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稲城会、崩壊 (裏話的詳細)

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  「イターイー! お願い、やめてくださいー!」

 俺は亜紀ちゃんを止めた。

 「その辺にしておいてやれ」
 「エエェー!」
 「まだガキだ。考えもなくやったことだ」
 「分かりましたー!」

 亜紀ちゃんは真夜の尻に入れようとしたスコップの柄を、転がっているヤクザの口に近づけ、舐めさせた。

 「ギャハハハハハ!」

 真夜は恐ろしいものを見たような目で、亜紀ちゃんを見ていた。




 「じゃあ、けじめつけに行こうか!」

 六本木の柿崎のビルを破壊し、真夜と両親、妹を俺の家の近くのアパートに閉じ込めた。

 「逃げたらどこまでも追うからな」
 
 家で昼食を食べ、またアパートへ行く。
 稲城会の事務所と系列の店や関連の会社を聞き出していく。
 地図に印を付ける。

 「会長の家は?」

 隠すことなく喋った。
 電話を返し、会長と主だった組長に事の次第を伝えさせる。

 「全面戦争だそうだ。覚悟しろ」

 俺は毎回、そう言って電話を切って行った。
 亜紀ちゃんと一緒に出掛けた。
 シボレー・コルベット C7ZR1に乗った。

 「ああ! 族の時を思い出すなぁ!」
 「青春ですね!」
 「あ! それな!」

 よく敵チームの幹部を拉致して情報を得ていた。




 幹線道路に出て、スーパーチャージャーを回す。

 「タカさん! なんですか、あれ!」
 「どうだよ、カッチョイイだろう!」
 「はい! なんかスゴイ回ってますよ!」
 「スーパーチャージャーな!」
 「さいこう!」

 首都高に乗り、スピードが出るとスーパーチャージャーは止まる。
 代わりに、ターボチャージャーが始動する。

 「なんか、フィーンって言ってますよ!」
 「ターボチャージャーな!」
 「さいこう!」

 ぶっ飛ばして秩父へ行った。
 稲城会のセメント工場がある。
 広大な敷地だ。

 俺たちは、中にいる人間を表に誘導した。
 めんどくさいが、大量殺人はしたくはなかった。

 建屋を幾つか破壊すると、大人しく従う。

 「じゃあ、亜紀ちゃんは右な。俺は左をやる」
 「はい!」

 轟閃花で、一瞬で窪地になった。
 作業員たちは呆然と見ていた。

 「よし! 今日はあと二か所やるか!」
 「はい!」

 都内の街金と不動産事務所を破壊した。
 稲城会会長の家に行く。




 北池袋の広大な屋敷だった。
 でかい門を吹っ飛ばし、中へ入った。
 亜紀ちゃんが轟雷で駆け寄って来る組員を気絶させる。
 俺は屋敷の一部を粉々に破壊した。

 「柿崎から連絡が来たよな? 会長を出せ」

 俺と亜紀ちゃんは靴のまま上がった。
 広い座敷があり、そこで待つ。
 組員が集まって来るので、亜紀ちゃんが適当に相手した。
 轟雷で、刃物や銃は感電する。
 何度か銃の暴発があった。

 「屋敷ごと吹っ飛ばすぞ?」

 取り囲んだ組員たちの間から、稲城会会長・住田十三が現われた。

 「お前ら、なんだ!」
 亜紀ちゃんが取り囲む組員たちを轟雷で薙ぎ倒した。

 「口の利き方に気を付けろ。お前らなんぞ、いつでも潰せるんだからな」
 「何!」

 俺は手を上に上げ、二階部分を消失させる。

 「!」
 「俺たちに道具はいらねぇ。分かったか?」

 住田とガードしている数人が青ざめていた。

 「座れ。頭が高ぇ!」

 全員が畳に座った。

 「柿崎の連中が、稲城会と全面戦争だと言いやがった。おお、受けて立つ」
 「やめてくれ」
 「さっき、秩父のセメント工場と、〇〇の街金の事務所と不動産屋をぶっ飛ばしてきた。確認しろ」

