213 / 2,806
別荘の日々 XⅨ
しおりを挟む
子どもたちは急いでノルマを終え、俺の手伝いに入った。
折角大量の魚介類があるので、俺はアヒージョを亜紀ちゃんに教える。
「今日はアヒージョを作るじょ!」
一瞬亜紀ちゃんは硬直したが、大きな声で笑い出した。
顔が引き攣っている。
皇紀は六花と一緒に、バーベキューの台を出している。
二人にセッティングを任せる。
響子は外の椅子に座り、それを眺めていた。
双子は食材を外へ運んでいく。
短時間でバーベキューの用意ができた。
俺は最初から子どもたちに焼かせ、好きなように食べさせた。
響子のために、伊勢海老を焼いた。
ホタテを殻のまま焼き、貝が開いたところで醤油とバターを入れる。
食欲をそそる香りが立つ。
子どもたちが真似をしだした。
「ほら、響子。ホタテができたぞ」
響子の前に置き、熱いから少し待って食べろと言う。
幾つかの魚介類をアルミホイルに入れ、野菜も入れてバターと醤油を垂らして閉じた。
「あれ、絶対美味い奴だ」
双子が真似をする。
軽く炙った魚介類を、寸胴で沸かした湯に次々と入れる。
キノコ類と玉ねぎ、幾つかの香草を入れ、蓋をして弱火にする。
沸騰したら、塩コショウで味を調えた。
響子にスープカップに注いでやる。
伊勢海老は鋏で殻を縦に割ってやり、辛さを抑えたマスタードソースで食べさせる。
どれも、響子は驚き、ニコニコとしながら食べた。
「美味し過ぎるー!」
子どもたちは、いつもの争って食べるでもなく、俺の一連の食べ方をじっと見ていた。
「タカさん」
亜紀ちゃんが泣きそうな顔で俺に言う。
「お願いですから、私たちにも食べ方を教えてください」
「俺の話が面白かったと言ってくれたのは響子だけだからな」
「そんなぁ」
「お前らは好きに食べればいいじゃないか」
子どもたちと六花がまたテーブルに集まって相談する。
「まだ怒ってたんだぁ」(る)
「どうしよう」(は)
「やっぱりみんなで謝ろうよ」(こ)
「そうだね、謝らなきゃ」(あ)
「私にお任せください」(バカ)
六花が双子に尻を蹴られた。
「おい、冗談だよ!」
俺が呼び寄せる。
「悪かったよ。でも俺のやり方を見ていただろう。同じようにやればいいんだ。スープは沢山作ってあるからな」
「「「「「はい!」」」」」
「包み焼きの要領は分かったな。塩コショウでも美味いぞ。軽く包んで、煮汁が沸騰したら開け。ただ、熱いから軍手をしてやれな」
「伊勢海老は俺が焼いてやる。向こうのテーブルで切り分けて「仲良く」食べるんだぞ」
「ホタテは蓋が開いてから調味料を入れろ。バター醤油は間違いねぇが、そのままでも野生の味がいいからな」
「「「「「はい!」」」」」
子どもたちは笑顔になり、バーベキューのちょっとした工夫を知る。
肉と違って、焼加減が異なるので、俺がタイミングを指示してやる。
六花は要領を得ず、苦労している。
皇紀がいつものように助けてやっている。
「皇紀さん」
「なんですか?」
「ちょっとなら触ってもいいですよ」
「!」
俺は伊勢海老の殻を顔に投げた。
アヒージョは大評判で、たちまち食い尽くす。
響子は少し苦手なようで、一口で終えた。
その響子も魚介スープは喜んで、三杯も食べた。
いい傾向だ。
子どもたちに好きにやらせ、俺は響子を連れて風呂に入った。
六花は食うか付いてくるかで一瞬迷ったが、結局風呂に入ってくる。
「お前、食ってればいいじゃないか」
「いえ、石神先生の裸が見れる機会は逃せませんので」
「六花エッチ」
二人で響子を泡だらけにして遊びながら洗ってやる。
響子は悲鳴を上げながら喜んだ。
六花も響子と二人で同じようにして洗う。
ヘンな声を出すので、たびたび引っ叩く。
次は俺だと言われた。
「六花、なんでタカトラのオチンチンばっかり洗うの?」
「そんなことはありません」
握りながら六花が言う。
俺は笑いながら、髪だけ頼むと言った。
風呂から上がると、子どもたちが片づけをしていた。
適当に終わらせて、早く風呂に入れと言う。
響子はたくさん食べたので、早く眠くなるだろう。
寝かせてもいいのだが、屋上でのひと時を楽しみにしている。
子どもたちが風呂に入っている間、俺はミキサーでバナナジュースを作った。
ミキサーを洗っていると、子どもたちが全員揃った。
六花と自分のために、ウォッカ・トニックを作る。
屋上へ向かう。
今日は少し曇り、時折月が顔を出していた。
折角大量の魚介類があるので、俺はアヒージョを亜紀ちゃんに教える。
「今日はアヒージョを作るじょ!」
一瞬亜紀ちゃんは硬直したが、大きな声で笑い出した。
顔が引き攣っている。
皇紀は六花と一緒に、バーベキューの台を出している。
二人にセッティングを任せる。
響子は外の椅子に座り、それを眺めていた。
双子は食材を外へ運んでいく。
短時間でバーベキューの用意ができた。
俺は最初から子どもたちに焼かせ、好きなように食べさせた。
響子のために、伊勢海老を焼いた。
ホタテを殻のまま焼き、貝が開いたところで醤油とバターを入れる。
食欲をそそる香りが立つ。
子どもたちが真似をしだした。
「ほら、響子。ホタテができたぞ」
響子の前に置き、熱いから少し待って食べろと言う。
幾つかの魚介類をアルミホイルに入れ、野菜も入れてバターと醤油を垂らして閉じた。
「あれ、絶対美味い奴だ」
双子が真似をする。
軽く炙った魚介類を、寸胴で沸かした湯に次々と入れる。
キノコ類と玉ねぎ、幾つかの香草を入れ、蓋をして弱火にする。
沸騰したら、塩コショウで味を調えた。
響子にスープカップに注いでやる。
伊勢海老は鋏で殻を縦に割ってやり、辛さを抑えたマスタードソースで食べさせる。
どれも、響子は驚き、ニコニコとしながら食べた。
「美味し過ぎるー!」
子どもたちは、いつもの争って食べるでもなく、俺の一連の食べ方をじっと見ていた。
「タカさん」
亜紀ちゃんが泣きそうな顔で俺に言う。
「お願いですから、私たちにも食べ方を教えてください」
「俺の話が面白かったと言ってくれたのは響子だけだからな」
「そんなぁ」
「お前らは好きに食べればいいじゃないか」
子どもたちと六花がまたテーブルに集まって相談する。
「まだ怒ってたんだぁ」(る)
「どうしよう」(は)
「やっぱりみんなで謝ろうよ」(こ)
「そうだね、謝らなきゃ」(あ)
「私にお任せください」(バカ)
六花が双子に尻を蹴られた。
「おい、冗談だよ!」
俺が呼び寄せる。
「悪かったよ。でも俺のやり方を見ていただろう。同じようにやればいいんだ。スープは沢山作ってあるからな」
「「「「「はい!」」」」」
「包み焼きの要領は分かったな。塩コショウでも美味いぞ。軽く包んで、煮汁が沸騰したら開け。ただ、熱いから軍手をしてやれな」
「伊勢海老は俺が焼いてやる。向こうのテーブルで切り分けて「仲良く」食べるんだぞ」
「ホタテは蓋が開いてから調味料を入れろ。バター醤油は間違いねぇが、そのままでも野生の味がいいからな」
「「「「「はい!」」」」」
子どもたちは笑顔になり、バーベキューのちょっとした工夫を知る。
肉と違って、焼加減が異なるので、俺がタイミングを指示してやる。
六花は要領を得ず、苦労している。
皇紀がいつものように助けてやっている。
「皇紀さん」
「なんですか?」
「ちょっとなら触ってもいいですよ」
「!」
俺は伊勢海老の殻を顔に投げた。
アヒージョは大評判で、たちまち食い尽くす。
響子は少し苦手なようで、一口で終えた。
その響子も魚介スープは喜んで、三杯も食べた。
いい傾向だ。
子どもたちに好きにやらせ、俺は響子を連れて風呂に入った。
六花は食うか付いてくるかで一瞬迷ったが、結局風呂に入ってくる。
「お前、食ってればいいじゃないか」
「いえ、石神先生の裸が見れる機会は逃せませんので」
「六花エッチ」
二人で響子を泡だらけにして遊びながら洗ってやる。
響子は悲鳴を上げながら喜んだ。
六花も響子と二人で同じようにして洗う。
ヘンな声を出すので、たびたび引っ叩く。
次は俺だと言われた。
「六花、なんでタカトラのオチンチンばっかり洗うの?」
「そんなことはありません」
握りながら六花が言う。
俺は笑いながら、髪だけ頼むと言った。
風呂から上がると、子どもたちが片づけをしていた。
適当に終わらせて、早く風呂に入れと言う。
響子はたくさん食べたので、早く眠くなるだろう。
寝かせてもいいのだが、屋上でのひと時を楽しみにしている。
子どもたちが風呂に入っている間、俺はミキサーでバナナジュースを作った。
ミキサーを洗っていると、子どもたちが全員揃った。
六花と自分のために、ウォッカ・トニックを作る。
屋上へ向かう。
今日は少し曇り、時折月が顔を出していた。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
まさか、、お兄ちゃんが私の主治医なんて、、
ならくま。くん
キャラ文芸
おはこんばんにちは!どうも!私は女子中学生の泪川沙織(るいかわさおり)です!私こんなに元気そうに見えるけど実は貧血や喘息、、いっぱい持ってるんだ、、まあ私の主治医はさすがに知人だと思わなかったんだけどそしたら血のつながっていないお兄ちゃんだったんだ、、流石にちょっとこれはおかしいよね!?でもお兄ちゃんが医者なことは事実だし、、
私のおにいちゃんは↓
泪川亮(るいかわりょう)お兄ちゃん、イケメンだし高身長だしもう何もかも完璧って感じなの!お兄ちゃんとは一緒に住んでるんだけどなんでもてきぱきこなすんだよね、、そんな二人の日常をお送りします!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる