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祝賀会は「薔薇乙女」

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 「いらっしゃーいませぇ!」

 俺たちが入ると、「薔薇乙女」の全員に歓迎された。

 「今日はね、貸し切りにしちゃった」
 「おい、ママ!」
 「いいのよー! 石神さんは、と・く・べ・つぅー!」
 ママが笑って、既にテーブルを集めている席に俺たちを座らせた。
 子どもたちの間に、ホステスが座る。
 俺は笑ってやりたいようにやらせた。

 頼んでもいない料理が次々に持って来られ、ワイルドターキーが用意される。
 俺と六花と亜紀ちゃんにロックが置かれ、子どもたちは好きな飲み物を聞かれた。

 「じゃあ、石神さんのオチンチンにかんぱーい!」
 「「「「かんぱーい!」」」」
 子どもたちも笑顔だ。
 俺の隣にはユキとママがいる。

 「今日はね、千両さんのおごりだって!」
 「おい、聞いてねぇぞ!」
 「いいじゃない! 千両さんは石神さんの下についたんでしょ?」
 「そうだが、今日は」
 「もうお金もらっちゃった!」
 「このやろう」

 俺はありがたく受けることにした。
 あいつらも何かしたいのだろう。




 六花と亜紀ちゃんの間に白鹿が座っていた。
 三人で楽しく話している。
 皇紀は朱里という綺麗なホステスに迫られて困っている。
 双子はホステスたちに「天使みたいにカワイイ」と言われて喜んでいる。
 子どもたちと六花の食欲にみんなが驚くが、食材はたっぷりあるとママが言った。
 千両からそれも聞いているらしい。
 バーテンは必死に料理を作り続けた。

 「じゃあ、皇紀ちゃんのハジメテはあたしがもらっちゃおうかな?」
 「タカさーん!」
 俺は笑って、大事にとっといてくれと頼んだ。
 朱里は諦めずにシリコンの胸を皇紀に触らせていた。
 亜紀ちゃんと六花は白鹿とワイ談で盛り上がっていた。

 「あたしたちって、お尻しか使えないじゃん」
 「そうなんですね」
 「だから最初は大変よ。いろいろ拡げる訓練をしてね、最初はゴボウでしょ? それからキュウリでニンジン」
 「ギャハハハ!」
 「分かります! 私も石神先生のために頑張りました」
 「えぇぇ!」
 俺は六花の顔に唐揚げをぶつけた。
 テーブルに落ちた唐揚げを、六花はニコニコして食べた。
 いい笑顔だった。

 ユキは俺の左腕に手を絡めていた。
 女性ホルモンを打っているのだろう。
 ユキの胸はほんのりと膨らんでいた。

 「あら、ユキちゃん! 今日は積極的ね!」
 ママが言い、ユキは微笑んだ。



 みんなに酒が回った頃、ママが宣言した。

 「じゃーそろそろ! みんなお待ちかねのタカトラ祭りよー!」
 「はーい!」
 白鹿がギターを持って来る。
 俺はJ.ガイルズ・バンドの『堕ちた天使』を歌う。
 みんなが歓声を上げる。
 続いてザ・バンドの『ophelia』を歌った。
 カントリーっぽい楽曲で、本当はドラムが最高にいいバンドだ。

 「あ! また知らない曲!」
 亜紀ちゃんが叫んだ。
 何曲か歌うと、あのコールが始まった。

 「だーせ、だーせ! みせてー、みせてー!」

 俺は全裸になってエスタス・トーネを掻き鳴らした。
 双子も全裸になった。
 何か肩につけている。

 「あー! お前らぁー!」

 二人はワニとサメの剥製を両肩につけていた。
 ホステスたちが大騒ぎだ。
 ベルトで留めたそれは、世紀末戦士のようだった。
 ホステスたちが素晴らしいと言った。

 二人が俺のギターに合わせて踊った。
 俺も笑って『日本印度化計画』を演奏してやった。
 ルーもハーもノリノリだ。

 ホステスたちも脱ぎだした。
 皇紀が朱里に脱がされる。
 亜紀ちゃんも六花も全裸だ。
 ママに睨まれ、バーテンも脱いだ。

 「タカトラー! ここをオランダにしてぇ!」
 俺はオチンチンを回し、亜紀ちゃんがチューリップを作った。

 「どこでもオランダにしてやるぞー!」
 大爆笑だった。

 俺は『ガラスを割れ』を演奏し、六花と子どもたちが華麗なダンスを見せた。
 大喝采だった。

 「タカさーん、あれ見せて!」
 亜紀ちゃんがコップの水を離れたテーブルに置いた。

 「虚チン花!」
 コップの水がポチョンと跳ねた。

 「「「「「ギャハハハハハ!!!」」」」」

 「なになに! なんなのぉー!」
 「手品だ、手品!」
 「すごいオチンチンね!」
 「そうだろう! ガハハハハ!」

 みんなで並んでオチンチン鑑賞会をする。
 一人一人が一撫でしていく。
 子どもたちも並んでいるので、やめろと言った。
 六花と白鹿が尻を見せて俺の前に立った。
 
 「どちらでもどーぞ!」
 俺は二人の尻をはたいた。
 ちょっと大きくなった。

 閉店まで騒いだ。


 「またいらしてねー!」
 みんなに見送られた。
 俺たちは服を着ているが、ホステスたちは裸だ。

 「皇紀ちゃんのオチンチン、忘れないわー!」
 朱里が言い、皇紀が俺の後ろに隠れた。







 三年後。
 双子が立ち上げたアパレルショップ「RUH=HER」で発売されたアニマルヘッド・ファションが、ゲイの間で大流行し、そのうち一般にも広まって世界的なビッグ・ウェーブになった。
 サメ、ウツボ、イノシシ、クマ(被り物)、ワニ、ウサギ等、様々なバージョンが生み出され、女性ばかりか男性のスーツにもウサギヘッドなどが出来た。
 フェイクが多かったが本物のヘッドも作られ、動物愛護団体と激しい衝突も生まれた。





 「やっぱタカさんのファッションセンスは最高だね!」
 ルーに言われ、俺は複雑だった。
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