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いつも、お前を。
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三月下旬。
子どもたちが春休みに入った。
皇紀はずっと様々な施設の防衛システムの準備や他の作業に追われている。
双子もそれを手伝っている。
亜紀ちゃんはヒマだ。
忙しい弟妹に替わって家事を担っているが、手際がいいので大した負担は無い。
友達と遊びにでも行けばいいのだが、そういう相手もいないようだ。
同年代には興味がない。
それは仕方がない。
夜や土日は俺もいるし、栞の家にも行く。
しかし、平日の昼間はドヒマだ。
普通二輪の免許を取った。
土曜日の朝。
「タカさーん! 合格ですよ!」
「……」
「あれ?」
「亜紀ちゃん、俺は亜紀ちゃんとは走れないぞ?」
「ああ、分かってますよ」
「それならいいけどな」
六花が泣くからだ。
「私、独りで乗りますから」
「まあ、バイクは買ってやるよ」
「ほんとですか!」
亜紀ちゃんは双子に小遣いを預けている。
それが運用で既に10億ほどになっていた。
しかし、親の立場としては、娘に買ってやりたい。
「何がいいですかね!」
「好きなのを選べよ。そういうのも楽しいぞ」
「あ! タカさんが昔乗ってたRZ!」
「あれは旧すぎるよ」
「じゃあ、ドゥカティかなぁ」
「ドゥカティは排気量がでかくないとつまらんぞ?」
「うーん」
「六花の乗ってるNinjaは400CCもあったなぁ」
「それはですねー」
「なんだよ」
「なんか、六花さんと被るのは申し訳が」
「なるほど」
俺たちはネットの画像を見ながら話し合った。
どうも決め手がない。
俺の情報はほぼ高校時代だ。
大型バイクに多少通じていただけだ。
ここは専門家に聞いてみるしかなさそうだった。
まあ、隠し事も良くないしな。
「ああ、六花! ヒマだったらちょっと遊びに来ないか?」
「すぐに!」
飛んで来た。
バイクに乗って、15分ほどだ。
手ぶらだ。
「おお、入れ入れ!」
リヴィングに上げる。
亜紀ちゃんがコーヒーといちご大福を出す。
六花がニコニコして大福を食べた。
「ちょっと相談というか、話があるんだ」
「ひゃんでふふぁ?」
「食べてからでいい」
カワイイ。
俺は亜紀ちゃんが普通二輪免許を取った話をした。
「ツーリングは六花だけだ。亜紀ちゃんは独りで乗るからな」
「……」
「安心しろ。俺はお前としか走らない」
「ぼんどでずがー」
「ぼんどだ!」
もう泣き出した。
「でも、きっと、いつか石神先生は亜紀ちゃんとー」
「ないないない!」
「あの、私やっぱりバイクはやめますね」
「亜紀ちゃーん!」
六花が亜紀ちゃんに抱き着く。
失敗か。
「亜紀ちゃんもな、行動範囲を拡げたいんだよ。独りであちこちに行きたいんだってさ」
「それは、分かります」
「まだ自動車免許は取れないからな。先にバイクでと考えたようだ」
「はい」
「六花さん、あと二年待ちますよ」
「亜紀ちゃん、それじゃ」
「私は六花さんが大好きですから。悲しませるようなことを言ってごめんなさい」
「でも!」
六花が考えていた。
「石神先生! やっぱり亜紀ちゃんにバイクに乗せてあげましょう」
「いいのか?」
「はい。私は石神先生と亜紀ちゃんを信頼してますので!」
「そうか」
俺と亜紀ちゃんは、六花に意見を聞いて行った。
「やっぱり、ホンダのCBRがいいと思いますよ」
「そうか!」
「うん、私もカッコイイと思います!」
幾つか候補を挙げた中で、それに決まった。
「石神先生」
「なんだ?」
「最初は並走してあげて下さいね?」
「それは……」
「初めは慣れないですから」
「そうだなぁ」
六花が硬い表情でいる。
「じゃあ、六花も一緒に来てくれよ。三人で走ろう」
「はい!」
二週間後。
亜紀ちゃんのホンダCBR400Rが納車された。
六花と三人で出掛けた。
羽田空港だ。
ゆっくりと走る。
何度も亜紀ちゃんは行っている。
知っている道だし、高速も使わない。
亜紀ちゃんもすぐに運転に慣れたようだ。
カーブもスムーズにこなす。
インカムでスピードを上げると伝えた。
亜紀ちゃんが右手を上げる。
30分ほどで、空港に着いた。
喫茶店に入った。
「大丈夫そうだな」
「はい!」
「綺麗な操縦でしたよ」
「ありがとうございます!」
展望デッキで少し休んでから、俺たちは帰ることにした。
帰りも亜紀ちゃんのペースに合わせた。
六花には、俺の家まで来てもらう。
亜紀ちゃんと二人で走らないためだ。
家に上がってもらい、俺はヘルメットを持って行った。
「?」
いつもはドゥカティに掛けるので、六花は不思議がった。
リヴィングで亜紀ちゃんがコーヒーを淹れる。
俺の作っておいた、六花が大好きなプリンも出す。
六花はニコニコしてプリンを食べた。
「後で響子にも持って行ってくれよ」
「はい!」
俺はAGVのピスタGPのヘルメットを六花に見せた。
「恥ずかしくてさ。今まで黙っていたんだ」
口元に「六花」の文字がプリントしてある。
大分色褪せている。
「!」
「バイクに乗る時には、お前をいつも愛している」
「石神せんせー!」
六花が抱き着いて来た。
俺は優しく抱き締め、六花に軽くキスをする。
「やっぱ、お前の唇が一番いいな」
「ありがとーございますー!」
亜紀ちゃんが優しく笑っていた。
子どもたちが春休みに入った。
皇紀はずっと様々な施設の防衛システムの準備や他の作業に追われている。
双子もそれを手伝っている。
亜紀ちゃんはヒマだ。
忙しい弟妹に替わって家事を担っているが、手際がいいので大した負担は無い。
友達と遊びにでも行けばいいのだが、そういう相手もいないようだ。
同年代には興味がない。
それは仕方がない。
夜や土日は俺もいるし、栞の家にも行く。
しかし、平日の昼間はドヒマだ。
普通二輪の免許を取った。
土曜日の朝。
「タカさーん! 合格ですよ!」
「……」
「あれ?」
「亜紀ちゃん、俺は亜紀ちゃんとは走れないぞ?」
「ああ、分かってますよ」
「それならいいけどな」
六花が泣くからだ。
「私、独りで乗りますから」
「まあ、バイクは買ってやるよ」
「ほんとですか!」
亜紀ちゃんは双子に小遣いを預けている。
それが運用で既に10億ほどになっていた。
しかし、親の立場としては、娘に買ってやりたい。
「何がいいですかね!」
「好きなのを選べよ。そういうのも楽しいぞ」
「あ! タカさんが昔乗ってたRZ!」
「あれは旧すぎるよ」
「じゃあ、ドゥカティかなぁ」
「ドゥカティは排気量がでかくないとつまらんぞ?」
「うーん」
「六花の乗ってるNinjaは400CCもあったなぁ」
「それはですねー」
「なんだよ」
「なんか、六花さんと被るのは申し訳が」
「なるほど」
俺たちはネットの画像を見ながら話し合った。
どうも決め手がない。
俺の情報はほぼ高校時代だ。
大型バイクに多少通じていただけだ。
ここは専門家に聞いてみるしかなさそうだった。
まあ、隠し事も良くないしな。
「ああ、六花! ヒマだったらちょっと遊びに来ないか?」
「すぐに!」
飛んで来た。
バイクに乗って、15分ほどだ。
手ぶらだ。
「おお、入れ入れ!」
リヴィングに上げる。
亜紀ちゃんがコーヒーといちご大福を出す。
六花がニコニコして大福を食べた。
「ちょっと相談というか、話があるんだ」
「ひゃんでふふぁ?」
「食べてからでいい」
カワイイ。
俺は亜紀ちゃんが普通二輪免許を取った話をした。
「ツーリングは六花だけだ。亜紀ちゃんは独りで乗るからな」
「……」
「安心しろ。俺はお前としか走らない」
「ぼんどでずがー」
「ぼんどだ!」
もう泣き出した。
「でも、きっと、いつか石神先生は亜紀ちゃんとー」
「ないないない!」
「あの、私やっぱりバイクはやめますね」
「亜紀ちゃーん!」
六花が亜紀ちゃんに抱き着く。
失敗か。
「亜紀ちゃんもな、行動範囲を拡げたいんだよ。独りであちこちに行きたいんだってさ」
「それは、分かります」
「まだ自動車免許は取れないからな。先にバイクでと考えたようだ」
「はい」
「六花さん、あと二年待ちますよ」
「亜紀ちゃん、それじゃ」
「私は六花さんが大好きですから。悲しませるようなことを言ってごめんなさい」
「でも!」
六花が考えていた。
「石神先生! やっぱり亜紀ちゃんにバイクに乗せてあげましょう」
「いいのか?」
「はい。私は石神先生と亜紀ちゃんを信頼してますので!」
「そうか」
俺と亜紀ちゃんは、六花に意見を聞いて行った。
「やっぱり、ホンダのCBRがいいと思いますよ」
「そうか!」
「うん、私もカッコイイと思います!」
幾つか候補を挙げた中で、それに決まった。
「石神先生」
「なんだ?」
「最初は並走してあげて下さいね?」
「それは……」
「初めは慣れないですから」
「そうだなぁ」
六花が硬い表情でいる。
「じゃあ、六花も一緒に来てくれよ。三人で走ろう」
「はい!」
二週間後。
亜紀ちゃんのホンダCBR400Rが納車された。
六花と三人で出掛けた。
羽田空港だ。
ゆっくりと走る。
何度も亜紀ちゃんは行っている。
知っている道だし、高速も使わない。
亜紀ちゃんもすぐに運転に慣れたようだ。
カーブもスムーズにこなす。
インカムでスピードを上げると伝えた。
亜紀ちゃんが右手を上げる。
30分ほどで、空港に着いた。
喫茶店に入った。
「大丈夫そうだな」
「はい!」
「綺麗な操縦でしたよ」
「ありがとうございます!」
展望デッキで少し休んでから、俺たちは帰ることにした。
帰りも亜紀ちゃんのペースに合わせた。
六花には、俺の家まで来てもらう。
亜紀ちゃんと二人で走らないためだ。
家に上がってもらい、俺はヘルメットを持って行った。
「?」
いつもはドゥカティに掛けるので、六花は不思議がった。
リヴィングで亜紀ちゃんがコーヒーを淹れる。
俺の作っておいた、六花が大好きなプリンも出す。
六花はニコニコしてプリンを食べた。
「後で響子にも持って行ってくれよ」
「はい!」
俺はAGVのピスタGPのヘルメットを六花に見せた。
「恥ずかしくてさ。今まで黙っていたんだ」
口元に「六花」の文字がプリントしてある。
大分色褪せている。
「!」
「バイクに乗る時には、お前をいつも愛している」
「石神せんせー!」
六花が抱き着いて来た。
俺は優しく抱き締め、六花に軽くキスをする。
「やっぱ、お前の唇が一番いいな」
「ありがとーございますー!」
亜紀ちゃんが優しく笑っていた。
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