578 / 2,840
フランス外人部隊 Ⅴ
しおりを挟む
俺たちは俺の家へ集まった。
四人の子どもたち、栞、鷹、一江と大森、そして聖。
聖は途中で買った大量のハンバーガーを喜んで喰っている。
ハーもまだ痛みはあるようだが、元気だ。
ルーの方が銃弾で抉られた分、動きが鈍い。
聖以外は、全員がステーキをパクついている。
鷹がどんどん焼いている。
「そのまま聞いてくれ」
俺もステーキを喰いながら話した。
20時に決戦であることは、既に話している。
「相手は狡猾なフランス外人部隊だ。わざわざ正攻法で来るわけがない」
子どもたちはステーキを喰いながら俺を見ていた。
「敵は、「花岡」の無効がまだ完全ではないフリをしている。そのために50名ほどを捨て駒にした」
「しかし、実は完全に無効化する術を持っている。だから正面からぶつかろうとしている」
「「「「はい!」」」」
「俺たちは銃器の扱いで、俺と聖を除いて素人みたいなものだ。だから当然敵は俺たちが「花岡」で勝負に来ると考えている」
「「「「はい!」」」」
「だからな、「花岡」をぶっ放せ!」
「「「「はい!」」」」
「皇紀」
「はい!」
「「花岡」を無効化する仕組みは想像できるか?」
「はい! 考えていたんですが、多分基本は僕らと同じかと」
「周波数か」
「そうです。恐らく「闇月花」だと思います」
「蓮華の襲撃もそれだったもんな」
「はい。「花岡」の中で「花岡」防御はあの技です。中央公園で、その有効性を試していたのだろうと」
「いい読みだ」
「僕らの「周波数」は別なアプローチですから、実効性は全然違いますけどね。「闇月花」だけで防ぐのは無理です」
「じゃあ、今回のあいつらの自信はなんだと思う?」
「多分、出力の強化じゃないかと」
「なるほど」
「敵の弾の方も、同じ仕組みかと思います」
「音か」
「その通りです! タカさん、流石ですね!」
電磁波ではなく、音波の周波数を利用している。
恐らく、弾頭にそれ用の笛穴が空いているはずだ。
「皇紀! 対策を!」
「電磁波には「轟雷」で十分かと。お姉ちゃんに特大の「轟雷」を撃ってもらえば」
「弾丸は!」
「そちらは超音波の防壁を。出力を上げればいいんですが、今「闇月花」の解析も並行しています。それが判明すれば倍音なりで無効化できると思います」
「よし! 一江、警察とマスコミの動きを!」
「はい! 大使館周辺の事件はアメリカ大使館を狙ったテロリストとの発表があります。中野でルーちゃんとハーちゃんが襲われた方は、ヤクザの抗争とのことで捜査が始まっています」
「どちらも俺たちに繋がってねぇな?」
「はい! どちらもすべての遺体が回収されていますので。中野の方は相手方ですけどね」
「じゃあ、ブリーフィングだ。ああ聖!」
「おう!」
「お前は覚えなくてもいいぞ」
「おう!」
「敵は中央公園を指定してきた。恐らくは高性能爆薬をしかけている。もしくは毒物だ。放射性物質の可能性もある」
「外道だね」
栞が言った。
「その通りだ。奴らは人間がやらない手段を平然と取る。だから最初に公園ごとぶっ飛ばす」
「あ! 私にやらせて下さい!」
亜紀ちゃんが言った。
「じゃあ任せるぞ」
「どうせ後から車両で生き残った俺たちを殺しに来るつもりだ。そいつらを迎え撃つ。また武装ヘリが出てくるし、ミサイルも撃って来るだろう。亜紀ちゃんと栞に任せていいか?」
「「はい!」」
「ルーとハーの亡霊は周辺の観測員を抑えろ。なるべく殺すな」
「はい!」
「生きてるって!」
「皇紀はジャミングに専念しろ。鷹、皇紀を守ってやってくれ」
「「はい!」」
「双子が観測員を全員抑えたら、「俺たちの花岡」の使用を許可する。何か質問はあるか?」
「警察の対応はどうします?」
一江だ。
「それは向こうがやってくれる。別動隊が動くだろう。一応こっちも用意する」
「俺は?」
「聖は天才だから遊撃を頼む。またM82でいいか?」