 すぐに何人かが電話をする。
 20分ほどかかった。
 亜紀ちゃんがコーヒーを探しに行った。
 途中で悲鳴が何度か聞こえた。




 「確認しました。うちはあんたと構える気はありません」
 若頭だという男が言った。

 「ここまでやられて、イモ引くのか?」
 「どういう経緯かは分かりませんが、うちの不始末ですから」
 「お前ら、ビビってるのか」
 「そうです! こんな、滅茶苦茶だ!」
 「そうか。それはどうでもいいけどよ。俺たちは止まらないぞ?」
 「え!」

 「柿崎が全部吐いてる。ヒマな時に潰しに行くからな」
 「ま、待ってくれ! 不始末の詫びは入れる! どうかこれ以上は」
 「俺たちを迎撃する準備をしとけ」 
 「あんた、一体なんでうちの組を目の敵にするんだ」
 住田が言った。

 「元々はよ、柿崎の娘がうちの娘にちょっかい出したんだよ」
 「そのお嬢さんか」
 「そうだ。絡んで来たのを相手にしなかったらよ。今朝、うちにカチコミかけやがった」
 「なんだと!」
 「娘が組員連れて来てなぁ。道具も呑んで来て、うちに乗り込んで来たんだ」
 
 亜紀ちゃんがコーヒーを持って来た。

 「門を蹴ってましたよね!」
 「おお! そうそう! 許せねぇよな!」
 「はいはい!」

 「道具出していきなり襲い掛かって来やがって!」
 「庭の草を踏んでましたよ!」
 「マジか! じゃあ、柿崎の組は皆殺しな!」
 「決定ですね」

 「ま、待ってくれ! そんなことで、どうしてここまで!」
 若頭が叫んだ。

 「おい、今こいつ「そんなことで」って言ったか?」
 「はい、聞こえましたよ、しっかり」

 若頭の両腕をへし折った。

 「待て! ちゃんと話をさせてくれ!」
 住田が叫んだ。

 「柿崎たちにはよ、100兆円だって言ったんだ」
 「!」
 「無理だって言いやがった。じゃあ、しょうがねぇよなぁ」
 「何とかする! あなたの満足のいくように必ずする!」

 「俺らはお前らを潰すのが楽しい。丁度訓練にもいいしな」
 「何を言ってるんだ?」

 「ダチがよ、定期的にマフィアの家にカチ込んで訓練してんだ。まあ、俺のアイデアだけどな。やらせてもらうぜ。ちゃんと用意しとけ」
 「だから、待ってくれって!」

 組員が俺を銃で撃った。
 弾は俺に届く前に消えた。
 組員は両手を喪った。

 「ああ、こういうのな! お前らも覚悟を決めてくれて良かったよ」
 「おい、誰も手を出すな! あんた、頼むから!」
 「俺、話し合いをしてたつもりだけど?」
 「頼む! もう勘弁してくれ! 何でもするから!」

 「今の危なかったですよねー」
 亜紀ちゃんが言った。

 「おう、やばかったな! もうちょっとでなぁ!」

 俺たちは笑いながら帰った。





 翌日から、子どもたちが稲城会を襲撃した。
 千万組の「花岡」の使い手たちの訓練も兼ねた。
 俺は土日に亜紀ちゃんと出掛けた。

 「じゃー、行きますよ!」
 「おう!」

 ドガァーーーン!

 郊外の建築中のタワーマンションが崩壊した。

 「100点!」
 「やったぁー!」

 一ヶ月で50近い拠点を破壊した。
 その後、住田が必死で詫びを入れようとし、俺たちは受け入れた。

 稲城会の資産の半分を譲り受ける。
 表面的にはダミー会社の名義だ。
 事業などもそのままで、人員の異動はほとんどない。
 ただ、俺のものとして自由に裁量できるようになった。

 稲城会は解散し、俺を頂点とする組織に生まれ変わった。
 構成員の生活は、ほぼ変わらない。
 俺は構成員と準構成員合わせて5万の人間を得た。
 関連者を含めれば、10万近い人間を動かせる。

 一応、柿崎の一家は俺の預かりとなった。
 近くの家に住まわせ、仕事も与えている。
 そうしなければ、他の組員の的になる。
 真夜も高校に通い、亜紀ちゃんの舎弟となった。
 まあ、別段パシリくらいだが。






 俺には、ある目的があった。  
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