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挿話: ハー、独白。
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自分たちが他の人と違うって、いつ分かったんだろう。
学校へ通い始めてかな。
ルーと一緒に考えてる。
そういうことがよくある。
っていうか、そうしたいと思えば、いつでもそうなる。
わたしとルーは「違う」人間だ。
そして、同時に「一緒」の人間だ。
でも、他の人は違うらしいと分かった。
みんな、誰とも一緒にはなれないんだ。
わたしとルーはおんなじなんで、いつも大体ルーが喋るようになった。
わたしも何か言おうとしたけど、ルーと同じになる。
当たり前だ。
でも、周りの人は、私が自分の意見を言えない人間だと思うようになった。
だから、わたしはあんまり喋らなくなった。
最初にわたしたちのことを分かってくれたのは、皇紀ちゃんだった。
同じで違うってことをちゃんと分ってくれた。
そのうち、亜紀ちゃんも分かってくれた。
お母さんは、ちょっとだけ分かってくれたと思う。
でも、お母さんはわたしたちを一緒に可愛がろうとする気持ちが大きかった。
違っても同じでも関係なかったんだと思う。
他の人は全然ダメだった。
ルーがよく喋り、わたしは大人しい、時には引っ込み思案か頭の悪い方と思われた。
それが、初めて分かってくれる人がいた。
タカさんだ。
タカさんは、最初にわたしに話しかけることも多かった。
それはわたしがちゃんと「私」だって分かってたからだ。
それでいて、ルーと「一緒」だってことも分かってくれた。
「違う」ことを皇紀ちゃんも亜紀ちゃんも分かってくれたけど、「一緒」ってことは分からないようだった。
タカさんは、「エピジェネティック」の話を、ある時にしてくれた。
まったく同じ遺伝子で生まれようが、「こうてんてき」に違いが出るのだと言った。
だから双子であっても、違うところは一杯出る。
私たちが「一緒」なのは、現代医学や生物学、遺伝学では見つけられていない要素があるんだって。
流石タカさん!
ティム・スペクターの本や、いろんなエピジェネティックの本を貸してくれた。
なんでもあるなー、あのタカさんの書庫。
夏休みの「自由課題」。
タカさんは、敢えてわたしたちにまったく違う課題をくれた。
わたしは嬉しかった。
いままで、ルーと同じことをやるのが普通だった。
でも、タカさんは私たちが「違う」くて「一緒」だってよく分かっててくれた。
だから全然ちがうものをくれたのだ。
その時、ルーとわたしはあることに気付いた。
「一緒」に「違う」ことを考えると、わたしたちの中で何かが起きた。
なんて言ったらいいんだろー?
「なんでもできそー」ってことかな?
散歩の途中で、二人でタカさんに聞いたことがある。
その時タカさんは、人間の相対性について話してくれた。
人間は、いつも「二つ」のがいねんの間で考えるようになっている、と。
暑いのは、寒いのを知らないとにんしきできないって。
明るいのは、暗いのを知らないとダメ。
「それでな、「三体問題」というのがあるんだ」
タカさんは話してくれた。
タカさんは、相手が子どもでも関係なく難しい話をしてくれる。
わたしたちが分かっても分からなくても関係ないらしい。
それがなぜか嬉しい。
「三体問題」は、ルーとわたしの中で、ものすごく重要なものになった。
夏休みの課題で感じたのは、このことなんじゃないか!
二人で興奮した。
「違う」っていうわたしたち二人と、もう一つ「一緒」ということの三つ。
いつも一緒のことをやってたり考えていたんで、あんまり「違う」っていう二つにはならなかった。
それを、タカさんが明確にならせてくれた。
ルーと、そのことについてよく話した。
「もっとスゴイことができるんじゃないかな?」
「あー! ほんとにちがう人を入れちゃう?」
タカさんの書庫を探した。
「necyomantia」の本があった。
ほんとに、なんでもあるなー。
何故か、死んだ人を呼ぶのは、わたししかできなかった。
ルーはわたしと同じで、いろいろ見えるけれども、それを「呼ぶ」ことはできなかった。
発見だった!
でも、わたしも、誰でもは無理だった。
波長が合う人だけだ。
お父さんとお母さんはダメだった。
しょうがない。
テッシーはすぐに呼べた。
「エジソンは好きか?」
「え、別にー!」
そうしたら仲良くなった。
呼べばいつでも来てくれた。
いろんな面白いことを教えてくれる。
わたしたちが「花岡」を機械で実現したいって言うと、興味をもっていろいろ教えてくれる。
テッシーがいなかったら、全然進まなかったと思う。
タカさんにテッシーのことを話したら、大笑いした。
「俺もエジソンよりも、テッシーの方が大好きだな。本当の天才はテッシーの方なんだよ」
そういって、また十冊くらいテッシーの本を書庫から出してきてくれた。
テッシーにタカさんのことを話すと、一層一生懸命に教えてくれるようになった。
あっちでいろいろ話したいって言うんで、絶対ダメと言った。
タカさんが、ドライブに連れてってくれた。
ルーと別々だ。
本当に嬉しかった!
わたしとルーでまったく違う体験をさせてくれた。
「一緒」だからどっちでも同じなんだけど、やっぱり「違う」んだった。
その後で、やっぱり私たちは一緒がカワイイって言ってくれた。
分ってるな、タカさん!
夏休みに別荘に行った。
毎日楽しかったけど、一番嬉しかったことがある。
「オペレーション・ハーを発動する!」
わたしの「出番」だ。
タカさんは、わたしに特別な任務をくれた。
「お前はルーよりも「花岡」の操作が上手いからな。お前に頼むよ」
事前にタカさんはそう言ってくれた。
わたしたちの「違い」をよく知っていてくれる。
ルーより上になりたいんじゃない。
だってわたしたちは「一緒」なんだから。
でも、わたしたちは「違う」。
そのことをタカさんはよく分かっていてくれるんだ。
「轟雷」を放った。
上手くできた。
びしょびしょになった私を、みんなが褒めてくれた。
わたしがルーの前に出た。
ルーも喜んでた。
お魚が美味しかった。
ルーとわたしが、どっちが前に出ても「一緒」だってタカさんは分かってる。
そして、わたしたちが「違う」ってこともよく分かってる。
亜紀ちゃんは超天才で、皇紀ちゃんは違う天才だ。
でも、亜紀ちゃんも皇紀ちゃんも「一人」だ。
わたしたちはそうじゃない。
わたしたちはわたしたちのできることをやろう。
優しくて悲しくて面白くてエッチなタカさんのため!
なんでもやるからね!
学校へ通い始めてかな。
ルーと一緒に考えてる。
そういうことがよくある。
っていうか、そうしたいと思えば、いつでもそうなる。
わたしとルーは「違う」人間だ。
そして、同時に「一緒」の人間だ。
でも、他の人は違うらしいと分かった。
みんな、誰とも一緒にはなれないんだ。
わたしとルーはおんなじなんで、いつも大体ルーが喋るようになった。
わたしも何か言おうとしたけど、ルーと同じになる。
当たり前だ。
でも、周りの人は、私が自分の意見を言えない人間だと思うようになった。
だから、わたしはあんまり喋らなくなった。
最初にわたしたちのことを分かってくれたのは、皇紀ちゃんだった。
同じで違うってことをちゃんと分ってくれた。
そのうち、亜紀ちゃんも分かってくれた。
お母さんは、ちょっとだけ分かってくれたと思う。
でも、お母さんはわたしたちを一緒に可愛がろうとする気持ちが大きかった。
違っても同じでも関係なかったんだと思う。
他の人は全然ダメだった。
ルーがよく喋り、わたしは大人しい、時には引っ込み思案か頭の悪い方と思われた。
それが、初めて分かってくれる人がいた。
タカさんだ。
タカさんは、最初にわたしに話しかけることも多かった。
それはわたしがちゃんと「私」だって分かってたからだ。
それでいて、ルーと「一緒」だってことも分かってくれた。
「違う」ことを皇紀ちゃんも亜紀ちゃんも分かってくれたけど、「一緒」ってことは分からないようだった。
タカさんは、「エピジェネティック」の話を、ある時にしてくれた。
まったく同じ遺伝子で生まれようが、「こうてんてき」に違いが出るのだと言った。
だから双子であっても、違うところは一杯出る。
私たちが「一緒」なのは、現代医学や生物学、遺伝学では見つけられていない要素があるんだって。
流石タカさん!
