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「紅六花」ビル Ⅴ
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ヒロミの店に着いても、まだ六花は泣いていた。
「総長! どうしたんですか!」
「俺のせいじゃないからな!」
「でも!」
「石神先生のせいです」
「お前な!」
ヒロミが睨んでいる。
「あのな、お前らな! 何で紫苑の場所のことを知らせなかったんだ!」
「あ! あそこへいらっしゃったんですか!」
「そうだよ! お陰で六花が泣きっぱなしじゃねぇか」
「それはすいませんでした」
ヒロミは俺たちにコーヒーを持って来て、一緒にテーブルに座った。
「あそこを手に入れたのは先月だったんですよ。みんなでお金を出し合って買ったんです」
「そうなのか」
「県のものだったんで、交渉が大変で。よしことか県議会に顔が聞く人間を通してやっと」
「よしこ?」
「はい。お父さんと旦那が議員です」
「そうだったのか」
「今回石神さんと総長がいらっしゃるっていうんで、頑張ったんですよ。後でお話ししようかとみんなで」
「なんだ、そうなのかよ」
「総長に喜んでもらいたくて。ああ、でも行っちゃったんですね」
「石神先生のせいです」
「勘弁しろよー」
ヒロミの話では、「紅六花」の全員が六花のために金を出してくれたらしい。
よしこやタケはそれなりに出しただろうが、無理のない範囲でと徹底した。
「あの倒木はちゃんと保存して。あとはベンチとかブランコとか、花壇を作るつもりです。まあ、公園を作るってことで認めてもらった土地なんでね」
「紫苑も喜ぶだろう」
「そうですよね」
「お前ら……」
六花がまた泣き出した。
俺はヒロミに頼んで、キッチンを借りた。
豚の生姜焼きを作る。
「ほら、六花。食べろよ」
「石神先生ぇー」
「はい、あーん」
「あーん」
食べているうちに、六花はニコニコと笑った。
「すげぇ~」
ひろみが感動していた。
六花が食べ終え、ヒロミにもう一度コーヒーをもらった。
帰りに歩きながら、六花に『ともしび』を歌わせ、俺が指導したが、あまり上手くはならなかった。
風花はそれなりなのだが。
帰ると、タケが六花に土下座して謝った。
ヒロミから早速連絡が行ったのだろう。
「もういいよ、タケ。本当にありがとう」
六花が頭を下げた。
「総長!」
俺は六花とまた風呂に入り、化粧を直させた。
俺はスーツに着替えた。
今日は3階のフレンチ・レストランで昼食をもらう。
ロボは入れないので、俺たちの寝室で食べた。
「総長、石神さん。宜しければ、午後はあたしたちが関わっている孤児院に来てもらいませんか?」
「ああ、いいぞ。お前らが関わってるってどういうことだ?」
「はい。職員とあとは少ないですが寄付を」
「そうなのか。是非行かせてもらおう」
タケは店があるので、よしこが車で案内してくれた。
鉄筋の建物で、20人の孤児を預かっているらしい。
俺はロボも連れて行った。
とにかく一緒に遊んで欲しいということだったので、子どもたちに紹介されて、一緒に遊んだ。
俺がロボとジルバを踊ると、子どもたちが喜んだ。
一緒に踊りたがり、ロボも付き合ってくれた。
俺が大きなオナラをすると、みんなが笑った。
「お前らも、自在にオナラが出来る人間になれよ!」
俺は金持ちになる方法を話してやった。
「とにかく、働き始めたら最初の1000万円を作れ。そうするとだなぁ、自然に金の増やし方が身に付いているからな!」
「「「「「はい!」」」」」
「大丈夫だ。みんなお金持ちになる顔だ! お金はいらないって思っても自然になっちゃうからな!」
子どもたちが喜んだ。
「でもな、人生で一番大事なものは、お金じゃねぇんだ。何か分かるか?」
子どもたちは口々に考えを言う。
「一番大事なものはなぁ! それは「愛」だぁ! 自分以外の誰か、なんでもいい。自分の他に大事なものを持て! そうすれば人生は薔薇色だぁ!」
子どもたちは目を輝かせた。
