487 / 2,840
皇紀と蓮花
しおりを挟む
日曜日。
俺は双子に起こされた。
「タカさーん。朝食ができましたよー」
「タカさーん。大丈夫ですかー」
「ダメだ。もう死ぬ。言い残すことがあるから、こっちへ来い」
双子がニコニコしながらベッドに来る。
俺は二人をベッドに引きずり込み、顔をペロペロしながら言った。
「俺はなー、お前たちが大好きなんだぁー!」
双子が声を上げて笑い、喜んで嫌がった。
「折角顔を洗ったのにー」
ロボが一緒に双子の顔を舐めた。
「「やー」」
顔を洗って、リヴィングへ降りた。
「おはようございます。もう大丈夫そうですね!」
亜紀ちゃんが笑って言った。
「ああ、おはよう。大丈夫だよ」
俺は夕べ軽く済ませたので、多めに食べた。
「皇紀、この後出かけるから付き合え」
「は、はい!」
「タカさん、ゆっくりしてましょうよ」
「大丈夫だよ」
心配する亜紀ちゃんに言う。
「どちらへ行くんですか?」
「群馬だ。蓮花の研究所へ行くぞ」
「分かりました!」
「え、そんな遠くまで?」
「大丈夫だよ、亜紀ちゃん。皇紀も一度見ておいた方がいいだろう」
朝食を終えてすぐに、俺たちはアヴェンタドールに乗り込んだ。
蓮花には先ほど連絡している。
皇紀のカードも頼んだ。
皇紀はカメラや何枚かの図面などを用意した。
先日蓮花に渡した後に作成された図面だ。
「皇紀、お前にも全部見てもらうからな」
「はい!」
「気持ちの悪いものもある。悪いな」
「いいえ!」
高速を飛ばし、二時間もかからずに着いた。
「お待ち申し上げておりました」
蓮花は門の前で待っていた。
恐らく、周辺のカメラや監視装置、またレーダーなどで到着を知ったのだろう。
ずっと待っていたわけではない。
時間を無駄にする女ではないことを知っている。
「皇紀だ。こいつにも案内してくれ」
「かしこまりました」
車を駐車場へ入れ、蓮花が皇紀にカードを渡し、俺たちは中へ入る。
俺がされたと同じコースを回る。
皇紀はカメラで次々に必要なものを押さえていく。
時々蓮花に質問し、蓮花がそれに答えていった。
俺が見ていない、新たな施設もあった。
皇紀の図面により建設されつつあるものだ。
「こちらは「イーヴァ」(IVA:Imaginary Vibration Arms 虚震兵器)の建設現場です。実験映像は拝見しましたが、なんとこのようなものが」
「皇紀と双子が作った。こいつらは天才なんだ」
天才という言葉では正確ではない。
ルーとハーが「エジソン嫌いのセルビア人」に相談したと言っていた。
自分たちのことを気に入ってくれたのだと話していた。
数学的に調整された周波数の組み合わせによって実現している。
その周波数と組み合わせは極秘だ。
蓮花にも教えていない。
「タカさんとのお話がきっかけね!」
「おじちゃんも驚いてたよ!」
俺の様々なことをセルビア人に話すと、その人も笑っていたそうだ。
まあ、俺が会えるわけもないが。
「皇紀、肚をくくれ」
俺はある建物の前で言った。
そこには、蓮華の作った改造人間が納められている。
皇紀は涙を流した。
「タカさん、僕は絶対に許しません! こんな、こんなことは……」
俺は皇紀を抱き寄せて建物を出た。
以前に案内された食堂へ行った。
蓮花が食事を用意してくれると言った。
フレンチだった。
「おい」
「はい、なんでございましょうか」
「お前、和食以外も作れたの?」
「はい」
「もしかして中華とかも?」
「はい。お望みでしたらお作りしますが」
「なんでこないだは和食ばっかだったんだよ」
「石神様がわたくしに作って下さったので」
「それで俺が好きだと思ったのか」
「はい」
よく見ると、蓮花がうっすらと笑っているようだ。
俺も嬉しくなった。
「おい、お前の作るものは何でも美味いな!」