「おう!」
俺たちは食事を終え、出発した。
新宿中央公園は、前回の破壊から修復され、広場も復元されていた。
「お前に恨みはねぇんだけどよ」
亜紀ちゃんが「轟閃花」を放とうとすると、聖が駆け出しそうになった。
亜紀ちゃんに髪を掴んで止められる。
「まだです」
バカの扱いが上手い。
「轟閃花」は中央公園をすべて消し去った。
俺たちは中へ入る。
皇紀がハマーから降ろした機器をセッティングする。
鷹は用心深く周囲に注意を向けている。
三機の攻撃ヘリ・ヴァイパーだ。
亜紀ちゃんが特大の「轟雷」を放つと、あっけなく落ちた。
装甲車が来る。
轟音が響き、装備されていたジャベリン対戦車ミサイルとブローニング重機関銃が破壊されていく。
聖だ。
相変わらず戦闘の天才だ。
俺の指示はまったく必要ない。
バカだが。
装甲車から兵士が飛び降りて向かってくる。
おかしい。
俺の中で警鐘が鳴っている。
あまりに想定内過ぎる。
あまりに簡単に撃破でき過ぎる。
ルーから通信がインカムに入った。
「タカさん、おかしいよ! とっても変な波動がある!」
「どういうことだ!」
「おかしいの! 生き物の気配なんだけど、どうも違うみたいな!」
「危険な奴なのか?」
「分かんない! でも「まとも」じゃない!」
公園では亜紀ちゃんが次々に兵士を撃破していく。
栞も抜けてくる兵士をやっている。
聖も炸裂弾で屠っている。
俺は周囲に注意を払った。
強烈な「圧」を感じた。
「全員伏せろー!」
俺たちの頭上を真っ赤な電光が薙ぎ払った。
とんでもないモノが現われた。
四人の子どもたち、栞、鷹、一江と大森、そして聖。
聖は途中で買った大量のハンバーガーを喜んで喰っている。
ハーもまだ痛みはあるようだが、元気だ。
ルーの方が銃弾で抉られた分、動きが鈍い。
聖以外は、全員がステーキをパクついている。
鷹がどんどん焼いている。
「そのまま聞いてくれ」
俺もステーキを喰いながら話した。
20時に決戦であることは、既に話している。
「相手は狡猾なフランス外人部隊だ。わざわざ正攻法で来るわけがない」
子どもたちはステーキを喰いながら俺を見ていた。
「敵は、「花岡」の無効がまだ完全ではないフリをしている。そのために50名ほどを捨て駒にした」
「しかし、実は完全に無効化する術を持っている。だから正面からぶつかろうとしている」
「「「「はい!」」」」
「俺たちは銃器の扱いで、俺と聖を除いて素人みたいなものだ。だから当然敵は俺たちが「花岡」で勝負に来ると考えている」
「「「「はい!」」」」
「だからな、「花岡」をぶっ放せ!」
「「「「はい!」」」」
「皇紀」
「はい!」
「「花岡」を無効化する仕組みは想像できるか?」
「はい! 考えていたんですが、多分基本は僕らと同じかと」
「周波数か」
「そうです。恐らく「闇月花」だと思います」
「蓮華の襲撃もそれだったもんな」
「はい。「花岡」の中で「花岡」防御はあの技です。中央公園で、その有効性を試していたのだろうと」
「いい読みだ」
「僕らの「周波数」は別なアプローチですから、実効性は全然違いますけどね。「闇月花」だけで防ぐのは無理です」
「じゃあ、今回のあいつらの自信はなんだと思う?」
「多分、出力の強化じゃないかと」
「なるほど」
「敵の弾の方も、同じ仕組みかと思います」
「音か」
「その通りです! タカさん、流石ですね!」
電磁波ではなく、音波の周波数を利用している。
恐らく、弾頭にそれ用の笛穴が空いているはずだ。
「皇紀! 対策を!」
「電磁波には「轟雷」で十分かと。お姉ちゃんに特大の「轟雷」を撃ってもらえば」
「弾丸は!」
「そちらは超音波の防壁を。出力を上げればいいんですが、今「闇月花」の解析も並行しています。それが判明すれば倍音なりで無効化できると思います」
「よし! 一江、警察とマスコミの動きを!」
