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四度目の別荘 X

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 昼食はそうめんだ。
 薬味になぜ大量のウインナーがあるのかは分からん。
 目玉焼きもある。
 確かに、好きな薬味を作れと俺が言った。
 俺のせいなのだろうか。

 響子は俺の隣で、俺が作ってやった浅葱とちょっぴりショウガを入れたつゆで、チュルチュルと食べている。
 外国人は、なかなか「啜る」ということが苦手だ。
 六花は「ズボホッー」と豪快に啜っている。
 子どもたちも、大量のそうめんを次々に取って食べる。

 俺は響子に甘い卵焼きを二切れ食べさせた。
 味が変わって、また少しそうめんを食べた。



 食事が終わり、俺は響子と六花を連れて少し外を歩いた。
 響子は電動移動車に乗っている。
 病院内では俺が決めた範囲でしか乗れない。
 響子は楽しそうだった。
 六花も嬉しそうに笑っている。
 俺と六花は道に石を置き、響子に障害物越えをやらせて楽しんだ。

 運動をさせたので、響子は帰ってからまた寝た。
 俺は六花を連れて、また外に出た。
 六花はフールトゥをパンパンにして提げている。
 上から中身が見えていた。

 去年に使った林まで歩いた。
 六花は、去年に自分が積んだ石が残っているのを見て喜んだ。
 六花が手を合わせるので、俺も笑って一緒に手を合わせた。

 二人で思い切り楽しんだ。

 去年の教訓を得て、俺たちはウェットティッシュを持参していた。
 俺たちは裸のまま、レジャーシートに横になった。

 「なにか、アダムとイブみたいですね」
 「六花ちゃんにしては、高尚なことを言うな」
 「裸っていいですよね!」
 「俺はいい服着て颯爽と歩く方がいいな」
 「でも、服着てるのって人間だけですよ?」
 「俺は人間だぁ!」

 俺は最高に美しい獣にキスをした。
 帰り道では、六花がずっと俺の手に身体を預けて来た。



 別荘に戻ると、響子が起きて子どもたちと庭で電動移動車で遊んでいた。

 「タカトラー、六花ァー!」
 手を振って来る。
 みんなで中に入ってお茶にした。
 俺がアイスココアを作ると、子どもたちは喜んで飲んだ。
 そしてプリンを黙って食べる。
 響子が隣にもう一つプリンを置いた。

 「どうぞ」
 そう言った。

 子どもたちに勉強をさせ、俺は夕飯の支度にかかった。
 大量の鶏肉をカットし、バットに調味料を入れ、次々に肉を浸していく。
 ラップをかけ、冷蔵庫へ仕舞う。
 次にひき肉作りだ。
 家から持って来た電動のミートチョッパーで次々にひき肉を作っては、バットにいれてすぐに冷蔵庫へ入れる。
 ハンバーグの命は、脂を溶かさないことにある。
 だからタネを作る際にも、冷たいままでやる必要がある。
 ひき肉を最初から買わないのは、もちろん鮮度にある。
 俺は同時に、タマネギやニンニクなども別途フードプロセッサーでみじん切りにしていった。

 一般の家庭であれば、電動調理器を使えば大した手間ではない。
 しかし、うちは量が違う。
 唐揚げ10キロ、ハンバーグ10キロだ。
 1時間ほどかかった。
 この日のために、食材の買い足しはしていない。
 冷蔵庫を目いっぱいに使うためだ。
 一時的に、野菜の一部も外に出している。
 大体の材料ができると、子どもたちが加わる。
 亜紀ちゃんを中心に唐揚げをやってもらう。
 ルーが補佐につく。

 三つのコンロをフルに使っての揚げ物をする。
 そのために、ルーが赤外線の温度計で、油温を常に見張るのだ。
 俺は冷凍庫からドライアイスを取り出し、ボウルの下に敷く。
 一塊はタオルで包み、手を冷やすために使う。
 ひき肉をボウルに入れ、タマネギ、塩コショウ、香辛料などと混ぜて行く。
 手早くタネを作り、バットへ。
 ハーがバットの洗い物と、タネを運ぶ係。
 皇紀はバーベキュー台の準備だ。
 今日は鉄板を乗せている。

 皇紀が鉄板を温めた頃合いで、ハーにどんどん運ばせた。
 皇紀と交代する。
 鉄板に牛脂を敷き、ハンバーグを焼き始めた。
 一度に10枚ずつを焼いた。
 一枚が大体200g。
 ハンバーガーのサイズだ。
 バンズも用意している。
 レタスやピクルス、タマネギもカットしてある。

 バットに10枚ずつ。
 合計60枚ほどが焼き終わった。
 亜紀ちゃんも唐揚げが終わった。
 亜紀ちゃんはコーンポタージュを作り、俺は響子のために特別なハンバーグと唐揚げを作った。
 大量の唐揚げとハンバーグに、子どもたちが狂喜した。
 合板のテーブルに料理を並べ、みんなで食べる。
 
 ハンバーグを切ると、肉汁が溢れ出して来る。
 脂を溶かさなかったせいだ。
 「挌之進」のものに劣らない。
 六花が子どもたちの真似をして、自分でハンバーガーを作った。

 「石神先生! 美味しいですよー!」
 いつもの、あの誰もを幸せにするような愛くるしい笑顔を向けてくる。
 しかし、口の周りが脂でベトベトだった。

 「分かったから口を拭け!」
 俺はティッシュの箱を投げた。
 受け取った六花が言った。

 「今日はいろいろと拭いていただき、ありがとうございました」
 「「「「「?」」」」」

 子どもたちと響子が意味が分からない、という顔をする。
 その後で子どもたちがニヤニヤとする。
 イヤラシーことだと思ったのだろう。
 まあ、その通りだが。
 でも、まさかお尻を拭いてやったとは想像もつかないだろう。



 ハンバーグを先に食べて行ったせいで、唐揚げがバット一枚残った。
 珍しいこともある。
 まあ、普通は両方食べようとは考えないものだが。
 響子は100gのハンバーグと唐揚げを3つ食べた。
 響子にしては食べた方だ。
 コーンポタージュも残った。
 まあ、こちらはそうなる分量を作ったのだが。
 俺はコーンポタージュを水で粗熱をとり、冷蔵庫に入れた。

 作りながら並行して洗い物もやっていたが、結構な量がまだある。
 片づけを子どもたちに任せ、俺と響子、六花は先に風呂に入った。

 「六花はオッパイが大きくていいな」
 浴槽で響子が言う。

 「そうですか」
 六花は堂々とオッパイを湯船に浮かべて答えた。

 「響子はおっきくなりたいのですか?」
 「うん」
 響子が六花の胸を触って言った。
 六花が俺を見て、いっしょにどうぞ、という目で見つめる。

 「どうやったら大きくなるの?」
 「さあ」
 「タカトラー」
 「俺はちっちゃいオッパイも好きだぞ」
 「エェー」

 「響子、私は揉まれるとおっきくなると聞いたことがあります」
 「そうなの?」
 「ほう、それはぁー!」
 俺と六花がニヤニヤして響子の胸に触った。

 「いやぁー!」
 響子が笑って嫌がった。



 俺と六花は二人で笑った。  
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