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I ♡ NY XI
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12月31日(日本)。
ロックハート家の厨房は大騒ぎだった。
「今日であの子たちはここを出て行ってしまう! 今朝の朝食は全力でやるぞ!」
「うぉぉぉぉーーーーー!!!!」
全ての料理人たちが雄叫びを上げた。
最上のステーキ肉を50キロ。
総料理長のロドリゲスは焼き具合を中心に、すべての工程を監督した。
他の料理もどんどんロドリゲスに確認に来る。
大統領が来る晩餐会以上だ。
全員が気合を入れ、日本の子どもたちのために、最高の料理を作った。
8時。
亜紀たちは食堂に入って驚いた。
100人ものロックハート家の使用人が待っており、亜紀たちを笑顔と拍手で迎え、椅子に座らせた。
アルジャーノンと静江も既に座っており、料理が運ばれてくる。
「うちの料理人たちが、是非にと言ってね。朝からだけど、たくさんステーキを食べていって下さい」
アルジャーノンはそう言って微笑んだ。
「我が家に守護神を置いてくれたイシガミ! そして美しく愛らしく優しいアキ、コウキ、ルリ、ハリのイシガミの四人の天使! ありがとう! イタダキマス!」
「「「「いただきます!」」」」
「ねえ、何でみんなここにいるの?」
ハーが静江に聞いた。
「あなたがたを大好きなんですって。半分は他の仕事やシフトの関係でいないけど、みんなここにきたがっていたわ」
「そうなんだ!」
ハーは笑顔になり、「喰い」に戻った。
アルジャーノンと静江は、美味しそうに食べている子どもたちを微笑んで見ていた。
ロドリゲスは、食べきれない量の肉を用意したつもりだった。
しかし40キロを超え、まだ子どもたちが食べ続けていると聞き、まさかと思った。
300人のパーティで出す量だ。
最後のステーキは、ロドリゲス自身で運んだ。
亜紀が言った。
「もうお腹いっぱいだと言おうと思っていたんです。それで最後にして頂けますか?」
「え、もっと食べられるよ?」
亜紀がハーの頭を引っぱたいた。
ロドリゲスは笑い、「それではここまでに致します」と言った。
自分が来たことで、最後の肉だと分かったのだろう。
自分に恥をかかさないようにと、気遣ってもらったのだ。
「とても美味しかったです!」
「こんなに食べたのは初めてです!」
「もう止まらなくなりました!」
「みなさんにもお礼を言って下さい!」
子どもたちは、口々に礼を述べた。
「ロドリゲス、この方たちは、石神さんに美味しいものを食べたら必ずお礼を言うように言われているんです」
「そうなんですか。素晴らしい教育ですね!」
みんなで笑った。
また子どもたちが片づけを手伝った。
厨房ではそれを見越して、既に始めている。
子どもたちが厨房に行った時、ほとんどの洗い物が終わっていた。
「そちらのお皿もお渡しください」
子どもたちは笑顔で厨房の人間たちに礼を言った。
「じゃあー、屋敷を綺麗にしよう!」
「「「はい!」」」
室内を三人で分担し、屋上からロープを掛けてハーが窓拭きをやった。
庭で作業していた使用人たちが、声援すると、ハーが明るく手を振った。
地上からジャンプして屋上に戻ると、拍手が沸き、室内の使用人たちも集まって来た。
亜紀はクリーナーをかけ、ルーはモップをかけ、皇紀が頑固な汚れを担当した。
さすがにすべては無理だったが、屋敷は見違えるように輝いた。
最後にアルジャーノンと静江の寝室を掃除させてもらい、響子の部屋も掃除した。
昼食はパスタと美味しかったシチューがいいと言う子どもたちのリクエストで、それが用意された。
午後2時。
アルジャーノンと静江、大勢の使用人たちに見送られ、子どもたちはロックハート家を去った。
「レイ、二カ所挨拶したいの」
亜紀が言った。
「ええ、大丈夫ですよ。一軒は聖さんですね?」
「ええ」
聖のマンションへ行く。
ゲートが開けられ、みんなで部屋に行った。
「なんだよ、わざわざ来たのかよ」
聖は腰にタオルを巻いて出てきた。
「またお邪魔してすみません」
亜紀が謝った。
「いいよ、丁度アンジーも気を喪ったとこだ」
「「「……」」」
「「「お世話になりました!」」」
「いいって。大金をもらったしな」
亜紀たちが去ろうとすると、聖が呼び止めた。
「おい、トラが呼べばもちろんだけどよ。お前らが呼んでも、どこだって行ってやるぞ!」
「「「「ありがとうございます!!」」」」
「次はどこ?」
レイが亜紀に聞いた。
「ジャンニーニさんの家に」
「えぇ!」
レイは運転手に伝えた。
運転手が緊張した。
「お前ら!」
門番が亜紀たちの顔を見て叫ぶ。
「ジャンニーニに、あたしたちが会いに来たって伝えろ、ボンクラ!」
「はい!」
四人は案内を待たずに、屋敷に向かった。
数分でジャンニーニが降りてくる。
応接室に案内された。
「なんだ、まだ用があるのか?」
「口座番号を教えて下さい」
「なんだと?」
「一億ドルを支払います」
「てめぇ、それはいらねぇと言っただろう!」
「仕事を頼みに来ました」
皇紀が言った。
「なんだと?」
「アメリカ国内で「ヴァーミリオン」という計画があります。軍とNSAが関わっています。その情報が欲しい」
「お前ら……」
「危険な仕事です。裏社会の伝手で調べてもらえないでしょうか」
ジャンニーニの後ろで控えていた男が、耳打ちした。
「いいだろう。お前らとはちゃんとビジネスの話が出来そうだ」
皇紀は「ヴァーミリオン」の情報を話した。
人間を改造し、強化兵士を作る計画であること。
既にプロトタイプは出来上がっていること。
日本で実戦を済ませていること。
「分かった、調べよう」
「では口座番号を」
「それは成功報酬でいい。ヤバいと思ったら手を引くしな」
「構いません。でも先に入金させて下さい」
ジャンニーニに耳打ちされ、後ろの男がメモした紙を渡してきた。
皇紀はメールアドレスを伝えた。
出て行こうとする四人にジャンニーニが言った。
「また来い!」
「「「「はい!」」」」
四人は車に戻り、JFK空港へ向かった。
「あれ? おかしいよ」
「どうしたの、ハー?」
「入金できないよ」
「なんで?」
レイが口座番号を見た。
「これはおかしいです。番号が二桁足りません」
「え!」
「間違えたってこと?」
「いいえ。最初から受け取るつもりが無かったのでしょう」
「「「「!」」」」
「あんにゃろー! またぶっ飛ばしに行くからなぁ!」
「「うん!」」
皇紀は笑っていた。
ロックハート家の自家用ジェットに乗り、四人はハワイで一泊した。
1月2日午後3時。
4人は羽田空港に到着した。
「それでは、私はここまでで。みんな、本当にありがとう」
「「「「レイ!」」」」
みんなで抱き合った。
検疫で剥製が多少引っ掛かったが、何とか抜けた。
4人はタクシーで家に戻った。
途中で電話し、今帰ると伝えた。
「「「「タカさーん!」」」」
「おう、お帰り。よくやったな!」
「「「「うん!」」」」
石神一家が揃った。
ロックハート家の厨房は大騒ぎだった。
「今日であの子たちはここを出て行ってしまう! 今朝の朝食は全力でやるぞ!」
「うぉぉぉぉーーーーー!!!!」
全ての料理人たちが雄叫びを上げた。
最上のステーキ肉を50キロ。
総料理長のロドリゲスは焼き具合を中心に、すべての工程を監督した。
他の料理もどんどんロドリゲスに確認に来る。
大統領が来る晩餐会以上だ。
全員が気合を入れ、日本の子どもたちのために、最高の料理を作った。
8時。
亜紀たちは食堂に入って驚いた。
100人ものロックハート家の使用人が待っており、亜紀たちを笑顔と拍手で迎え、椅子に座らせた。
アルジャーノンと静江も既に座っており、料理が運ばれてくる。
「うちの料理人たちが、是非にと言ってね。朝からだけど、たくさんステーキを食べていって下さい」
アルジャーノンはそう言って微笑んだ。
「我が家に守護神を置いてくれたイシガミ! そして美しく愛らしく優しいアキ、コウキ、ルリ、ハリのイシガミの四人の天使! ありがとう! イタダキマス!」
「「「「いただきます!」」」」
「ねえ、何でみんなここにいるの?」
ハーが静江に聞いた。
「あなたがたを大好きなんですって。半分は他の仕事やシフトの関係でいないけど、みんなここにきたがっていたわ」
「そうなんだ!」
ハーは笑顔になり、「喰い」に戻った。
アルジャーノンと静江は、美味しそうに食べている子どもたちを微笑んで見ていた。
ロドリゲスは、食べきれない量の肉を用意したつもりだった。
しかし40キロを超え、まだ子どもたちが食べ続けていると聞き、まさかと思った。
300人のパーティで出す量だ。
最後のステーキは、ロドリゲス自身で運んだ。
亜紀が言った。
「もうお腹いっぱいだと言おうと思っていたんです。それで最後にして頂けますか?」
「え、もっと食べられるよ?」
亜紀がハーの頭を引っぱたいた。
ロドリゲスは笑い、「それではここまでに致します」と言った。
自分が来たことで、最後の肉だと分かったのだろう。
自分に恥をかかさないようにと、気遣ってもらったのだ。
「とても美味しかったです!」
「こんなに食べたのは初めてです!」
「もう止まらなくなりました!」
「みなさんにもお礼を言って下さい!」
子どもたちは、口々に礼を述べた。
「ロドリゲス、この方たちは、石神さんに美味しいものを食べたら必ずお礼を言うように言われているんです」
「そうなんですか。素晴らしい教育ですね!」
みんなで笑った。
また子どもたちが片づけを手伝った。
厨房ではそれを見越して、既に始めている。
子どもたちが厨房に行った時、ほとんどの洗い物が終わっていた。
「そちらのお皿もお渡しください」
子どもたちは笑顔で厨房の人間たちに礼を言った。
「じゃあー、屋敷を綺麗にしよう!」
「「「はい!」」」
室内を三人で分担し、屋上からロープを掛けてハーが窓拭きをやった。
庭で作業していた使用人たちが、声援すると、ハーが明るく手を振った。
地上からジャンプして屋上に戻ると、拍手が沸き、室内の使用人たちも集まって来た。
亜紀はクリーナーをかけ、ルーはモップをかけ、皇紀が頑固な汚れを担当した。
さすがにすべては無理だったが、屋敷は見違えるように輝いた。
最後にアルジャーノンと静江の寝室を掃除させてもらい、響子の部屋も掃除した。
昼食はパスタと美味しかったシチューがいいと言う子どもたちのリクエストで、それが用意された。
午後2時。
アルジャーノンと静江、大勢の使用人たちに見送られ、子どもたちはロックハート家を去った。
「レイ、二カ所挨拶したいの」
亜紀が言った。
「ええ、大丈夫ですよ。一軒は聖さんですね?」
「ええ」
聖のマンションへ行く。
ゲートが開けられ、みんなで部屋に行った。
「なんだよ、わざわざ来たのかよ」
聖は腰にタオルを巻いて出てきた。
「またお邪魔してすみません」
亜紀が謝った。
「いいよ、丁度アンジーも気を喪ったとこだ」
「「「……」」」
「「「お世話になりました!」」」
「いいって。大金をもらったしな」
亜紀たちが去ろうとすると、聖が呼び止めた。
「おい、トラが呼べばもちろんだけどよ。お前らが呼んでも、どこだって行ってやるぞ!」
「「「「ありがとうございます!!」」」」
「次はどこ?」
レイが亜紀に聞いた。
「ジャンニーニさんの家に」
「えぇ!」
レイは運転手に伝えた。
運転手が緊張した。
「お前ら!」
門番が亜紀たちの顔を見て叫ぶ。
「ジャンニーニに、あたしたちが会いに来たって伝えろ、ボンクラ!」
「はい!」
四人は案内を待たずに、屋敷に向かった。
数分でジャンニーニが降りてくる。
応接室に案内された。
「なんだ、まだ用があるのか?」
「口座番号を教えて下さい」
「なんだと?」
「一億ドルを支払います」
「てめぇ、それはいらねぇと言っただろう!」
「仕事を頼みに来ました」
皇紀が言った。
「なんだと?」
「アメリカ国内で「ヴァーミリオン」という計画があります。軍とNSAが関わっています。その情報が欲しい」
「お前ら……」
「危険な仕事です。裏社会の伝手で調べてもらえないでしょうか」
ジャンニーニの後ろで控えていた男が、耳打ちした。
「いいだろう。お前らとはちゃんとビジネスの話が出来そうだ」
皇紀は「ヴァーミリオン」の情報を話した。
人間を改造し、強化兵士を作る計画であること。
既にプロトタイプは出来上がっていること。
日本で実戦を済ませていること。
「分かった、調べよう」
「では口座番号を」
「それは成功報酬でいい。ヤバいと思ったら手を引くしな」
「構いません。でも先に入金させて下さい」
ジャンニーニに耳打ちされ、後ろの男がメモした紙を渡してきた。
皇紀はメールアドレスを伝えた。
出て行こうとする四人にジャンニーニが言った。
「また来い!」
「「「「はい!」」」」
四人は車に戻り、JFK空港へ向かった。
「あれ? おかしいよ」
「どうしたの、ハー?」
「入金できないよ」
「なんで?」
レイが口座番号を見た。
「これはおかしいです。番号が二桁足りません」
「え!」
「間違えたってこと?」
「いいえ。最初から受け取るつもりが無かったのでしょう」
「「「「!」」」」
「あんにゃろー! またぶっ飛ばしに行くからなぁ!」
「「うん!」」
皇紀は笑っていた。
ロックハート家の自家用ジェットに乗り、四人はハワイで一泊した。
1月2日午後3時。
4人は羽田空港に到着した。
「それでは、私はここまでで。みんな、本当にありがとう」
「「「「レイ!」」」」
みんなで抱き合った。
検疫で剥製が多少引っ掛かったが、何とか抜けた。
4人はタクシーで家に戻った。
途中で電話し、今帰ると伝えた。
「「「「タカさーん!」」」」
「おう、お帰り。よくやったな!」
「「「「うん!」」」」
石神一家が揃った。
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