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亜紀の修学旅行 Ⅲ
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風呂から上がり、亜紀は真夜に化粧をしてもらった。
持って来た私服に着替えると、二人はとても高校生には見えなかった。
「じゃー、行こー!」
真夜は笑って亜紀に着いて行った。
適当に路地を歩き、小奇麗な料理屋に入る。
小さな店だ。
奥までのカウンターの他に、テーブルが2席のみ。
カウンターは、6人の男たちで埋まっていた。
戸が開いた時に、数人がこちらを見たが、若い女性二人と確認し、すぐに顔を戻した。
「熱燗と、美味しいものをどんどん!」
「はーい!」
店主らしい、痩せた60代の男が愛想よく言った。
突き出しを持って来る。
「東京の方ですか?」
「はい! 今日は仕事で」
「そうですか」
「あの、本当に一杯食べますので、美味しいものをどんどんお願いします」
「かしこまりました」
卯の花の突き出しが見事に美味い。
ニコニコ笑う亜紀に、真夜も微笑んだ。
「石神さんは、お料理も上手いですよね」
「上手いなんてものじゃないのよ! 最高! 何を作っても全部美味しいの!」
「はぁ、分かります」
「あのね、タカさんはいろんな秘密があるのね」
「なんですか?」
「真夜は聴いたことないだろうけど、ギターがまた凄いのよ!」
「へぇー!」
「それで、ある日聞いたの。誰かに習ったんですかって」
「そうなんですか」
「そうしたらね! 西平貢さんっていう世界的なギタリストだったの!」
「へぇー!」
亜紀は石神と西平貢の話をした。
話している間に熱燗と魚の煮物と天ぷらが来た。
「もっとどんどんお願いします!」
「はーい!」
真夜は亜紀の猪口に注ぎ、自分も受けた。
飲んで食べながら、亜紀の話を聞いた。
感動した。
「あー! 大将! このお魚も天ぷらも美味しいです!」
「ありがとうございます!」
「亜紀さん、話の続きを!」
真夜は亜紀の話に夢中だった。
西平貢が亡くなった時の話で、真夜は涙を流した。
「その話を聞いた夜にね。私はネットで貢さんのことを探したの。そうしたらね、あるサイトを見つけてタカさんに見せに行ったの」
その話を聞いて、真夜は本格的に泣き出した。
「ウワァァァァーーー!」
カウンターで飲んでいた男が突然叫んで泣き出した。
亜紀も真夜も驚いて男を見た。
男がこちらに向かってくる。
「その記事って、『ミュージック・フレンズ』の1985年9月号だろ!」
「え、確かそうだったかと」
「俺が書いた! 俺の記事だぁ!」
「「エェ!」」
「そのサイトも俺がやってる。あんた、さっきの話は本当か!」
「はい!」
「なんてことだぁー! 俺は、俺は生きてて良かったよー!」
男はまた大声で泣き出した。
しばらくして少し落ち着いて名刺を差し出した。
《古賀進 音楽友人社 常務取締役》
「もう編集からは引退してるんだけどな。あれはサイヘーさんの最後の記事になったんだ」
「そうなんですか」
亜紀は古賀をテーブルに座らせた。
大柄な男だったので、亜紀は真夜の隣に移った。
「サイヘーさんが言ってた「クソガキ」くんは、トラって呼んでいると聞いた」
「はい、私の父です。石神高虎です。今は医者をやってます」
「そうかぁー! じゃあ、もうギターは辞めてしまったんだね」
「いいえ、しょっちゅう弾いてますよ! こないだピアニストの橘弥生とセッションしました」
「なんだって!」
「港区のJTビルの会場で。凄かったですよ!」
「ほんとか! でもなんで橘弥生となんて」
亜紀は石神と橘弥生の息子・門土との友情を語った。
古賀と真夜がまた泣いた。
「なぁ、今の話、うちで記事にしていいか!」
「え、それはタカさんに聞いてみないと」
「絶対聞いてくれ! いや、俺が直接交渉する!」
「困ったなぁ」
「頼む! サイヘーさんは俺の魂なんだ」
亜紀は自分がまず話すと言い、自分の携帯の番号を伝えた。
「父はあまり目立つことが嫌いなんです。だからいいお返事が出来るかどうか」
「匿名でもいい。どうしても、今の話を記事にしたいんだ!」
「はぁ」
亜紀自身は、世の中の人に石神の美しい話を知って欲しい。
しかし、石神がどう考えるのかは分からない。
「まずは私に任せて下さい。私も父の話は知ってもらいたいんで」
「そうかぁ!」
古賀は亜紀の手を握った。
次の瞬間、慌てて放して謝った。
「つい興奮してしまって申し訳ない」
そして、自分とサイヘーとの話を始めた。
「俺が『ミュージック・フレンズ』の編集部に入って間もなくだ。サイヘーさんのライブに取材で行った。初めてサイヘーさんのギターを聴いたんだよ。もう瞬間でファンになったんだ」
古賀はサイヘーのどこが良いのかを延々と語った。
「弟子を一人知ってる。でも、彼は早々に飛び出しちゃったね。サイヘーさんは本当に厳しいから。その人は今もギタリストとしてやってる。結構名は売れてるよね」
「そうなんですか」
「でも、サイヘーさんの音に比べると断然落ちる。しょうがないよね」
古賀は話しながら、亜紀の食欲に驚いていた。
真夜が先ほど宿で10人前を食べたと言うと、大笑いした。
「記事にはしなかったけどね、サイヘーさんが言ってたんだ。「トラはいつも腹を空かせてるんだ」って! 菓子とか出して、残ったことがないって言ってたよ」
「アハハハハ」
「石神さんの娘だね!」
「ええ。でも血の繋がりはないんです。父がタカさんの親友だったんで、亡くなってから引き取ってくれたんですよ」
「そうなのか!」
「はい。私たち四人兄弟を全員。どんなに感謝しても足りません」
「立派な方だねぇ」
「はい!」
古賀は、またインタビューで記事にしなかったことを教えてくれた。
「サイヘーさんは石神さんに、レコードを全部あげるつもりだったんだ」
「え!」
「何度も貸して欲しいって言われてたのを断ってたって言ってた。ギタリストになるんならやるんだってね」
「でも、タカさんは、貢さんが「魂」だって言ってたんで、貰わなかったって」
「そうかぁ」
「亡くなった後で、奥さんがもらって欲しいって仰ったそうです。でも、断ったそうです」
「残念だね」
「タカさんが言ってました。貢さんは奥さんに遺産として残したかったんじゃないかって」
「ああ、それもあっただろうな。お金に興味が無い人だったから。でも奥さんにはいつも感謝してたんだ」
「あ! でも、後から貢さんの持ってたレコードを自分で探して買い集めたんですよ! そうしたらですね、ジャンゴ・ラインハルトのレコードが、貢さんが持ってたものだったんです!」
「ほんとか!」
「タカさんが「ケチジジィ」って書いたメモを入れて。ほら、貢さんは目が見えないから、その悪戯はバレないだろうって」
「アハハハハ!」
「大事にしてるんです」
「そうなのか、いいなぁ」
亜紀は石神が怒られている最中に、よくオチンチンを出していたのだと話し、古賀は爆笑した。
いつの間にか、カウンターの男たちがみんなこっちを向いていた。
「こいつらは会社の古い仲間たちなんだ。退職したのもいるけどね。今でもこうして時々集まってる」
「そうなんですか」
「古賀は昔からサイヘーきちがいだったもんな」
男たちが笑った。
楽しく語り合い、亜紀たちは帰ることにした。
「ここは俺がもつよ」
「いえ! タカさんから自分の飲み食いは自分で払えと言われてますので」
「そうかい?」
古賀は店の外まで見送りに来た。
「ところでお二人は、どういうお仕事なの?」
亜紀が耳元で小声で伝え、古賀は爆笑した。
「「クソガキくん」の子どもだもんね!」
「はい!」
酔い覚ましのためもあり、二人は歩いて宿へ向かった。
碁盤の目のように整った道。
迷うこともなかった。
「真夜、ごめんね。あんな話ばっかりになっちゃった」
「いいえ! いいお話でしたよ!」
「そう、ならいいんだけど」
真夜が亜紀の手を握って来た。
「亜紀さん。私、家が潰されて良かったって思ってる」
「え、そうなの?」
亜紀は多少気まずい。
「ほんとですよ。あのままじゃ、私は何にもなれなかった」
「そう」
「でも、今は違いますから」
「真夜は何になるの?」
「はい! 亜紀さんのお傍にいることです!」
「何よ、それ」
二人で笑った。
「人間は、「何か」にならなきゃ。今はそれがよく分かります」
「へぇー」
亜紀もそのことは良く分かっていた。
自分も「何か」になれた。
「真夜、このままタクシーで帰っちゃおうか?」
「いや、それだけはマジで」
「ダメ?」
「当たり前ですよ!」
「でも、タカさんに会いたいなー」
「あさって会えるじゃないですか」
「そうだけどさ」
「電話でもしたらどうです?」
「それがさ、着信拒否されてるの」
「は?」
「あんたさ、私が何でここまで電話してないと思ってんの?」
「言われてみれば……」
「ひどいよね!」
「いや、まあ、なんとも」
真夜はクスクスと笑い、亜紀に尻を叩かれた。
持って来た私服に着替えると、二人はとても高校生には見えなかった。
「じゃー、行こー!」
真夜は笑って亜紀に着いて行った。
適当に路地を歩き、小奇麗な料理屋に入る。
小さな店だ。
奥までのカウンターの他に、テーブルが2席のみ。
カウンターは、6人の男たちで埋まっていた。
戸が開いた時に、数人がこちらを見たが、若い女性二人と確認し、すぐに顔を戻した。
「熱燗と、美味しいものをどんどん!」
「はーい!」
店主らしい、痩せた60代の男が愛想よく言った。
突き出しを持って来る。
「東京の方ですか?」
「はい! 今日は仕事で」
「そうですか」
「あの、本当に一杯食べますので、美味しいものをどんどんお願いします」
「かしこまりました」
卯の花の突き出しが見事に美味い。
ニコニコ笑う亜紀に、真夜も微笑んだ。
「石神さんは、お料理も上手いですよね」
「上手いなんてものじゃないのよ! 最高! 何を作っても全部美味しいの!」
「はぁ、分かります」
「あのね、タカさんはいろんな秘密があるのね」
「なんですか?」
「真夜は聴いたことないだろうけど、ギターがまた凄いのよ!」
「へぇー!」
「それで、ある日聞いたの。誰かに習ったんですかって」
「そうなんですか」
「そうしたらね! 西平貢さんっていう世界的なギタリストだったの!」
「へぇー!」
亜紀は石神と西平貢の話をした。
話している間に熱燗と魚の煮物と天ぷらが来た。
「もっとどんどんお願いします!」
「はーい!」
真夜は亜紀の猪口に注ぎ、自分も受けた。
飲んで食べながら、亜紀の話を聞いた。
感動した。
「あー! 大将! このお魚も天ぷらも美味しいです!」
「ありがとうございます!」
「亜紀さん、話の続きを!」
真夜は亜紀の話に夢中だった。
西平貢が亡くなった時の話で、真夜は涙を流した。
「その話を聞いた夜にね。私はネットで貢さんのことを探したの。そうしたらね、あるサイトを見つけてタカさんに見せに行ったの」
その話を聞いて、真夜は本格的に泣き出した。
「ウワァァァァーーー!」
カウンターで飲んでいた男が突然叫んで泣き出した。
亜紀も真夜も驚いて男を見た。
男がこちらに向かってくる。
「その記事って、『ミュージック・フレンズ』の1985年9月号だろ!」
「え、確かそうだったかと」
「俺が書いた! 俺の記事だぁ!」
「「エェ!」」
「そのサイトも俺がやってる。あんた、さっきの話は本当か!」
「はい!」
「なんてことだぁー! 俺は、俺は生きてて良かったよー!」
男はまた大声で泣き出した。
しばらくして少し落ち着いて名刺を差し出した。
《古賀進 音楽友人社 常務取締役》
「もう編集からは引退してるんだけどな。あれはサイヘーさんの最後の記事になったんだ」
「そうなんですか」
亜紀は古賀をテーブルに座らせた。
大柄な男だったので、亜紀は真夜の隣に移った。
「サイヘーさんが言ってた「クソガキ」くんは、トラって呼んでいると聞いた」
「はい、私の父です。石神高虎です。今は医者をやってます」
「そうかぁー! じゃあ、もうギターは辞めてしまったんだね」
「いいえ、しょっちゅう弾いてますよ! こないだピアニストの橘弥生とセッションしました」
「なんだって!」
「港区のJTビルの会場で。凄かったですよ!」
「ほんとか! でもなんで橘弥生となんて」
亜紀は石神と橘弥生の息子・門土との友情を語った。
古賀と真夜がまた泣いた。
「なぁ、今の話、うちで記事にしていいか!」
「え、それはタカさんに聞いてみないと」
「絶対聞いてくれ! いや、俺が直接交渉する!」
「困ったなぁ」
「頼む! サイヘーさんは俺の魂なんだ」
亜紀は自分がまず話すと言い、自分の携帯の番号を伝えた。
「父はあまり目立つことが嫌いなんです。だからいいお返事が出来るかどうか」
「匿名でもいい。どうしても、今の話を記事にしたいんだ!」
「はぁ」
亜紀自身は、世の中の人に石神の美しい話を知って欲しい。
しかし、石神がどう考えるのかは分からない。
「まずは私に任せて下さい。私も父の話は知ってもらいたいんで」
「そうかぁ!」
古賀は亜紀の手を握った。
次の瞬間、慌てて放して謝った。
「つい興奮してしまって申し訳ない」
そして、自分とサイヘーとの話を始めた。
「俺が『ミュージック・フレンズ』の編集部に入って間もなくだ。サイヘーさんのライブに取材で行った。初めてサイヘーさんのギターを聴いたんだよ。もう瞬間でファンになったんだ」
古賀はサイヘーのどこが良いのかを延々と語った。
「弟子を一人知ってる。でも、彼は早々に飛び出しちゃったね。サイヘーさんは本当に厳しいから。その人は今もギタリストとしてやってる。結構名は売れてるよね」
「そうなんですか」
「でも、サイヘーさんの音に比べると断然落ちる。しょうがないよね」
古賀は話しながら、亜紀の食欲に驚いていた。
真夜が先ほど宿で10人前を食べたと言うと、大笑いした。
「記事にはしなかったけどね、サイヘーさんが言ってたんだ。「トラはいつも腹を空かせてるんだ」って! 菓子とか出して、残ったことがないって言ってたよ」
「アハハハハ」
「石神さんの娘だね!」
「ええ。でも血の繋がりはないんです。父がタカさんの親友だったんで、亡くなってから引き取ってくれたんですよ」
「そうなのか!」
「はい。私たち四人兄弟を全員。どんなに感謝しても足りません」
「立派な方だねぇ」
「はい!」
古賀は、またインタビューで記事にしなかったことを教えてくれた。
「サイヘーさんは石神さんに、レコードを全部あげるつもりだったんだ」
「え!」
「何度も貸して欲しいって言われてたのを断ってたって言ってた。ギタリストになるんならやるんだってね」
「でも、タカさんは、貢さんが「魂」だって言ってたんで、貰わなかったって」
「そうかぁ」
「亡くなった後で、奥さんがもらって欲しいって仰ったそうです。でも、断ったそうです」
「残念だね」
「タカさんが言ってました。貢さんは奥さんに遺産として残したかったんじゃないかって」
「ああ、それもあっただろうな。お金に興味が無い人だったから。でも奥さんにはいつも感謝してたんだ」
「あ! でも、後から貢さんの持ってたレコードを自分で探して買い集めたんですよ! そうしたらですね、ジャンゴ・ラインハルトのレコードが、貢さんが持ってたものだったんです!」
「ほんとか!」
「タカさんが「ケチジジィ」って書いたメモを入れて。ほら、貢さんは目が見えないから、その悪戯はバレないだろうって」
「アハハハハ!」
「大事にしてるんです」
「そうなのか、いいなぁ」
亜紀は石神が怒られている最中に、よくオチンチンを出していたのだと話し、古賀は爆笑した。
いつの間にか、カウンターの男たちがみんなこっちを向いていた。
「こいつらは会社の古い仲間たちなんだ。退職したのもいるけどね。今でもこうして時々集まってる」
「そうなんですか」
「古賀は昔からサイヘーきちがいだったもんな」
男たちが笑った。
楽しく語り合い、亜紀たちは帰ることにした。
「ここは俺がもつよ」
「いえ! タカさんから自分の飲み食いは自分で払えと言われてますので」
「そうかい?」
古賀は店の外まで見送りに来た。
「ところでお二人は、どういうお仕事なの?」
亜紀が耳元で小声で伝え、古賀は爆笑した。
「「クソガキくん」の子どもだもんね!」
「はい!」
酔い覚ましのためもあり、二人は歩いて宿へ向かった。
碁盤の目のように整った道。
迷うこともなかった。
「真夜、ごめんね。あんな話ばっかりになっちゃった」
「いいえ! いいお話でしたよ!」
「そう、ならいいんだけど」
真夜が亜紀の手を握って来た。
「亜紀さん。私、家が潰されて良かったって思ってる」
「え、そうなの?」
亜紀は多少気まずい。
「ほんとですよ。あのままじゃ、私は何にもなれなかった」
「そう」
「でも、今は違いますから」
「真夜は何になるの?」
「はい! 亜紀さんのお傍にいることです!」
「何よ、それ」
二人で笑った。
「人間は、「何か」にならなきゃ。今はそれがよく分かります」
「へぇー」
亜紀もそのことは良く分かっていた。
自分も「何か」になれた。
「真夜、このままタクシーで帰っちゃおうか?」
「いや、それだけはマジで」
「ダメ?」
「当たり前ですよ!」
「でも、タカさんに会いたいなー」
「あさって会えるじゃないですか」
「そうだけどさ」
「電話でもしたらどうです?」
「それがさ、着信拒否されてるの」
「は?」
「あんたさ、私が何でここまで電話してないと思ってんの?」
「言われてみれば……」
「ひどいよね!」
「いや、まあ、なんとも」
真夜はクスクスと笑い、亜紀に尻を叩かれた。
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