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危機一髪!

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 俺が薄暗くしたリヴィングにいると、皇紀が来た。
 足元で伏せていたロボが顔を上げる。

 「タカさん!」
 「よう!」
 「あ! お酒飲んでるんですか!」
 「うるせぇ! 声がでけぇ!」

 「絶対ダメですよ! やめてください!」
 「大丈夫だよ! この一杯だけ飲ませろ」
 「お姉ちゃんを呼びます」
 俺は皇紀の首を掴み、椅子に座らせた。

 「お前も付き合え」
 「えぇー!」
 
 俺は薄くワイルドターキーの水割りを作った。



 「どうしても眠れん。これを飲んだら寝るから」
 「本当に大丈夫なんですか?」
 「四十年もこの身体でやってきたんだ。弱点だってよく分かってるさ」
 「タカさんに弱点なんてないでしょう」

 「あるよ! まず、チンコへの攻撃は絶対無理」
 「アハハハ」
 「俺の最愛のものだからな。次にお前らな」
 「アハハハ」
 「ほんとに無理しないでくださいね」
 皇紀が酒に口をつけた。

 「タカさん、はしゃいでましたね」
 「ちょっとやりすぎたかな」
 「あれって、僕たちのためですよね」
 「なんだって?」

 「僕たちに、タカさんがもう大丈夫だって示したんですよね」
 「何いってやがる、チンコ以下が」
 「アハハハハハ!」

 

 「皇紀、酒は美味いか?」
 「うーん、分かりません」
 「お前は酒は弱いだろうな。亜紀ちゃんはバカみたいに飲むけどなぁ」
 「どうして僕は弱いって思うんですか?」

 「山中が弱かったからだよ」
 「え、じゃあお姉ちゃんは?」
 「奥さんがきっと強かったんだろうよ」
 「じゃあ、僕だって」
 俺は皇紀の頭に手を置いた。

 「お前は優しいからな。山中みたいに飛びっきり優しい。だから酒は弱いよ」
 「そうなんですかー」
 俺は笑った。

 



 「タカさん、さっき蓮花さんから電話があったんです」
 「そうか」
 「タカさんはもう寝てるだろうと思って。僕が伝言を預かりました」
 「うん」

 


 「ブランが生まれたそうです」




 「そうか」




 「タカさん、本当に」
 俺は皇紀の頭を撫でた。

 「お前が気に病む必要はない。前にも言ったが、ブランは俺が背負う罪だ。俺が命じたことだ」
 「でも僕は」
 「蓮花が言ってたんだ。ブラン計画は皇紀には関わらせたくないと」
 「どうしてですか!」
 「お前が優しい奴だからってさ。だからこんな鬼畜の仕事に触れても欲しくないって言っていた」
 「そんな……」

 「蓮花は自分のことは全く言わない。どう考えているのかさえな。でも、あいつは優しい女なんだよ。それを押し殺して姉の罪を償おうとしている」
 「はい」
 「俺はお前を外さなかった。一番の理由は、お前がブランを知らなければ、お前の防衛計画に穴が空くからだ。そのために、お前にもブランのことを告げた」
 「はい!」

 「俺を恨んでいいんだぞ。大事だなんだと言いながら、お前に汚い場所を見させているんだからな」
 「僕は関わらせてもらって嬉しいんです!」

 「バカだな、お前は」
 「はい!」
 皇紀が明るく笑った。




 「さて、そうするとまた蓮花の所へ行かなくちゃな」
 「今のタカさんは無理ですよ」
 「そうだなぁ。じゃあどうする、防衛隊長?」
 「僕が行きます」
 俺は笑って、また皇紀の頭を撫でる。

 「いや、俺が行かなければならない。ブランのセッティングに関わることだからな」
 「どうしてもですか」
 「ああ。だから俺を運ぶ手段を考えろ」
 「あ! あの特別移動車!」
 皇紀の髪をグシャグシャにする。

 「運転手は?」
 「えーと、六花さん?」
 「よし! その段取りを考えろ。六花にあちらでどう行動させるのか。何を見せて何を隠しておくのか」
 「タカさんは、いつもそういうことを考えているんですね!」

 「当たり前だぁ! だから休日が無くなるほど女にモテるんだぞ?」
 「なるほど!」
 「それとな、六花の場合は俺へのチンコ攻撃が激しいからな。その防御も考えてくれ」
 「アハハハハ!」
 
 「頼むぞ、ほんとに」
 「分かりました!」





 寝室へ戻り、そっとベッドに上がった。
 ロボが亜紀ちゃんの顔を踏んづける。

 「あ! タカさん!」
 「ちょっとロボとトイレにな」
 「うん? あ! お酒臭いです!」
 「おい、ちょっと」

 「鷹さん、起きて下さい!」
 「どうしたの、亜紀ちゃん?」
 「タカさんが抜け出してお酒飲んでたんですよ!」
 「えぇー!」

 「いや、ちょっと眠れなくてさ」
 「このバカのんべぇ!」
 「だからゴメンって!」
 「あ! 手錠外してる!」
 「あんなもの、俺にかかればなぁ」

 亜紀ちゃんに殴られた。

 「お前! 親に向かってなにを」
 もう一度殴られる。

 「このばかやろうは、足をへし折っておきますか」
 「そうね」
 「やめろってー!」

 俺は両手をしっかりと二人に掴まれた。

 「テンガ必要ですか?」
 「ちょっと欲しいかも」
 亜紀ちゃんがUSMを開けに行く。

 「冗談だぁー!」

 「鷹さん、ちょっと押さえてて下さい」
 「うん!」
 「な、七十歳のおかーさーん!」
 亜紀ちゃんが大笑いしたが、俺のパンツを降ろす。

 「ほんとにやめろ! 俺の身体はまだ」
 「バカの言葉は分かりません」
 鷹が笑っている。

 「娘にテンガを使われるのは嫌だぁ!」
 「じゃあ、私を使います?」
 「そっちはもっとダメだぁ!」
 亜紀ちゃんがため息をつく。
 
 「もう、バカはいい加減にしてくださいね」
 「わ、分かったぁ!」
 亜紀ちゃんがテンガを置いてくれた。

 「じゃあ、今度こそ寝ますよ!」
 「はい!」





 俺はロボを睨んだ。
 ロボは丁寧に毛づくろいをしていた。
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