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Antiproton Bomb
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俺は一江から、先週の報告と、今週の予定を聞いていた。
「おし! じゃあ今週もがんばろー!」
「はい」
「お前、そこは「おー!」だろう」
「おー!」
俺は窓の向こうでこちらを見ている部下たちに、右手を上げた。
「おー!」
みんな乗ってくれた。
「よし、今週も叛乱の気配はねぇな」
大満足!
「じゃあ、お前は午後から出発だな」
「はい、しばらく空けますが、大森に引き継いでますので」
「ああ、じゃあロスでの学会は頑張れよ!」
「はい、行って来ます」
「ところで部長」
「あんだよ」
「これを見ていただきたいのですが」
一江は俺にスマホの動画を見せる。
どこかの遊園地で、超カッチョイイ男が、ステキなマーシャルアーツの型を舞っている。
「……」
「やっぱり部長ですよね」
「お前、どうしてこれを」
「あ、疑ってます? すんごい心外なんですけど!」
俺は一江の顔面にアイアンクロー。
「イタイイタイイタイ! すいませんでしたぁ!」
「お前なぁ、前に自分がやったこと反省してねぇな?」
「すいません。でも今回は本当に何もしてないですから」
「じゃあ、なんでお前がこの動画を持ってんだよ」
「それはですね! 部長が前に「花やしき」に栞と子どもたちを連れて行くって言ってたじゃないですか」
「ああ、言ったな」
俺は一江には隠し事をせずに、予定もすべて伝えてある。
「だから私は、ヘンなことが起きてないかをチェックしてたんです!」
「だけどお前、「花やしき」はちょっと前だぞ?」
「しょうがないじゃないですか! 私だって仕事は忙しいし、大体部長は大阪行ったりいろいろやっちゃてるんですから。ちょっとは私用時間に一生懸命やってる私の身にもなってください!」
「そのお忙しい一江様が、こないだは結構なことをしてくれたもんだな」
アイアンクロー。
「イタイイタイイタイ! すいませんでしたぁ!」
「それとこっちもです」
どこかのゲームセンターの前で、超カッチョイイ男が、極悪人集団をのして笑っている。
「これも部長ですよねー」
「……」
「やっぱり! 部長、本当にいい加減にした方がいいですよ」
「おい、まさか「フェラーリ・ダンディ」とは結び付いてねぇよな」
「はい。それに拡散の気配もありません」
「クソプロトンは動いてねぇってことだな」
「あー! 折角私が部長のために持ってきたのに!」
アイアンクロー。
「イタイイタイイタイ! すいませんでしたぁ!」
「まあ、放置しても大丈夫そうだな」
「そうですねぇ。でもマジで本当に気をつけてくださいよ?」
「分かったよ。まあ、知らせてくれてありがとうな」
「ちょっと顔が痛いんですけど!」
「しかしなんだなぁ。まったく嫌な時代になったもんだよなぁ」
「あの、顔が」
「どいつもこいつも、ブン屋気取りでなぁ。しかも社会正義だと勘違いしてる輩も多い」
「顔!」
「あ? いつも通りブサイクだな、お前は!」
「ひどいですよ!」
気分転換に、響子の顔を見に行く。
響子は六花と一緒にタブレットを見て笑っていた。
嫌な予感がする。
「響子、何を見てるんだ?」
「あ、タカトラー」
響子が駆け寄ってくる。
カワイイ。
俺は響子を抱きかかえ、顔をペロペロしてから、ベッドへ戻してやる。
「今ね、六花に写真のデータをもらってたの」
「な、なんの写真だ?」
「これ!」
こないだ風花が来た時に撮った、子どもたちの大食い大会の写真だった。
「ああ、これかぁ!」
ザル、バット、おたまにフライ返しの写真に始まり、凄まじい食事風景と、最後は集合写真なども写っている。
「いつも通り、酷いよなぁ」
響子は大笑いして写真を眺めていた。
「あ、さっきまでは、こっちを見てたの」
響子が別のフォルダを開けた。
どこかの遊園地で、超カッチョイイ男が、ステキなマーシャルアーツの型を舞っている。
「これもね」
どこかのゲームセンターの前で、超カッチョイイ男が、極悪人集団をのして笑っている。
「……」
「あ、ゲームセンターの方は、さっき響子に解説しておきました!」
六花にアイナンクロー。
「イタイイタイイタイ! なんでぇー!」
「六花をいじめちゃダメ!」
俺は響子の部屋の内線で、栞を呼び出した。
「あ、石神くん。なに?」
「「花やしき」「ゲームセンター」
「ああ、陽子からもらったよ!」
あいつぅ!
俺が部屋に戻ると、午後からの出発を繰り上げ、一江は部屋にいなかった。
「大森! 一江を呼び戻せ!」
「はい!」
「部長、電話の電源が切られてます!」
「……」
一江が戻るまでの一週間。
一江のデスクには花を活けた花瓶が置かれた。
一応、一江の学会での発表は成功と言えるものだった。
「おし! じゃあ今週もがんばろー!」
「はい」
「お前、そこは「おー!」だろう」
「おー!」
俺は窓の向こうでこちらを見ている部下たちに、右手を上げた。
「おー!」
みんな乗ってくれた。
「よし、今週も叛乱の気配はねぇな」
大満足!
「じゃあ、お前は午後から出発だな」
「はい、しばらく空けますが、大森に引き継いでますので」
「ああ、じゃあロスでの学会は頑張れよ!」
「はい、行って来ます」
「ところで部長」
「あんだよ」
「これを見ていただきたいのですが」
一江は俺にスマホの動画を見せる。
どこかの遊園地で、超カッチョイイ男が、ステキなマーシャルアーツの型を舞っている。
「……」
「やっぱり部長ですよね」
「お前、どうしてこれを」
「あ、疑ってます? すんごい心外なんですけど!」
俺は一江の顔面にアイアンクロー。
「イタイイタイイタイ! すいませんでしたぁ!」
「お前なぁ、前に自分がやったこと反省してねぇな?」
「すいません。でも今回は本当に何もしてないですから」
「じゃあ、なんでお前がこの動画を持ってんだよ」
「それはですね! 部長が前に「花やしき」に栞と子どもたちを連れて行くって言ってたじゃないですか」
「ああ、言ったな」
俺は一江には隠し事をせずに、予定もすべて伝えてある。
「だから私は、ヘンなことが起きてないかをチェックしてたんです!」
「だけどお前、「花やしき」はちょっと前だぞ?」
「しょうがないじゃないですか! 私だって仕事は忙しいし、大体部長は大阪行ったりいろいろやっちゃてるんですから。ちょっとは私用時間に一生懸命やってる私の身にもなってください!」
「そのお忙しい一江様が、こないだは結構なことをしてくれたもんだな」
アイアンクロー。
「イタイイタイイタイ! すいませんでしたぁ!」
「それとこっちもです」
どこかのゲームセンターの前で、超カッチョイイ男が、極悪人集団をのして笑っている。
「これも部長ですよねー」
「……」
「やっぱり! 部長、本当にいい加減にした方がいいですよ」
「おい、まさか「フェラーリ・ダンディ」とは結び付いてねぇよな」
「はい。それに拡散の気配もありません」
「クソプロトンは動いてねぇってことだな」
「あー! 折角私が部長のために持ってきたのに!」
アイアンクロー。
「イタイイタイイタイ! すいませんでしたぁ!」
「まあ、放置しても大丈夫そうだな」
「そうですねぇ。でもマジで本当に気をつけてくださいよ?」
「分かったよ。まあ、知らせてくれてありがとうな」
「ちょっと顔が痛いんですけど!」
「しかしなんだなぁ。まったく嫌な時代になったもんだよなぁ」
「あの、顔が」
「どいつもこいつも、ブン屋気取りでなぁ。しかも社会正義だと勘違いしてる輩も多い」
「顔!」
「あ? いつも通りブサイクだな、お前は!」
「ひどいですよ!」
気分転換に、響子の顔を見に行く。
響子は六花と一緒にタブレットを見て笑っていた。
嫌な予感がする。
「響子、何を見てるんだ?」
「あ、タカトラー」
響子が駆け寄ってくる。
カワイイ。
俺は響子を抱きかかえ、顔をペロペロしてから、ベッドへ戻してやる。
「今ね、六花に写真のデータをもらってたの」
「な、なんの写真だ?」
「これ!」
こないだ風花が来た時に撮った、子どもたちの大食い大会の写真だった。
「ああ、これかぁ!」
ザル、バット、おたまにフライ返しの写真に始まり、凄まじい食事風景と、最後は集合写真なども写っている。
「いつも通り、酷いよなぁ」
響子は大笑いして写真を眺めていた。
「あ、さっきまでは、こっちを見てたの」
響子が別のフォルダを開けた。
どこかの遊園地で、超カッチョイイ男が、ステキなマーシャルアーツの型を舞っている。
「これもね」
どこかのゲームセンターの前で、超カッチョイイ男が、極悪人集団をのして笑っている。
「……」
「あ、ゲームセンターの方は、さっき響子に解説しておきました!」
六花にアイナンクロー。
「イタイイタイイタイ! なんでぇー!」
「六花をいじめちゃダメ!」
俺は響子の部屋の内線で、栞を呼び出した。
「あ、石神くん。なに?」
「「花やしき」「ゲームセンター」
「ああ、陽子からもらったよ!」
あいつぅ!
俺が部屋に戻ると、午後からの出発を繰り上げ、一江は部屋にいなかった。
「大森! 一江を呼び戻せ!」
「はい!」
「部長、電話の電源が切られてます!」
「……」
一江が戻るまでの一週間。
一江のデスクには花を活けた花瓶が置かれた。
一応、一江の学会での発表は成功と言えるものだった。
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