ティム・スペクターの本や、いろんなエピジェネティックの本を貸してくれた。
なんでもあるなー、あのタカさんの書庫。
夏休みの「自由課題」。
タカさんは、敢えてわたしたちにまったく違う課題をくれた。
わたしは嬉しかった。
いままで、ルーと同じことをやるのが普通だった。
でも、タカさんは私たちが「違う」くて「一緒」だってよく分かっててくれた。
だから全然ちがうものをくれたのだ。
その時、ルーとわたしはあることに気付いた。
「一緒」に「違う」ことを考えると、わたしたちの中で何かが起きた。
なんて言ったらいいんだろー?
「なんでもできそー」ってことかな?
散歩の途中で、二人でタカさんに聞いたことがある。
その時タカさんは、人間の相対性について話してくれた。
人間は、いつも「二つ」のがいねんの間で考えるようになっている、と。
暑いのは、寒いのを知らないとにんしきできないって。
明るいのは、暗いのを知らないとダメ。
「それでな、「三体問題」というのがあるんだ」
タカさんは話してくれた。
タカさんは、相手が子どもでも関係なく難しい話をしてくれる。
わたしたちが分かっても分からなくても関係ないらしい。
それがなぜか嬉しい。
「三体問題」は、ルーとわたしの中で、ものすごく重要なものになった。
夏休みの課題で感じたのは、このことなんじゃないか!
二人で興奮した。
「違う」っていうわたしたち二人と、もう一つ「一緒」ということの三つ。
いつも一緒のことをやってたり考えていたんで、あんまり「違う」っていう二つにはならなかった。
それを、タカさんが明確にならせてくれた。
ルーと、そのことについてよく話した。
「もっとスゴイことができるんじゃないかな?」
「あー! ほんとにちがう人を入れちゃう?」
タカさんの書庫を探した。
「necyomantia」の本があった。
ほんとに、なんでもあるなー。
何故か、死んだ人を呼ぶのは、わたししかできなかった。
ルーはわたしと同じで、いろいろ見えるけれども、それを「呼ぶ」ことはできなかった。
発見だった!
でも、わたしも、誰でもは無理だった。
波長が合う人だけだ。
お父さんとお母さんはダメだった。
しょうがない。
テッシーはすぐに呼べた。
「エジソンは好きか?」
「え、別にー!」
そうしたら仲良くなった。
呼べばいつでも来てくれた。
いろんな面白いことを教えてくれる。
わたしたちが「花岡」を機械で実現したいって言うと、興味をもっていろいろ教えてくれる。
テッシーがいなかったら、全然進まなかったと思う。
タカさんにテッシーのことを話したら、大笑いした。
「俺もエジソンよりも、テッシーの方が大好きだな。本当の天才はテッシーの方なんだよ」
そういって、また十冊くらいテッシーの本を書庫から出してきてくれた。
テッシーにタカさんのことを話すと、一層一生懸命に教えてくれるようになった。
あっちでいろいろ話したいって言うんで、絶対ダメと言った。
タカさんが、ドライブに連れてってくれた。
ルーと別々だ。
本当に嬉しかった!
わたしとルーでまったく違う体験をさせてくれた。
「一緒」だからどっちでも同じなんだけど、やっぱり「違う」んだった。
その後で、やっぱり私たちは一緒がカワイイって言ってくれた。
分ってるな、タカさん!
夏休みに別荘に行った。
毎日楽しかったけど、一番嬉しかったことがある。
「オペレーション・ハーを発動する!」
わたしの「出番」だ。
タカさんは、わたしに特別な任務をくれた。
「お前はルーよりも「花岡」の操作が上手いからな。お前に頼むよ」
事前にタカさんはそう言ってくれた。
わたしたちの「違い」をよく知っていてくれる。
ルーより上になりたいんじゃない。
だってわたしたちは「一緒」なんだから。
でも、わたしたちは「違う」。
そのことをタカさんはよく分かっていてくれるんだ。
「轟雷」を放った。
上手くできた。
びしょびしょになった私を、みんなが褒めてくれた。
わたしがルーの前に出た。
ルーも喜んでた。
お魚が美味しかった。
ルーとわたしが、どっちが前に出ても「一緒」だってタカさんは分かってる。
そして、わたしたちが「違う」ってこともよく分かってる。
亜紀ちゃんは超天才で、皇紀ちゃんは違う天才だ。
でも、亜紀ちゃんも皇紀ちゃんも「一人」だ。
わたしたちはそうじゃない。
わたしたちはわたしたちのできることをやろう。
優しくて悲しくて面白くてエッチなタカさんのため!
なんでもやるからね!
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