上 下
356 / 2,840

反巨乳同盟:その結成

しおりを挟む
 土曜日の11時。
 久しぶりに栞が来た。
 亜紀ちゃんと双子が栞に抱き着く。
 ちょっと泣いてる。
 皇紀が戸惑っていた。
 俺は顎で、お前も行けと合図した。

 近づいた皇紀は、ハーに蹴られて跳んだ。

 「今日は私がみんなにお昼ご飯を作るからね!」
 栞は大きな袋に、食材を買い込んでいた。
 内容を見ると、あさりのボンゴレのようだ。

 「俺も手伝おう」
 栞がびっくりして、俺を見た。

 「うん。ありがとう」
 小さな声で言った。

 あさりの砂抜きは家でやってきたようだ。
 後は野菜を少し刻むのと、当然パスタを茹でるだけだった。
 隣で栞が少し緊張している。
 俺はそっと傍に行って、尻を撫でてやった。

 「ひゃ!」
 驚いて俺を見る。
 ニヤリと笑ってやる。
 栞が近づいて、俺を握った。

 「うふふ」
 まあ、こんなもんか。
 子どもたちは勉強をしているが、亜紀ちゃんだけがクスクスと笑っていた。
 見ていたのかもしれない。

 「石神くんのエプロンって面白いよね」
 「ああ、六花の友達のタケが送ってくれたんだ」
 黒いエプロンに、『偉大なる王』とプリントしてある。
 前に六花が俺から勧められて読み、感動してタケたちにも読むように勧めた小説のタイトルだった。
 タケたちも感動し、俺にこのエプロンを送ってくれた。
 ちなみに、響子もお気入りの本だ。
 響子はフランス語で読んだ。

 『Le Grand Van』

 額に漢字の「王」と読める大きな虎を巡る、ニコライ・A・バイコフの名作だ。
 赤い「六根清浄」のエプロンと同じく、俺はタケのエプロンを愛用している。

 栞は花柄の綺麗なエプロンを付けている。
 栞の美しさに非常に似合うのだが、優しい性格に非常に似合うのだが、どうも納得し切れないものがある。

 ウェッジウッドの白磁の皿を用意し、俺たちは昼食を摂った。

 「栞さん! おいしいよー!」
 「栞さん! これからも作ってねー!」
 双子が愛想よく言った。
 奪われることのない配置なので、皇紀も落ち着いて食べている。

 「そういえば皇紀ちゃん。陽子と一緒にコンピューターを作るんだって?」
 「はい。月に何度か来て手伝ってくれてます」
 一江は結構勉強しているようで、皇紀と双子の作業は格段に進んでいた。
 報告は、欠かさず受けている。
 ヤバイ連中だ。

 「あ、栞さん。三時くらいに鷹さんがいらっしゃいますよ」
 亜紀ちゃんが言った。
 一応耳に入れておかねばと思ったのだろう。

 「え、そうなの?」
 「ああ、俺が誘ったんだ。今日は泊って行く」
 「そうなんだー」
 明らかにテンションが落ちている。
 まあ、性格はすぐには直らない。

 「あの、私も」
 「ダメだ。今日は鷹を歓待するんだから」
 「うん」

 亜紀ちゃんがハラハラしている。

 「栞さん、また泊りに来て下さいよ!」
 「うん」
 栞が俺の顔を見ている。

 「当然だ。今までだって何度も泊まってるじゃないか。こんなに近所なんだし、俺からも頼むよ」
 栞は嬉しそうな顔で笑った。

 「うん!」

 栞は食事の片付けもし、お茶を飲んで帰って行った。




 三時になり、鷹がやって来た。
 ご丁寧に、ケーキを人数分買ってきている。

 「なんだよ、気を遣わせちゃったなぁ。手ぶらで来て欲しかったのに」
 「ちょうどお茶の時間かと思って」
 子どもたちが喜んだ。
 暑くなったので、買い出しが面倒になっている。
 日持ちのしないスイーツはなく、クッキーでも、と思っていたところだ。
 トロワグロのチョコレートムースだった。
 みんなで美味しくいただく。

 一段落し、俺は夕飯の支度を始めた。
 亜紀ちゃんが手伝ってくれる。
 鷹もキッチンに入ろうとしたが、断った。
 やはりエプロンを持って来ていた。

 「今日は徹底的にお客さんだ」
 鷹は苦笑していた。
 まあ、鷹にとっては、キッチンに入った方が気が楽なんだろうが。
 双子が相手をする。
 自分たちの部屋に案内した。
 皇紀も部屋に引きこもる。
 チンコいじりだろう、どうせ。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



 「早速ですが」
 ルーが小さなテーブルを出して鷹を座らせて言った。
 フローリングの床には、毛足の長いカーペットが敷いてある。

 「第一回オッパイ会議を始めます」
 「?」
 「鷹さん。私たちに唯一足りないのは、オッパイだと思うんです」
 「そうなの?」

 「そうです! 栞さんはバケモノ。六花さんも結構。しかし残る鷹さん、亜紀ちゃん、響子ちゃん、柳さん、緑子さんはないです」
 「柳さんと緑子さんって?」
 「そっからですかぁ!」
 無茶なことを言う。
 双子は二人のプロフィールを話した。

 「石神先生の親友の方の娘さんと、あと女優さんね」
 「そーです。みんな顔は美人ですが、二対五で、ちっぱいです。これは偉大なる「虎」の女として、いかがなものかと」
 「でも、好みは人それぞれだし、現状を見ると石神先生はむしろない方が好きなんじゃ」
 「そんなことはありません! タカさんの隠している秘蔵のDVDを調査した結果、80%はおっきい女の人でした」
 「え、そうなの?」
 双子は便利屋経由で、ピッキングツールを手に入れていた。

 「面食いなのは、みなさんを見れば一目瞭然です。それがDVDでも第一キーになってはいますが、第二キーはおっきいオッパイです」
 「そ、そうなんだ。他にDVDから読み取れる材料は?」
 ルーが頷いて、PCのエクセルのリストを見せた。

 「これです」

 鷹は必死で見た。
 よく分からないタイトルも多かった。
 エクセルの表には、顔指数と巨乳指数とパッケージの煽りも並んでいた。
 巨乳指数は全体に高めだ。

 「これはマズイわね」
 「「そうでしょ!」」
 三人はじっくりと話し合った。




 絆が生まれた。 
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

NPO法人マヨヒガ! ~CGモデラーって難しいんですか?~

みつまめ つぼみ
キャラ文芸
 ハードワークと職業適性不一致に悩み、毎日をつらく感じている香澄(かすみ)。  彼女は帰り道、不思議な喫茶店を見つけて足を踏み入れる。  そこで出会った青年マスター晴臣(はるおみ)は、なんと『ぬらりひょん』!  彼は香澄を『マヨヒガ』へと誘い、彼女の保護を約束する。  離職した香澄は、新しいステージである『3DCGモデラー』で才能を開花させる。  香澄の手が、デジタル空間でキャラクターに命を吹き込む――。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田
キャラ文芸
 等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。 【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。 【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...