279 / 2,877
忍者は軽やかに。
しおりを挟む
ついに俺のドカティの「スーパーレッジェーラ V4」が納車された!
六花のカワサキ「Ninja 1000SX」は先週届いている。
六花に連絡し、そちらへ行くと言った。
大分改善されているが、やはり曲がり難い。
しかし気分は最高だ。
すぐに慣れて、ウイリーをやる。
パワーが違う。
いかん。
今日は慣らし運転だ。
昔と違って、メーターはすべて液晶表示だ。
昼間は日光で少々見にくいが、角度を変えると明確に見える。
そんなことにまで感動した。
六花は既にライダースーツを着て、駐車場で待っていた。
今日はこれから六花に操縦を練習させるつもりだった。
「いいか! くれぐれもスロットルを急に開くな! パワーで吹っ飛ぶぞ!」
「はい!」
最初は重い重量とパワーの凄まじさに押されていたが、すぐに体重移動をスムーズに行ない、操れるようになった。
近所を一緒に回る。
赤羽橋辺りまで行き、戻ってくる。
ずっと後ろに着いていたが、問題はなさそうだ。
六花は四輪もそうだが、操縦に天性の勘がある。
俺たちは病院へ向かった。
響子はちょうど昼寝から起きたところだった。
俺たちのライダースーツに驚く。
靴を履かせ、俺が抱きかかえて駐車場に連れて行った。
「きゃー!」
大喜びで俺たちのバイクに触る。
俺の「スーパーレッジェーラ V4」は赤だ。
また期せずしてこの色になった。
俺のライダースーツも、合わせて赤にした。
六花の「Ninja 1000SX」は、カワサキのあの美しいグリーンだった。
六花のライダースーツは純白だ。
後日、背中に「六根清浄」と入れると言った。
俺のも一緒にやってもらうつもりだ。
「すごいね! カッコイイ!」
「ちょっと乗ってみるか?」
「うん!」
俺と六花で交代でゆっくりと病院の敷地を回ってやる。
響子は大喜びだった。
また、俺たちは互いのバイクを交換して近所を走った。
六花のニンジャはやはり高性能だった。
「石神先生! これは私には無理です」
六花が戻って着て言った。
「パワーが圧倒的で、全然言うことを聞いてくれません」
「まあ、日本車のように繊細じゃねぇんだよな。ちょっとピーキーな感じだろ?」
「はい。ギヤを換えるともう全然違う世界のような」
「ねえ、私も外に出てみたいー!」
響子がお願いしてくる。
「まずは響子のヘルメットとかスーツを作らなきゃな。もうちょっと待ってな」
俺たちは屋上に上がり、しばらく響子とセグウェイで遊ぶ。
パイロンを立ててスラロームを作ってやると、響子は喜んで何週も回った。
俺と六花が交代でレースのように競争する。
もちろん響子が勝つ。
一杯遊ばせたので、響子をベッドへ戻した。
「お前、本当に元気になってきたな」
「エヘヘヘ」
響子はまた眠った。
俺と六花は今日の担当のナースに、食事を1時間遅らせるように指示した。
少し食事の量を増やすように伝える。
「石神先生、もう少し走りませんか?」
「そうだな。じゃあ、麻布十番まで行こう」
桜田通りから飯倉の交差点を曲がり、六本木の交差点でまた左折する。
俺たちはゆっくりと走り、麻布十番の店に行った。
「なんかよ、バイクに乗るとハンバーガーが喰いたくなるんだよな」
「あ、なんか分かります」
ライダースーツで店内に入ると注目された。
二人でサルサバーガーの一番大きなものを頼んだ。
舌を刺激するサルサソースと、パワーのあるバンズの甘みと肉の旨味が絶品だ。
「十代の頃は金がなくて、安いハンバーガーがご馳走だったからかな」
「なるほど。でもここのハンバーガーは美味しいですね!」
「そりゃ俺様が喰うんだからな!」
六花が嬉しそうに笑った。
白のライダースーツが抜群に似合う。
スタイルのいい六花が着ると、もう本当にモデルのようだ。
「お前、本当に綺麗だな」
「え」
六花が赤くなった。
珍しい。
「おい、お前大丈夫か?」
「石神先生が悪いんです」
「いや、ついにお前にも「恥」の概念が生まれたか」
「私は前から知ってます」
「だってよ。俺にウンコをするとこ見て欲しいとか」
六花が俺の口を手で塞いだ。
真っ赤になりながら、六花が笑った。
俺も手をどけて笑う。
「また夢に向かって一歩進みましたね」
「またってどういうことだ?」
「だって、石神先生は響子にセグウェイをあげたじゃないですか」
「ああ」
「あれで、「三人で走る」という夢がちょっとだけ叶いました」
「そういえば、そうだな」
「石神先生は、本当にスゴイです」
「そうかよ」
「はい」
「まいったか!」
「最初からメロメロです」
日が翳ってきた。
「暗くなる前に帰ろう」
「はい」
夕陽の中で走る六花は、本当に美しかった。
六花のカワサキ「Ninja 1000SX」は先週届いている。
六花に連絡し、そちらへ行くと言った。
大分改善されているが、やはり曲がり難い。
しかし気分は最高だ。
すぐに慣れて、ウイリーをやる。
パワーが違う。
いかん。
今日は慣らし運転だ。
昔と違って、メーターはすべて液晶表示だ。
昼間は日光で少々見にくいが、角度を変えると明確に見える。
そんなことにまで感動した。
六花は既にライダースーツを着て、駐車場で待っていた。
今日はこれから六花に操縦を練習させるつもりだった。
「いいか! くれぐれもスロットルを急に開くな! パワーで吹っ飛ぶぞ!」
「はい!」
最初は重い重量とパワーの凄まじさに押されていたが、すぐに体重移動をスムーズに行ない、操れるようになった。
近所を一緒に回る。
赤羽橋辺りまで行き、戻ってくる。
ずっと後ろに着いていたが、問題はなさそうだ。
六花は四輪もそうだが、操縦に天性の勘がある。
俺たちは病院へ向かった。
響子はちょうど昼寝から起きたところだった。
俺たちのライダースーツに驚く。
靴を履かせ、俺が抱きかかえて駐車場に連れて行った。
「きゃー!」
大喜びで俺たちのバイクに触る。
俺の「スーパーレッジェーラ V4」は赤だ。
また期せずしてこの色になった。
俺のライダースーツも、合わせて赤にした。
六花の「Ninja 1000SX」は、カワサキのあの美しいグリーンだった。
六花のライダースーツは純白だ。
後日、背中に「六根清浄」と入れると言った。
俺のも一緒にやってもらうつもりだ。
「すごいね! カッコイイ!」
「ちょっと乗ってみるか?」
「うん!」
俺と六花で交代でゆっくりと病院の敷地を回ってやる。
響子は大喜びだった。
また、俺たちは互いのバイクを交換して近所を走った。
六花のニンジャはやはり高性能だった。
「石神先生! これは私には無理です」
六花が戻って着て言った。
「パワーが圧倒的で、全然言うことを聞いてくれません」
「まあ、日本車のように繊細じゃねぇんだよな。ちょっとピーキーな感じだろ?」
「はい。ギヤを換えるともう全然違う世界のような」
「ねえ、私も外に出てみたいー!」
響子がお願いしてくる。
「まずは響子のヘルメットとかスーツを作らなきゃな。もうちょっと待ってな」
俺たちは屋上に上がり、しばらく響子とセグウェイで遊ぶ。
パイロンを立ててスラロームを作ってやると、響子は喜んで何週も回った。
俺と六花が交代でレースのように競争する。
もちろん響子が勝つ。
一杯遊ばせたので、響子をベッドへ戻した。
「お前、本当に元気になってきたな」
「エヘヘヘ」
響子はまた眠った。
俺と六花は今日の担当のナースに、食事を1時間遅らせるように指示した。
少し食事の量を増やすように伝える。
「石神先生、もう少し走りませんか?」
「そうだな。じゃあ、麻布十番まで行こう」
桜田通りから飯倉の交差点を曲がり、六本木の交差点でまた左折する。
俺たちはゆっくりと走り、麻布十番の店に行った。
「なんかよ、バイクに乗るとハンバーガーが喰いたくなるんだよな」
「あ、なんか分かります」
ライダースーツで店内に入ると注目された。
二人でサルサバーガーの一番大きなものを頼んだ。
舌を刺激するサルサソースと、パワーのあるバンズの甘みと肉の旨味が絶品だ。
「十代の頃は金がなくて、安いハンバーガーがご馳走だったからかな」
「なるほど。でもここのハンバーガーは美味しいですね!」
「そりゃ俺様が喰うんだからな!」
六花が嬉しそうに笑った。
白のライダースーツが抜群に似合う。
スタイルのいい六花が着ると、もう本当にモデルのようだ。
「お前、本当に綺麗だな」
「え」
六花が赤くなった。
珍しい。
「おい、お前大丈夫か?」
「石神先生が悪いんです」
「いや、ついにお前にも「恥」の概念が生まれたか」
「私は前から知ってます」
「だってよ。俺にウンコをするとこ見て欲しいとか」
六花が俺の口を手で塞いだ。
真っ赤になりながら、六花が笑った。
俺も手をどけて笑う。
「また夢に向かって一歩進みましたね」
「またってどういうことだ?」
「だって、石神先生は響子にセグウェイをあげたじゃないですか」
「ああ」
「あれで、「三人で走る」という夢がちょっとだけ叶いました」
「そういえば、そうだな」
「石神先生は、本当にスゴイです」
「そうかよ」
「はい」
「まいったか!」
「最初からメロメロです」
日が翳ってきた。
「暗くなる前に帰ろう」
「はい」
夕陽の中で走る六花は、本当に美しかった。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。
新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる