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四度目の別荘 XⅥ

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 柳は別荘の手前で降ろした。
 戻ると、子どもたちがバーベキューの準備をしていた。
 「アレ」は亜紀ちゃんが段ボールに入れ、「シークレット:開封したらタカさんパンチ」と書いてある。
 響子はまた六花とDVDを観ていた。

 『サラマンダー』だった。

 ある日突然に現われたドラゴン「サラマンダー」。
 核兵器さえ凌ぐ強靭な身体と、1200度の熱線を吐く。
 しかも凄まじい繁殖力。
 人類はたちまち50億も喪ってしまう。
 なんだ、さっき熱線を吐くオロチの話をしてたじゃないか。
 昨日はなんだ?
 ゾンビと超絶の格闘家集団だった。
 響子が楽しそうに見ている。
 六花は夢中だ。
 俺は考えるのをやめ、柳も誘ってコーヒーを淹れて一緒に観た。




 一休みして、俺は魚介類の支度に入った。
 響子がずっと俺を見ているので、横にスツールを置いて傍で見せてやった。
 タコの足を頬につけると「いやー」と言った。
 あらかじめホイル焼きの準備もする。
 人数分+20個だ。
 鯛を裁いていく。
 手早くひれを落とし小骨を抜いていく様子を、響子が興味深げに観ていた。

 子どもたちはバーベキュー台の準備をし、食材の入ったバットを運んでいく。
 柳は六花と話していた。

 「それじゃー、またのバーベキューだ。注意点はいつも通りだが、響子と柳への攻撃は厳禁な!」
 「「「「「はい!」」」」」
 「いただきます!」
 「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
 まあ、前回同様にそれほどの大騒ぎはない。
 自分で焼かせるというのはいい方法だったようだ。
 響子の分は、もちろん俺が焼く。
 焼肉を何枚かと、ホタテのバター醤油、カニの足を二本。
 タコの足をもぐもぐやっている。
 俺はハマグリの吸い物を注いでやる。

 「おいしい」
 ニコニコした顔がカワイイ。

 「柳! 先に好きなものを食べておけよ!」
 「はい!」
 柳は善戦していた。
 ある程度食べて、俺の所に来た。

 「柳、サラダを食べるか?」
 「はい、いただきます!」
 俺は中へ入り、柳分と響子用の小さな野菜サラダを作った。

 「うちの子らはこういう食事じゃほとんど野菜を喰わないからなぁ」
 「いつもながら、すごいですよねぇ」
 響子がコーンを器からこぼした。
 俺が指で拾い、鼻の穴に詰めて飛ばした。
 丁度皇紀の肉に乗る。
 皇紀が俺を見ている。
 俺は頷いた。
 食べた。
 三人で笑った。




 「じゃあ、今日のメインの肉を焼くぞー!」
 亜紀ちゃんが段ボールを抱えてくる。
 中のアリゲーターの足に全員が驚く。
 俺は目の前で一本ずつ塩コショウをし、網に乗せた。
 響子が俺にしがみついている。

 香ばしい匂いがしてくる。
 俺は時々焼き面を変え、じっくりと火を通した。
 皇紀と双子は微妙な顔をしている。
 肉は食べたいが、これはどうなのかと。
 柳に至っては、俺の後ろに回っていた。
 六花はニコニコしている。

 俺は最初の足の革部分ににアルミホイルを巻いて、六花の皿に乗せた。
 かぶりついて笑顔になった。
 それを見て、子どもたちも俺が渡した途端にかぶりつく。

 「「「「美味しい!」」」」
 「おい、柳!」
 俺は柳の分を渡した。
 戸惑っていたが、子どもたちを見て決意した。

 「あ、ほんとに美味しい」
 響子も一口せがんだ。
 俺の分を食べさせる。
 誇らしげにニコニコしていた。

 「これで響子もワニに負けなくなったな」
 「うん!」



 子どもたちが片付けている間、俺は響子と六花を連れて風呂に入った。
 響子は少し疲れているようなので、六花と一緒に先に出した。
 俺が一人で入っていると、誰かが入って来る。

 「やってまいりましたー!」
 亜紀ちゃんと柳だった。

 「来たか、ほんのり姉妹」
 「あ、ひどいですよー!」
 俺は湯船を出て二人を洗ってやる。
 三人で入ると、やはり少し狭い。
 
 「柳、来て全然ゆっくりする暇がなかったなぁ」
 「そんなことないですよ。映画を観たり、散歩に行ったり」
 「亜紀ちゃんも食事のことやらで大変だよな」
 「いいえー、全然平気です」
 「じゃあ、お礼にオッパイもんでやるかぁ!」
 「「いいです!」」

 「なんだよ、見てるだけかよ」
 「一杯見ていいですよ」
 「柳には約束したもんな!」
 「え、いいです」
 俺は柳のオッパイの先端をころころしてやる。

 「ハウッ!」
 ヘンな声を出した。

 「おとーさん! 石神さんがイヤラシーことしますー!」
 「柳さん、私も証言します」
 「六花ぁー!」
 三人で笑った。




 風呂から上がり、一休みする。
 響子は六花にマッサージされていた。

 「体温はどうだ?」
 「はい。昼もさっきも正常です」
 「そうか。響子、なんともないか?」
 気持ちよさそうにマッサージされていた響子は、指で大丈夫だと示した。
 俺はパジャマの下をめくり、お尻を出してさすった。
 
 「いやー」
 「よし! お尻も大丈夫そうだな!」

 俺はアイスミルクティーを作り、みんなで屋上に上がった。
 柳を先頭にする。

 「なんですか、これ!」
 柳が初めての幻想空間に驚いた。

 「顕さんの最高傑作だ」
 俺は柳の手を取り、テーブルに座らせた。

 「素敵すぎです」
 「そうだろう」
 しばらく、みんなで雰囲気を味わう。

 「じゃあ、今日は皇紀とルーとハーの話をしようか」



 俺は語り出した。
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