「いろいろ人生には辛いことがある。そんなものに負けるな! 人生は、自分じゃない誰かの辛さを思うもんだ。その人のために頑張れ! 自分のためじゃねぇ。誰かを幸せにしろ! いいな!」
「「「「「はい!」」」」」
俺は庭に子どもたちを連れて出た。
子どもたちは、何があるのか戸惑っている。
よしこも分からないという顔をしている。
俺は六花に何を見せるのか言った。
六花は笑顔で頷いた。
「いいかー、これからお前たちに特別に見せてやる! 人間が誰かのために生きていくと、どういうことが出来るのか。それを今から見せてやるからな!」
俺と六花は、上空に「轟閃花」を放った。
電子機器に影響しないように、上空500メートルで炸裂するようにする。
空が眩い光に包まれた。
轟音が、その後で響いて来た。
しばらく、空は薔薇色に輝いていた。
「「「「「ワァーーーー!!!」」」」」
子どもたちは感動していた。
いつまでも、空を見ていた。
俺と六花に抱き着いて来た。
どうやったのか、何があったのかと聞いて来る。
「お前らが今から真面目に勉強し、大事な人間のために何かをやろうとしていけば分かる。大人になっても分からないのなら、俺に聞きに来い。俺は石神高虎だぁ! いつでも来い! 待ってるからな!」
「「「「はい!」」」」
「石神さん」
「よしこ、ここの経営状態を後で教えてくれ」
「はい!」
「あと、俺も応援するぜ! 参考書、問題集をガンガン送ってやる。お前から届けてやってくれ」
「はい!」
「他にもいろいろな。ちゃんと考えて送るよ」
「ありがとうございます!」
帰りの車の中でよしこが言った。
「石神さんなら、あの子たちを元気づけてくれると思ってお連れしたんです」
「元気になったよなぁ!」
「はい! 想像以上でした!」
「そうかよ」
「あの、「花岡」の技まで見せても良かったんでしょうか?」
「あの子たちのためならな! 人間には良く分からんものと、遠い憧れが必要だ」
「はい!」
「ロボも頑張ってくれたなぁ!」
ロボが俺の膝の上で尾をピリピリさせた。
「や、やめろ!」
「?」
ロボもやりたかったらしい。
「いつかな!」
「にゃ」
許してやんよ、という意味だと思う。
「総長! どうしたんですか!」
「俺のせいじゃないからな!」
「でも!」
「石神先生のせいです」
「お前な!」
ヒロミが睨んでいる。
「あのな、お前らな! 何で紫苑の場所のことを知らせなかったんだ!」
「あ! あそこへいらっしゃったんですか!」
「そうだよ! お陰で六花が泣きっぱなしじゃねぇか」
「それはすいませんでした」
ヒロミは俺たちにコーヒーを持って来て、一緒にテーブルに座った。
「あそこを手に入れたのは先月だったんですよ。みんなでお金を出し合って買ったんです」
「そうなのか」
「県のものだったんで、交渉が大変で。よしことか県議会に顔が聞く人間を通してやっと」
「よしこ?」
「はい。お父さんと旦那が議員です」
「そうだったのか」
「今回石神さんと総長がいらっしゃるっていうんで、頑張ったんですよ。後でお話ししようかとみんなで」
「なんだ、そうなのかよ」
「総長に喜んでもらいたくて。ああ、でも行っちゃったんですね」
「石神先生のせいです」
「勘弁しろよー」
ヒロミの話では、「紅六花」の全員が六花のために金を出してくれたらしい。
よしこやタケはそれなりに出しただろうが、無理のない範囲でと徹底した。
「あの倒木はちゃんと保存して。あとはベンチとかブランコとか、花壇を作るつもりです。まあ、公園を作るってことで認めてもらった土地なんでね」
「紫苑も喜ぶだろう」
「そうですよね」
「お前ら……」
六花がまた泣き出した。
俺はヒロミに頼んで、キッチンを借りた。
豚の生姜焼きを作る。
「ほら、六花。食べろよ」
「石神先生ぇー」
「はい、あーん」
「あーん」
食べているうちに、六花はニコニコと笑った。
「すげぇ~」
ひろみが感動していた。
六花が食べ終え、ヒロミにもう一度コーヒーをもらった。
帰りに歩きながら、六花に『ともしび』を歌わせ、俺が指導したが、あまり上手くはならなかった。
風花はそれなりなのだが。
帰ると、タケが六花に土下座して謝った。
ヒロミから早速連絡が行ったのだろう。
「もういいよ、タケ。本当にありがとう」
六花が頭を下げた。
「総長!」
俺は六花とまた風呂に入り、化粧を直させた。
俺はスーツに着替えた。
今日は3階のフレンチ・レストランで昼食をもらう。
ロボは入れないので、俺たちの寝室で食べた。
「総長、石神さん。宜しければ、午後はあたしたちが関わっている孤児院に来てもらいませんか?」
「ああ、いいぞ。お前らが関わってるってどういうことだ?」
「はい。職員とあとは少ないですが寄付を」
「そうなのか。是非行かせてもらおう」
タケは店があるので、よしこが車で案内してくれた。
鉄筋の建物で、20人の孤児を預かっているらしい。
俺はロボも連れて行った。
とにかく一緒に遊んで欲しいということだったので、子どもたちに紹介されて、一緒に遊んだ。
俺がロボとジルバを踊ると、子どもたちが喜んだ。
一緒に踊りたがり、ロボも付き合ってくれた。
俺が大きなオナラをすると、みんなが笑った。
「お前らも、自在にオナラが出来る人間になれよ!」
俺は金持ちになる方法を話してやった。
「とにかく、働き始めたら最初の1000万円を作れ。そうするとだなぁ、自然に金の増やし方が身に付いているからな!」
「「「「「はい!」」」」」
「大丈夫だ。みんなお金持ちになる顔だ! お金はいらないって思っても自然になっちゃうからな!」
子どもたちが喜んだ。
「でもな、人生で一番大事なものは、お金じゃねぇんだ。何か分かるか?」
子どもたちは口々に考えを言う。
「一番大事なものはなぁ! それは「愛」だぁ! 自分以外の誰か、なんでもいい。自分の他に大事なものを持て! そうすれば人生は薔薇色だぁ!」
子どもたちは目を輝かせた。
「いろいろ人生には辛いことがある。そんなものに負けるな! 人生は、自分じゃない誰かの辛さを思うもんだ。その人のために頑張れ! 自分のためじゃねぇ。誰かを幸せにしろ! いいな!」
「「「「「はい!」」」」」
俺は庭に子どもたちを連れて出た。
子どもたちは、何があるのか戸惑っている。
よしこも分からないという顔をしている。
俺は六花に何を見せるのか言った。
六花は笑顔で頷いた。
「いいかー、これからお前たちに特別に見せてやる! 人間が誰かのために生きていくと、どういうことが出来るのか。それを今から見せてやるからな!」
俺と六花は、上空に「轟閃花」を放った。
電子機器に影響しないように、上空500メートルで炸裂するようにする。
空が眩い光に包まれた。
轟音が、その後で響いて来た。
しばらく、空は薔薇色に輝いていた。
「「「「「ワァーーーー!!!」」」」」
子どもたちは感動していた。
いつまでも、空を見ていた。
俺と六花に抱き着いて来た。
どうやったのか、何があったのかと聞いて来る。
「お前らが今から真面目に勉強し、大事な人間のために何かをやろうとしていけば分かる。大人になっても分からないのなら、俺に聞きに来い。俺は石神高虎だぁ! いつでも来い! 待ってるからな!」
「「「「はい!」」」」
「石神さん」
「よしこ、ここの経営状態を後で教えてくれ」
「はい!」
「あと、俺も応援するぜ! 参考書、問題集をガンガン送ってやる。お前から届けてやってくれ」
「はい!」
「他にもいろいろな。ちゃんと考えて送るよ」
「ありがとうございます!」
帰りの車の中でよしこが言った。
「石神さんなら、あの子たちを元気づけてくれると思ってお連れしたんです」
「元気になったよなぁ!」
「はい! 想像以上でした!」
「そうかよ」
「あの、「花岡」の技まで見せても良かったんでしょうか?」
「あの子たちのためならな! 人間には良く分からんものと、遠い憧れが必要だ」
「はい!」
「ロボも頑張ってくれたなぁ!」
ロボが俺の膝の上で尾をピリピリさせた。
「や、やめろ!」
「?」
ロボもやりたかったらしい。
「いつかな!」
「にゃ」
許してやんよ、という意味だと思う。
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