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再び、虎と龍 XⅢ
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明日からは親友・御堂の家で4日間お世話になる。
前回も散々迷惑をお掛けしたが、こいつらの大食いは止まることを知らない。
俺は祈りを込めて、少しでも収まるようにと、今晩は「大ステーキ大会」にした。
オーブン、6個のフライパン、七輪まで導入し、俺がどんどん焼く。
肉は梅田精肉店から「50キロ」を仕入れた。
最高級の肉ではもちろんないが、子どもたちは舌が肥えている。
その責任は俺にあるから、安い肉にもできない。
「いつもありがとうございます。これは支店長からのお礼です」
届けてくれた配達の社員さんが、A5ランクの肉を2キロ余分にくれた。
亜紀ちゃんの目が光る。
これも今晩出す。
「お前らー! 今日は幾ら喰ってもいいから、明日からはちょっと遠慮してくれなー!」
「「「「はーい!」」」」
柳は笑っている。
「石神さん、大丈夫ですよ。おじいちゃんが亜紀ちゃんたちの食べっぷりが大好きになったんで、ちゃんと用意してます」
「おい、それは申し訳なさすぎるぞ」
「食材ももちろんですが、調理用具も、あと期間限定で料理人の方も雇ってます」
「その期間って、俺らがお邪魔する期間?」
「そうですよ?」
まあ、金はある家だが。
今回は菓子類の土産の他に、主に食器類を買っているのだが、見合うものになっているだろうか。
サーロイン、リブロース、テンダーロイン、ランプの部位で仕入れている。
このために、亜紀ちゃんには特別予算として、俺から100万円が追加された。
多分、別荘での喰いもいれると、更に特別補正予算も必要になるだろう。
まあ、子どもたちが楽しく喰ってくれれば、それでいい。
ローストビーフと同様に、俺が焼いて持って来た皿に乗せるので、物騒な争いもない。
細かなことだが、皿はもちろん空にし、また口の中の肉をちゃんと飲み込んでから次を取りに来いと言っている。
モグモグさせながら歩くのはマナーに反する。
しかし、少しでも回転を早めたい子どもたちは、つい口の中に入れたまま来る。
咀嚼しなければバレないと思ってる奴もいる。
頬を膨らませたハーに、俺はヘン顔を見せた。
ハーが皿に噴き出す。
俺は頭をはたき、一旦席に戻す。
まったく忙しいのに余計なことをさせる。
楽しい。
俺は焼きながら、自分が喰いたい部位を立ったまま食べる。
ステーキの立ち食いなんて、いきなりナントカだ。
子どもたちは笑顔で肉を頬張っている。
亜紀ちゃんが幸せそうな顔をしている。
皇紀が二度しか蹴られていない。
双子が笑ってどの部位が上手いのか話している。
柳はランプを主に食べた。
脂は好きではないのだろう。
ペースが落ちたので、俺もテーブルで食べた。
「おい、まだまだ肉はあるぞ?」
「えー、もうお腹いっぱい」
「ハー! お前病気か!」
みんなが笑った。
実際、あと20キロ以上残っている。
食事が終わると、いつも子どもたちは満足そうな顔をしてくれる。
しかし、食事中に「お腹いっぱい」と言われることは滅多にない。
丹沢で親しくなった猟師さんに鹿肉を大量にいただいた時と、九州の元患者さんから時々いただく、謎の深海魚類の時だけだ。
結局残った肉類は、チルド室に入るだけ入れて、あとは仕方なく冷凍した。
子どもたちに風呂に入れと言い、俺はその間、ドゥカティ・スーパーレッジェーラで少し流した。
最初から全ギア全回転の「Aモード」だ。
首都高のカーブでフルバンクして曲がって行くと、もういっそ吹っ飛んでくれないかと思う。
気持ちがいい。
最後に羽田空港に寄る。
基本的に、一人で来ることが多い。
第一ターミナルの展望台へ上る。
真っ赤なライダースーツに背中には「六根清浄」。
目立っている。
AGVのピスタGPのヘルメットを抱えている。
黒と赤の虎縞模様の特注品だ。
ちなみに口元に「六花」の文字のプリントがあるのは、まだ本人にも話していない。
六花はルビーのベルベデーレ・トラジックハートだ。
俺がプレゼントした。
三本珈琲店でテイクアウトを頼み、カップを二つ持って展望台へ行った。
ベンチに座って、隣にカップの一つを置く。
夜の空港を眺める。
独りだ。
しかし、目を閉じると独りではない気がする。
その感覚が好きで、ここに来る。
家に戻ると、亜紀ちゃんと柳が待っていた。
亜紀ちゃんと柳が、それぞれ俺のトランクスを持っている。
「お前ら……」
「どっちにします?」
「あのな……」
「だって、明日からはしばらく一緒に入れないじゃないですか! 柳さんは」
「あ、亜紀ちゃん、ずるい!」
俺は諦めた。
「こっち」
柳が持っていた方を指さす。
「じゃあ、こっちは仕舞ってきますー!」
亜紀ちゃんが駆けていく。
俺と柳が二階に上がると、もう亜紀ちゃんが風呂場の前で待っていた。
「さあさあ!」
俺が脱衣所でオチンチンを扇風機のように振り回しても、もう二人はそれほど怯まない。
「おい! お前らにはできねぇだろう?」
「や、やめてください」
亜紀ちゃんが言い、柳は目を丸くして見ている。
亜紀ちゃんの髪を洗っている途中で、頭に乗せた。
「柳! ちょんまげー」
柳が振り向いてまた目を丸くした。
亜紀ちゃんが「きゃー」と言いながら掴んできた。
「おい!」
ちょっと大きくなってしまった。
柳がさらに目を丸くした。
マズイ。
調子に乗った。
ここしばらく、使ってないことを失念していた。
綺麗な若い娘たちと裸でいることを意識してしまった。
柳が気付いている。
いつもより猛っていることに。
「あー! 今日はオチンチンの調子がいいなー!」
俺は誤魔化すためにそう言った。
「何言ってんですかぁ!」
亜紀ちゃんが言う。
「あ、カワイイ!」
柳が、響子のために買ったアヒルを見つけた。
俺の前を横切って取りに行く。
柳のカワイイお尻が目の前に来た。
「あ! タカさんがおっきしたぁ!」
一瞬で腹に張り付いた。
柳が振り向いて見ている。
まじまじと見られた。
俺も柳の股間を見ていた。
「螺旋花」
「や、やめろー!」
「写真撮ってもいいですか?」
柳が聞く。
「当然ダメだ!」
「へぇー、こうなっちゃうんだぁ」
「亜紀ちゃん、やめてくれ」
亜紀ちゃんがツンツンすると、柳も恐る恐る触って来る。
俺は平然として、必死で耐えた。
ハニーナイツの『オー・チン・チン』を歌った。
三人で大爆笑した。
風呂上がり。
夕べのミモザが好評で、また作ってくれと言われた。
俺はニンジンを千切りにし、ごま油で炒め、長ネギを白髪切りにして乗せた。
豆腐を細く切ってシソを巻いたものも出す。
「出た! バー・タカトラ!」
亜紀ちゃんが喜んで言う。
「また美味しそうですねぇ」
柳も嬉しそうに言った。
「今日は流石に肉を堪能したからな。あっさりのつまみだ」
乾杯して、みんなで少し味見をした。
「やっぱりおいしー!」
亜紀ちゃんが言う。
「どうしてこんな素敵なものがすぐに作れるんですか?」
「だから言っただろう。食いしん坊だからだ」
「はぁ」
「人間は雑食だからな。肉だけ喰ってりゃいいってもんじゃない」
「逆に菜食主義ってどうなんですか?」
柳が聞いて来る。
「まあ、人それぞれの考え方でいいわけだけどな。俺は好きではないな」
「でも、人間の腸は肉食に向いてないって聞きましたが」
「ああ、それはウソな。そんなわけあるかよ。もしそうなら、とっくに人類は滅んでる」
「なるほど」
「菜食主義者って、全員ではないんだろうけど理屈っぽい連中が多いよな」
「そうですか」
「マイノリティーだということもあるんだろうけど、自分たちの正しさを押し付けるというなぁ」
「お肉って、美味しいですのにね!」
亜紀ちゃんが言った。
「まあ、肉バカじゃダメだけどな」
三人で笑った。
「亜紀ちゃんなんかも、あれだけ肉を喰うとお腹ポッコリだったろ?」
「タカさんもポッコリでしたよね」
自爆ネタだった。
「しょうがないだろう! 肉体の機能なんだから」
二人が笑っている。
「あ、今朝は双子ちゃんに誘われて、「反巨乳同盟」に加入しました」
「柳、お前データを見せられたか?」
「はい!」
ニコニコしている。
亜紀ちゃんが大笑いした。
また下らない話を深夜までした。
なんでもない、本当にどうでもいいものが、幸せの根源だ。
俺は知っている。
前回も散々迷惑をお掛けしたが、こいつらの大食いは止まることを知らない。
俺は祈りを込めて、少しでも収まるようにと、今晩は「大ステーキ大会」にした。
オーブン、6個のフライパン、七輪まで導入し、俺がどんどん焼く。
肉は梅田精肉店から「50キロ」を仕入れた。
最高級の肉ではもちろんないが、子どもたちは舌が肥えている。
その責任は俺にあるから、安い肉にもできない。
「いつもありがとうございます。これは支店長からのお礼です」
届けてくれた配達の社員さんが、A5ランクの肉を2キロ余分にくれた。
亜紀ちゃんの目が光る。
これも今晩出す。
「お前らー! 今日は幾ら喰ってもいいから、明日からはちょっと遠慮してくれなー!」
「「「「はーい!」」」」
柳は笑っている。
「石神さん、大丈夫ですよ。おじいちゃんが亜紀ちゃんたちの食べっぷりが大好きになったんで、ちゃんと用意してます」
「おい、それは申し訳なさすぎるぞ」
「食材ももちろんですが、調理用具も、あと期間限定で料理人の方も雇ってます」
「その期間って、俺らがお邪魔する期間?」
「そうですよ?」
まあ、金はある家だが。
今回は菓子類の土産の他に、主に食器類を買っているのだが、見合うものになっているだろうか。
サーロイン、リブロース、テンダーロイン、ランプの部位で仕入れている。
このために、亜紀ちゃんには特別予算として、俺から100万円が追加された。
多分、別荘での喰いもいれると、更に特別補正予算も必要になるだろう。
まあ、子どもたちが楽しく喰ってくれれば、それでいい。
ローストビーフと同様に、俺が焼いて持って来た皿に乗せるので、物騒な争いもない。
細かなことだが、皿はもちろん空にし、また口の中の肉をちゃんと飲み込んでから次を取りに来いと言っている。
モグモグさせながら歩くのはマナーに反する。
しかし、少しでも回転を早めたい子どもたちは、つい口の中に入れたまま来る。
咀嚼しなければバレないと思ってる奴もいる。
頬を膨らませたハーに、俺はヘン顔を見せた。
ハーが皿に噴き出す。
俺は頭をはたき、一旦席に戻す。
まったく忙しいのに余計なことをさせる。
楽しい。
俺は焼きながら、自分が喰いたい部位を立ったまま食べる。
ステーキの立ち食いなんて、いきなりナントカだ。
子どもたちは笑顔で肉を頬張っている。
亜紀ちゃんが幸せそうな顔をしている。
皇紀が二度しか蹴られていない。
双子が笑ってどの部位が上手いのか話している。
柳はランプを主に食べた。
脂は好きではないのだろう。
ペースが落ちたので、俺もテーブルで食べた。
「おい、まだまだ肉はあるぞ?」
「えー、もうお腹いっぱい」
「ハー! お前病気か!」
みんなが笑った。
実際、あと20キロ以上残っている。
食事が終わると、いつも子どもたちは満足そうな顔をしてくれる。
しかし、食事中に「お腹いっぱい」と言われることは滅多にない。
丹沢で親しくなった猟師さんに鹿肉を大量にいただいた時と、九州の元患者さんから時々いただく、謎の深海魚類の時だけだ。
結局残った肉類は、チルド室に入るだけ入れて、あとは仕方なく冷凍した。
子どもたちに風呂に入れと言い、俺はその間、ドゥカティ・スーパーレッジェーラで少し流した。
最初から全ギア全回転の「Aモード」だ。
首都高のカーブでフルバンクして曲がって行くと、もういっそ吹っ飛んでくれないかと思う。
気持ちがいい。
最後に羽田空港に寄る。
基本的に、一人で来ることが多い。
第一ターミナルの展望台へ上る。
真っ赤なライダースーツに背中には「六根清浄」。
目立っている。
AGVのピスタGPのヘルメットを抱えている。
黒と赤の虎縞模様の特注品だ。
ちなみに口元に「六花」の文字のプリントがあるのは、まだ本人にも話していない。
六花はルビーのベルベデーレ・トラジックハートだ。
俺がプレゼントした。
三本珈琲店でテイクアウトを頼み、カップを二つ持って展望台へ行った。
ベンチに座って、隣にカップの一つを置く。
夜の空港を眺める。
独りだ。
しかし、目を閉じると独りではない気がする。
その感覚が好きで、ここに来る。
家に戻ると、亜紀ちゃんと柳が待っていた。
亜紀ちゃんと柳が、それぞれ俺のトランクスを持っている。
「お前ら……」
「どっちにします?」
「あのな……」
「だって、明日からはしばらく一緒に入れないじゃないですか! 柳さんは」
「あ、亜紀ちゃん、ずるい!」
俺は諦めた。
「こっち」
柳が持っていた方を指さす。
「じゃあ、こっちは仕舞ってきますー!」
亜紀ちゃんが駆けていく。
俺と柳が二階に上がると、もう亜紀ちゃんが風呂場の前で待っていた。
「さあさあ!」
俺が脱衣所でオチンチンを扇風機のように振り回しても、もう二人はそれほど怯まない。
「おい! お前らにはできねぇだろう?」
「や、やめてください」
亜紀ちゃんが言い、柳は目を丸くして見ている。
亜紀ちゃんの髪を洗っている途中で、頭に乗せた。
「柳! ちょんまげー」
柳が振り向いてまた目を丸くした。
亜紀ちゃんが「きゃー」と言いながら掴んできた。
「おい!」
ちょっと大きくなってしまった。
柳がさらに目を丸くした。
マズイ。
調子に乗った。
ここしばらく、使ってないことを失念していた。
綺麗な若い娘たちと裸でいることを意識してしまった。
柳が気付いている。
いつもより猛っていることに。
「あー! 今日はオチンチンの調子がいいなー!」
俺は誤魔化すためにそう言った。
「何言ってんですかぁ!」
亜紀ちゃんが言う。
「あ、カワイイ!」
柳が、響子のために買ったアヒルを見つけた。
俺の前を横切って取りに行く。
柳のカワイイお尻が目の前に来た。
「あ! タカさんがおっきしたぁ!」
一瞬で腹に張り付いた。
柳が振り向いて見ている。
まじまじと見られた。
俺も柳の股間を見ていた。
「螺旋花」
「や、やめろー!」
「写真撮ってもいいですか?」
柳が聞く。
「当然ダメだ!」
「へぇー、こうなっちゃうんだぁ」
「亜紀ちゃん、やめてくれ」
亜紀ちゃんがツンツンすると、柳も恐る恐る触って来る。
俺は平然として、必死で耐えた。
ハニーナイツの『オー・チン・チン』を歌った。
三人で大爆笑した。
風呂上がり。
夕べのミモザが好評で、また作ってくれと言われた。
俺はニンジンを千切りにし、ごま油で炒め、長ネギを白髪切りにして乗せた。
豆腐を細く切ってシソを巻いたものも出す。
「出た! バー・タカトラ!」
亜紀ちゃんが喜んで言う。
「また美味しそうですねぇ」
柳も嬉しそうに言った。
「今日は流石に肉を堪能したからな。あっさりのつまみだ」
乾杯して、みんなで少し味見をした。
「やっぱりおいしー!」
亜紀ちゃんが言う。
「どうしてこんな素敵なものがすぐに作れるんですか?」
「だから言っただろう。食いしん坊だからだ」
「はぁ」
「人間は雑食だからな。肉だけ喰ってりゃいいってもんじゃない」
「逆に菜食主義ってどうなんですか?」
柳が聞いて来る。
「まあ、人それぞれの考え方でいいわけだけどな。俺は好きではないな」
「でも、人間の腸は肉食に向いてないって聞きましたが」
「ああ、それはウソな。そんなわけあるかよ。もしそうなら、とっくに人類は滅んでる」
「なるほど」
「菜食主義者って、全員ではないんだろうけど理屈っぽい連中が多いよな」
「そうですか」
「マイノリティーだということもあるんだろうけど、自分たちの正しさを押し付けるというなぁ」
「お肉って、美味しいですのにね!」
亜紀ちゃんが言った。
「まあ、肉バカじゃダメだけどな」
三人で笑った。
「亜紀ちゃんなんかも、あれだけ肉を喰うとお腹ポッコリだったろ?」
「タカさんもポッコリでしたよね」
自爆ネタだった。
「しょうがないだろう! 肉体の機能なんだから」
二人が笑っている。
「あ、今朝は双子ちゃんに誘われて、「反巨乳同盟」に加入しました」
「柳、お前データを見せられたか?」
「はい!」
ニコニコしている。
亜紀ちゃんが大笑いした。
また下らない話を深夜までした。
なんでもない、本当にどうでもいいものが、幸せの根源だ。
俺は知っている。
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