「はい! 大使館周辺の事件はアメリカ大使館を狙ったテロリストとの発表があります。中野でルーちゃんとハーちゃんが襲われた方は、ヤクザの抗争とのことで捜査が始まっています」
「どちらも俺たちに繋がってねぇな?」
「はい! どちらもすべての遺体が回収されていますので。中野の方は相手方ですけどね」
「じゃあ、ブリーフィングだ。ああ聖!」
「おう!」
「お前は覚えなくてもいいぞ」
「おう!」
「敵は中央公園を指定してきた。恐らくは高性能爆薬をしかけている。もしくは毒物だ。放射性物質の可能性もある」
「外道だね」
栞が言った。
「その通りだ。奴らは人間がやらない手段を平然と取る。だから最初に公園ごとぶっ飛ばす」
「あ! 私にやらせて下さい!」
亜紀ちゃんが言った。
「じゃあ任せるぞ」
「どうせ後から車両で生き残った俺たちを殺しに来るつもりだ。そいつらを迎え撃つ。また武装ヘリが出てくるし、ミサイルも撃って来るだろう。亜紀ちゃんと栞に任せていいか?」
「「はい!」」
「ルーとハーの亡霊は周辺の観測員を抑えろ。なるべく殺すな」
「はい!」
「生きてるって!」
「皇紀はジャミングに専念しろ。鷹、皇紀を守ってやってくれ」
「「はい!」」
「双子が観測員を全員抑えたら、「俺たちの花岡」の使用を許可する。何か質問はあるか?」
「警察の対応はどうします?」
一江だ。
「それは向こうがやってくれる。別動隊が動くだろう。一応こっちも用意する」
「俺は?」
「聖は天才だから遊撃を頼む。またM82でいいか?」
「おう!」
俺たちは食事を終え、出発した。
新宿中央公園は、前回の破壊から修復され、広場も復元されていた。
「お前に恨みはねぇんだけどよ」
亜紀ちゃんが「轟閃花」を放とうとすると、聖が駆け出しそうになった。
亜紀ちゃんに髪を掴んで止められる。
「まだです」
バカの扱いが上手い。
「轟閃花」は中央公園をすべて消し去った。
俺たちは中へ入る。
皇紀がハマーから降ろした機器をセッティングする。
鷹は用心深く周囲に注意を向けている。
三機の攻撃ヘリ・ヴァイパーだ。
亜紀ちゃんが特大の「轟雷」を放つと、あっけなく落ちた。
装甲車が来る。
轟音が響き、装備されていたジャベリン対戦車ミサイルとブローニング重機関銃が破壊されていく。
聖だ。
相変わらず戦闘の天才だ。
俺の指示はまったく必要ない。
バカだが。
装甲車から兵士が飛び降りて向かってくる。
おかしい。
俺の中で警鐘が鳴っている。
あまりに想定内過ぎる。
あまりに簡単に撃破でき過ぎる。
ルーから通信がインカムに入った。
「タカさん、おかしいよ! とっても変な波動がある!」
「どういうことだ!」
「おかしいの! 生き物の気配なんだけど、どうも違うみたいな!」
「危険な奴なのか?」
「分かんない! でも「まとも」じゃない!」
公園では亜紀ちゃんが次々に兵士を撃破していく。
栞も抜けてくる兵士をやっている。
聖も炸裂弾で屠っている。
俺は周囲に注意を払った。
強烈な「圧」を感じた。
「全員伏せろー!」
俺たちの頭上を真っ赤な電光が薙ぎ払った。
とんでもないモノが現われた。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
NPO法人マヨヒガ! ~CGモデラーって難しいんですか?~
みつまめ つぼみ
キャラ文芸
ハードワークと職業適性不一致に悩み、毎日をつらく感じている香澄(かすみ)。
彼女は帰り道、不思議な喫茶店を見つけて足を踏み入れる。
そこで出会った青年マスター晴臣(はるおみ)は、なんと『ぬらりひょん』!
彼は香澄を『マヨヒガ』へと誘い、彼女の保護を約束する。
離職した香澄は、新しいステージである『3DCGモデラー』で才能を開花させる。
香澄の手が、デジタル空間でキャラクターに命を吹き込む――。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる