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挿話: オチンチン独白。

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 俺は高虎のオチンチンだ。
 名前はまだない。
 高虎が生まれた時から俺はくっついている。
 オチンチンの中でも、大型種だ。

 そんな俺も、最初は普通のオチンチンだった。
 しかし、ある時その自覚を変えねばならない出来事があった。

 高虎が小学二年生の時。
 突然高熱が続き、死に掛けた。
 俺も冷や汗をかいた。
 その後も病気がちで、高虎の家はその治療費で大変だった。
 翌年の夏休み。
 高虎は母親と一緒に、父親の盛岡の実家へ行った。
 食費節約のためだ。
 高虎は大食いだった。



 実家は結構金持ちだった。
 田畑を売って、金を得ていた。
 風呂に入った。
 高虎の家は薪風呂だった。
 実家はガス風呂だった。
 見たことがない穴がある。
 
 「あんだ、これ?」

 高虎が俺をその穴に突っ込んだ。

 「アッチィー!」

 俺は火傷を負った。
 真っ赤になり、ちょっと腫れた。
 大変だった。
 俺は実家の人たちに笑われながら、軟膏を塗られ、包帯を巻かれた。
 しばらく痛んだ。

 その時俺は、このままではいかんと思った。
 大型種であることに慢心せず、もっと自分を鍛え、逞しくならなければならない。
 高虎は俺を雑に扱う。
 俺は強くなることを誓った。

 


 小学三年生のある日。
 教室で授業を受けていると、高虎が机の下で俺を出した。

 「ん? オシッコはしたくないぞ?」
 俺は不思議に思った。

 「先生! 石神くんがまたオチンチンを出してますー!」
 隣の席の女の子が手を上げて言った。
 
 「おい! 黙ってろよ!」
 「こら! 石神くん、早く仕舞いなさい!」
 「えー! 俺は自由なんです」
 「ばか!」
 変わった奴だった。
 よく一人で山に入って行った。
 そこでも気が向くと全裸になり、俺は外に出た。
 自然の中は気持ちがいい。

 小学五年生の時。
 俺は知らない興奮を覚えた。
 いつものように高虎が俺をいじっている。

 「あ! なんだこれ!」
 高虎が叫んでいた。
 大型種の俺がさらに「大型」になった。
 力が湧き、強く硬くなった。
 高虎は面白がり、それまで以上に俺をいじるようになった。
 俺も誇らしい気分が大好きになった。

 ある日、俺はオシッコではないドロドロとした白いものを出した。
 それがどういう現象かを高虎も知り、俺は自分が成長したことを知った。
 俺は自分が何故オチンチンに生まれたのかという「運命」を知った。



 高虎には女の子のファンが多くいた。
 中でも熱烈な同級生の知子ちゃんが、高虎に迫っていた。
 カワイイ子で、オッパイが結構大きくなっていた。

 「おい、知子! ちょっとオッパイ見せてくれよ」
 「え、いいよ」
 「すげぇー!」
 「下も見る?」
 「おう!」

 「お前、もう毛が生えてんの!」
 「うん」

 「すっげぇー!」
 「エッチしてみる?」
 「うん!」
 俺は初めて潜った。
 物凄く気持ちよかった。
 高虎は俺を通して、大量の白いものを知子ちゃんの中に吐き出した。



 それから知子ちゃんとしょっちゅうやった。
 高虎は知子ちゃんの反応を見ながら、テクニックを勉強して行った。
 高虎は何にでも勉強熱心だった。
 ある日、知子ちゃんが家の都合で遠くへ引っ越すことになった。

 「石神くんと離れたくない!」
 「俺もだよ」
 「離れていても、忘れないで」
 「忘れないように、最後に一杯やろう」
 「うん」
 呆れるほどサイテーな野郎だった。
 その時には、他にも何人もの女とやっていた。

 だが俺は高虎のオチンチンだ。
 高虎と共に吼える野獣だ。
 俺も知子ちゃんでなければ、ということも全然なかった。




 中学に上がると、女の子との付き合いがどんどん増えた。
 男とは喧嘩で繋がり、女の子とはオチンチンで繋がった。
 既に400人ほどに俺は潜った。
 回数はその10倍以上だ。

 俺は逞しくなっていった。
 高虎もどんどんテクニックを極めて行った。
 しかし、どうにも多すぎる。
 心配になった俺は、相談することにした。


 《超高速オチンチン通信》を使った。
 これで世界中のオチンチンと交信できる。
 周辺の中学生たちのオチンチンと話すと、ほとんどのオチンチンが未経験なのを知った。
 経験済みでも、せいぜい数人程度だ。
 俺はもっと遠くの、しかも逞しいオチンチンに相談した。

 「もしもしチンチン」
 「はい、こちらインドのベンガル虎オチンチンですが?」
 「初めまして。私は石神高虎オチンチンです」
 「あ! ヒューマンU20カテで急上昇中の!」
 「そのようなカテがあるんですか?」
 「はい!」
 なかなか詳しそうな方だ。
 俺は真剣に相談した。

 「大変ですね」
 「はい、大変です」
 「でも、僕らはくっついてるしかないですしね」
 「そうですね」
 「何かあったらまた相談してください」
 「ええ、是非お願いします」
 「それでは、ばいばいチンチン」
 「ばいばいチンチン」

 通信を切った。



 その後、俺は一つ気付いた。
 毎回高虎は普通の人間の数倍の白いものを出す。
 しかし、どうも高虎が産ませたいと思わなければ、妊娠しないようなのだ。
 高虎はそれに気づいていない。
 ただ、気持ちいいからやっているだけだ。
 呆れた野郎だ。

 高校に入って、ついに1000人を超えた。
 その時には俺も鍛え上げられ、高虎の無茶にも耐えられるようになった。
 常に女が群がる高虎。
 それに加え、あっちが凄いとの評判が、爆発的に拡がって行った。
 周辺の女に留まらず、範囲が広がって行った。
 8人の女と一晩やったこともある。
 俺は朝日を見ながら全裸で仁王立ちの高虎にぶら下がり、達成感を味わった。



 高校を卒業し、半年ほど海外に行った。
 その時は状況的に仕方なく、俺は大人しくホースに徹した。
 帰ってから、また凄まじい修羅場を潜った。

 大学に入ったら、今度は10000を超えるかと思っていた。
 大学でも女たちに囲まれた。
 評判を聞いて、別な大学の女たちもよく来た。
 いよいよ、俺の出番か!

 しかし、それは無かった。

 「卒業するまでダメだよ」
 「うん!」

 奈津江という美少女に高虎は恋をし、他の女とも関係を持たなくなった。
 俺は驚愕した。

 悪魔のような誘い方は!
 抑えれば性犯罪を犯すような強烈なお前のリビドーは!
 自分の快楽を追求する、その自由は!

 高虎に問うたが、そういえば俺はオチンチンとしか喋れなかった。

 

 その後、美少女は死に、俺は野獣の復活を覚悟した。

 無かった。

 二十年に亘り、高虎は女と関係を持たなかった。
 相変わらず異常にモテる。
 周囲も女性の方が圧倒的に多い職場。
 キレイな子もカワイイ子も色っぽい子もいる。
 手を出さない。
 なぜだ!


 一つの原因は、大学時代に知り合った友・石動の存在だ。
 高虎は石動コレクションに支えられ、リビドーを発散していた。
 しかし、それは以前もそうだ。
 不思議に思っていると、ようやく女との関係を持ち始めた。
 どんどん増えた。
 俺は再び燃えた!

 特にリッカチャンとは最高の組み合わせだった。
 こんなに俺が燃え盛る子はいなかった。
 鍛え抜かれた俺も、時にくじけそうになるくらいだった。

 でも、何かが違う。

 以前の高虎のような、野獣性よりも、何か優しさを感じる。
 自分のリビドーではないもので、俺を使い出した。
 もちろん、リビドーもあるのだが、それは一部だ。



 ようやく、それに気づいた。



 俺は、「愛」を知った。



 そうだ、俺たちオチンチンは、愛の体現のためにぶら下がっているのだ。
 高虎がそれに気づき、俺も知った。
 天使オチンチンの讃美歌が聴こえた。

 《超高速オチンチン通信》を久しぶりに使った。

 「もしもしチンチン」
 「はい、ベンガル虎オチンチンです」
 「お久しぶりです。石神高虎オチンチンです」
 「やあ、お元気ですか?」
 「はい。お陰様で「愛」に気付きました」
 「そうですか。それではいよいよ「カイザー・オチンチン」になるんですね」
 「なんですか、それは?」
 「オチンチンの中のオチンチン。オチンチンの最高峰です」
 「それは素敵ですね」
 「頑張ってください」
 「はい、それではばいばいチンチン」
 「ばいばいチンチン」





 俺は高みを目指そう。
 頑張ろう、高虎!
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