「ありがとうございます」
俺たちは旺盛に食べた。
オマール海老のテルミドールが絶品だった。
ヨーロピアン種の高級品と思われた。
「今日は他にご用事は」
食後のコーヒーを飲んでいると、蓮花が聞いて来た。
「いや、ない」
「さようでございますか」
蓮花が少し悲しげに言った。
俺でなければ気付かないだろう。
「皇紀、外のものをすべて写真に撮っておけ」
「はい」
「俺は少し汗をかいたので風呂を借りる。終わったらこの部屋で待っていろ」
「分かりました」
蓮花に案内され、俺は風呂に入った。
蓮花を抱いた。
食堂で皇紀が待っていた。
「じゃあ帰るぞ」
「はい!」
「蓮花」
「はい」
俺は小さな袱紗を蓮花に渡した。
「土産だ。身に着けてくれ」
蓮花が袱紗を開いた。
ペンダントだ。
「俺がデザインして宝飾店に作らせた。お前の専用だ」
蓮花が彼岸花と月の意匠のデザインを見て驚いた。
「これを私に」
「ああ。お前は俺の大事な女だ。「α」の欠片が入っている。お前を守るだろう」
「ありがとうございます」
俺たちは研究所を出た。
またアヴェンタドールを飛ばす。
「蓮花さん、嬉しそうでしたね」
「そうか。お前にも分かったか?」
「はい。だって、空の袱紗を何度も丁寧に畳んでましたもん」
「流石、何人もの女を手玉にとる男は違うな!」
「アハハハ!」
俺は皇紀に俺の「ウルテク」を指南してやった。
何度か説明のためにハンドルから手を離す俺を、皇紀から指摘されて笑った。
俺は双子に起こされた。
「タカさーん。朝食ができましたよー」
「タカさーん。大丈夫ですかー」
「ダメだ。もう死ぬ。言い残すことがあるから、こっちへ来い」
双子がニコニコしながらベッドに来る。
俺は二人をベッドに引きずり込み、顔をペロペロしながら言った。
「俺はなー、お前たちが大好きなんだぁー!」
双子が声を上げて笑い、喜んで嫌がった。
「折角顔を洗ったのにー」
ロボが一緒に双子の顔を舐めた。
「「やー」」
顔を洗って、リヴィングへ降りた。
「おはようございます。もう大丈夫そうですね!」
亜紀ちゃんが笑って言った。
「ああ、おはよう。大丈夫だよ」
俺は夕べ軽く済ませたので、多めに食べた。
「皇紀、この後出かけるから付き合え」
「は、はい!」
「タカさん、ゆっくりしてましょうよ」
「大丈夫だよ」
心配する亜紀ちゃんに言う。
「どちらへ行くんですか?」
「群馬だ。蓮花の研究所へ行くぞ」
「分かりました!」
「え、そんな遠くまで?」
「大丈夫だよ、亜紀ちゃん。皇紀も一度見ておいた方がいいだろう」
朝食を終えてすぐに、俺たちはアヴェンタドールに乗り込んだ。
蓮花には先ほど連絡している。
皇紀のカードも頼んだ。
皇紀はカメラや何枚かの図面などを用意した。
先日蓮花に渡した後に作成された図面だ。
「皇紀、お前にも全部見てもらうからな」
「はい!」
「気持ちの悪いものもある。悪いな」
「いいえ!」
高速を飛ばし、二時間もかからずに着いた。
「お待ち申し上げておりました」
蓮花は門の前で待っていた。
恐らく、周辺のカメラや監視装置、またレーダーなどで到着を知ったのだろう。
ずっと待っていたわけではない。
時間を無駄にする女ではないことを知っている。
「皇紀だ。こいつにも案内してくれ」
「かしこまりました」
車を駐車場へ入れ、蓮花が皇紀にカードを渡し、俺たちは中へ入る。
俺がされたと同じコースを回る。
皇紀はカメラで次々に必要なものを押さえていく。
時々蓮花に質問し、蓮花がそれに答えていった。
俺が見ていない、新たな施設もあった。
皇紀の図面により建設されつつあるものだ。
「こちらは「イーヴァ」(IVA:Imaginary Vibration Arms 虚震兵器)の建設現場です。実験映像は拝見しましたが、なんとこのようなものが」
「皇紀と双子が作った。こいつらは天才なんだ」
天才という言葉では正確ではない。
ルーとハーが「エジソン嫌いのセルビア人」に相談したと言っていた。
自分たちのことを気に入ってくれたのだと話していた。
数学的に調整された周波数の組み合わせによって実現している。
その周波数と組み合わせは極秘だ。
蓮花にも教えていない。
「タカさんとのお話がきっかけね!」
「おじちゃんも驚いてたよ!」
俺の様々なことをセルビア人に話すと、その人も笑っていたそうだ。
まあ、俺が会えるわけもないが。
「皇紀、肚をくくれ」
俺はある建物の前で言った。
そこには、蓮華の作った改造人間が納められている。
皇紀は涙を流した。
「タカさん、僕は絶対に許しません! こんな、こんなことは……」
俺は皇紀を抱き寄せて建物を出た。
以前に案内された食堂へ行った。
蓮花が食事を用意してくれると言った。
フレンチだった。
「おい」
「はい、なんでございましょうか」
「お前、和食以外も作れたの?」
「はい」
「もしかして中華とかも?」
「はい。お望みでしたらお作りしますが」
「なんでこないだは和食ばっかだったんだよ」
「石神様がわたくしに作って下さったので」
「それで俺が好きだと思ったのか」
「はい」
よく見ると、蓮花がうっすらと笑っているようだ。
俺も嬉しくなった。
「おい、お前の作るものは何でも美味いな!」
「ありがとうございます」
俺たちは旺盛に食べた。
オマール海老のテルミドールが絶品だった。
ヨーロピアン種の高級品と思われた。
「今日は他にご用事は」
食後のコーヒーを飲んでいると、蓮花が聞いて来た。
「いや、ない」
「さようでございますか」
蓮花が少し悲しげに言った。
俺でなければ気付かないだろう。
「皇紀、外のものをすべて写真に撮っておけ」
「はい」
「俺は少し汗をかいたので風呂を借りる。終わったらこの部屋で待っていろ」
「分かりました」
蓮花に案内され、俺は風呂に入った。
蓮花を抱いた。
食堂で皇紀が待っていた。
「じゃあ帰るぞ」
「はい!」
「蓮花」
「はい」
俺は小さな袱紗を蓮花に渡した。
「土産だ。身に着けてくれ」
蓮花が袱紗を開いた。
ペンダントだ。
「俺がデザインして宝飾店に作らせた。お前の専用だ」
蓮花が彼岸花と月の意匠のデザインを見て驚いた。
「これを私に」
「ああ。お前は俺の大事な女だ。「α」の欠片が入っている。お前を守るだろう」
「ありがとうございます」
俺たちは研究所を出た。
またアヴェンタドールを飛ばす。
「蓮花さん、嬉しそうでしたね」
「そうか。お前にも分かったか?」
「はい。だって、空の袱紗を何度も丁寧に畳んでましたもん」
「流石、何人もの女を手玉にとる男は違うな!」
「アハハハ!」
俺は皇紀に俺の「ウルテク」を指南してやった。
何度か説明のためにハンドルから手を離す俺を、皇紀から指摘されて笑った。
1
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
NPO法人マヨヒガ! ~CGモデラーって難しいんですか?~
みつまめ つぼみ
キャラ文芸
ハードワークと職業適性不一致に悩み、毎日をつらく感じている香澄(かすみ)。
彼女は帰り道、不思議な喫茶店を見つけて足を踏み入れる。
そこで出会った青年マスター晴臣(はるおみ)は、なんと『ぬらりひょん』!
彼は香澄を『マヨヒガ』へと誘い、彼女の保護を約束する。
離職した香澄は、新しいステージである『3DCGモデラー』で才能を開花させる。
香澄の手が、デジタル空間でキャラクターに命を吹き込む――。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる