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優しいオジチャン。

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 俺の名は灰寺亜蘭。
 39歳独身。
 イケメン(多分)、身長176センチ、体重86キロ。
 ぽっちゃりカワイイ体型。
 何よりも、慶應大学経済学部卒!
 アパート経営(親のもの)。
 こんな高スペックな俺が、まだ独身なのには理由がある。

 俺はちっちゃい子が好きだ。

 言ってしまった。
 誰にも言うなよ。

 毛が生えるようになったら、もうダメだ。
 気持ちが悪い。
 女の子はツルツルじゃなきゃ。

 だけど、ちっちゃい子とは、なかなかお付き合い出来ない。

 一時、意を決して保育士の資格を取り、保育園に勤めた。
 俺の唯一の就職経歴だ。

 すぐにクビになった。
 裸で遊ぶ子どもたちと一緒に、俺もプールで全裸になったからだ。
 言い訳できない股間状況だった。

 


 そんな俺は、ある日信じられないくらいに可愛い天使を見つけた。
 散歩というハンティングの最中に、だ。
 小学校の登下校の時間が、俺の散歩の時間だ。
 スマホでいつも撮影している。
 階段なんか、最高だ!

 しかも、天使は二人いた!
 双子のようだ。
 どっちも超絶カワイイ!

 俺はこっそり後を付けた。
 肉屋で買い物をしていた。
 買い食いか?

 カワイイ子が、コロッケとか買うんだろうか。
 ちょっと零してくれないだろうか。
 絶対拾うのに。

 肉屋の店主がニコニコしている。
 あいつぅー!

 「いつもありがとうね!」
 「「はーい!」」

 「はい、これご注文のものだよ」
 「「ありがとー!」」

 「石神さんに宜しくね!」
 「「はーい!」」

 やけに大きな袋を二つもらったようだ。
 二人の顔よりも大きい。
 重くないかな。
 心配だ。
 なんだろう(肉に決まってる)?

 それよりも苗字だ。
 石神というんだな、覚えたぞ。

 「亜紀ちゃん、梅田精肉店さんに注文忘れたって」
 「時々あるよねー」

 二人がお喋りしながら歩いて行く。
 俺も当然歩いて行く。

 「あー、喉渇いちゃった」
 「そーねー。ちょっと何か飲んでく?」
 「うん」

 俺はダッシュした。
 ロリ神が降臨したのかぁ!




 俺は必死で息を整えた。
 普段運動してないもん。

 「やあ、君たち」
 「「?」」
 「ちょっと僕と何か飲まないかい?」
 「「えー」」

 「ほら、あそこの喫茶店でさ。もちろん僕がご馳走するけど?」
 「「いーです」」

 「そんなこと言わないでさ」

 「おじさん、誰?」
 「え、僕? あ、ああ。石神くんの知り合いなんだけど」
 「タカさんの知り合い!」
 「うん」

 タカさんって、誰?

 「どういう知り合い?」
 「え、ああ、あのね、仕事でちょっと」
 「じゃあ、あなたもお医者さん?」
 「え、うん」

 「そーかー」
 「そうなんだよ」
 「大学は?」
 「おお、慶應大学だ! アハハハ!」

 俺は自然に自慢出来て嬉しかった。
 
 「なんだ、東大じゃないんだ」
 「え?」

 格下とか二流とか聞こえる。

 「私たち、急ぐんで」
 「ちょっと待って!」

 俺は必殺技を出すしかないと思った。

 「じゃあ、付き合ってくれたら、一万円あげるぞ!」

 子どもにとって、一万円は大金だ。
 もちろん、二人で一万円だよ?
 一人ずつじゃないよ?

 「え、いらない」
 「どうしてだよ! 本当にあげるから!」
 「それぽっち貰ってもね」
 「え?」

 「F15イーグル一機で40億円だったしね」
 「E-2Dアドバンスド・ホークアイが250億円ね」

 「「全然余裕だし!」」

 何のことか分からなかった。
 アニメかなんか?
 立ち去ろうとする二人を止めるため、俺は咄嗟に一人の子の肩に手を乗せようとした。
 そうしたら、もう一人の子が目の前から消えた。
 俺は物凄い勢いで吹っ飛んだ。
 急速にゴミ置き場の袋が迫って来る。
 気を喪った。




 気が付くと病院だった。
 目の前に看護師さんがいたので、すぐに分かった。

 「あ、目が覚めました?」
 「はい」
 「詳しくは調査中らしいんですけど、灰寺さんはひき逃げに遭われたみたいで」
 「そうなんですか!」
 「ああ、外傷は大丈夫みたいですよ。でも、物凄い勢いでゴミ置き場に突っ込まれたそうです」
 「あの! 小さな女の子たちがいたはずなんですが!」
 「え、そうなんですか? でも、はねられたのはあなただけのようですよ」
 「ああ、良かった!」

 良かった。
 あの天使たちは無事のようだ。




 検査で一日入院し、俺は元気に退院した。
 翌日に、今度は小学校の校門で待った。
 近辺の小学校は全部知ってる。

 あ! あの子たちだ!

 元気に歩いている!
 本当に何も無かったようで安心した。
 後ろについて、また俺も散歩する。
 あれ?
 誰だろう。

 二人が前を歩く女子高生に向かって走って行った。

 「「亜紀ちゃーん!」」
 「あれ、ルー、ハー」

 「偶然だね!」
 「そうだね。じゃあ一緒に帰ろうか」
 「「うん!」」

 姉妹か。
 毛の生えた奴には興味はないが、あいつは名前を教えてくれた。
 ルーちゃんとハーちゃんかぁ!
 何ともカワイイじゃないかぁ!
 俺はまた後を付けて行った。
 家が分かった。






 でっかぁー。
 ナニコレ?
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