の記憶を取り戻してさえ尚、俺への忠誠を誓ってくれた。
それぞれの過去には、業のどす黒い影がある。
それが俺たちの絆だ。
新たなブランたちを休ませ、俺は蓮花と作戦室へ行った。
「石神様、お疲れ様でございました」
「蓮花、よくやってくれた。これでブランたちの戦力は飛躍的に上がった」
「はい。「個」としての戦力には限界がございます。ああ、もちろん石神様や亜紀様は別で」
「いや、蓮花の言う通りだ。デュール・ゲリエは明日見せてもらうが、ブランたちとの共同戦線が張れるかもしれないな」
「デュール・ゲリエにそれなりの防御と武装を与えれば、さぞ見事な戦いが出来ましょう」
話していると、亜紀ちゃんが来た。
「タカさーん! 入ってもいいですか?」
「おう、入れよ。遠慮するな」
「はーい」
蓮花が笑顔で出て行った。
コーヒーを持って来る。
「お酒はお風呂の後がよろしいかと」
「そうだな。これを飲んだら風呂に入るか!」
「オッシャー!」
俺と蓮花で笑った。
「ミユキさんとお会いしたいんですが」
「では、後で呼びましょう」
「ありがとうございます!」
俺たちは部屋へ行った。
亜紀ちゃんと同室だ。
着替えの浴衣も二人分あった。
俺は遠くの山に向かう夜道を行く虎の後姿が、月光に照らされる意匠。
亜紀ちゃんはマシンガンとでかい大鎌を構える死神髑髏の意匠。
「カッコイイですね!」
「な、蓮花の趣味はいいだろう?」
「はい!」
二人で浴衣を抱えて風呂に行った。
「広いですね!」
「そうだろう」
いつものように互いを洗って、俺たちは湯船に浸かった。
「タカさん」
「なんだ?」
「お父さんの話をしてくれませんか?」
「どうしたんだよ」
「タカさんといると、毎日が楽しくて幸せで。あのまま両親が生きていたら、こんなことは無かっただろうと」
「山中たちが生きていれば、もっと幸せだったさ」
「そうかもしれませんけど」
「あいつは心底、奥さんと亜紀ちゃんたちを愛していた。俺なんかよりもずっと可愛がって幸せだったろうよ」
「タカさんはそう言いますよね」
「その通りだからな」
「はい」
亜紀ちゃんが俺に向いた。
「じゃー、ちょっと私の話を聞いてくれますか?」
「もちろんだ」
亜紀ちゃんが語り出した。
門の前で車を停め、リモコンで開いた。
俺が中に車を入れると、本館の入り口で蓮花が立っているのが見えた。
「石神様、亜紀様、お待ち申し上げておりました」
蓮花が深々と頭を下げた。
俺は亜紀ちゃんに荷物を任せ、自分でガレージに車を入れる。
「蓮花、また世話になる」
「こちらこそ。毎回お越し下さるお手間に恐縮しておりますが、やはり石神様にいらして頂けて嬉しい限りです」
「来て早々に悪いんだが」
「はい、お食事でございますね。準備しております」
「やったー!」
亜紀ちゃんが喜んだ。
俺や皇紀、六花から、蓮花の食事の美味さを聞いているのだ。
三人でエレベーターに乗る。
蓮花の研究所のエレベーターは階数ボタンが無い。
量子コンピューターが乗った人間の行き先を推測して案内する。
声を掛ければその都度行き先に行く。
今は恐らく事前に蓮花が指示している。
ちなみに階段は強固なシャッターが下りている。
緊急時にはより強力な防壁が降り、攻撃システムも起動する。
ここは堅固な要塞になった。
フロアで扉が開き、俺たちは食堂へ向かった。
亜紀ちゃんとテーブルに座ると、すぐに蓮花が食事を運んで来た。
俺には和風の膳。
ハナダイの焼き物。
キスと野菜の天ぷら。
シラエビの酢の物。
カツオの叩き。
ハマグリの吸い物。
他に各種煮物などの器。
亜紀ちゃんは肉だ。
テールスープ。
ステーキ。
メイクイーンとニンジンのバター焼き。
カリフラワーと千切りゴボウのサラダ。
野菜のリゾット。
俺たちは腹が空いていたのでどんどん食べた。
いつもは遅くとも6時には夕飯を食べているが、今日は7時に近い。
亜紀ちゃんがステーキを早速食べ終えた。
「あの、お替りってありますか?」
「はい。ですが次の一枚で終わりなんです」
「そーなんですかー」
悲しそうな顔をした。
蓮花が二枚目を持って来る。
「ワーーー!」
亜紀ちゃんが嬉しそうに笑った。
5キロ近い肉の塊だった。
「亜紀ちゃん、蓮花はちょっとオチャメな所があるんだ」
「そーですねー!」
蓮花が微笑んでいた。
「石神家の方をお招きするのに、油断はありません」
「そうかよ」
俺も笑った。
亜紀ちゃんはさっきのものよりも美味しいと言った。
「昼からずっと低温で焼いていました」
蓮花の説明で分かる。
肉は低温で時間をかけて焼くことで、見事な仕上がりになる。
表面を見ると、カットされている。
元はもっと大きな肉だったに違いない。
一番美味しく焼けた部位だけを取り出したのだ。
美味い食事を終え、俺は新たなブランに会うことにした。
亜紀ちゃんはシャノンに施設を案内してもらう。
「キャー! シャノン可愛い!」
「アきサマ、ヨロしくニャン!」
シャノンが目を細めて挨拶すると、亜紀ちゃんが抱き着いた。
主に今回使う施設を案内していく予定だ。
俺は蓮花の案内で、訓練場に案内された。
弁財
大黒
吉祥
韋駄
摩利支
迦楼羅
持国
増長
広目
多聞
帝釈
仏教の仏から名を取って俺がつけた10名。
それに加え
朱雀
白虎
玄武
青龍
この四名は、主に拠点防衛に特化した者たちだ。
最後に
羅刹
この15名が俺に歓喜の感謝と絶対服従を誓った。
今回は万能型のミユキや前鬼、後鬼とは違い、ある程度の方向性がある。
スピード重視であったり、情報収集能力や作戦立案や指揮能力など。
羅刹は徹底的な攻撃特化型だった。
俺は全員を外に連れ出し、クロピョンによる記憶再生を施した。
ミユキたちと同様に、過去の記憶を取り戻してさえ尚、俺への忠誠を誓ってくれた。
それぞれの過去には、業のどす黒い影がある。
それが俺たちの絆だ。
新たなブランたちを休ませ、俺は蓮花と作戦室へ行った。
「石神様、お疲れ様でございました」
「蓮花、よくやってくれた。これでブランたちの戦力は飛躍的に上がった」
「はい。「個」としての戦力には限界がございます。ああ、もちろん石神様や亜紀様は別で」
「いや、蓮花の言う通りだ。デュール・ゲリエは明日見せてもらうが、ブランたちとの共同戦線が張れるかもしれないな」
「デュール・ゲリエにそれなりの防御と武装を与えれば、さぞ見事な戦いが出来ましょう」
話していると、亜紀ちゃんが来た。
「タカさーん! 入ってもいいですか?」
「おう、入れよ。遠慮するな」
「はーい」
蓮花が笑顔で出て行った。
コーヒーを持って来る。
「お酒はお風呂の後がよろしいかと」
「そうだな。これを飲んだら風呂に入るか!」
「オッシャー!」
俺と蓮花で笑った。
「ミユキさんとお会いしたいんですが」
「では、後で呼びましょう」
「ありがとうございます!」
俺たちは部屋へ行った。
亜紀ちゃんと同室だ。
着替えの浴衣も二人分あった。
俺は遠くの山に向かう夜道を行く虎の後姿が、月光に照らされる意匠。
亜紀ちゃんはマシンガンとでかい大鎌を構える死神髑髏の意匠。
「カッコイイですね!」
「な、蓮花の趣味はいいだろう?」
「はい!」
二人で浴衣を抱えて風呂に行った。
「広いですね!」
「そうだろう」
いつものように互いを洗って、俺たちは湯船に浸かった。
「タカさん」
「なんだ?」
「お父さんの話をしてくれませんか?」
「どうしたんだよ」
「タカさんといると、毎日が楽しくて幸せで。あのまま両親が生きていたら、こんなことは無かっただろうと」
「山中たちが生きていれば、もっと幸せだったさ」
「そうかもしれませんけど」
「あいつは心底、奥さんと亜紀ちゃんたちを愛していた。俺なんかよりもずっと可愛がって幸せだったろうよ」
「タカさんはそう言いますよね」
「その通りだからな」
「はい」
亜紀ちゃんが俺に向いた。
「じゃー、ちょっと私の話を聞いてくれますか?」
「もちろんだ」
亜紀ちゃんが語り出した。
1
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、
ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、
私のおにいちゃんは↓
泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる