276 / 2,840
紅の友 Ⅸ
しおりを挟む
双子がいつものように、俺を起こしに来た。
ドアをガチャガチャしている。
当然、俺は夕べは鍵を掛けていた。
六花がいるからだ。
「アレ? 鍵がかかってるよ?」
「ほんとだ。困ったね」
「緊急事態?」
「密室殺人だぁ!」
「じゃあ、花岡バスターで開けるね!」
2秒で物騒なことを言い始めた。
「おい! よせ! 生きてるって!」
俺は慌てて起き上がって叫ぶ。
「今朝はゆっくり寝たかったんだ! もう起きたからな!」
「「はーい!」」
双子がクスクスと笑いながら去っていった。
危うくドアが吹っ飛ぶどころか、命まで危なかった。
MBT以上の猛獣と一緒に暮らすのは大変だ。
もちろん双子もジョークのつもりだろうが、花岡の技を使いたがってるのは分かってる。
何か理由をつけて、本当にぶっ放しかねない。
六花が俺を見ている。
俺の腕を掴んでいる。
俺は上になって、軽くキスをした。
舌を絡めようとしてくるので、顔を離す。
不満そうな顔をしやがる。
「おい、起きるぞ」
「はい」
いつものごとく、六花は裸だ。
今日は、それを見せつけるように床に立っている。
俺の反応を見ている。
「あ」
反応してしまった。
「いい加減にしろ!」
俺は顔を洗い、急いでリヴィングへ降りた。
六花には、ゆっくりと来いと言ってある。
「「「「おはようございます!」」」」
「石神さん、おはようございます」
「おはようございます」
子どもたちと一緒に、タケたちが挨拶してきた。
「ああ、おはよう。ゆっくり眠れたか?」
「はい、いいベッドでした」
「そうか」
六花が降りてきた。
またみんなが挨拶する。
「石神先生、おはようございます」
「ああ、おはよう」
六花はニコニコしながら挨拶してきた。
朝食は、パンケーキにした。
それほど種類はないが、好きなようにトッピングが選べる。
双子がタケたちに、自分たちのベストの組み合わせを教えた。
「かぁー! また朝食もオシャレですねぇ」
「こんなの食べたことないぞ」
六花はたっぷりと生クリームを乗せ、フルーツを幾つか選んだ上に、はちみつを少し垂らした。
ニコニコしてそれを頬張っている。
「六花さん、今朝はゴキゲンですね!」
亜紀ちゃんが目ざとく言った。
「はい!」
元気がいい。
タケたちも嬉しそうに見ている。
子どもたちが食事の後片付けをしている間、俺たちはゆっくりとコーヒーを飲んだ。
「今日はどうするんだ?」
「はい。総長のお宅へ、荷物を取りに寄ってから帰ろうかと思います」
「そうか。何か寂しい気がするな」
「そうですね」
俺と六花が言った。
「ありがとうございます」
「そうだ、こないだ冗談半分で六花に言ったんだけどよ」
「はい」
「久しぶりにバイクに乗りたくなったなぁ」
「「「いいですね!」」」
「そうだよな!」
「石神さんは、何に乗るんですか?」
タケが大乗り気で聞いてきた。
「うーん、カワサキの「Ninja 1000SX」もいいんだけど、やっぱりドカティの「スーパーレッジェーラ V4」がいいかと思ってるんだよ」
「なるほど!」
「怪物ですよねぇ」
さすがにタケもよしこも分かってる。
「総長はいかがですか?」
「あたしは乗りなれた「CBR」とかで」
「じゃあ、六花は「Ninja」にしろよ。そうすれば俺が両方乗れる」
「でも、私にはちょっとパワーがありすぎます」
「そんなの、俺が幾らでも教えてやるよ」
「今、即決しましたぁ!」
タケたちが笑った。
「じゃあ、本当にお二人が買われたら、教えてください。あたしらも用意しますから」
「そうかよ。じゃあ本気で考えてみるか!」
「一緒にツーリングに行きましょう!」
「そうだよな!」
「どこがいいですかねぇ」
よしこが楽しみそうに、そう言う。
「うーん。お前らとならどこへ行っても楽しそうだけどな。ああ、群馬にいいとこがある。知り合いのでかい家なんだけど、押しかけていろいろ壊してやると喜ぶんだよ」
「な、なんですか、それ?」
「いや、それはその時のお楽しみでな」
「「「?」」」
俺は斬のじじぃのことを思い出していた。
なぜここで、俺の頭に浮かんだのかは分からない。
タケとよしこが帰っていった。
送ると言ったが、三人で電車で帰ると言う。
まあ、それもいいだろう。
子どもたちに見送られ、俺は一緒に地下鉄の駅まで歩いて行った。
「じゃあ、また来てくれな」
「はい、本当に楽しかったです」
「昨日は最高の一日でした!」
三人は地下鉄の階段を降りて行った。
別れとしては、何とも味気ない。
しかし、また会える連中だ。
こんな別れ方がいいのかもしれない。
午後に六花から電話が来た。
何度もタケたちのことの礼を言い、これから響子に会いに、一緒に行かないかと言われた。
俺は喜んで引き受けた。
「ちょっと響子の様子を見てくる」
俺は亜紀ちゃんに言った。
「はい、分かりました」
「夕飯には帰るからな」
「はい」
「絶対に帰るからな!」
「はい、分かりました」
「おい、絶対だからな!」
「だから、分かりましたって!」
今日は六花に引きずられないぞ。
ドアをガチャガチャしている。
当然、俺は夕べは鍵を掛けていた。
六花がいるからだ。
「アレ? 鍵がかかってるよ?」
「ほんとだ。困ったね」
「緊急事態?」
「密室殺人だぁ!」
「じゃあ、花岡バスターで開けるね!」
2秒で物騒なことを言い始めた。
「おい! よせ! 生きてるって!」
俺は慌てて起き上がって叫ぶ。
「今朝はゆっくり寝たかったんだ! もう起きたからな!」
「「はーい!」」
双子がクスクスと笑いながら去っていった。
危うくドアが吹っ飛ぶどころか、命まで危なかった。
MBT以上の猛獣と一緒に暮らすのは大変だ。
もちろん双子もジョークのつもりだろうが、花岡の技を使いたがってるのは分かってる。
何か理由をつけて、本当にぶっ放しかねない。
六花が俺を見ている。
俺の腕を掴んでいる。
俺は上になって、軽くキスをした。
舌を絡めようとしてくるので、顔を離す。
不満そうな顔をしやがる。
「おい、起きるぞ」
「はい」
いつものごとく、六花は裸だ。
今日は、それを見せつけるように床に立っている。
俺の反応を見ている。
「あ」
反応してしまった。
「いい加減にしろ!」
俺は顔を洗い、急いでリヴィングへ降りた。
六花には、ゆっくりと来いと言ってある。
「「「「おはようございます!」」」」
「石神さん、おはようございます」
「おはようございます」
子どもたちと一緒に、タケたちが挨拶してきた。
「ああ、おはよう。ゆっくり眠れたか?」
「はい、いいベッドでした」
「そうか」
六花が降りてきた。
またみんなが挨拶する。
「石神先生、おはようございます」
「ああ、おはよう」
六花はニコニコしながら挨拶してきた。
朝食は、パンケーキにした。
それほど種類はないが、好きなようにトッピングが選べる。
双子がタケたちに、自分たちのベストの組み合わせを教えた。
「かぁー! また朝食もオシャレですねぇ」
「こんなの食べたことないぞ」
六花はたっぷりと生クリームを乗せ、フルーツを幾つか選んだ上に、はちみつを少し垂らした。
ニコニコしてそれを頬張っている。
「六花さん、今朝はゴキゲンですね!」
亜紀ちゃんが目ざとく言った。
「はい!」
元気がいい。
タケたちも嬉しそうに見ている。
子どもたちが食事の後片付けをしている間、俺たちはゆっくりとコーヒーを飲んだ。
「今日はどうするんだ?」
「はい。総長のお宅へ、荷物を取りに寄ってから帰ろうかと思います」
「そうか。何か寂しい気がするな」
「そうですね」
俺と六花が言った。
「ありがとうございます」
「そうだ、こないだ冗談半分で六花に言ったんだけどよ」
「はい」
「久しぶりにバイクに乗りたくなったなぁ」
「「「いいですね!」」」
「そうだよな!」
「石神さんは、何に乗るんですか?」
タケが大乗り気で聞いてきた。
「うーん、カワサキの「Ninja 1000SX」もいいんだけど、やっぱりドカティの「スーパーレッジェーラ V4」がいいかと思ってるんだよ」
「なるほど!」
「怪物ですよねぇ」
さすがにタケもよしこも分かってる。
「総長はいかがですか?」
「あたしは乗りなれた「CBR」とかで」
「じゃあ、六花は「Ninja」にしろよ。そうすれば俺が両方乗れる」
「でも、私にはちょっとパワーがありすぎます」
「そんなの、俺が幾らでも教えてやるよ」
「今、即決しましたぁ!」
タケたちが笑った。
「じゃあ、本当にお二人が買われたら、教えてください。あたしらも用意しますから」
「そうかよ。じゃあ本気で考えてみるか!」
「一緒にツーリングに行きましょう!」
「そうだよな!」
「どこがいいですかねぇ」
よしこが楽しみそうに、そう言う。
「うーん。お前らとならどこへ行っても楽しそうだけどな。ああ、群馬にいいとこがある。知り合いのでかい家なんだけど、押しかけていろいろ壊してやると喜ぶんだよ」
「な、なんですか、それ?」
「いや、それはその時のお楽しみでな」
「「「?」」」
俺は斬のじじぃのことを思い出していた。
なぜここで、俺の頭に浮かんだのかは分からない。
タケとよしこが帰っていった。
送ると言ったが、三人で電車で帰ると言う。
まあ、それもいいだろう。
子どもたちに見送られ、俺は一緒に地下鉄の駅まで歩いて行った。
「じゃあ、また来てくれな」
「はい、本当に楽しかったです」
「昨日は最高の一日でした!」
三人は地下鉄の階段を降りて行った。
別れとしては、何とも味気ない。
しかし、また会える連中だ。
こんな別れ方がいいのかもしれない。
午後に六花から電話が来た。
何度もタケたちのことの礼を言い、これから響子に会いに、一緒に行かないかと言われた。
俺は喜んで引き受けた。
「ちょっと響子の様子を見てくる」
俺は亜紀ちゃんに言った。
「はい、分かりました」
「夕飯には帰るからな」
「はい」
「絶対に帰るからな!」
「はい、分かりました」
「おい、絶対だからな!」
「だから、分かりましたって!」
今日は六花に引きずられないぞ。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
NPO法人マヨヒガ! ~CGモデラーって難しいんですか?~
みつまめ つぼみ
キャラ文芸
ハードワークと職業適性不一致に悩み、毎日をつらく感じている香澄(かすみ)。
彼女は帰り道、不思議な喫茶店を見つけて足を踏み入れる。
そこで出会った青年マスター晴臣(はるおみ)は、なんと『ぬらりひょん』!
彼は香澄を『マヨヒガ』へと誘い、彼女の保護を約束する。
離職した香澄は、新しいステージである『3DCGモデラー』で才能を開花させる。
香澄の手が、デジタル空間でキャラクターに命を吹き込む――。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる