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フランス外人部隊 Ⅲ
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御堂正嗣は石神の連絡を受け、ただちに家に向かった。
いつもよりも速い速度でクラウンを飛ばす。
法定速度を遙かに超えているが、この近隣で御堂家を取り締まろうとする警官はいない。
10分ほどで家に着いた。
妻の澪が出迎えた。
「なんでここにいるんだ! みんなで地下に入れ!」
「はい!」
敷地に作られたシェルターに、澪と一緒に避難した。
周辺で工事をしていた作業員たちもいる。
「御堂さん、よく御無事で!」
井上という基礎工事の会社の社長が近づいて来た。
「ああ、井上さん。お互い無事でよかったです」
「あちらに御堂家のみなさんがいらっしゃいます」
「はい」
「でも本当に良かった。御堂さんに万一のことがあったら、トラに顔向けできません」
「あなた。井上さんたちはずっとあなたを迎えに行こうとなさってたんです」
「え、そんな!」
「だから私が。申し訳ありませんでした」
御堂は深々と頭を下げ、御堂家専用の部屋へ移動した。
「お父さん!」
柳が駆け寄る。
「大丈夫だ。ここなら石神が安全だと言っていた」
「はい!」
御堂はスクリーンを起動した。
周辺の様子が360度観測できる。
よくは分からないが、量子コンピューターで制御されているそうだ。
三十分後。
警報が鳴った。
「お父さん!」
「ああ、来たようだね」
武装ヘリ二機と装甲車二台。
それに30人ほどの歩兵。
スクリーンに武装ヘリの名称が投影された。
《AHー1Z VIPER》
続いて各種兵装も投影される。
turret:M197 20mm Gatling gun
missiles:BGM-71 TOW × 8 / AGM-114 HELLFIRE × 8
装甲車も同様に表示された。
《Stryker》
Protector Remote Weapon Station, Protector RWS : FGM-148 Javelin
Browning Winchester Cal.50 Heavy Machine Gun
「お父さん、どういう意味?」
「うん、分かんない」
「えー!」
「石神に聞いてもいいんだけど、あっちも忙しいだろうしね」
「うーん」
最初は小さな点だったものが、次第に大きくなり、不気味な威容を見せ始めた。
武装ヘリと装甲車は、歩兵のスピードに合わせている。
「どうなるんだろう」
柳が不安そうに呟いた。
「澪、紅茶を淹れて」
「は、はい!」
御堂は笑顔を浮かべ、澪に言った。
石神を信じている。
自分が家族の不安を取り除かなければならない。
「柳、のんびり見よう。お父さんもこっちへどうぞ」
「ああ、そうだな。石神さんだもんな」
「本当にいいのかなー」
「柳は石神を信じられないんだ」
「そんなことはないけどー!」
御堂家全員でスクリーンの前で紅茶を飲んだ。
「あ、あれ!」
柳が叫ぶ。
敷地に設置された荷電粒子砲が光り、一機のヴァイパーを破壊した。
それを見てか、もう一機がTOWミサイルを発射する。
直後に、ミサイルごとヴァイパーが消えた。
「あー! お父さん、あっち!」
いつの間にか、巨大なヘビ:オロチが庭に首を持ち上げていた。
ヴァイパーの破壊を見て、上半身を揺らしている。
「なんだか喜んでるみたいよ?」
「そうだね」
正巳と菊子が手を合わせた。
オロチは口を開き、装甲車の一台を燃やし尽くした。
「……」
「ああやって、こないだも襲撃を防いでくれたんだね」
装甲車と残った歩兵たちが止まった。
あまりにも非現実的過ぎる光景だった。
御堂家の人間はそのまま次の光景を待った。
突然、歩兵が崩れ折れた。
オロチが軒下に戻って行く。
「アレ?」
念のため、まだ全員シェルターにいるように、御堂は指示した。
「そのうち、石神から連絡があるよ。今の映像はずっと石神にも送られているからね。それにほら、皇紀君システムがグリーンになった。もう安心だよ」
「そうなのかなー」
「なんだ、まだ心配かい?」
「うーん、そうじゃないんだけど。なんだか呆気なくて」
「アハハハハ! そうだったね」
「もう、お父さんったら」
「さあ、何か食べよう。お腹が空いたよ」
「もーう!」
澪が笑いながら、奥に設置されたキッチンへ向かった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「少佐!」
麻布のマンションを作戦本部としたフランス外人部隊。
その指揮官アルベール・アダン少佐は、作戦部隊の壊滅を知った。
「全部隊壊滅です」
「分かっている。観測員からの報告は?」
「あまり鮮明な画像はありません」
「「ハナオカ」か」
「恐らくは、それとは別なものかと。特殊なジャミングがかかったようです」
「イシガミたちの大体の攻撃は肉弾戦だが、脅威は電磁気的な砲か」
「そうですね。凄まじい威力です」
「情報ではレールガンもあったと聞くが」
「そちらは観測されませんでした」
「問題はアレだな」
「はい。観測員も何が起きたのか分からないそうです。突然兵士の死亡と装甲車の沈黙ですね」
「ああ。電子機器が何に攻撃されたのか、まったく分からん」
「ムッシュ・カルマには何と報告を?」
「「対ハナオカ兵装」はある程度有効だった、というだけかな」
「では、撤退ですか?」
「いや。もう少しイシガミの力を測らないとな。「Tueur de TIGRES」を実行する」
「ハッ!」
