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双子式「サバイバル・キャンプ」

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 土曜日の朝6時。
 全員がリヴィングに集合した。
 朝食はご飯と味噌汁と目玉焼きとウインナー。
 6時半に栞も来た。
 栞も朝食を済ませている。
 全員が掃除用の汚れても構わない服を着込んでいる。
 まあ、俺と亜紀ちゃんはジーンズにセーターだが。
 栞と皇紀たちは、掃除の後でキャンプとのことで、思い思いのラフな格好をしていた。

 「コンバットスーツじゃないのか?」
 「うん! キャンプでは汚れて捨ててもいい格好で、ということになってます」
 ハーが言った。

 「なんかやるのかよ?」
 「サバイバルを実体験でと」
 「ふーん」
 どうでもいい。
 こいつらに「危険」ということはねぇ。

 全員で掃除用具とキャンプ用品を積み込んで出発した。
 キャンプ用品は、ハーが大きめのリュックを担いでいるだけだ。
 各自の着替えすら持ってない。
 まあ、一泊で明日の午後に迎えに行くからいいのか。
 俺はハマーを出発させた。




 1時間ほどで、顕さんの家に着く。
 俺は鍵を開け、子どもたちが掃除用具を降ろす。

 「分担な! 皇紀は庭の草むしり。亜紀ちゃんは掃除機。俺は天井と高い場所の埃を落とす。栞は小物の拭き掃除をしてくれ。ルーとハーは最初は布団干しで、俺と亜紀ちゃんが終わった場所の拭き掃除。亜紀ちゃんは掃除機が終わったら窓拭き。何か質問はあるか?」
 「「「「「ありません!」」」」」
 「よし、かかれ!」
 全員が素早くかかっていく。

 1時間もすると、亜紀ちゃんは窓拭きに入り、双子はどんどん床を磨き上げて行く。
 皇紀は既に45リットルのゴミ袋を4つ使っていた。
 栞は台所を中心にやっている。
 俺は見回って安心した。

 「石神くん、ここは大体終わったけど、あとはどこからやろうか?」
 「顕さんの部屋と奈津江の部屋かな」
 「じゃあ、奈津江の部屋に行こう!」
 栞が俺の手を引く。
 何度か来たことがあるらしい。
 二階の角の部屋だ。
 俺はほとんど入ったことはない。

 「懐かしいでしょ?」
 「ああ、何度か来たかな」
 「そうなの!」
 あとは顕さんの入院中の風入れくらいだ。

 「ほら、石神くんと奈津江の写真!」
 那須高原で撮ったものだ。
 奈津江の机に木製の額に納められていた。

 「奈津江、嬉しそう」
 栞が言った。
 本当にそうだ。

 「さあ、あとは頼むぞ」
 「え、もう行っちゃうの?」
 「掃除に来たんだろう」
 「だってぇ。ねえ、奈津江の下着とか見たくないの?」
 「ないよ!」
 ちょっと見たい。
 栞があちこち、開け始めた。

 「おい、やめろよ!」
 「いいじゃない。あ、これ!」
 奈津江のアルバムが出てきた。
 
 「本当にやめろって。ちゃんと掃除してくれな!」
 俺は部屋を出た。



 やはり、まだ少しいるのが辛かった。



 顕さんの部屋に入った。
 整然と片付けられている。
 俺はデスクや設計台を気を付けて拭いた。
 本も多いので、ハンディ・クリーナーで天の埃を吸って行く。
 他の部屋もどんどんやっていった。
 午前中で全部終わった。
 ゴミを集め、ハマーに積んでいく。
 
 「綺麗になったね!」
 栞が言った。
 俺もそう思う。





 「じゃあ、昼を喰って行こうか」
 「「「「「はーい!」」」」」

 俺は近くのファミレスに入った。
 あまりこういう場所は入ったことがない。
 子どもたちの方が知っている。

 「好きなだけ頼め!」
 「「「「ワーイ!」」」」
 俺はピザを頼んだ。
 亜紀ちゃんが頼んでくれた。
 まあまあ喰えた。
 子どもたちはワイワイとやっている。
 
 「タカさん、ドリングバーとサラダバーがついてるんですよ?」
 「そうなのか?」
 それがどういうものか知らない。

 「あっちです!」
 手を引かれ、連れて行かれた。
 自由に選んでいいらしい。
 俺はコーヒーと、サラダを少し盛った。

 「それっぽっちですか!」
 「家でまともなものを喰うよ」
 「なるほど!」
 亜紀ちゃんはサラダを山盛りにしていた。




 食事を終え、丹沢に向かった。
 3時くらいに着き、みんなを降ろす。

 「おい、そんな荷物でいのか?」
 「大丈夫です!」
 ハーがまたそう言う。
 食材は全然足りないだろう。
 こっちで何か買うつもりか。
 まあいい。

 「じゃあ、俺たちは行くからな。楽しんで来い」
 「「「「はい!」」」」
 俺と亜紀ちゃんは出発した。



 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 
 「行ったね」
 「もう見えないね」

 「さあ! じゃあもうちょっと奥まで行こう!」
 ルーが号令をかける。

 「亜紀ちゃんも来ればよかったのに」
 栞がルーに言う。

 「タカさんを放っておけないって」
 「石神くんはまだ身体がきついもんね」
 「そうそう。それに一人にしておくと、また何かやりそうだから」
 「なるほど」
 「あとは二人きりになりたいっていうのも大きいけどね」
 「ちょっと羨ましいかなー」
 
 「栞さんも残れば良かったのに」
 「私は「サバイバル」ってやってみたかったから」
 「そう! 楽しいよ、きっと!」
 「今日はよろしくね!」
 「うん!」

 山の中腹まで登る。
 みんなで走って10分もかからない。

 「さて! じゃあ早速始めるね! まずサバイバルの基本!」
 ルーとハーが前に立っている。

 「「はい!」」
 「それは、自然に還ること!」
 「「はい!」」
 ハーが動作する。
 生暖かい突風が吹いた。




 「「ギャァーーーーーー!」」



 全員の服が飛び散った。
 全裸になった。
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