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美しい姉妹
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俺と子どもたちは、近所のスーパーや肉屋で結構有名だ。
それは、いつも大量に肉を中心とした食材を、しかも頻繁に買うからだ。
それも、大体肉に関しては「予約」して買う。
そうでなければ、足りないことになるからだ。
また、買い占めて他のお客さんに迷惑をかけても申し訳ない。
「石神さん、いつも一杯買っていただいて、ありがとうございます」
「いえいえ」
毎回予約しているから、当然名前も覚えられている。
「あの、石神さんは寮かなにかを」
「いえ、動物園です」
「は?」
「猛獣が四頭います」
「……」
献立は俺と亜紀ちゃんが相談して決める。
大食い大会になる、「自由競争」は、一定の間隔を置いてやるようにコントロールしている。
結構、苦労していた。
金銭的には、まあ問題はない。
ちょっと残念なくらいだ。
時々、涙ぐむくらいだ。
カワイイ子どもたちが、悪魔に見えちゃったりするくらいだ。
まあ、資産が減ったりはしていない。
減ったのは、宇留間の件でだけだ。
ぶっ殺すぞ!
ああ、もう死んでる。
そんな石神家に、朗報がありました!
大阪で、六花の妹に会いに行った際に、「梅田精肉店」にご縁ができた。
俺は翌週にお礼方々、塩野社長に電話した。
六花が引き取って一緒に住みたいと言ったが、風花が塩野社長に恩義があり、一生懸命に働いて返すのだと断られた話をした。
塩野社長は、大変喜んで下さった。
塩野社長も、風花が俺たちにいろいろとお世話になったと喜んでいたことを話して下さり、俺も嬉しかった。
そんな話を少し話している中で、俺の子どもたちが「肉」が大好きで、大量に食べる話をした。
「石神先生、じゃあうちから買ってくださいよ」
「いや、大阪からじゃ、輸送費で大変ですよ」
「いいえ、東京支店がありますから」
「ほんとですか!」
詳しく話した。
新宿区にあるらしい。
近いじゃないか!
すき焼きで20キロ喰うのだと話すと、大笑いされた。
買い物も大変なのだと言うと、じゃあお届けしますと言って下さった。
「ビリケンさんの像を買いますよ!」
「いや、うちは関係あらへん」
「アハハハハ」
「ワハハハハ」
俺はちょっとテンションが上がっていた。
塩野社長と、月末締めの翌月末までの売り掛けで、ということになった。
実際お願いしてみると、格段に安い。
卸だからだが、多分塩野社長が相当サービスしてくれている。
質も良かった。
子どもたちに、大き目の色紙に寄せ書きを書かせた。
それぞれの「肉愛」が熱く綴られた。
それを塩野社長に送った。
後日、塩野社長から手紙が届き、お礼と共に社長室に額装して飾られた写真が添えられていた。
風花が一緒に写っている。
それは六花にやり、六花は大変喜んだ。
11月の半ば。
六花が相談があると言って来た。
俺は響子が寝てから六花を昼食に連れ出した。
オークラのテラスレストランへ行く。
「風花が遊びに来ます」
繁忙期で忙しくなる前に、一度会いに来たいということらしい。
「良かったじゃないか」
「はい」
六花の表情が暗い。
「なんだよ。問題でもあるのか?」
「石神先生、一緒にいてくれませんか?」
「なんでだよ」
「だって、何を話していいか」
「またそれかよ!」
こいつは時々、本当にめんどくさい。
「恥」の観念はねぇくせに、一体どうなっているのか。
「でも、本当に不安で」
「お前、自分の妹だろう!」
「でも」
「あのなぁ」
「だって」
めんどくさい。
「分かったよ。俺がデートコースは作ってやるから。東京を案内してやれ」
「でも」
「俺だって忙しいんだ」
「だって」
めんどくせぇ。
「じゃあ、一日くらいは俺も付き合ってやる」
「ありがとうございます」
「それと」
「お前しつこいぞ!」
「あの、風花が来たら、うちに一緒に泊まってくれませんか?」
「絶対断る!」
「だけど、何を話していいのか……」
そういえば、こいつは大阪でもほとんど話さなかった。
まあ、六花の性格は分かっているので、俺がいつも中心に話していたせいもある。
最後は強引に二人で話させ、それなりに親しく話していたと思っていたのだが。
「俺がお前のマンションに泊まったら、タダじゃ済まねぇだろう。今までどうだったよ」
「それは、そうなんですが」
「絶対にお前が(もしかしたら俺がだが)、我慢できなくなっちゃうのは目に見えているからな」
「それもアリじゃないかと」
「お前なぁ、妹に見られたらどうすんだよ」
「ちょっと興奮するかも、です」
「いい加減にしろ!」
「石神先生」
「だからなんだよ!」
「姉妹丼……」
俺はぶん殴ろうと思って席を立った。
「すいません、すいません、すいません!」
周りの人間が注目するので、席に戻った。
「お前なぁ、そんなに怖いのかよ」
「はい、すいません」
「前に言っただろう? 怖い時はどうすんだ?」
六花が俺を見る。
「はい、「やれ」とおっしゃいました」
「そうだろう!」
まだ不安そうだったが、六花は納得したようだ。
二週間後の金曜日。
風花が東京に着いた。
それは、いつも大量に肉を中心とした食材を、しかも頻繁に買うからだ。
それも、大体肉に関しては「予約」して買う。
そうでなければ、足りないことになるからだ。
また、買い占めて他のお客さんに迷惑をかけても申し訳ない。
「石神さん、いつも一杯買っていただいて、ありがとうございます」
「いえいえ」
毎回予約しているから、当然名前も覚えられている。
「あの、石神さんは寮かなにかを」
「いえ、動物園です」
「は?」
「猛獣が四頭います」
「……」
献立は俺と亜紀ちゃんが相談して決める。
大食い大会になる、「自由競争」は、一定の間隔を置いてやるようにコントロールしている。
結構、苦労していた。
金銭的には、まあ問題はない。
ちょっと残念なくらいだ。
時々、涙ぐむくらいだ。
カワイイ子どもたちが、悪魔に見えちゃったりするくらいだ。
まあ、資産が減ったりはしていない。
減ったのは、宇留間の件でだけだ。
ぶっ殺すぞ!
ああ、もう死んでる。
そんな石神家に、朗報がありました!
大阪で、六花の妹に会いに行った際に、「梅田精肉店」にご縁ができた。
俺は翌週にお礼方々、塩野社長に電話した。
六花が引き取って一緒に住みたいと言ったが、風花が塩野社長に恩義があり、一生懸命に働いて返すのだと断られた話をした。
塩野社長は、大変喜んで下さった。
塩野社長も、風花が俺たちにいろいろとお世話になったと喜んでいたことを話して下さり、俺も嬉しかった。
そんな話を少し話している中で、俺の子どもたちが「肉」が大好きで、大量に食べる話をした。
「石神先生、じゃあうちから買ってくださいよ」
「いや、大阪からじゃ、輸送費で大変ですよ」
「いいえ、東京支店がありますから」
「ほんとですか!」
詳しく話した。
新宿区にあるらしい。
近いじゃないか!
すき焼きで20キロ喰うのだと話すと、大笑いされた。
買い物も大変なのだと言うと、じゃあお届けしますと言って下さった。
「ビリケンさんの像を買いますよ!」
「いや、うちは関係あらへん」
「アハハハハ」
「ワハハハハ」
俺はちょっとテンションが上がっていた。
塩野社長と、月末締めの翌月末までの売り掛けで、ということになった。
実際お願いしてみると、格段に安い。
卸だからだが、多分塩野社長が相当サービスしてくれている。
質も良かった。
子どもたちに、大き目の色紙に寄せ書きを書かせた。
それぞれの「肉愛」が熱く綴られた。
それを塩野社長に送った。
後日、塩野社長から手紙が届き、お礼と共に社長室に額装して飾られた写真が添えられていた。
風花が一緒に写っている。
それは六花にやり、六花は大変喜んだ。
11月の半ば。
六花が相談があると言って来た。
俺は響子が寝てから六花を昼食に連れ出した。
オークラのテラスレストランへ行く。
「風花が遊びに来ます」
繁忙期で忙しくなる前に、一度会いに来たいということらしい。
「良かったじゃないか」
「はい」
六花の表情が暗い。
「なんだよ。問題でもあるのか?」
「石神先生、一緒にいてくれませんか?」
「なんでだよ」
「だって、何を話していいか」
「またそれかよ!」
こいつは時々、本当にめんどくさい。
「恥」の観念はねぇくせに、一体どうなっているのか。
「でも、本当に不安で」
「お前、自分の妹だろう!」
「でも」
「あのなぁ」
「だって」
めんどくさい。
「分かったよ。俺がデートコースは作ってやるから。東京を案内してやれ」
「でも」
「俺だって忙しいんだ」
「だって」
めんどくせぇ。
「じゃあ、一日くらいは俺も付き合ってやる」
「ありがとうございます」
「それと」
「お前しつこいぞ!」
「あの、風花が来たら、うちに一緒に泊まってくれませんか?」
「絶対断る!」
「だけど、何を話していいのか……」
そういえば、こいつは大阪でもほとんど話さなかった。
まあ、六花の性格は分かっているので、俺がいつも中心に話していたせいもある。
最後は強引に二人で話させ、それなりに親しく話していたと思っていたのだが。
「俺がお前のマンションに泊まったら、タダじゃ済まねぇだろう。今までどうだったよ」
「それは、そうなんですが」
「絶対にお前が(もしかしたら俺がだが)、我慢できなくなっちゃうのは目に見えているからな」
「それもアリじゃないかと」
「お前なぁ、妹に見られたらどうすんだよ」
「ちょっと興奮するかも、です」
「いい加減にしろ!」
「石神先生」
「だからなんだよ!」
「姉妹丼……」
俺はぶん殴ろうと思って席を立った。
「すいません、すいません、すいません!」
周りの人間が注目するので、席に戻った。
「お前なぁ、そんなに怖いのかよ」
「はい、すいません」
「前に言っただろう? 怖い時はどうすんだ?」
六花が俺を見る。
「はい、「やれ」とおっしゃいました」
「そうだろう!」
まだ不安そうだったが、六花は納得したようだ。
二週間後の金曜日。
風花が東京に着いた。
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