「命がけの戦場はいいな!」
「まったくもって!」
二人の男が、これ以上はないという笑い声を響かせた。
いつもよりも速い速度でクラウンを飛ばす。
法定速度を遙かに超えているが、この近隣で御堂家を取り締まろうとする警官はいない。
10分ほどで家に着いた。
妻の澪が出迎えた。
「なんでここにいるんだ! みんなで地下に入れ!」
「はい!」
敷地に作られたシェルターに、澪と一緒に避難した。
周辺で工事をしていた作業員たちもいる。
「御堂さん、よく御無事で!」
井上という基礎工事の会社の社長が近づいて来た。
「ああ、井上さん。お互い無事でよかったです」
「あちらに御堂家のみなさんがいらっしゃいます」
「はい」
「でも本当に良かった。御堂さんに万一のことがあったら、トラに顔向けできません」
「あなた。井上さんたちはずっとあなたを迎えに行こうとなさってたんです」
「え、そんな!」
「だから私が。申し訳ありませんでした」
御堂は深々と頭を下げ、御堂家専用の部屋へ移動した。
「お父さん!」
柳が駆け寄る。
「大丈夫だ。ここなら石神が安全だと言っていた」
「はい!」
御堂はスクリーンを起動した。
周辺の様子が360度観測できる。
よくは分からないが、量子コンピューターで制御されているそうだ。
三十分後。
警報が鳴った。
「お父さん!」
「ああ、来たようだね」
武装ヘリ二機と装甲車二台。
それに30人ほどの歩兵。
スクリーンに武装ヘリの名称が投影された。
《AHー1Z VIPER》
続いて各種兵装も投影される。
turret:M197 20mm Gatling gun
missiles:BGM-71 TOW × 8 / AGM-114 HELLFIRE × 8
装甲車も同様に表示された。
《Stryker》
Protector Remote Weapon Station, Protector RWS : FGM-148 Javelin
Browning Winchester Cal.50 Heavy Machine Gun
「お父さん、どういう意味?」
「うん、分かんない」
「えー!」
「石神に聞いてもいいんだけど、あっちも忙しいだろうしね」
「うーん」
最初は小さな点だったものが、次第に大きくなり、不気味な威容を見せ始めた。
武装ヘリと装甲車は、歩兵のスピードに合わせている。
「どうなるんだろう」
柳が不安そうに呟いた。
「澪、紅茶を淹れて」
「は、はい!」
御堂は笑顔を浮かべ、澪に言った。
石神を信じている。
自分が家族の不安を取り除かなければならない。
「柳、のんびり見よう。お父さんもこっちへどうぞ」
「ああ、そうだな。石神さんだもんな」
「本当にいいのかなー」
「柳は石神を信じられないんだ」
「そんなことはないけどー!」
御堂家全員でスクリーンの前で紅茶を飲んだ。
「あ、あれ!」
柳が叫ぶ。
敷地に設置された荷電粒子砲が光り、一機のヴァイパーを破壊した。
それを見てか、もう一機がTOWミサイルを発射する。
直後に、ミサイルごとヴァイパーが消えた。
「あー! お父さん、あっち!」
いつの間にか、巨大なヘビ:オロチが庭に首を持ち上げていた。
ヴァイパーの破壊を見て、上半身を揺らしている。
「なんだか喜んでるみたいよ?」
「そうだね」
正巳と菊子が手を合わせた。
オロチは口を開き、装甲車の一台を燃やし尽くした。
「……」
「ああやって、こないだも襲撃を防いでくれたんだね」
装甲車と残った歩兵たちが止まった。
あまりにも非現実的過ぎる光景だった。
御堂家の人間はそのまま次の光景を待った。
突然、歩兵が崩れ折れた。
オロチが軒下に戻って行く。
「アレ?」
念のため、まだ全員シェルターにいるように、御堂は指示した。
「そのうち、石神から連絡があるよ。今の映像はずっと石神にも送られているからね。それにほら、皇紀君システムがグリーンになった。もう安心だよ」
「そうなのかなー」
「なんだ、まだ心配かい?」
「うーん、そうじゃないんだけど。なんだか呆気なくて」
「アハハハハ! そうだったね」
「もう、お父さんったら」
「さあ、何か食べよう。お腹が空いたよ」
「もーう!」
澪が笑いながら、奥に設置されたキッチンへ向かった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「少佐!」
麻布のマンションを作戦本部としたフランス外人部隊。
その指揮官アルベール・アダン少佐は、作戦部隊の壊滅を知った。
「全部隊壊滅です」
「分かっている。観測員からの報告は?」
「あまり鮮明な画像はありません」
「「ハナオカ」か」
「恐らくは、それとは別なものかと。特殊なジャミングがかかったようです」
「イシガミたちの大体の攻撃は肉弾戦だが、脅威は電磁気的な砲か」
「そうですね。凄まじい威力です」
「情報ではレールガンもあったと聞くが」
「そちらは観測されませんでした」
「問題はアレだな」
「はい。観測員も何が起きたのか分からないそうです。突然兵士の死亡と装甲車の沈黙ですね」
「ああ。電子機器が何に攻撃されたのか、まったく分からん」
「ムッシュ・カルマには何と報告を?」
「「対ハナオカ兵装」はある程度有効だった、というだけかな」
「では、撤退ですか?」
「いや。もう少しイシガミの力を測らないとな。「Tueur de TIGRES」を実行する」
「ハッ!」
「命がけの戦場はいいな!」
「まったくもって!」
二人の男が、これ以上はないという笑い声を響かせた。
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